名馬の記憶を、
再生する。

年表ICHINEN-ISSO — 2400m

BOKUJŌ-CHŌ — HOKKAIDO

牧場帖

一年ずつ、顔ぶれをたどる。引退した名馬たちの繋養・在籍と映像を綴る帳面。
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名馬録

この世代(生まれ年)

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アンクルブラックのイメージビジュアル
アンクルブラックUncle Black
Uncle Black

アンクルブラック

通算成績19戦5勝

獲得賞金1300万円

生年月日 2020.04.28(令和2年)毛色 黒鹿毛

全成績

主要戦績(抜粋)・新しい順
アンクルブラックの成績一覧
年月日着順レースコース人気騎手タイム上り3F映像
1 JGⅡ京都ハイジャンプ 京都 障3930 1人気 高田潤 4:36.0 上り14.0映像
1 障害4歳以上OP 小倉 障3390 1人気 高田潤 3:48.3 上り13.5
1 障害4歳以上OP 小倉 障3390 2人気 高田潤 3:45.1 上り13.3
3 障害3歳以上OP 京都 障3170 2人気 高田潤 3:35.9 上り13.6
3 OP秋陽ジャンプS 東京 障3110 5人気 高田潤 3:32.8 上り13.7
1 障害3歳以上未勝利 東京 障3000 1人気 高田潤 3:23.9 上り13.6
2 障害4歳以上未勝利 新潟 障2890 6人気 高田潤 3:09.4 上り13.1
8 障害4歳以上未勝利 福島 障2750 8人気 高田潤 3:03.6 上り13.4
13 3歳以上1勝クラス 中京 ダ1900 10人気 高田潤 2:02.9 上り40.2
8 3歳以上1勝クラス 東京 ダ2100 10人気 荻野極 2:14.4 上り38.4
6 3歳以上1勝クラス 京都 ダ1800 4人気 角田大河 1:54.8 上り37.9
11 3歳以上1勝クラス 中京 ダ1800 4人気 坂井瑠星 1:55.2 上り40.0
1 3歳未勝利 阪神 ダ1800 1人気 C.ルメール 1:53.0 上り37.3
2 3歳未勝利 阪神 ダ1800 6人気 福永祐一 1:54.3 上り37.6
5 3歳未勝利 中京 ダ1800 2人気 今村聖奈 1:56.4 上り39.1
3 3歳未勝利 中京 ダ1800 5人気 今村聖奈 1:56.1 上り37.7
6 2歳未勝利 阪神 ダ1800 5人気 今村聖奈 1:53.8 上り39.6
4 2歳未勝利 中京 ダ1800 7人気 今村聖奈 1:54.2 上り38.1
8 2歳新馬 小倉 芝1800 9人気 坂井瑠星 1:52.3 上り36.4

血統

金色の名は 名馬ジャーニー に掲載 — その馬のページへ
アンクルブラックの血統表(左から親・祖父母・曽祖父母)
キタサンブラックKitasan BlackブラックタイドサンデーサイレンスSunday Silence
ウインドインハーヘアWind in Her Hair
シュガーハートサクラバクシンオーSakura Bakushin O
オトメゴコロ
ウインクルキラリダンスインザダークDance in the DarkサンデーサイレンスSunday Silence
ダンシングキイ
ウインクルグラスグラスワンダーGrass Wonder
ポーサーPother
STORY

旅程 — この馬の物語

2020年生まれの黒鹿毛の牡馬。父キタサンブラック、母ウインクルキラリ。

アンクルの黒鹿毛 ― 冠名と父の名

2020年4月28日、北海道日高町・竹島幸治の牧場に、黒鹿毛の牡馬が生まれた。父はキタサンブラック――北島三郎の勝負服を背に武豊が駆り、天皇賞・ジャパンカップ・有馬記念を制して二度の年度代表馬に輝いた、あの大歓声の主である。その血を継いだ産駒の一頭が、この馬だった。 馬名は、馬主・塚本能交の冠名「アンクル」に、父の名から「ブラック」を重ねたもの。血の格に申し分はない。ただ母ウインクルキラリは大きな戦績を残した牝馬ではなく、期待の多くは父の名の重さに寄りかかっていた。 2022年9月4日、小倉の芝1800メートル。坂井瑠星を背に9番人気で送り出された父の息子は、8着。父が沸かせた芝の大舞台は、まだはるか遠くにあった。

名手たちの手を借りても ― 平地の壁

二歳の秋から三歳にかけて、鞍上には名の通った騎手が次々と座った。今村聖奈、福永祐一、そしてルメール。父の名を背負う馬に、厩舎は手を尽くした。 初めての勝利は2023年3月19日、阪神のダート1800メートル。ルメールを背に1番人気に応え、未勝利を抜け出す。芝で始まった馬は、ダートに活路を求めていた。 だが1勝クラスの壁は厚かった。夏の中京で11着、秋は京都で6着・東京で8着、暮れの中京では二桁の13着。名手が入れ替わり跨っても、平地で父のような走りは最後まで見えてこなかった。そしてその最後の平地戦、初めてこの馬の手綱を取った男の名を、高田潤といった。

障害へ ― 高田潤という水先案内

高田潤。障害に跨って四半世紀、中山大障害を制し、JRAの障害重賞が行われる六つの競馬場すべてで勝利をあげた、稀代の障害巧者である。飛越の技を、生涯の仕事に選んだ男だった。 2024年春、アンクルブラックは矛先を障害へ変えた。4月7日、福島。初めての飛越は8番人気の8着と、ぎこちない船出だった。だが5月の新潟で2着に伸び、6月8日、東京の障害3000メートルで、初めて先頭でゴールを切る。平地で一度きりだった白星が、障害で二つ目の勝利になった。 芝で始まりダートをさまよった父の息子は、障害という三つ目の道で、ようやく水に合った。高田は鞍上で、この馬が一戦ごとに変わっていくのを感じ取っていた。

冬の小倉、二つ ― 積み上げる連勝

秋、オープンでも足踏みはあった。11月の東京・秋陽ジャンプステークスは3着、12月の京都も3着。掲示板には載るが、あと一歩が遠い。 年が明けて、歯車が噛み合う。2025年1月25日、小倉の障害オープンを制すると、2月22日には61キロの酷量を背負って完勝した。連勝である。手綱はずっと高田だった。飛越を一つ跳ぶごとに馬体が張り、走りが変わっていく。「走るたびに強くなっている」――高田はこの馬の成長力をそう語った[^1]。背が高くスラリとしたキタサンブラック産駒は、まだ伸びしろを残したまま、初めての重賞へと駒を進めた。

出典:競馬ラボ「【京都ハイジャンプ】走るたびに成長を見せるアンクルブラックが重賞へ初挑戦!」2025年5月配信、https://www.keibalab.jp/topics/45195/、閲覧日:2026年7月17日。

京都ハイジャンプ ― 七馬身の還元

2025年5月17日、京都競馬場。障害3930メートル、J・GII京都ハイジャンプ。三段跳びを備えた難コースに、重賞初挑戦のアンクルブラックが1番人気で臨んだ。降り続いた雨で、馬場は不良。 中団で折り合い、飛越を一つずつ確実に刻む。直線を向いて先頭に立つと、あとはもう独り舞台だった。二番人気レッドバロッサを七馬身突き放し、4分36秒0でゴール板を駆け抜ける。三連勝で掴んだ、重賞初制覇だった。 芝でつまずき、ダートをさまよい、障害でようやく道を見つけた父の息子。平地では未勝利を一つ勝ち上がるのが精一杯だった黒鹿毛が、飛越の舞台では、誰の前も塞がぬ完璧な形で重賞を制した。父キタサンブラックが芝の大観衆を沸かせたように、この馬は障害という自分の場所で、名を刻んだ。 高田を背に積み上げた、五つの勝ち鞍。中央の現役馬として、次の一戦を静かに待っている。

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