名馬の記憶を、
再生する。

年表ICHINEN-ISSO — 2400m

BOKUJŌ-CHŌ — HOKKAIDO

牧場帖

一年ずつ、顔ぶれをたどる。引退した名馬たちの繋養・在籍と映像を綴る帳面。
HORSES

名馬録

この世代(生まれ年)

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タイトルホルダーのイメージビジュアル
タイトルホルダーTitleholder
Titleholder

タイトルホルダー

通算成績19戦7勝

獲得賞金106,875万円

生年月日 2018.02.10(平成30年)毛色 鹿毛

全成績

主要戦績(抜粋)・新しい順
タイトルホルダーの成績一覧
年月日着順レースコース人気騎手タイム上り3F映像
3 GI有馬記念 中山 芝2500 6人気 横山和生 2:31.2 上り36.2映像
5 GIジャパンカップ 東京 芝2400 4人気 横山和生 2:23.1 上り35.0映像
2 GII産経賞オールカマー 中山 芝2200 1人気 横山和生 2:12.2 上り35.7映像
GI天皇賞(春) 京都 芝3200 1人気 横山和生 映像
1 GII日経賞 中山 芝2500 2人気 横山和生 2:36.8 上り36.8映像
9 GI有馬記念 中山 芝2500 2人気 横山和生 2:34.1 上り37.6映像
11 GI凱旋門賞 パリロンシャン 芝2400 1人気 横山和生 映像
1 GI宝塚記念 阪神 芝2200 2人気 横山和生 2:09.7 上り36.1映像
1 GI天皇賞(春) 阪神 芝3200 2人気 横山和生 3:16.2 上り36.4映像
1 GII日経賞 中山 芝2500 1人気 横山和生 2:35.4 上り34.7映像
5 GI有馬記念 中山 芝2500 4人気 横山和生 2:32.5 上り36.9映像
1 GI菊花賞 阪神 芝3000 4人気 横山武史 3:04.6 上り35.1映像
13 GII朝日セントライト記念 中山 芝2200 1人気 横山武史 2:13.6 上り36.4映像
6 GI東京優駿 東京 芝2400 8人気 田辺裕信 2:23.1 上り34.3映像
2 GI皐月賞 中山 芝2000 8人気 田辺裕信 2:01.1 上り37.5映像
1 GII報知弥生ディープ記念 中山 芝2000 4人気 横山武史 2:02.0 上り34.5映像
4 GIホープフルS 中山 芝2000 7人気 戸崎圭太 2:03.3 上り37.0映像
2 GIII東京スポーツ杯2歳S 東京 芝1800 5人気 戸崎圭太 1:47.7 上り33.9映像
1 2歳新馬 中山 芝1800 1人気 戸崎圭太 1:51.4 上り35.9

血統

金色の名は 名馬ジャーニー に掲載 — その馬のページへ
タイトルホルダーの血統表(左から親・祖父母・曽祖父母)
ドゥラメンテDuramenteキングカメハメハKing KamehamehaKingmambo
マンファスManfath
アドマイヤグルーヴAdmire GrooveサンデーサイレンスSunday Silence
エアグルーヴAir Groove
メーヴェMotivatorMontjeu
Out West
Top TableShirley Heights
Lora's Guest

引退後・牧場での映像

ゴール板の先の時間
STORY

旅程 — この馬の物語

2018年生まれの鹿毛の牡馬。父ドゥラメンテ、母メーヴェ。主な勝ち鞍は菊花賞・天皇賞・宝塚記念。

逃げる血 ― 名牝系に生まれて

2018年生まれの鹿毛。父ドゥラメンテは皐月賞・ダービーの二冠馬で、その母系には名牝エアグルーヴアドマイヤグルーヴが連なる。母メーヴェは英ダービー馬モティヴェーターを父に持つ欧州の血。重厚なスタミナと、前へ前へと出ていく気性が、この馬には流れていた。 馬主は山田弘、調教師は美浦の栗田徹。馬名の意味は「選手権保持者」。だがこの一頭が背負うことになるのは、栄冠の名にふさわしい正攻法ではなく、もっと孤独で、もっと過酷な戦法だった――先頭に立ち、誰よりも前で、風を真正面から受けて走り続けること。タイトルホルダーの物語は、その「逃げ」の覚悟から始まる。

二番目の春 ― クラシックの影

2歳暮れのホープフルステークスは4着。明けて弥生賞を逃げ切り、重賞初制覇で素質を示す。だが皐月賞は田辺裕信を背に、世代の盟主エフフォーリアに半馬身及ばず2着。続くダービーは6着に沈んだ。8番人気の評価が、まだこの馬の本質を測りかねていた。 秋初戦のセントライト記念では、1番人気に推されながらまさかの13着大敗。クラシックの主役たちの影で、タイトルホルダーは「足りない一頭」のまま秋を迎えようとしていた。誰もが、菊の三千メートルがこの馬の最後の見せ場になるかもしれないと思っていた。

単騎の菊 ― 横山武史の逃げ

2021年10月24日、菊花賞。鞍上は横山武史。単騎の逃げに持ち込めば折り合う――その読みが、すべてを変えた。 スタートから先頭を奪い、誰にも絡まれぬまま自分のリズムで三千メートルを刻む。直線でも脚色は衰えず、2着オーソクレースに5馬身差をつけて逃げ切った。菊花賞の逃げ切りVは、1998年のセイウンスカイ以来23年ぶり。4番人気での戴冠だった。名手・横山典弘を父に持つ青年が、父を彷彿とさせる大胆な騎乗でGI初制覇を掴む。足りなかったはずの一頭は、最も難しい舞台を、最も難しい戦法で制してみせた。

三代の盾 ― 二〇二二年、横山和生の春

古馬になり、馬は逃げの王者へと変貌する。鞍上は兄・横山和生に替わった。日経賞を逃げ切ると、5月1日の天皇賞(春)では阪神の3200mを果敢に飛ばし、2着ディープボンドに7馬身差をつける圧勝。横山和生はGI初制覇、祖父・富雄、父・典弘に続く天皇賞(春)親子三代制覇という快挙を成し遂げた。 さらに6月の宝塚記念。逃げるパンサラッサを直線で捉え、2分09秒7の好時計で差し切った。日経賞・天皇賞春・宝塚記念――春の長距離戦線を完全に支配する。逃げてよし、抜け出してよし。この馬はもはや、世代の影ではなく、古馬中長距離の頂点に立っていた。

ロンシャンの雨 ― 凱旋門賞の壁

2022年10月2日、パリロンシャン。日本の悲願を背負い、1番人気に推されて欧州最高峰の凱旋門賞に挑んだ。 降りしきる雨でコンディションは悪化していく。それでもタイトルホルダーと横山和生は、自分たちの形を貫いた。スタートから先頭に立ち、直線入り口まで前で粘る。だが欧州勢のスタミナが牙を剝いた。直線で勝ち馬アルピニスタに交わされると、そのままずるずると後退し、11着。日本馬の中では最先着だったが、惨敗には違いなかった。逃げの覚悟は、海の向こうの厚い壁の前で、力及ばなかった。

失速 ― 帰国後の有馬から、京都の四角

凱旋門賞の疲れは深かった。帰国緒戦の有馬記念は終始先頭で逃げたものの、4コーナーで失速して9着。勝ったのは、後に世界の頂へ駆け上がるイクイノックスだった。 年が明け、日経賞を8馬身差で逃げ切って復活を告げる。誰もがもう一度の盾を期待した、4月30日の天皇賞(春)。初めて走る京都で1番人気1.7倍。だが本来スピードに乗るはずの二周目4コーナー手前、馬はずるずると後退し、競走中止。右前肢の跛行だった。逃げ続けることでしか強さを示せなかった一頭が、その逃げの途中で、自ら脚を止めた。栗田調教師の表情は重かった。

前へ ― 最後まで逃げた馬

競走中止から立て直した秋。オールカマーで2着と健在を示し、ジャパンカップは5着。そして12月24日、引退レースの有馬記念。6番人気の低評価をはね返し、3着に粘り込んだ。最後まで、前で、自分の競馬を貫いて。 通算19戦7勝。菊花賞、天皇賞(春)、宝塚記念、二つの日経賞。その輝きの裏に、皐月賞2着、セントライト記念13着、凱旋門賞11着、有馬記念9着、そして天皇賞での競走中止が刻まれている。勝った数より、負けた数のほうが多い。それでもこの馬は、敗れるときでさえ先頭で風を受けていた。逃げるとは、最も恐れを晒す戦法だ。タイトルホルダーは生涯、その恐れの真ん中を走り抜けた。選手権保持者の名にふさわしいのは、勝った数ではなく、最後まで前を譲らなかったその姿だった。

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