名馬の記憶を、
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年表ICHINEN-ISSO — 2400m

BOKUJŌ-CHŌ — HOKKAIDO

牧場帖

一年ずつ、顔ぶれをたどる。引退した名馬たちの繋養・在籍と映像を綴る帳面。
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ヤマニンウルスのイメージビジュアル
ヤマニンウルスYamanin Ours
Yamanin Ours

ヤマニンウルス

通算成績11戦6勝

獲得賞金12,807万円

生年月日 2020.05.21(令和2年)毛色 鹿毛

全成績

主要戦績(抜粋)・新しい順
ヤマニンウルスの成績一覧
年月日着順レースコース人気騎手タイム上り3F映像
12 OPポラリスS 阪神 ダ1400 2人気 武豊 1:23.4 上り37.7
1 GIII東海S 中京 ダ1400 4人気 武豊 1:22.2 上り35.7映像
7 GIIIアンタレスS 阪神 ダ1800 2人気 武豊 1:52.6 上り38.9映像
3 LコーラルS 阪神 ダ1400 1人気 団野大成 1:24.3 上り35.9
10 GIII小倉大賞典 小倉 芝1800 3人気 藤懸貴志 1:47.0 上り36.3映像
6 名古屋大賞典 名古屋 ダ2000 1人気 武豊 2:07.7 上り39.6
1 GIIIプロキオンS 小倉 ダ1700 1人気 武豊 1:42.7 上り37.5映像
1 雅S 京都 ダ1800 1人気 武豊 1:51.8 上り36.0
1 3歳以上2勝クラス 京都 ダ1900 1人気 C.ルメール 2:00.8 上り38.4
1 3歳1勝クラス 京都 ダ1800 1人気 武豊 1:52.3 上り37.8
1 2歳新馬 小倉 ダ1700 1人気 今村聖奈 1:44.3 上り35.8

血統

金色の名は 名馬ジャーニー に掲載 — その馬のページへ
ヤマニンウルスの血統表(左から親・祖父母・曽祖父母)
ジャスタウェイJust a WayハーツクライHeart's CryサンデーサイレンスSunday Silence
アイリッシュダンス
シビルWild Again
シャロンCharon
ヤマニンパピオネスウェプトオーヴァーボードSwept OverboardエンドスウィープEnd Sweep
Sheer Ice
ヤマニンメルティジェイドロバリーJade Robbery
ワンオブアクラインOne of a Klein
STORY

旅程 — この馬の物語

2020年生まれの鹿毛の牡馬。父ジャスタウェイ、母ヤマニンパピオネ。主な勝ち鞍はプロキオンS・東海S。

熊と名づけられた血

ヤマニンウルスの「ウルス」は、フランス語で熊を指す。冠名ヤマニンは馬主・土井肇のもの。北海道新冠町の錦岡牧場で2020年5月21日に生まれた鹿毛の牡馬に、獣の名が与えられた。 父ジャスタウェイは、2014年に世界一のレーティングを受けたマイラーである。母ヤマニンパピオネの父は、快速で鳴らしたスウェプトオーヴァーボード。長い距離よりも、短い間合いで一気に押し切る速さが、この血には畳み込まれていた。栗東・斉藤崇史厩舎に入った鹿毛は、まだその走りを世に見せていない。ただ、名前だけが、その馬格を先に予告していた。

二十一馬身

2022年8月20日、小倉のダート1700メートル。2歳新馬戦の鞍上は、デビューして間もない今村聖奈だった。 ゲートを出たヤマニンウルスは3コーナーで先頭に立つと、後続との差をぐんぐん押し広げていく。2着ゴライコウにつけた着差は、4秒3――およそ21馬身。1984年のグレード制導入以降、JRA平地競走で記録された最大の着差だった。勝ち時計1分44秒3は、ダート1700メートルの2歳レコード。デビュー戦から、この馬は記録の側に立っていた。 この一勝で今村聖奈は通算31勝に到達し、GIへの騎乗資格を得た。若い騎手の扉を開けたのも、名づけられたばかりの獣だった。走り終えたウルスは、そのまま放牧へ。2歳の秋を、一戦だけで畳んだ。

和製フライトライン

8か月の休みを経て、2023年4月23日の京都。3歳1勝クラスで初めて手綱を取ったのは、武豊だった。ウルスは持ったまま後続を突き放して抜け出す。レジェンドは、その走りにアメリカの怪物の名を重ねた。「和製フライトラインになってほしいね」[^1]。フライトラインは6戦6勝、破格の着差で勝ち続けたまま去った歴史的名馬である。夢の大きさが、そのまま言葉になっていた。 続く2勝クラスはルメールを背に、次の雅ステークスもまた武豊で――勝つたびにレースの間隔は空いたが、負けは一度もつかなかった。脚元の弱さゆえに使う番組を選ばざるを得ないこの馬は、走れば必ず勝つ、という一点だけは無敵だった。

出典:東京スポーツ「圧勝ヤマニンウルスを武豊が絶賛「和製フライトラインになってほしいね」」2023年4月23日配信、https://tospo-keiba.jp/breaking_news/30712 、閲覧日:2026年7月16日。

未完のまま、無傷の五連勝

陣営は初めての重賞に平安ステークスを見据えていた。だが調整の途中で裂蹄を発症し、回避。脚元の火種は、この馬の宿命のように、節々でくすぶり続けた。 仕切り直しの復帰戦が、2024年7月7日のプロキオンステークス。1番人気に応え、道中は前めにつけると4コーナーで一気に先頭へ。直線は後続をまるで寄せ付けなかった。デビューからの連勝はこれで五。無傷のまま、重賞のタイトルに手が届いた。まだ体は緩く、走りは完成にはほど遠い。それでも勝ってしまう。未完のままの怪物という矛盾が、いっそう先の景色を期待させた。

眠り

最初のつまずきは、2024年12月の名古屋大賞典だった。1番人気で6着。乾いて深い地方のダートは初めてで、いつもなら3コーナーから起きる反応が、この日はついに来なかったと武豊は振り返った。 そこから、迷いの季節が続く。2025年2月の小倉大賞典は、初めての芝で10着。3月のコーラルステークスは1番人気で3着、4月のアンタレスステークスは7着。距離も、馬場も、噛み合わない。かつて21馬身を突き放した脚は、深い眠りに落ちたように鳴りをひそめた。熊は、冬にこもる。ウルスの時計も、しばらく止まったままだった。

目覚め

覚めたのは、2025年7月27日の東海ステークスだった。4番人気。中京のダート1400メートルで、ウルスはスタートから前へ運ぶと、直線で後続を3馬身半突き放す。約1年ぶりの勝利、そして重賞は二つ目になった。ゴールの先で、武豊は前の夏を口にした。小倉で勝ったあのプロキオンステークス――「あの時にようやく戻ったかな」[^1]、と。眠っていた怪物が、もう一度だけ地表に顔を出した瞬間だった。 2026年4月のポラリスステークスは12着。好不調の波は、この馬の脚元とともに、いまも寄せては返す。それでもヤマニンウルスは現役のまま、次の一戦を待っている。血のほうは、すでに走り出した。半弟ヤマニンアルリフラが2025年の北九州記念を制し、半姉ヤマニンアンフィルも同じレースを走った。錦岡牧場のこの一族は、熊の名を継いだ馬が眠っている間も、休まず前へ進んでいる。もう一度あの脚が地を蹴る日を、ただ待てばいい。

出典:東京スポーツ「【東海ステークス結果&コメント】武豊ヤマニンウルス復活V「あのときにようやく戻ったかな」」2025年7月27日配信、https://tospo-keiba.jp/breaking_news/60952 、閲覧日:2026年7月16日。

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