名馬の記憶を、
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年表ICHINEN-ISSO — 2400m

BOKUJŌ-CHŌ — HOKKAIDO

牧場帖

一年ずつ、顔ぶれをたどる。引退した名馬たちの繋養・在籍と映像を綴る帳面。
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ダブルハートボンドのイメージビジュアル
ダブルハートボンドW Heart Bond
W Heart Bond

ダブルハートボンド

通算成績9戦7勝

獲得賞金28,359万円

生年月日 2021.02.03(令和3年)毛色 鹿毛

全成績

主要戦績(抜粋)・新しい順
ダブルハートボンドの成績一覧
年月日着順レースコース人気騎手タイム上り3F映像
3 GIフェブラリーS 東京 ダ1600 1人気 坂井瑠星 1:35.6 上り36.0映像
1 GIチャンピオンズカップ 中京 ダ1800 3人気 坂井瑠星 1:50.2 上り37.1映像
1 GIIIみやこS 京都 ダ1800 2人気 坂井瑠星 1:47.5 上り36.2映像
2 JpnⅢブリーダーズゴールドカップ 門別 ダ2000 2人気 坂井瑠星 2:07.0 上り40.7
1 OP三宮S 阪神 ダ1800 1人気 坂井瑠星 1:50.0 上り37.6
1 舞鶴S 京都 ダ1800 1人気 坂井瑠星 1:52.2 上り36.9
1 恵那特別 中京 ダ1800 1人気 坂井瑠星 1:52.6 上り36.9
1 3歳以上1勝クラス 中京 ダ1800 1人気 坂井瑠星 1:51.2 上り36.7
1 3歳未勝利 中京 ダ1800 4人気 坂井瑠星 1:53.2 上り37.3

血統

金色の名は 名馬ジャーニー に掲載 — その馬のページへ
ダブルハートボンドの血統表(左から親・祖父母・曽祖父母)
キズナKizunaディープインパクトDeep ImpactサンデーサイレンスSunday Silence
ウインドインハーヘアWind in Her Hair
キャットクイルCatequilStorm Cat
Pacific Princess
パーシステントリーPersistentlySmoke GlackenTwo Punch
Majesty's Crown
Just RewardDeputy Minister
Heavenly Prize
STORY

旅程 — この馬の物語

2021年生まれの鹿毛の牝馬。父キズナ、母パーシステントリー。主な勝ち鞍はチャンピオンズC・みやこS。

二つの絆 ― 名前と血

ダブルハートボンド。W=ダブルは「二つ」、ハートボンドは「愛情をつなぐ」。二重の絆を意味するその名は、父の名から連想された。父はキズナ――絆。ディープインパクトの血を引くこの父が名に負う「つながり」を、娘はもう一度、二つ重ねて背負った。 2021年2月3日生まれの鹿毛の牝馬。シルクレーシングが「パーシステントリーの21」として世に送り出した一頭で、勝負服は澄んだ水色。母パーシステントリーは米国の名門フィップス牧場が育てた牝馬で、2010年、サラトガのパーソナルエンザインステークス(米GI)を人気薄で制している。負かした相手は、前年の年度代表馬レイチェルアレクサンドラ。粘って粘って女傑を差し切ったその一戦こそ、「粘り強く(persistently)」という母の名を、そのまま体現したレースだった。母系をさらに遡れば、米国の女王ヘヴンリープライズに行き着く。海を渡ってきた勝ち気な血が、キズナの絆と結ばれた。 そして、その手綱を握ったのが坂井瑠星。ここから先、ダブルハートボンドが走った九つのレースは、ただの一度も鞍上が替わらない。人と馬の、文字どおりの二人三脚が始まる。

五連勝 ― 二人三脚の積み上げ

2024年8月、中京。三歳未勝利戦、単勝人気は四番手。坂井瑠星を背にしたダブルハートボンドは、ここをきっちり勝ち上がってキャリアの扉を開けた。この四番人気が、のちに振り返れば、九戦を通じて最も低い評価になる。 続く一勝クラスも、明けて恵那特別も、舞鶴ステークスも、オープンの三宮ステークスも――舞台はいつも中京か京都か阪神のダート1800m、鞍上はいつも坂井、そして単勝はいつも一番人気。危なげなく突き抜けて、デビューから五連勝を積み上げた。坂井はこの馬に跨るとき、常にこの馬自身のリズムを最優先に運んだ。相棒の呼吸に折り合いを合わせ、勝負どころで無理をさせない。派手さより信頼で積み上げる勝ち方だった。 初めて土がついたのは、2025年夏。門別まで遠征したブリーダーズゴールドカップ(JpnⅢ)で、ダート2000mを走り、二着に敗れた。連勝は五で止まった。だが、この一敗は終わりではなく、次の段へ上がるための踊り場でしかなかった。

重賞初制覇 ― 不良馬場のみやこステークス

2025年11月、京都。みやこステークス(GⅢ)の馬場は、雨で不良まで悪化していた。二番人気に支持されたダブルハートボンドは、いつものように好位で流れに乗ると、最後の直線をもう先頭で迎える。追いすがるサイモンザナドゥをクビだけ抑え、1分47秒5で押し切った。重賞のタイトルを、初めてその名に刻む。 坂井は、この日の馬場ならレコードも出ると踏んでいたと振り返り、手綱ごしに伝わる手応えの強さに、確かな成長を感じ取っていた。未勝利から一歩ずつ積み上げてきた二人三脚が、ようやく重賞という景色にたどり着いた一戦だった。

火の出る叩き合い ― チャンピオンズカップ

2025年12月7日、中京。ダート1800mのGI、チャンピオンズカップ。三番人気のダブルハートボンドは、好位から満を持して直線で先頭に立った。並びかけてきたのはウィルソンテソーロ。二頭は火の出るような叩き合いに入り、どちらの首が前か肉眼では判じがたいまま、ゴール板を駆け抜けた。差はハナ――ダブルハートボンドが凌ぎ切っていた。1分50秒2、GI初制覇。牝馬によるこのレースの制覇は、2015年のサンビスタ以来、十年ぶり二頭目の快挙だった。 鞍上の坂井瑠星にとっては、格別の三連覇でもあった。前年までレモンポップで二連覇していたこのGIを、相棒を替えて三年続けて制した騎手は、史上初めて。しかも、はねのけたウィルソンテソーロは、前年もハナ差で下していた相手だった。二年続けて、同じ首の差で。勝利の直後、坂井は余韻に浸るどころか、もう前だけを見ていた。「4連覇、5連覇したいなと思います」[^1]。四番人気で勝ち上がったあの未勝利馬は、一年半足らずで、ダートの頂点を決める舞台の主役になっていた。

出典:東京スポーツ「【チャンピオンズカップ結果&コメント】坂井瑠星がダブルハートボンドで3連覇『4連覇、5連覇したい』」2025年12月7日配信、https://tospo-keiba.jp/breaking_news/66012、閲覧日:2026年7月16日。

食らいつく ― 名の通りに

2026年2月、東京。フェブラリーステークス(GI)は、一番人気で迎えた。ダートの頂点に立った牝馬が、いよいよ王道のマイルGIで戴冠するかに見えた。だが、初めて経験する芝スタートで進みが悪く、道中の折り合いにも少し戸惑いが出る。勝ち馬コスタノヴァの連覇を許し、結果は三着。中央のレースで、初めて先着を許した一戦だった。 それでも、突き放されはしなかった。ゴール前の叩き合いに最後まで食らいつき、坂井は改めてこの馬の力を感じ取ったと語った。母の名は「粘り強く」。人気を背負って苦しくなってなお、勝ち馬の背中を離さず食い下がる走りは、海を渡ってきた母の血そのものだった。 レースを終えて、ダブルハートボンドは牧場へ引き上げた。九戦七勝、ダートGIの栄冠を携えて。物語はまだ途中である。次に同じ水色の勝負服が返し馬に姿を現すとき、その背にいるのはきっと、これまで通り坂井瑠星だろう。二人三脚は、まだ続いている。

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