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ワイドファラオ
通算成績28戦4勝
獲得賞金2億415万円
生年月日 2016.04.03(平成28年)毛色 栗毛性 牡
全成績
主要戦績(抜粋)・新しい順| 年月日 | 着順 | レース | コース | 人気 | 騎手 | タイム | 上り3F | 映像 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 14 | スパーキングサマーカップ | 川崎 ダ1600 | 7人気 | 真島大輔 | 1:44.7 | 上り43.5 | — | |
| 6 | プラチナC | 浦和 ダ1400 | 2人気 | 真島大輔 | 1:27.7 | 上り39.1 | — | |
| 2 | 浦和スプリントオープ | 浦和 ダ1400 | 2人気 | 矢野貴之 | 1:27.5 | 上り36.5 | — | |
| 6 | JpnⅢかきつばた記念 | 名古屋 ダ1500 | 7人気 | 岩田望来 | 1:33.3 | 上り38.6 | — | |
| 14 | GIIIマーチS | 中山 ダ1800 | 13人気 | 大野拓弥 | 1:52.3 | 上り39.3 | 映像 | |
| 4 | JpnⅢ兵庫ゴールドトロフィー | 園田 ダ1400 | 4人気 | C.デムーロ | 1:27.9 | 上り38.6 | — | |
| 10 | GIII東京中日S杯武蔵野S | 東京 ダ1600 | 15人気 | 柴田善臣 | 1:36.0 | 上り36.9 | 映像 | |
| 5 | JpnⅠマイルチャンピオンシップ | 盛岡 ダ1600 | 6人気 | 福永祐一 | 1:35.8 | 上り36.6 | — | |
| 9 | GIII京成杯オータムH | 中山 芝1600 | 14人気 | 柴田善臣 | 1:32.7 | 上り34.9 | 映像 | |
| 8 | GIIIプロキオンS | 小倉 ダ1700 | 4人気 | 福永祐一 | 1:41.8 | 上り36.5 | 映像 | |
| 3 | JpnⅡさきたま杯 | 浦和 ダ1400 | 3人気 | 福永祐一 | 1:25.5 | 上り37.5 | 映像 | |
| 4 | JpnⅠかしわ記念 | 船橋 ダ1600 | 7人気 | 福永祐一 | 1:40.4 | 上り39.8 | 映像 | |
| 14 | GIフェブラリーS | 東京 ダ1600 | 11人気 | 福永祐一 | 1:36.7 | 上り38.2 | 映像 | |
| 9 | GIIIみやこS | 阪神 ダ1800 | 6人気 | 福永祐一 | 1:53.9 | 上り41.0 | 映像 | |
| 7 | JpnⅠマイルチャンピオンシップ | 盛岡 ダ1600 | 4人気 | 福永祐一 | 1:34.1 | 上り36.4 | — | |
| 4 | JpnⅠ帝王賞 | 大井 ダ2000 | 6人気 | 福永祐一 | 2:06.0 | 上り37.1 | — | |
| 1 | JpnⅠかしわ記念 | 船橋 ダ1600 | 6人気 | 福永祐一 | 1:38.6 | 上り36.3 | — | |
| 12 | GIフェブラリーS | 東京 ダ1600 | 6人気 | 福永祐一 | 1:37.3 | 上り38.5 | 映像 | |
| 5 | GIII根岸S | 東京 ダ1400 | 4人気 | 福永祐一 | 1:23.2 | 上り35.5 | 映像 | |
| 14 | GIチャンピオンズカップ | 中京 ダ1800 | 9人気 | M.デムーロ | 1:50.3 | 上り37.2 | 映像 | |
| 5 | GIIIみやこS | 京都 ダ1800 | 3人気 | M.デムーロ | 1:50.3 | 上り38.5 | 映像 | |
| 2 | JpnⅢテレ玉杯オーバルスプリント | 浦和 ダ1400 | 2人気 | 福永祐一 | 1:25.6 | 上り37.5 | — | |
| 1 | GIIIユニコーンS | 東京 ダ1600 | 3人気 | 福永祐一 | 1:35.5 | 上り37.1 | 映像 | |
| 9 | GINHKマイルカップ | 東京 芝1600 | 9人気 | 内田博幸 | 1:32.8 | 上り34.6 | 映像 | |
| 1 | GIIニュージーランドトロフィー | 中山 芝1600 | 4人気 | 内田博幸 | 1:34.2 | 上り33.9 | 映像 | |
| 1 | 2歳未勝利 | 中京 芝1600 | 1人気 | 福永祐一 | 1:35.2 | 上り35.3 | — | |
| 2 | 2歳未勝利 | 京都 芝1600 | 3人気 | 福永祐一 | 1:36.0 | 上り35.2 | — | |
| 2 | 2歳新馬 | 東京 芝1600 | 4人気 | 福永祐一 | 1:35.8 | 上り34.1 | — |
血統
金色の名は 名馬ジャーニー に掲載 — その馬のページへ| 父ヘニーヒューズHenny Hughes | ヘネシーHennessy | Storm Cat |
| Island Kitty | ||
| Meadow Flyer | Meadowlake | |
| Shortley | ||
| 母ワイドサファイア | アグネスタキオンAgnes Tachyon | サンデーサイレンスSunday Silence |
| アグネスフローラ | ||
| クイーンソネット | ノーザンテーストNorthern Taste | |
| エイプリルソネットApril Sonnett |
引退後・牧場での映像
ゴール板の先の時間旅程 — この馬の物語
2016年生まれの栗毛の牡馬。父ヘニーヒューズ、母ワイドサファイア。主な勝ち鞍はかしわ記念・ニュージーランドトロフィー・ユニコーンS。
王の名 ― 走れなかった母の春
2016年4月3日、北海道新ひだか町のフジワラファームで栗毛の牡馬が生まれた。父はアメリカ産のヘニーヒューズ、母はワイドサファイア。 母もまた、同じ勝負服を着て走った牝馬だった。2006年のセレクトセールで当歳の2730万円で幅田昌伸に買われ、藤原英昭厩舎から16戦2勝。2009年のフローラステークスで2着に入り、優駿牝馬——オークスへの切符を手にした。だが本番の日、馬場入場のあとに放馬し、競走除外。ゲートに入ることさえないまま、母の春は終わった。 その息子に与えられた名は、冠名の「ワイド」に、王を意味する言葉を重ねたものだった。ワイドファラオ。母が立てなかった大舞台の重さを、名前だけが先に背負っていた。
預けられた厩舎から ― 三戦目の白星
2018年10月13日、東京の芝1600m、新馬戦。鞍上は福永祐一。ゲートを出ると道中を軽快に逃げ、直線でも懸命に粘ったが、最後にパッシングスルーにかわされて2着だった。 この日、彼を管理していたのは角居勝彦ではなかった。角居が調教停止の処分を受け、その管理馬78頭がまとめて中竹和也厩舎へ臨時に預けられていたからである。デビューは、借りた屋根の下で迎えることになった。 11月の京都でも同じように逃げて2着。12月8日の中京では好位から抜け出し、3戦目にして初勝利を挙げる。年が明けて処分の期間が明けると、馬は角居厩舎へ戻った。
ウオッカの日 ― 中山、四月六日
2019年4月1日、アイルランドで繋養されていたウオッカが世を去った。64年ぶりに牝馬でダービーを勝ち、角居厩舎の名を世界に知らしめた牝馬である。JRAは直後の開催日となる4月6日に追悼競走を組み、中山のニュージーランドトロフィーには「ウオッカ追悼競走」の副称が与えられた。 その一戦に、4か月の休養明けで角居厩舎の3歳馬が出走してきた。鞍上は内田博幸。好スタートからマイペースの逃げに持ち込むと、直線に入っても脚色は衰えない。追ってきたメイショウショウブをクビ差しのぎ、1分34秒2で重賞初制覇。厩舎の名牝を送る日に、同じ厩舎の栗毛が中山のマイルを先頭で駆け抜けた。 勝ち馬には、NHKマイルカップの優先出走権が与えられる。だが本番の東京では9着。芝の頂点は、この馬の場所ではなかった。
砂に置いた足 ― ユニコーンステークス
6月16日、東京・ダート1600m。父ヘニーヒューズはダートの名種牡馬でありながら、この馬はここまで5戦すべてを芝で走っていた。初めての砂である。 最内枠から好スタートを切ると、先行勢を制してハナへ立ち、速い流れを自分ひとりで作った。直線、馬場の中央からデュープロセスが並びかけ、残り1ハロンではいったん交わされたかに見える。それでも譲らなかった。アタマ差、逃げ切り。芝の重賞を勝った馬が、初ダートで重賞2勝目を挙げた。 レース後、福永祐一はこう振り返っている。「デビュー当初から『ダートの適性がある』と言っていて、それを立証できました」[^1]。芝で逃げ続けた5戦は遠回りではなく、鞍上の見立てが確かめられるまでの時間だった。 秋は浦和のテレ玉杯オーバルスプリントで、逃げるノブワイルドを捕まえきれず2着。京都のみやこステークスは5着、暮れのチャンピオンズカップはクリソベリルから大きく離された14着に終わる。古馬の一線級は、まだ遠かった。
出典:競馬ラボ「【ユニコーンS】出世の扉を開いた ワイドファラオが壮絶な叩き合いを制し重賞V2!」2019年6月16日配信、https://www.keibalab.jp/topics/38475/、閲覧日:2026年7月25日。
観客のいないスタンドの前で ― かしわ記念
4歳の始動は東京の根岸ステークスで5着。同じ舞台のフェブラリーステークスでは逃げて12着と沈んだ。中央のGIの壁は、厚いままだった。 放牧を挟んで向かった先が、5月5日の船橋である。かしわ記念、JpnI。7頭立ての6番人気と評価は低い。だが最内の1枠1番は、この馬にとって最良の場所だった。ハナを取り切ると、そのまま先頭を譲らなかった。ケイティブレイブに2馬身の差をつけて押し切り、王の名を持つ馬が、ついに王冠を手にした。 スタンドに観客はいなかった。新型コロナウイルスの感染拡大に伴う緊急事態宣言下、この開催は無観客で行われ、馬主の入場も認められず、表彰式も省かれている。歓声のない船橋に、記録だけが静かに残った。 続く大井の帝王賞でも果敢に先手を奪い、クリソベリルの前に4着。2000mでも簡単には止まらないことを、この馬は示してみせた。
重くなる斤量、閉じてゆく厩舎
JpnIのタイトルは、次の一戦から斤量になって返ってくる。秋のマイルチャンピオンシップ南部杯は7着、11月の阪神・みやこステークスは別定59kgを背負って9着。背腰に疲れが出て、休養に入った。 明けて2021年2月21日、フェブラリーステークス。この一戦が、角居勝彦にとって最後のGIだった。2018年の年明けには、家業を継ぐため2021年2月で勇退することが公表されている。定年まで10年以上を残しての決断だった。ワイドファラオは14着。勝ったのは、奇しくも同じ王の名を持つカフェファラオである。 1週間後、角居は厩舎を畳んだ。勇退直前のインタビューで、最も強かった馬を問われた名伯楽が挙げたのは、ウオッカの名前だった。3月1日、ワイドファラオは辻野泰之厩舎へ移る。デビューの日に借りた屋根から数えて、三つ目の厩舎だった。
南へ、そして新冠へ
厩舎が替わっても、前へ行く形は変わらなかった。連覇を狙ったかしわ記念は4着。浦和のさきたま杯では好位から一度は抜け出しながら、アルクトスとエアスピネルに交わされて3着。小倉のプロキオンステークスは58kgを背負って8着、中山の京成杯オータムハンデキャップでは久々の芝に戻り、鞍上も柴田善臣に替わって9着。秋の南部杯で福永が戻って5着、武蔵野ステークスは10着、暮れの兵庫ゴールドトロフィーは4着。2021年は、勝ち鞍のないまま暮れた。 2022年3月のマーチステークスは14着、5月のかきつばた記念は6着。5月6日付でJRAの登録を抹消し、大井の森下淳平厩舎へ移籍する。転入初戦、浦和スプリントオープンでの2着が最後の見せ場だった。9月20日、地方競馬の登録も抹消。28戦4勝、獲得賞金2億415万3000円。28戦のうち16戦の手綱を取った福永祐一も、2023年2月に27年の騎手生活を終え、翌月に調教師免許を得た。 2023年から、ワイドファラオは北海道新冠町の白馬牧場で種牡馬として繋養されている。母ワイドサファイアの一族は、そのあとも走り続けた。2025年、半妹のワイドラトゥールが——母を管理したのと同じ藤原英昭厩舎から——愛知杯を勝って重賞初制覇。同じ年、半姉クェスタボルタの産駒で甥にあたるカンチェンジュンガが、セントウルステークスを制した。母がゲートにたどり着けなかった春から、16年が過ぎている。 新冠の丘に立つワイドファラオは、いまも王の名を持っている。その名を次に渡す仕事は、まだ始まったばかりだ。
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