名馬の記憶を、
再生する。

年表ICHINEN-ISSO — 2400m

BOKUJŌ-CHŌ — HOKKAIDO

牧場帖

一年ずつ、顔ぶれをたどる。引退した名馬たちの繋養・在籍と映像を綴る帳面。
HORSES

名馬録

この世代(生まれ年)

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フェアエールングのイメージビジュアル
フェアエールングVerehrung
Verehrung

フェアエールング

通算成績21戦5勝

獲得賞金13,584万円

生年月日 2020.03.18(令和2年)毛色 芦毛

全成績

主要戦績(抜粋)・新しい順
フェアエールングの成績一覧
年月日着順レースコース人気騎手タイム上り3F映像
9 GIエリザベス女王杯 京都 芝2200 14人気 丹内祐次 2:12.0 上り35.2映像
4 GII産経賞オールカマー 中山 芝2200 8人気 津村明秀 2:10.7 上り35.0映像
3 GIIIクイーンS 札幌 芝1800 4人気 丹内祐次 1:46.1 上り35.5映像
2 GIII福島牝馬S 福島 芝1800 6人気 丸山元気 1:46.6 上り34.6映像
1 GIII小倉牝馬S 小倉 芝2000 7人気 丹内祐次 1:58.4 上り35.6映像
2 GIII福島記念 福島 芝2000 6人気 丹内祐次 2:00.9 上り36.8映像
1 STV賞 札幌 芝2000 7人気 丹内祐次 2:00.6 上り34.3
10 五稜郭S 函館 芝1800 7人気 角田大河 1:50.4 上り37.3
8 関門橋S 小倉 芝2000 8人気 幸英明 2:02.7 上り36.2
6 初音S 東京 芝1800 8人気 津村明秀 1:46.8 上り33.8
6 初富士S 中山 芝2000 5人気 津村明秀 1:59.8 上り35.5
8 L新潟牝馬S 新潟 芝2200 3人気 丹内祐次 2:15.5 上り35.8
1 釧路湿原特別 札幌 芝2000 1人気 丹内祐次 2:02.5 上り36.4
1 利尻特別 札幌 芝2000 2人気 丹内祐次 2:01.9 上り35.5
2 3歳以上1勝クラス 札幌 芝2000 3人気 丹内祐次 1:59.8 上り34.3
7 ミモザ賞 中山 芝2000 9人気 柴田大知 2:08.2 上り40.9
6 水仙賞 中山 芝2200 6人気 柴田大知 2:15.4 上り35.7
7 セントポーリア賞 東京 芝1800 8人気 柴田大知 1:48.7 上り34.4
6 OP芙蓉S 中山 芝2000 6人気 丹内祐次 2:05.2 上り35.1
13 GIII札幌2歳S 札幌 芝1800 5人気 丹内祐次 1:52.0 上り38.3映像
1 2歳新馬 福島 芝1800 3人気 柴田大知 1:52.5 上り34.6

血統

金色の名は 名馬ジャーニー に掲載 — その馬のページへ
フェアエールングの血統表(左から親・祖父母・曽祖父母)
ゴールドシップGold ShipステイゴールドStay GoldサンデーサイレンスSunday Silence
ゴールデンサッシュ
ポイントフラッグメジロマックイーンMejiro McQueen
パストラリズム
マイネポリーヌスペシャルウィークSpecial WeekサンデーサイレンスSunday Silence
キャンペンガール
マイネミレーマルゼンスキーMaruzensky
オカノブルー
STORY

旅程 — この馬の物語

2020年生まれの芦毛の牝馬。父ゴールドシップ、母マイネポリーヌ。主な勝ち鞍は小倉牝馬S。

尊敬という名を負って

2020年3月18日、北海道のビッグレッドファームで、一頭の芦毛の牝馬が生まれた。父はゴールドシップ、母はマイネポリーヌ。芦毛は父ゆずりである。馬主はサラブレッドクラブ・ラフィアン。与えられた名はフェアエールング――ドイツ語で「尊敬」を意味する。 母マイネポリーヌが伝えるのは、長く堅実に走り続けるマイネの血だ。半兄マイネルバルビゾンは、2025年の初めには国内最高齢の現役競走馬に数えられたほど、ターフに立ち続けた。母系の一族には、シリウスステークスを勝ったマイネルブライアン、京成杯のマイネルビンテージらの名がある。派手さより粘り強さ。その血が、この芦毛にも流れていた。 2022年7月16日、福島の新馬戦。鞍上は柴田大知。先手を取ると、そのまま後続を突き放して逃げ切った。3番人気での順当な勝ち上がりだった。だが続く札幌2歳ステークスは13着に沈む。ここから手綱を託されたのが、函館生まれの丹内祐次。マイネル・コスモ軍団の馬に主戦級で乗り続けてきた騎手である。尊敬という名の牝馬と、北の騎手の、長い道行きが始まった。

北の夏が、答えだった

3歳を迎えた2023年、冬から春にかけての東京・中山では、掲示板に手が届かない競馬が続いた。素質は認められても、勝ち切れない。答えは、夏の北海道にあった。 札幌に戻った7月、1勝クラスで2着に好走すると、続く利尻特別と釧路湿原特別を、丹内とのコンビで連勝する。釧路湿原特別では1番人気に応えた。時計のかかる洋芝、力の要る馬場――父ゴールドシップが得意とした舞台こそ、この馬の居場所だった。夏の北で、フェアエールングは自分の走り方を掴んだ。

福島の直線、五十二キロ

2024年、4歳。年明けはまた長いトンネルだった。初富士ステークス、初音ステークス、関門橋ステークス、五稜郭ステークス――どれも上位には届かない。それでも夏の札幌に戻れば、STV賞を7番人気で勝ち切ってみせる。北へ帰るたび、この馬は蘇った。 そして秋、福島記念。牝馬に与えられた52キロの軽ハンデを味方に、直線で鋭く伸びた。勝ったアラタから1馬身差の2着。牡馬混じりのハンデ重賞で示したこの脚は、重賞の舞台でも通用するという確かな証明だった。頂は、もう遠くない位置に見えていた。

二頭で、ひとつの栄冠

2025年1月25日、小倉。この年から新設された小倉牝馬ステークス(GIII)の、記念すべき第1回。長く愛知杯として親しまれた牝馬重賞が、舞台を小倉へ移して生まれ変わった、その最初の栄冠が懸かっていた。7番人気。 中団の外を進み、直線は大外から伸びる。内をこじ開けて抜け出してきたのは、杉原誠人のシンティレーション。二頭は体を並べたまま、もつれるようにゴール板を駆け抜けた。写真判定。どれだけ引き伸ばしても、二頭を分ける隙間はなかった。同着である。 デビューから数えて17戦目、丹内と歩んで足かけ4年目の重賞初制覇は、勝利をもう一頭と分け合う、稀な形で訪れた。誰かを退けての戴冠ではなく、二頭がそろって頂に立つ。忍耐の果ての初タイトルは、尊敬という名の牝馬にふさわしい、静かな祝福に満ちていた。

完成の域、そして牧場へ

重賞馬になってからのフェアエールングは、いよいよ堅実だった。福島牝馬ステークス2着、夏の札幌クイーンステークス3着、秋のオールカマーでは牡馬相手のGIIで4着と見せ場を作る。そして11月、初めてのGI――エリザベス女王杯へ駒を進めた。 和田正一郎調教師は、レースを前にこう語っている。「心身ともに成長して、完成の域に入ったと思っています」[^1]。勝ち切れない時期を長く抜けてきた芦毛が、5歳にしてようやく辿り着いた完成だった。14番人気で臨んだ京都の芝2200mは9着。頂そのものには届かなかったが、彼女はGIの舞台に立っていた。 それが、最後の一戦になった。11月に引退が発表され、12月に競走馬登録を抹消。生まれ故郷のビッグレッドファームへ帰り、繁殖牝馬としての第二の生を始める。長く現役を続けた半兄バルビゾンの血を、今度は母として次代へ渡していく。4シーズンを走り抜き、北の夏には幾度も輝いた芦毛は、その名の通りの静かな尊敬とともに、生まれ故郷の牧場へ帰っていった。

出典:デイリースポーツ「【エリザベス女王杯】フェアエールング 目を引く動きの良さ G1初挑戦初タイトルへ和田郎師「完成の域」」2025年11月13日配信、https://www.daily.co.jp/umaya/news/2025/11/13/0019698457.shtml、閲覧日:2026年7月17日。

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