名馬の記憶を、
再生する。

年表ICHINEN-ISSO — 2400m

BOKUJŌ-CHŌ — HOKKAIDO

牧場帖

一年ずつ、顔ぶれをたどる。引退した名馬たちの繋養・在籍と映像を綴る帳面。
HORSES

名馬録

この世代(生まれ年)

スライダーを動かすと、その世代に生まれた馬を獲得賞金の多い順で表示します。

名馬録
◀ 名馬録へ
アンライバルドのイメージビジュアル
アンライバルドUnrivaled
Unrivaled

アンライバルド

通算成績10戦4勝

獲得賞金23,247万円

生年月日 2006.04.13(平成18年)毛色 鹿毛

全成績

主要戦績(抜粋)・新しい順
アンライバルドの成績一覧
年月日着順レースコース人気騎手タイム上り3F映像
5 GII金鯱賞 京都 芝2000 9人気 N.ピンナ 2:03.6 上り37.3映像
15 GI有馬記念 中山 芝2500 8人気 M.デムーロ 2:36.8 上り42.4映像
15 GI菊花賞 京都 芝3000 3人気 岩田康誠 3:06.2 上り37.9映像
4 GII神戸新聞杯 阪神 芝2400 1人気 岩田康誠 2:24.9 上り34.6
12 GI東京優駿 東京 芝2400 1人気 岩田康誠 2:36.0 上り40.4映像
1 GI皐月賞 中山 芝2000 3人気 岩田康誠 1:58.7 上り34.6映像
1 GIIフジTVスプリングS 中山 芝1800 1人気 岩田康誠 1:50.8 上り34.5
1 OP若駒S 京都 芝2000 1人気 岩田康誠 2:02.2 上り34.9
3 OP京都2歳S 京都 芝2000 1人気 川田将雅 2:02.4 上り35.0
1 2歳新馬 京都 芝1800 3人気 岩田康誠 1:51.7 上り33.8

血統

金色の名は 名馬ジャーニー に掲載 — その馬のページへ
アンライバルドの血統表(左から親・祖父母・曽祖父母)
ネオユニヴァースNeo UniverseサンデーサイレンスSunday SilenceHalo
Wishing Well
ポインテッドパスPointed PathKris
Silken Way
バレークイーンBallet QueenSadler's WellsNorthern Dancer
Fairy Bridge
Sun PrincessイングリッシュプリンスEnglish Prince
Sunny Valley
STORY

旅程 — この馬の物語

2006年生まれの鹿毛の牡馬。父ネオユニヴァース、母バレークイーン。主な勝ち鞍は皐月賞・フジTVスプリングS。

無比、という名 ― バレークイーンの十三番仔

アイルランドで1988年に生まれたその牝馬は、一度も競馬場を走っていない。父はSadler's Wells、母Sun Princessはオークス・ヨークシャーオークス・セントレジャーを制した名牝。走る前に繁殖入りしたバレークイーンは、カーリアンの仔を宿したまま1992年に日本へ渡った。翌年に産んだ初仔が、1996年の日本ダービーを勝つフサイチコンコルドである。以後も母は日本の一流種牡馬と配され続け、二番仔グレースアドマイヤの仔からは菊花賞2着のリンカーンが出た。 ただ、この一族には共通の癖があると言われてきた。馬体は上等なのに、心がもろい。素質を出しきれないまま去った仔が何頭もいた。母自身にも事情があった。蹄が弱く、放牧地をあまり歩かない。母について歩くはずの仔まで運動が足りず、体だけが重くなる。ノーザンファームはわざわざアメリカから装蹄師を招き、削蹄をやり直させた。母が普通に歩き出したのは、そのあとのことである。 2005年、バレークイーンは初めてネオユニヴァースと配された。2006年4月13日、北海道安平町に生まれた十三番仔の鹿毛には、「匹敵するもののない」を意味する名が与えられる。アンライバルド。サンデーサラブレッドクラブでの募集価格は、当初予定の4800万円から6000万円へ引き上げられた。バレークイーンの仔としてはコンコルド以来の傑作――牧場の評価は、それほど高い。 もっとも当の本馬は、名前ほど堂々とはしていなかった。気性は難しく、育成のスタッフが跨るのを嫌がるほどで、毎日通るはずの出入り口でさえ前へ進みたがらない。無比の名を背負わされた、ひどく怖がりな仔馬だった。

伝説と呼ばれる新馬戦

栗東の友道康夫厩舎に、この馬は一歳上の兄アンダルーサとともに預けられた。友道にとって、バレークイーンは初対面の血ではない。松田国英厩舎の調教助手だった時代、彼はこの母の六番仔ボーンキング、七番仔ピタゴラス、八番仔ボレロの背に跨っている。手綱越しに知っている一族の、十三番目が回ってきた。2002年11月の開業から六年、この厩舎はまだクラシックを勝っていない。 2008年10月26日、京都・芝1800mの新馬戦。岩田康誠を背に3番人気で発走し、四番手から直線で抜け出した。2着リーチザクラウン、3着ブエナビスタ、4着スリーロールス。翌年のダービー2着馬と、桜花賞・オークスを制する名牝と、菊花賞馬が、揃って後ろにいた。のちにこの一戦は「伝説の新馬戦」と呼ばれるようになる。 一か月後の京都2歳ステークスは、岩田が落馬負傷したため川田将雅に手綱が渡り、1番人気で3着。年が明けた1月の若駒ステークスでは、後続に三馬身半の差をつけて二勝目を挙げた。

父と同じ順路 ― スプリングステークス

2009年3月22日、中山のスプリングステークス。単勝2.3倍の1番人気に応え、中団から、先に抜け出していたレッドスパーダを直線で捉えて半馬身差。重賞初制覇だった。 六年前、同じレースを勝っていたのが父ネオユニヴァースである。父はその年、続く皐月賞も勝った。息子は父の順路を、そのままなぞり始めていた。

三強の午後 ― 皐月賞

4月19日、中山。前評判は「三強」だった。弥生賞を勝って無敗のロジユニヴァースが単勝1.7倍、きさらぎ賞を制したリーチザクラウンが5.3倍、アンライバルドは6.1倍の3番人気。 枠は8枠16番、大外である。前半1000m59秒1のハイペースで流れるなか、二頭の強敵を前に見る中団の外を進んだ。最終コーナー、岩田は外を回してまくりにかかる。直線に入ってまもなく先頭を奪うと、あとは差が広がる一方だった。追い込んできたトライアンフマーチとセイウンワンダーに1馬身半。1分58秒7。前で流れに乗った二頭は失速し、リーチザクラウンが13着、ロジユニヴァースが14着に沈んだ。 岩田康誠にとっても友道康夫にとっても、皐月賞は初めてだった。厩舎に初めてのクラシックが入る。父ネオユニヴァースには産駒初のGI級勝利であり、父仔での皐月賞制覇は史上6組目。さらに二年前、この中山の2000mを勝っていたのは、半姉グレースアドマイヤの仔ヴィクトリー――血縁でいえば甥にあたる馬だった。バレークイーンの一族は、同じ舞台に二度目の名を刻んだことになる。 友道は鞍上を、こう言って送り出したと明かしている。「自信を持って乗って来い」[^1] その自信は、まっすぐ結果になった。このときは。

出典:スポーツナビ「アンライバルド『1強』宣言の豪脚! ロジ、リーチは大敗=皐月賞」2009年4月19日配信、https://sports.yahoo.co.jp/column/detail/200904190015-spnavi 、閲覧日:2026年8月1日。

四十年ぶりの泥

5月31日、東京優駿。単勝2.1倍の1番人気。二冠は目の前にあった。 朝からやや重で推移していた馬場は、昼過ぎのゲリラ豪雨で一気に崩れる。ダービーが不良馬場で行われるのは、ダイシンボルガードが勝った1969年以来、四十年ぶりのことだった。 逃げると見られていたリーチザクラウンの前にジョーカプチーノが出て、泥のなかを1000m59秒9で飛ばす。2番手にリーチザクラウン、それをマークしてロジユニヴァース。アンライバルドは後方に待機し、直線に賭けた。4コーナー手前でジョーカプチーノが失速し、リーチザクラウンが先頭で直線に入る。半ばで内ラチ沿いからロジユニヴァースが交わすと、そのまま4馬身の差をつけて突き抜けた。横山典弘の、悲願のダービー初制覇である。 アンライバルドの脚は、最後まで動かなかった。上がり40秒4、12着。岩田も友道も、敗因を馬場に求めた。能力で負けたのではない――そう言うしかない負け方だった。友道はこの日、悔しさから酒に頼ったという。

躓いた秋、傷んだ腱

夏を越えて9月の神戸新聞杯。1番人気に推されたが道中で折り合いを欠き、直線は伸びずに4着。菊花賞は3番人気で、スタート直後に躓いた。淀の3000mは、そこから盛り返せる舞台ではない。15着。勝ったのはスリーロールス――一年前の新馬戦で、四着に置き去りにした相手だった。 暮れの有馬記念は、当初クリストフ・スミヨンで臨む予定が、騎乗停止により急遽ミルコ・デムーロに替わった。8番人気、最下位の15着。レースのあと、左前脚に浅屈腱炎が見つかる。社台ホースクリニックで幹細胞移植の手術を受け、ターフから姿を消した。皐月賞のあと、この馬は二度と一着でゴールしていない。 翌2010年6月2日、母バレークイーンが二十二歳で世を去る。十三番仔が戻ってくるのを、母は見ていない。

一年五か月ののち

戦線離脱から一年五か月。2011年5月28日、金鯱賞に姿を現した。中京競馬場が全面改修中で、この年の金鯱賞は京都で行われている。鞍上はピンナ。9番人気、馬場はまた不良だった。 勝ったのはルーラーシップ。アンライバルドは5着に入っている。二年ぶりの実戦を486キロというキャリア最高の馬体重で走り、勝ち馬から1秒2差。次があると思える内容だった。 だが秋のオールカマーを目標にノーザンファームしがらきで乗り込んでいた最中、左前脚の屈腱炎が再発する。8月18日、競走馬登録が抹消された。10戦4勝。三歳四月の中山が、生涯最後の勝利になった。

日高の朝と、三つのダービー

北海道日高町のブリーダーズ・スタリオン・ステーションで種牡馬になった。2015年に初年度産駒がデビューし、6月の新馬戦をトウショウドラフタが勝つ。その馬は翌年のファルコンステークスを制して産駒の重賞初勝利をもたらし、同じ年にはバルダッサーレが大井の東京ダービーを勝った。2018年に浦河のイーストスタッドへ移り、2020年にまた日高へ戻る。 2025年5月9日。手入れのため洗い場へ移動する途中で脚を滑らせ、転倒した。右後脚の骨折。予後不良と診断され、安楽死の措置が取られた。十九歳。寿命ではなかった。 訃報を受けた友道康夫は、十六年前の春をまっすぐ振り返っている。伝説の新馬戦から始まり、厩舎に初めてのクラシックをもたらし、そして1番人気でダービーに敗れた馬。「この経験があったからこそ、ダービー3勝を勝つことができたと思っています」[^1] 2016年のマカヒキ、2018年のワグネリアン、2022年のドウデュース。泥の府中で砕けたあの日から、この調教師は三度、東京2400mの頂に立った。アンライバルドが届かなかった一冠は、同じ人の手で、別の馬たちが取り返したことになる。 蹄の弱い母のために、海を越えて装蹄師が呼ばれた。その直後に生まれた、出入り口ひとつ怖がる仔が、無比という名を貰った。名は大きすぎたかもしれない。それでも2009年4月19日、中山の直線で大外から先頭を奪ったあの一瞬に、名前はきちんと追いついていた。

出典:中日スポーツ「アンライバルドが死ぬ…繫養先牧場で転倒し骨折、安楽死処分 08年伝説の新馬戦、09年皐月賞V」2025年5月10日配信、https://www.chunichi.co.jp/article/1065013 、閲覧日:2026年8月1日。

ABOUT

このサイトについて

名馬ジャーニーとは

名馬ジャーニーは、競馬の名レースと、引退した馬たちのその後を記録する、個人運営のアーカイブサイトです。数分のレースだけでなく、馬がターフを去ってからの時間まで辿れることを大切にしています。JRAなどの競馬主催者・関連団体とは関係のない、一人の競馬好きが続けている場所です。

情報について

本サイトの競走馬プロフィールやレース記録は、報道記事やWikipediaなど、一般に公開されている情報をもとに、当サイトの言葉で整理・編集しています。各馬の歩みをたどる読み物には、参考にした記事の出典を末尾に記載し、引用は必要な範囲にとどめています。

競走成績などのデータは、Wikipediaを主として一般に公開されている情報を参考に、当サイトが独自に整理・編集したものです。JRAの公式サイトやJRA-VAN、netkeibaといった競馬情報サービスのデータベースを転載・複製したものではありません。個人が公開情報をもとにまとめたものであり、内容の正確性を保証するものではありません。

文章の制作には生成AIを活用し、運営者が確認のうえ公開しています。ただし個人による運営で、一部は自動的に更新されるため、誤りや古くなった情報が含まれている場合があります。誤りにお気づきの際は、お知らせいただけると幸いです。馬券の購入その他の判断は、JRA・各主催者の公式発表にもとづき、ご自身の責任で行ってください。

画像について

本サイトに掲載している競走馬のイラストなどの画像は、AIで生成したオリジナルのものです。実在する写真を複製・加工したものではありません。競走馬の毛色や特徴を完全に再現できるものではない点は、あらかじめご了承ください。なお、映像のサムネイルは、YouTube上の各動画のサムネイル画像を表示しています。

映像について

本サイトのレース映像は、競馬主催者などの公式チャンネルが公開し、埋め込みを許可している動画だけを、YouTubeの標準的な埋め込み機能でご紹介しています。権利者に無断で転載された映像は扱いません。牧場の映像も同じ仕組みで、牧場や、牧場を訪ねた方々が自身のチャンネルで公開している動画をご紹介しています。

動画は埋め込み先でもYouTube上で再生され、再生数・広告収益はすべて各チャンネルに帰属します。あわせて各チャンネルの登録ボタンを設け、ご覧になった方が配信元のチャンネルへ辿り着けるようにしています。本サイトが動画ファイルを保存・配信することはありません。

名レースの記憶を残し、馬たちの引退後まで辿るこのサイトが、その映像を遺してくださった各チャンネルと、新しい競馬ファンとの出会いに少しでも役立てば幸いです。

広告について

本サイトは、運営を続けるための費用にあてるため、競走馬プロフィールや成績表など、当サイトが制作したコンテンツが主体のページに広告を掲載することがあります。動画の視聴が主となる場面には広告を置きません。アフィリエイトリンクなどを掲載する場合は、広告であることがわかる表示を行います。

アクセス解析について

本サイトは、閲覧状況の把握と改善のため、Googleアナリティクスを利用しています。GoogleアナリティクスはCookieを用いてアクセス情報を収集しますが、個人を特定する情報は含まれません。仕組みの詳細はGoogleのポリシーと規約をご確認ください。Cookieは、お使いのブラウザの設定で無効にすることもできます。

免責事項

掲載内容には正確を期していますが、その正確性・完全性を保証するものではありません。本サイトの利用、およびリンク先の外部サイトの利用によって生じた損害について、運営者は責任を負いかねますので、あらかじめご了承ください。

お問い合わせ・権利者の方へ

掲載内容についてのお問い合わせ、誤りのご指摘、掲載をご希望されない場合の削除・修正のご依頼を承ります。権利者やご関係者の方からのお申し出には、内容を確認のうえ、速やかに対応いたします。お問い合わせ先は、準備が整い次第このページに掲載いたします。映像については、各チャンネル側の設定でも表示を停止いただけます。

DREAM

ドリームレース

歴代名馬のオールスターを、選んだ舞台で走らせる夢想レース