名馬の記憶を、
再生する。

年表ICHINEN-ISSO — 2400m

BOKUJŌ-CHŌ — HOKKAIDO

牧場帖

一年ずつ、顔ぶれをたどる。引退した名馬たちの繋養・在籍と映像を綴る帳面。
HORSES

名馬録

この世代(生まれ年)

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ウィリアムバローズのイメージビジュアル
ウィリアムバローズWilliam Barows
William Barows

ウィリアムバローズ

通算成績26戦8勝

獲得賞金29,088万円

生年月日 2018.02.17(平成30年)毛色 鹿毛

全成績

主要戦績(抜粋)・新しい順
ウィリアムバローズの成績一覧
年月日着順レースコース人気騎手タイム上り3F映像
2 オグリキャップ記念 笠松 ダ1400 1人気 御神本訓史 1:26.5 上り38.0
2 京成盃グランドマイラーズ 船橋 ダ1600 2人気 笹川翼 1:40.7 上り38.3
16 GIチャンピオンズカップ 中京 ダ1800 13人気 岩田望来 1:54.7 上り41.8映像
4 GIIIエルムS 札幌 ダ1700 8人気 横山武史 1:44.4 上り37.8映像
2 JpnⅠかしわ記念 船橋 ダ1600 5人気 坂井瑠星 1:39.3 上り37.0映像
13 GIフェブラリーS 東京 ダ1600 12人気 岩田望来 1:37.4 上り37.8映像
6 JpnⅠJBCクラシック 佐賀 ダ2000 2人気 坂井瑠星 2:09.9 上り39.2映像
1 JpnⅡ日本テレビ盃 船橋 ダ1800 3人気 坂井瑠星 1:52.8 上り38.4
6 JpnⅠかしわ記念 船橋 ダ1600 2人気 坂井瑠星 1:41.1 上り40.3映像
1 GII東海テレビ杯東海S 京都 ダ1800 2人気 坂井瑠星 1:49.2 上り36.0映像
3 GIIIみやこS 京都 ダ1800 2人気 坂井瑠星 1:51.5 上り37.2映像
1 OPラジオ日本賞 中山 ダ1800 2人気 丹内祐次 1:52.2 上り38.2
2 GIIIマーチS 中山 ダ1800 1人気 横山武史 1:51.4 上り37.6映像
2 OPポルックスS 中山 ダ1800 1人気 三浦皇成 1:51.9 上り37.2
14 GIIIみやこS 阪神 ダ1800 4人気 横山武史 1:54.0 上り39.8映像
2 OPラジオ日本賞 中山 ダ1800 1人気 横山武史 1:50.4 上り36.9
1 OP卯月S 中山 ダ1800 1人気 三浦皇成 1:51.6 上り37.5
1 韓国馬事会杯 中山 ダ1800 1人気 横山武史 1:51.8 上り36.3
2 摩耶S 阪神 ダ1800 2人気 松山弘平 1:53.0 上り37.6
1 3歳以上2勝クラス 中山 ダ1800 1人気 三浦皇成 1:53.1 上り37.8
1 3歳以上1勝クラス 福島 ダ1700 1人気 吉田隼人 1:45.1 上り36.6
1 3歳未勝利 札幌 ダ1700 2人気 横山武史 1:45.2 上り37.4
5 3歳未勝利 函館 芝1800 1人気 横山武史 1:49.0 上り36.8
5 3歳未勝利 函館 芝1800 1人気 菱田裕二 1:50.6 上り36.3
2 3歳未勝利 札幌 芝1800 6人気 菱田裕二 1:47.5 上り34.7
7 3歳未勝利 中京 芝2000 4人気 坂井瑠星 2:02.3 上り36.5

血統

金色の名は 名馬ジャーニー に掲載 — その馬のページへ
ウィリアムバローズの血統表(左から親・祖父母・曽祖父母)
ミッキーアイルMikki IsleディープインパクトDeep ImpactサンデーサイレンスSunday Silence
ウインドインハーヘアWind in Her Hair
スターアイルロックオブジブラルタル
アイルドフランスIsle de France
ダイアナバローズシンボリクリスエスSymboli Kris SKris S.
Tee Kay
チッキーズディスコChickie's DiscoShirley Heights
African Dance
STORY

旅程 — この馬の物語

2018年生まれの鹿毛の牡馬。父ミッキーアイル、母ダイアナバローズ。主な勝ち鞍は東海テレビ杯東海S。

バローズという名 ― 名前と血

ウィリアム。二十世紀のアメリカ文学に『裸のランチ』を残した作家、ウィリアム・S・バロウズの名である。バローズ――冠名は、母ダイアナバローズから受け継いだ一族の印だ。人の名と、母の名。二つの由来が、一頭の鹿毛に重なった。 血の取り合わせは意外なものだった。父ミッキーアイルは、NHKマイルカップとマイルチャンピオンシップを制したディープインパクト産駒の快速マイラー。母の父シンボリクリスエスは、天皇賞・秋と有馬記念を連ねた剛腕の中距離馬である。切れる父に、粘り強い母系。この配合が、砂の上で先手を取り、そのまま押し切る一頭を生むことになる。2018年2月17日生まれ。馬主は猪熊広次、預けられたのは栗東・上村洋行厩舎だった。

芝からダートへ ― 坂井瑠星と始まりの一戦

2021年5月30日、中京の芝2000m。ウィリアムバローズはここでデビューし、7着に敗れた。鞍上は坂井瑠星。この日の縁が三年後に大きく実ることを、まだ誰も知らない。 芝では歯車が噛み合わなかった。函館、札幌と芝を四戦して、勝ち星は挙がらない。転機は8月、札幌のダート1700mだった。砂に替わった途端に走りが一変し、未勝利を突破する。福島の1勝クラス、中山の2勝クラスと連勝して、年内に三つ勝った。この馬の本領は、芝の切れ味ではなく、砂の先行力にあった。

善戦の砂 ― 積み上げた二着

オープンの壁は、厚くはあったが越えられないものではなかった。2022年、中山の卯月ステークスと韓国馬事会杯を勝ち、オープン級に定着する。だが重賞になると、あと半歩が遠かった。同年のみやこステークスは大敗し、翌2023年はマーチステークスで1番人気に応えられず2着、みやこステークスは3着、ポルックスステークスも2着。人気を背負っては、勝ち切れない。ラジオ日本賞をようやく制したものの、この馬にはいつも「善戦」という言葉がついて回った。横山武史、三浦皇成――手綱は替わりながら、砂の上に二着ばかりが積み上がっていった。

東海Sの押し切り ― 二〇二四年一月

2024年1月21日、京都の東海テレビ杯東海ステークス。ダート1800m、格はGⅡ。手綱には、デビュー戦を任せたあの坂井瑠星が戻っていた。2番手を追走し、3コーナーで先頭に立つと、内で食い下がる馬との叩き合いを制して押し切った。1番人気オメガギネスに1馬身差。六歳にして、ついに掴んだ重賞初制覇だった。始まりの一戦を共にした騎手と、遅れてきた戴冠。砂の善戦馬が、ようやく重賞馬の列に加わった。

世界を退けた逃げ ― 日本テレビ盃

勢いは止まらなかった。2024年9月25日、船橋の日本テレビ盃。JpnⅡのこの一戦で、ウィリアムバローズは好スタートからハナを奪い、後続を離して逃げ切った。二着に退けたのは、ドバイワールドカップを制した世界の強豪ウシュバテソーロ。1番人気の一線級を、自分のペースで振り切っての完勝である。坂井は「会心の逃げ切りでした」[^1]と胸を張った。中央と地方をまたいで重賞は二つ目。逃げて、粘って、押し切る――この馬の型が、はっきりと定まった一戦だった。

出典:ORICON NEWS「【日本テレビ盃】坂井瑠「会心の逃げ切りでした」ウィリアムバローズが逃げ切る」2024年9月25日配信、https://www.oricon.co.jp/article/2715172/、閲覧日:2026年7月21日。

あと半馬身 ― 二〇二五年かしわ記念

頂点は、目の前にあった。2025年5月5日、船橋のかしわ記念。JpnⅠのこの日、五番人気のウィリアムバローズは迷わず先手を取り、マイペースで船橋のマイルを刻んだ。直線、粘り込みにかかる逃げ脚。だが残り、二番手から抜け出したシャマルにゴール前で並ばれ、競り落とされた。着差は、わずか半馬身。1番人気コスタノヴァをクビ差だけ抑えての二着だった。 この年、フェブラリーステークスは13着、暮れのチャンピオンズカップも見せ場なく終わる。中央のGⅠでは、いつも何かが足りなかった。それでもこの逃げは――半馬身差の二着は――この馬が生涯で最も頂に近づいた、一分三十九秒だった。

浦和の砂へ ― 次の一戦

2025年12月18日、ウィリアムバローズは中央競馬の登録を抹消され、浦和・繁田健一厩舎へ移った。中央での歩みは25戦8勝、重賞は東海ステークスと日本テレビ盃の二つ、獲得賞金は2億9千万円あまり。派手なGⅠの冠こそ持たないが、砂の上で先手を取り続けた、筋の通ったキャリアだった。 地方に移っても、走りは変わらない。明けて2026年、笠松のオグリキャップ記念で二着、船橋の京成盃グランドマイラーズでも二着。八歳になってなお、この逃げ馬は最前線でハナを主張している。ウィリアム・S・バロウズが一冊また一冊と書き継いだように、この馬の旅も、まだ次の頁を繰っている。次にどの直線で先手を取るのか――その頁は、まだ書きかけのままだ。

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