名馬の記憶を、
再生する。

年表ICHINEN-ISSO — 2400m

BOKUJŌ-CHŌ — HOKKAIDO

牧場帖

一年ずつ、顔ぶれをたどる。引退した名馬たちの繋養・在籍と映像を綴る帳面。
HORSES

名馬録

この世代(生まれ年)

スライダーを動かすと、その世代に生まれた馬を獲得賞金の多い順で表示します。

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トウシンマカオのイメージビジュアル
トウシンマカオToshin Macau
Toshin Macau

トウシンマカオ

通算成績26戦8勝

獲得賞金46,264万円

生年月日 2019.05.01(令和元年)毛色 栗毛

全成績

主要戦績(抜粋)・新しい順
トウシンマカオの成績一覧
年月日着順レースコース人気騎手タイム上り3F映像
11 GIマイルチャンピオンS 京都 芝1600 11人気 団野大成 1:32.2 上り34.5映像
10 GIスプリンターズS 中山 芝1200 6人気 横山武史 1:07.6 上り33.6映像
3 GII産経賞セントウルS 阪神 芝1200 1人気 横山武史 1:07.5 上り33.5映像
1 GII京王杯スプリングカップ 東京 芝1400 2人気 横山武史 1:18.3 上り32.6映像
4 GI高松宮記念 中京 芝1200 5人気 横山武史 1:08.3 上り33.8映像
9 GI香港スプリント シャティン 芝1200 4人気 菅原明良 映像
2 GIスプリンターズS 中山 芝1200 5人気 菅原明良 1:07.0 上り33.5映像
1 GII産経賞セントウルS 中京 芝1200 2人気 菅原明良 1:07.7 上り33.1映像
6 GII京王杯スプリングカップ 東京 芝1400 3人気 菅原明良 1:20.2 上り33.6映像
6 GI高松宮記念 中京 芝1200 4人気 C.ルメール 1:09.7 上り34.2映像
1 GIII夕刊フジオーシャンS 中山 芝1200 1人気 横山武史 1:08.0 上り34.2映像
1 GIII京阪杯 京都 芝1200 4人気 菅原明良 1:07.4 上り32.7映像
9 GIIMBS賞スワンS 京都 芝1400 4人気 横山和生 1:20.6 上り35.2映像
3 GIIIキーンランドカップ 札幌 芝1200 2人気 鮫島克駿 1:10.1 上り35.5映像
3 GIII函館スプリントS 函館 芝1200 1人気 鮫島克駿 1:08.5 上り35.2映像
15 GI高松宮記念 中京 芝1200 5人気 鮫島克駿 1:13.0 上り36.3映像
4 GIIIシルクロードS 中京 芝1200 3人気 鮫島克駿 1:07.8 上り33.2映像
1 GIII京阪杯 阪神 芝1200 1人気 鮫島克駿 1:07.2 上り33.0映像
1 L夕刊フジ杯オパールS 阪神 芝1200 3人気 鮫島克駿 1:08.6 上り34.0
4 GIIIキーンランドカップ 札幌 芝1200 1人気 川田将雅 1:09.5 上り34.5映像
8 GINHKマイルカップ 東京 芝1600 11人気 戸崎圭太 1:33.1 上り35.7映像
5 GIII中スポ賞ファルコンS 中京 芝1400 1人気 戸崎圭太 1:21.5 上り36.7映像
1 LクロッカスS 東京 芝1400 1人気 戸崎圭太 1:21.8 上り33.1
6 GI朝日杯フューチュリティステークス 阪神 芝1600 9人気 戸崎圭太 1:34.0 上り35.4映像
2 GII京王杯2歳S 東京 芝1400 4人気 戸崎圭太 1:21.5 上り34.0映像
1 2歳新馬 新潟 芝1600 2人気 戸崎圭太 1:35.3 上り34.8

血統

金色の名は 名馬ジャーニー に掲載 — その馬のページへ
トウシンマカオの血統表(左から親・祖父母・曽祖父母)
ビッグアーサーBig ArthurサクラバクシンオーSakura Bakushin Oサクラユタカオー
サクラハゴロモ
シヤボナSiyabonaKingmambo
Relish
ユキノマーメイドスペシャルウィークSpecial WeekサンデーサイレンスSunday Silence
キャンペンガール
サスペンスクイーンWoodman
Crystal Cup

引退後・牧場での映像

ゴール板の先の時間
STORY

旅程 — この馬の物語

2019年生まれの栗毛の牡馬。父ビッグアーサー、母ユキノマーメイド。主な勝ち鞍は京阪杯・夕刊フジオーシャンS・産経賞セントウルS。

速さは、血の約束だった

2019年5月1日、北海道新ひだか町の服部牧場に、栗毛の牡馬が生まれた。父ビッグアーサー、母ユキノマーメイド、母の父スペシャルウィーク。父の背には、日本競馬でもっとも純度の高い速さの血が流れていた。祖父サクラバクシンオーは1400メートル以下で12戦11勝、1993年と1994年のスプリンターズステークスを連覇した史上屈指のスプリンター。その産駒ビッグアーサーは2016年の高松宮記念を制した。バクシンオー、ビッグアーサー、そしてこの馬——父から子へまっすぐに受け継がれたのは、短い距離を誰よりも速く駆けるという約束だった。 2021年8月29日、新潟の芝1600メートル。鞍上に戸崎圭太を迎えたトウシンマカオは、新馬戦を危なげなく勝ち上がる。続く京王杯2歳ステークスはキングエルメスを捉えきれず2着、暮れの朝日杯フューチュリティステークスは、後にダービー馬となるドウデュースの6着に終わった。デビューの舞台は、いずれもマイル。だが、この馬を若いころから見てきた美浦の高柳瑞樹は、心のどこかでずっと同じことを思っていた。この馬がいちばん輝くのは、もっと短い距離だ、と。

マイルの回り道

3歳のトウシンマカオは、まだマイルに未練を残していた。1月のクロッカスステークスを危なげなく勝ち、3月のファルコンステークスでは重賞で初めて単勝1番人気に推される。だが直線で伸びきれず5着。5月のNHKマイルカップも8着に沈んだ。マイルのGIは、この馬の速さを最後まで受け止めてはくれなかった。 夏、陣営は舵を切る。デビュー以来手綱をとってきた戸崎から川田将雅へ、そして秋には鮫島克駿へと乗り替わりながら、距離は1400、そして1200へと詰められていく。10月のオパールステークス、芝1200メートル。中団の後ろから、鮫島の追う手に応えてトウシンマカオは鋭く伸び、先行する各馬をまとめて差し切った。血が呼んでいた場所に、ようやく戻ってきた一戦だった。

京阪杯、初めての重賞

2022年11月27日、阪神競馬場の京阪杯。1番人気に支持されたトウシンマカオは、好位の後ろでじっと脚をためた。先に抜け出したのは10番人気のキルロード。だが残り100メートル、外から差し込んだ栗毛の脚色は誰よりも鋭く、ゴール前できっちり捉えて1馬身4分の1をつけた。重賞初制覇。スプリント路線に転じてからの充実は、もう本物だった。 鞍上の鮫島は、この馬には当たり前に1番人気になれる力があると信じていたと振り返り、来年の短距離戦線を賑わす一頭だと言い切った。高柳もまた、若いころからずっと1200メートルがいちばんいいと思っていた、と静かに語った。回り道の末に、人と馬の見立てが一つに重なった秋だった。

父の冠、連覇の秋

4歳になり、トウシンマカオは短距離の重賞路線を渡り歩く。春、初めて臨んだ高松宮記念——父ビッグアーサーが7年前に制した、スプリント界の頂——は、不良馬場に沈んで15着の大敗だった。父の勝った舞台は、息子には遠かった。 それでも秋、京都の京阪杯でトウシンマカオは前年に続く連覇を果たす。鞍上は菅原明良に替わっていた。中山も阪神も京都も、1200メートルでありさえすれば、この馬はいつも上位で末脚を伸ばす。GIの大舞台では跳ね返されても、重賞の常連として、短距離戦線に欠かせない一頭になっていた。

頂の、一歩手前

5歳の2024年、トウシンマカオはキャリアでもっとも高いところまで駆け上がる。横山武史とのオーシャンステークスを快勝して始動し、クリストフ・ルメールを背にした高松宮記念は6着。春に菅原明良とのコンビへ戻ると、休養を挟んだ秋、セントウルステークスでママコチャらを下し、ついに初のGII制覇をつかんだ。 そして9月29日、中山のスプリンターズステークス。祖父サクラバクシンオーが二度勝った、スプリンターの聖地である。トウシンマカオは直線で懸命に伸び、ルガルにクビ差まで迫った。あと一歩、首の上げ下げ一つぶんだけ、GIの称号は遠かった。2着。血がもっとも近づいた瞬間であり、もっとも惜しかった瞬間でもあった。師走には初の海外遠征として香港スプリントに海を渡ったが、9着。世界の壁もまた、厚かった。

レコードと、旅の終い

6歳、2025年。再び横山武史を背に、トウシンマカオは三度目の高松宮記念へ向かった。結果は4着。15着、6着、そして4着——父の冠へ、年ごとに一歩ずつ近づきながら、その最後の一歩はついに埋まらなかった。 だが5月の京王杯スプリングカップで、この馬はまだ強くなれることを示す。ママコチャを下し、コースレコードで駆け抜けての重賞5勝目。6歳の栗毛が刻んだ時計は、衰えではなく充実の記録だった。秋はセントウルステークス3着のあと、スプリンターズステークス、マイルチャンピオンシップと大敗が続き、11月のマイルチャンピオンシップ11着を最後に、トウシンマカオは現役を退いた。26戦8勝、重賞5勝。GIの称号にだけは、ついに手が届かなかった。 2026年、トウシンマカオは新ひだか町のアロースタッドで種牡馬となる。サクラバクシンオーからビッグアーサーへ、そしてこの馬へと受け継がれた純スプリントの血は、今度はこの栗毛の馬から次の世代へと渡されていく。頂の一歩手前で走り続けた歳月は、王冠の代わりに、確かな速さの記憶を残した。高柳が若い日に見抜いた「1200メートルの馬」は、その見立てのとおりに走り抜き、生まれ故郷の北海道へと帰っていった。

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