名馬の記憶を、
再生する。

年表ICHINEN-ISSO — 2400m

BOKUJŌ-CHŌ — HOKKAIDO

牧場帖

一年ずつ、顔ぶれをたどる。引退した名馬たちの繋養・在籍と映像を綴る帳面。
HORSES

名馬録

この世代(生まれ年)

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ウインマーベルのイメージビジュアル
ウインマーベルWin Marvel
Win Marvel

ウインマーベル

通算成績30戦7勝

獲得賞金53,469万円

生年月日 2019.05.08(令和元年)毛色 栗毛

全成績

主要戦績(抜粋)・新しい順
ウインマーベルの成績一覧
年月日着順レースコース人気騎手タイム上り3F映像
18 GIマイルチャンピオンS 京都 芝1600 10人気 松山弘平 1:33.2 上り34.5映像
4 GIIMBS賞スワンS 京都 芝1400 3人気 松山弘平 1:19.0 上り33.8映像
5 GI安田記念 東京 芝1600 11人気 松山弘平 1:33.1 上り34.7映像
2 GII1351ターフスプリント キングアブドゥル 芝1351 5人気 松山弘平 映像
8 GII阪神カップ 京都 芝1400 2人気 松山弘平 1:20.5 上り34.1映像
3 GIマイルチャンピオンS 京都 芝1600 10人気 松山弘平 1:32.4 上り34.5映像
5 GIスプリンターズS 中山 芝1200 7人気 松山弘平 1:07.2 上り33.6映像
1 GII京王杯スプリングカップ 東京 芝1400 1人気 松山弘平 1:19.7 上り33.2映像
12 GI高松宮記念 中京 芝1200 8人気 松山弘平 1:10.5 上り34.6映像
1 GIII阪急杯 阪神 芝1400 1人気 松山弘平 1:21.2 上り35.6映像
1 GII阪神カップ 阪神 芝1400 4人気 松山弘平 1:19.3 上り34.5映像
5 GIIMBS賞スワンS 京都 芝1400 7人気 西村淳也 1:20.3 上り34.4映像
6 GIスプリンターズS 中山 芝1200 8人気 松山弘平 1:08.4 上り34.4映像
16 GIIIキーンランドカップ 札幌 芝1200 7人気 松山弘平 1:12.2 上り36.8映像
2 GII京王杯スプリングカップ 東京 芝1400 7人気 松山弘平 1:20.4 上り33.2映像
10 GI高松宮記念 中京 芝1200 6人気 松山弘平 1:12.5 上り36.5映像
7 GIIIシルクロードS 中京 芝1200 4人気 松山弘平 1:08.3 上り33.8映像
2 GIスプリンターズS 中山 芝1200 7人気 松山弘平 1:07.8 上り34.1映像
2 GIIIキーンランドカップ 札幌 芝1200 2人気 松山弘平 1:09.2 上り34.5映像
1 GIII葵S 中京 芝1200 1人気 松山弘平 1:08.2 上り34.4映像
1 L橘S 中京 芝1400 5人気 和田竜二 1:19.3 上り33.9
15 GIII中スポ賞ファルコンS 中京 芝1400 10人気 松岡正海 1:23.2 上り38.3映像
2 OP報知杯中京2歳S 中京 芝1200 1人気 松岡正海 1:09.0 上り34.8
1 OP福島2歳S 福島 芝1200 5人気 松岡正海 1:09.5 上り35.6
1 2歳未勝利 新潟 芝1200 4人気 丹内祐次 1:11.0 上り36.1
5 2歳未勝利 中山 ダ1800 3人気 丹内祐次 1:54.8 上り39.7
5 2歳未勝利 札幌 芝1500 4人気 丹内祐次 1:32.8 上り35.9
3 2歳未勝利 函館 芝1200 3人気 丹内祐次 1:10.6 上り35.1
3 2歳未勝利 函館 芝1200 3人気 丹内祐次 1:10.5 上り35.1
3 2歳新馬 札幌 芝1200 6人気 丹内祐次 1:09.8 上り34.7

血統

金色の名は 名馬ジャーニー に掲載 — その馬のページへ
ウインマーベルの血統表(左から親・祖父母・曽祖父母)
アイルハヴアナザーI'll Have AnotherFlower AlleyDistorted Humor
プリンセスオリビアPrincess Olivia
Arch's Gal EdithArch
Force Five Gal
コスモマーベラスフジキセキFuji KisekiサンデーサイレンスSunday Silence
ミルレーサーMillracer
ロモーラRomolaNijinsky
Single Blade
STORY

旅程 — この馬の物語

2019年生まれの栗毛の牡馬。父アイルハヴアナザー、母コスモマーベラス。主な勝ち鞍は葵S・阪神C・阪急杯。

冠名と、母の名 ― 血のつくり

2019年5月8日、北海道新冠町のコスモヴューファームに、栗毛の牡馬が生まれた。父はアイルハヴアナザー。2012年、ケンタッキーダービーとプリークネスステークスを連勝しながら、三冠のかかったベルモントステークスの前日に左前脚を痛めて出走を取り消し、そのまま引退した米国の二冠馬である。夢の最後の一戦を走れぬまま海を渡り、日本で種牡馬となった。 母はフジキセキの牝馬コスモマーベラス。大きな実績を残した近親の見当たらない牝系だが、一族には同じ響きが流れていた――母マーベラスから、娘たちのマーベリック、マーベルへ。冠名ウインに、その血の言葉を継いで名がついた。ウインマーベル。派手な良血ではない。母系の奥から掬い上げられた一頭だった。

六戦目の白星 ― 遅れてきた勝ち上がり

2021年6月20日、札幌の芝1200m。丹内祐次を背にデビューしたが3着。以後も掲示板を並べながら、なかなか勝ち切れない。初勝利はようやく六戦目、10月の新潟だった。重馬場をものともせず先行から抜け出すと、続く福島2歳ステークス、中京2歳ステークスと短距離のオープンで存在感を示していく。 明けて3歳、重賞初挑戦のファルコンステークスは直線で不利を受けて15着に大敗するが、次のリステッド橘ステークスを危なげなく勝ち、地力の確かさを見せた。ここまで鞍上は松岡正海、和田竜二とめまぐるしく替わっている。運命の手綱が定まるのは、次の一戦からだった。

三つの「初めて」 ― 葵ステークス

2022年5月28日、この年からGIIIに格上げされた葵ステークス。手綱を取ったのは松山弘平だった。1番人気に応え、好位から四コーナーで前が開くと、外へ持ち出して力強く抜け出す。2着に2馬身半差、重賞初制覇。 この一勝は、ひとつではなく三つの「初めて」を連れてきた。ウインマーベルにとって初の重賞。管理する深山雅史調教師にとっても、初の重賞。そして父アイルハヴアナザーにとって、日本の芝で最初のJRA重賞タイトルだった。三冠の夢を絶たれて海を渡った父の血が、息子の背で、新しい旗を一本立てた。松山とウインマーベルの長い旅も、この日から始まる。

三歳の秋に知った壁 ― 初めてのGI

夏の札幌、キーンランドカップはゴール前でヴェントヴォーチェにわずかに差され、半馬身差の2着。そして秋、初めてのGI・スプリンターズステークスへ向かう。7番人気の伏兵にすぎなかったが、巧みに立ち回って直線を伸び、先に抜け出したジャンダルムをクビ差まで追い詰めての2着に食い込んだ。 3歳でGIの入口まで届いてみせたその走りは、大器の予感をたしかに漂わせた。だが「あと一歩」は、このあと幾度もこの馬を待ち受けることになる。頂の一枚手前で足踏みする――その味を、ウインマーベルは早くに覚えてしまった。

一年半の渇き ― 阪神カップの夜明け

4歳になると、歯車が噛み合わなくなった。シルクロードステークス、高松宮記念はいずれも掲示板の外。夏のキーンランドカップはスタートで挟まれる不利も重なり、最下位16着に沈む。葵ステークス以来、勝利から遠ざかること約1年半。短距離戦線で名は知られても、白星だけが遠かった。 転機は年の瀬に訪れる。2023年12月、阪神カップ。4番人気。好位を進んで直線で鋭く伸びると、0秒2の中に七頭がひしめく大混戦を、3/4馬身だけ抜け出してしのいだ。勝ち時計1分19秒3はレースレコード。長い渇きを、松山の手綱が断ち切った。

充実の年 ― 連勝と、マイルの発見

2024年は、ウインマーベルがもっとも輝いた季節だった。年明けの阪急杯は1番人気に応え、逃げ粘るアサカラキングをゴール前できっちり差し切ってハナ差。重賞3勝目。春の京王杯スプリングカップも、外から並びかけたレッドモンレーヴとの叩き合いを鼻差で制し、連勝で重賞4勝目を飾った。松山との呼吸は、もう完成されていた。 そして秋、陣営は距離を延ばす。1600mのマイルチャンピオンシップ。10番人気の低評価をよそに、勝ったソウルラッシュ、2着エルトンバローズに続くクビ差の3着へ食い込んでみせた。スプリンターと見られていたこの馬に、マイルという新しい戦場が開けた瞬間だった。

海を越えて、旅はまだ

2025年、ウインマーベルは初めて海を渡った。サウジアラビア、1351ターフスプリント。異国の舞台で2着に粘り、日本の外でも力の通じることを示す。帰国後の安田記念は5着。長い遠征の疲れを抱えながら、それでも東京のマイルGIで上位を争った。 葵ステークスからマイルチャンピオンシップまで、この馬はスプリントからマイルまでの一線を、幾度もGIの舞台で走り抜けてきた。重賞を四つ勝ち、GIでは二着、三着と頂の一枚手前に立ち続けた馬。その栗毛の背には、いつも松山弘平がいた。最も大きなタイトルには、まだ手が届いていない。だが2026年の夏を迎えてなお、ウインマーベルはターフを去っていない。次の一戦へ、旅はまだ続いている。

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