名馬の記憶を、
再生する。

年表ICHINEN-ISSO — 2400m

BOKUJŌ-CHŌ — HOKKAIDO

牧場帖

一年ずつ、顔ぶれをたどる。引退した名馬たちの繋養・在籍と映像を綴る帳面。
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名馬録

この世代(生まれ年)

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ワイドラトゥールのイメージビジュアル
ワイドラトゥールWide Latour
Wide Latour

ワイドラトゥール

通算成績17戦4勝

獲得賞金11,485万円

生年月日 2021.05.03(令和3年)毛色 鹿毛

全成績

主要戦績(抜粋)・新しい順
ワイドラトゥールの成績一覧
年月日着順レースコース人気騎手タイム上り3F映像
15 GIヴィクトリアマイル 東京 芝1600 18人気 横山武史 1:32.0 上り33.2映像
7 GII京王杯スプリングカップ 東京 芝1400 8人気 西塚洸二 1:19.5 上り33.2映像
4 GIII愛知杯 中京 芝1400 7人気 西塚洸二 1:19.8 上り33.2映像
17 GIマイルチャンピオンS 京都 芝1600 18人気 北村友一 1:33.0 上り33.3映像
2 GIIMBS賞スワンS 京都 芝1400 12人気 北村友一 1:18.9 上り33.3映像
10 GIIICBC賞 中京 芝1200 8人気 西塚洸二 1:07.9 上り32.9映像
11 GIヴィクトリアマイル 東京 芝1600 13人気 北村友一 1:32.6 上り34.0映像
1 GIII愛知杯 中京 芝1400 10人気 北村友一 1:20.2 上り34.6映像
10 L淀短距離S 中京 芝1200 5人気 北村友一 1:09.6 上り33.6
10 GIIIターコイズS 中山 芝1600 7人気 北村友一 1:33.6 上り34.5映像
1 長岡京S 京都 芝1400 4人気 北村友一 1:20.0 上り33.8
7 アジア競馬連盟T 札幌 芝1500 1人気 北村友一 1:30.6 上り36.4
6 GI桜花賞 阪神 芝1600 16人気 北村友一 1:32.5 上り33.5映像
13 GIIチューリップ賞 阪神 芝1600 7人気 北村友一 1:34.0 上り35.8映像
1 L紅梅S 京都 芝1400 2人気 北村友一 1:23.4 上り34.5
10 GIIIKBSファンタジーS 京都 芝1400 2人気 北村友一 1:21.1 上り33.6映像
1 2歳新馬 新潟 芝1600 1人気 吉田隼人 1:35.5 上り34.5

血統

金色の名は 名馬ジャーニー に掲載 — その馬のページへ
ワイドラトゥールの血統表(左から親・祖父母・曽祖父母)
カリフォルニアクロームCalifornia ChromeLucky PulpitPulpit
Lucky Soph
Love the ChaseNot for Love
Chase It Down
ワイドサファイアアグネスタキオンAgnes TachyonサンデーサイレンスSunday Silence
アグネスフローラ
クイーンソネットノーザンテーストNorthern Taste
エイプリルソネットApril Sonnett
STORY

旅程 — この馬の物語

2021年生まれの鹿毛の牝馬。父カリフォルニアクローム、母ワイドサファイア。主な勝ち鞍は愛知杯。

塔の名を受け継ぐ牝馬 ― 名前と血

ワイドラトゥール。冠名「ワイド」は馬主・幅田昌伸のもの。「ラトゥール」はフランスの地名——ボルドー・メドックの丘に建つ格付け第一級のシャトー、シャトー・ラトゥールを想起させる名だ。塔と獅子のシンボルを持つ、古から変わらぬシャトーの誇り。 2021年5月3日、北海道新ひだか町のフジワラファームに生まれた鹿毛の牝馬。父はカリフォルニアクローム——2014年のケンタッキーダービー、プリークネスステークスで米国二冠を達成し、2016年にはドバイワールドカップを制した大種牡馬。二度のエクリプス賞年度代表馬に輝いた名馬は、2020年シーズンより北海道・アロースタッドへ渡り、種牡馬として日本の土地に初年度産駒を植え付けていた。ワイドラトゥールはその初年度産駒のひとりだった。 母ワイドサファイアは、藤原英昭厩舎が管理した牝馬。2009年のフローラステークスで2着に入ったが、次走のオークスは馬場入場後に放馬し競走除外——大舞台の直前に幕を閉じた競走馬人生だった。繁殖に上がると、父ヘニーヒューズとの間に半兄ワイドファラオを産んだ。ファラオは2019年のニュージーランドトロフィー(GII)、ユニコーンステークス(GIII)を制し、2020年のかしわ記念(JpnI)で地方の大一番も勝った。砂のJpnI馬を半兄に持ち、母が走れなかったオークスの記憶を内包し、この鹿毛の牝馬は生まれた。

吉田隼人の一戦と、北村友一の春

2023年10月15日、新潟の芝1600m。鞍上は吉田隼人。1番人気に応えてデビュー勝ちを収めた。この一戦だけ、手綱が違う。翌月のKBSファンタジーステークス(GIII)から北村友一が跨り、以来、この馬の主戦は北村に定まった。 2024年1月13日、紅梅ステークス(リステッド、京都芝1400m)。スタートでやや出遅れながら、直線で力強く差し切って初のオープン戦を制した。「桜花賞から逆算してやっていく」と藤原調教師は語り、母がかつて手が届かなかったあの桜への道を見据えた。 チューリップ賞は13着。桜花賞では16番人気の最低評価を受けながら後方から末脚を伸ばし、6着に食い込んだ。18頭立てのGIで見せた末脚の確かさは、北村の手の中に残っていた。 夏のアジア競馬連盟Tは1番人気で7着。秋の長岡京S(3勝クラス)を差し切って3勝目。年末のターコイズSは7番人気10着、年明けの淀短距離Sも5番人気10着。重賞の扉は、容易には開かなかった。

10番人気の大外一気 ― 愛知杯2025

2025年3月23日、第62回愛知杯(GIII、中京芝1400m)、良馬場。18頭のハンデ重賞で、ワイドラトゥールは10番人気だった。 「返し馬から走りたい雰囲気があった」[^1]と北村は振り返る。それでもゲート内でまっすぐに立たず、スタートは出遅れ。後方15番手の外を追走するロスの多い競馬になった。ハイペースの流れの中、4コーナー手前から北村はそっと動かし始める。「4コーナーから動かした時の反応がよくて、馬場のいいところを通りながら持続した」[^1]。大外を回って直線に向くと、12頭を差し切る豪快な末脚。1分20秒2。2着シングザットソングに1馬身半の差をつけてゴールした。 「おとなしくて、かわいい馬です。瞬発力がこの馬の良さです」[^1]。北村の言葉は短く、温かかった。そして藤原英昭調教師は「感慨深い勝利」と言った[^2]。その感慨の深さを、おそらくは一番よく知っている。管理していた母ワイドサファイアがオークスの直前に退いた日のことを。その娘が重賞の頂に立つ日を、ずっと待ち続けていたことを。 この勝利は同時に、カリフォルニアクローム産駒として日本で初めての重賞制覇でもあった。米二冠馬が日本に渡り、その初年度産駒が芝の重賞タイトルを刻んだ——偉大な父の血が、初めて日本の重賞の扉を開いた瞬間だった。

出典:東スポ競馬「【愛知杯結果&コメント】ワイドラトゥール重賞初V 北村友一『本当におとなしくてかわいい馬なので』」2025年3月23日配信、https://tospo-keiba.jp/breaking_news/56381、閲覧日:2026年6月29日。/デイリースポーツ「【愛知杯】ワイドラトゥール 鮮やか大外一気!10番人気伏兵が初タイトル 藤原師も歓喜『感慨深い勝利』」2025年3月23日配信、https://news.yahoo.co.jp/articles/dde00f22a78c8ffda27244a61c30f7848c3c4577、閲覧日:2026年6月29日。

首差と、旅の続き

春のヴィクトリアマイル(GI、東京芝1600m)は13番人気の11着。東京の長い直線は合わなかった。CBC賞(中京芝1200m)では西塚洸二に手綱が替わったが10着。 北村が戻ったのが、秋のMBS賞スワンステークス(GII、京都芝1400m)だった。12番人気——だが「レース前の雰囲気がすごく良かった。落ち着きがあった」[^1]と北村は感じていた。ロス無く中団の内を追走し、直線で脚を伸ばすと、レコード決着で外から差し切った勝ち馬オフトレイルをクビ差まで追い詰めた。2着、12番人気の激走。「京都1400メートルは条件的に一番合います」[^1]。その言葉が、この馬の居場所を言い当てている。 続くマイルチャンピオンS(GI、京都芝1600m)は18番人気の17着。2026年の愛知杯(GIII)は西塚洸二で4着——連覇には届かなかった。京王杯スプリングカップ(GII)7着、ヴィクトリアマイルは横山武史で15着。GIの壁はまだ高い。 17戦4勝。母が手を届かせなかったオークスより遠い舞台も、いつかは——と思わせる脚がある。半兄ファラオが砂で大一番を勝ったように、この鹿毛の牝馬は芝の1400mに信頼を置き、今も走り続けている。

出典:東スポ競馬「【スワンS・人気薄激走の理由】12番人気ワイドラトゥール2着 北村友一が挙げた2つのプラス要因は」2025年10月13日配信、https://tospo-keiba.jp/breaking_news/63770、閲覧日:2026年6月29日。

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