名馬の記憶を、
再生する。

年表ICHINEN-ISSO — 2400m

BOKUJŌ-CHŌ — HOKKAIDO

牧場帖

一年ずつ、顔ぶれをたどる。引退した名馬たちの繋養・在籍と映像を綴る帳面。
HORSES

名馬録

この世代(生まれ年)

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トップナイフのイメージビジュアル
トップナイフTop Knife
Top Knife

トップナイフ

通算成績19戦3勝

獲得賞金19,624万円

生年月日 2020.03.09(令和2年)毛色 青鹿毛

全成績

主要戦績(抜粋)・新しい順
トップナイフの成績一覧
年月日着順レースコース人気騎手タイム上り3F映像
1 GII札幌記念 札幌 芝2000 10人気 横山典弘 2:01.5 上り36.2映像
10 GIII函館記念 函館 芝2000 4人気 横山和生 1:59.2 上り36.8映像
11 GIIIエプソムカップ 東京 芝1800 11人気 横山和生 1:45.3 上り36.3映像
3 LアンドロメダS 京都 芝2000 2人気 横山典弘 1:59.7 上り34.4
9 GII毎日王冠 東京 芝1800 12人気 横山和生 1:45.6 上り33.0映像
6 GII札幌記念 札幌 芝2000 7人気 田辺裕信 2:00.4 上り35.1映像
10 GIII函館記念 函館 芝2000 2人気 横山和生 2:00.4 上り36.2映像
14 GI菊花賞 京都 芝3000 8人気 横山典弘 3:05.0 上り36.4映像
2 GII札幌記念 札幌 芝2000 9人気 横山和生 2:02.2 上り36.9映像
14 GI東京優駿 東京 芝2400 10人気 横山典弘 2:26.2 上り33.1映像
7 GI皐月賞 中山 芝2000 9人気 横山典弘 2:01.5 上り36.4映像
2 GII報知弥生ディープ記念 中山 芝2000 1人気 横山典弘 2:00.6 上り34.9映像
2 GIホープフルS 中山 芝2000 7人気 横山典弘 2:01.5 上り35.0映像
2 GIIIラジオN杯京都2歳S 阪神 芝2000 3人気 横山典弘 2:00.5 上り35.3映像
1 L萩S 阪神 芝1800 6人気 横山典弘 1:46.2 上り33.9
4 OP野路菊S 中京 芝2000 4人気 横山典弘 2:01.7 上り34.9
1 2歳未勝利 札幌 芝2000 3人気 横山和生 2:02.5 上り36.7
3 2歳未勝利 札幌 芝1800 1人気 横山和生 1:51.4 上り36.7
6 2歳新馬 札幌 芝1800 3人気 横山和生 1:52.9 上り35.9

血統

金色の名は 名馬ジャーニー に掲載 — その馬のページへ
トップナイフの血統表(左から親・祖父母・曽祖父母)
デクラレーションオブウォーWar FrontDanzig
Starry Dreamer
Tempo WestRahy
Tempo
ビーウインドスピニングワールドSpinning WorldNureyev
Imperfect Circle
ビクトリーマッハバンブーアトラス
ワンスウエドOnce Wed
STORY

旅程 — この馬の物語

2020年生まれの青鹿毛の牡馬。父デクラレーションオブウォー、母ビーウインド。主な勝ち鞍は札幌記念。

刃の名を負って

2020年3月9日、北海道浦河の杵臼牧場に一頭の青鹿毛の牡駒が生まれた。父はデクラレーションオブウォー、母はビーウインド。馬主・安原浩司が授けた名はトップナイフ——「超一流の技術」を意味する、刃物の名である。/栗東・昆貢厩舎に入り、2022年7月24日、札幌の芝1800mでデビュー。鞍上は横山和生。横山家は父・典弘、その長男・和生、三男・武史と、三代にわたって鞍にまたがる一族だ。デビュー戦こそ6着に沈んだが、三戦目、9月4日の札幌・未勝利戦を和生の手綱で勝ち上がる。横山家でこの馬に最初の白星を贈ったのは、父ではなく長男の和生だった。/野路菊ステークスからは父・横山典弘が手綱を引き継ぐ。そして10月29日、阪神の萩ステークス(L)を6番人気で快勝。まだ2歳の秋、刃はたしかに切れ味を見せ始めていた。

あと一歩の刃

刃は鋭かった。ただ、あと一歩が、いつも届かなかった。/11月26日、京都2歳ステークス(阪神開催)で2着。年の瀬の12月28日、中山のホープフルステークス。GIの大舞台で、7番人気のトップナイフは自らハナに立ち、1000m通過61秒5の流れをつくった。直線は、2番手から抜け出した14番人気ドゥラエレーデとの一騎打ち。写真判定——わずかに、勝ち名乗りはもう一頭に上がった。ハナ差の2着である。/先頭を走り、最後にかわされる。この馬の物語には、いつしか「2着」の文字がつきまとうようになる。

クラシックという春

明けて2023年、3月の弥生賞ディープインパクト記念で、トップナイフはついに1番人気に推された。キャリアの絶頂だった。好位の内で折り合い、直線は最内を突いて伸びる。だが、先に抜け出したタスティエーラを捉えきれず、1馬身差の2着。三たびの銀メダルだった。/彼を負かしたタスティエーラは、そのまま東京優駿(ダービー)の栄冠まで駆け上がる。同じ舞台で、トップナイフは14着に終わった。皐月賞は7着、秋の菊花賞は14着。手が届きかけていたはずのクラシックは、春の光ごと遠ざかっていった。1番人気に応えられなかった重さだけが、残った。

勝てない季節

3歳の夏、札幌記念。9番人気のトップナイフは、圧勝したプログノーシスの後ろで2着に粘った。鞍上は再び長男・和生。ダービー帰りの厳しい臨戦過程を思えば、上々の走りだった。刃は鈍っていない。ただ、勝てない。/そこからが長かった。4歳は函館記念10着、札幌記念6着、毎日王冠9着。秋のアンドロメダステークスで3着に食い込んだものの、勝ち負けには届かない。5歳の春もエプソムカップ11着、函館記念10着。ホープフルで2着に迫った逸材は、いつしか二桁人気の常連になっていた。切れ味を秘めたまま、勝ち星だけが、もう二度と来ないように思われた。

三度目の札幌、横山家の午後

2025年8月17日、札幌記念。トップナイフにとっては三度目の挑戦だった。一昨年は2着、昨年は6着。単勝は10番人気に沈んでいた。鞍上は横山典弘、57歳。/向正面の内から少しずつ位置を押し上げ、直線で内を割って抜け出す。2着のココナッツブラウンを1馬身抑え、3着にアラタ。萩ステークス以来、実に2歳時以来の勝利であり、トップナイフにとって初めての重賞タイトルだった。同時に典弘は、自らの持つJRA重賞最年長勝利記録を、57歳5か月26日へと更新した。結果が出なくても、陣営も厩務員も調教師も馬主も我慢して、好きなように乗らせてくれた——その辛抱に馬が応えてくれたのだと、ベテランは静かに振り返った。/この日は、横山家の午後でもあった。約20分前、中京記念を三男・武史がマピュースで制していたのだ。父と子の同日重賞制覇は、一族で初めてのこと。かつて長男・和生がこの馬に初勝利を贈り、いま父・典弘が最後の——そして最大の一勝を掴んだ。刃は、四年をかけて、ただ一度、まっすぐに獲物を捉えた。

オペラオーの血

トップナイフの母ビーウインドは、七夕賞2着のステラウインドを半兄に持つ牝馬である。母の母ビクトリーマッハをたどれば、その半兄には、皐月賞と天皇賞・春の連覇を含むGI7勝を挙げた世紀末の名馬テイエムオペラオーがいる。かつて古馬の頂点を極めた一族の血が、遠く札幌の10番人気に流れていた。/派手なタイトルは、生涯にただ一つ。それでも「超一流の技術」の名を負った刃は、四年の歳月と、横山家三代の手を経て、たしかに一度、深く通った。あと一歩に泣きつづけた馬が最後に掴んだ一勝は、どんなGIより長く語るに足る。

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