名馬の記憶を、
再生する。

年表ICHINEN-ISSO — 2400m

BOKUJŌ-CHŌ — HOKKAIDO

牧場帖

一年ずつ、顔ぶれをたどる。引退した名馬たちの繋養・在籍と映像を綴る帳面。
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名馬録

この世代(生まれ年)

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テーオーロイヤルのイメージビジュアル
テーオーロイヤルT O Royal
T O Royal

テーオーロイヤル

通算成績18戦8勝

獲得賞金51,826万円

生年月日 2018.03.06(平成30年)毛色 鹿毛

全成績

主要戦績(抜粋)・新しい順
テーオーロイヤルの成績一覧
年月日着順レースコース人気騎手タイム上り3F映像
1 GI天皇賞(春) 京都 芝3200 1人気 菱田裕二 3:14.2 上り35.0映像
1 GII阪神大賞典 阪神 芝3000 2人気 菱田裕二 3:06.8 上り34.8映像
1 GIIIダイヤモンドS 東京 芝3400 2人気 菱田裕二 3:30.2 上り33.7映像
2 GIIステイヤーズS 中山 芝3600 2人気 浜中俊 3:45.8 上り33.9映像
10 GIIアルゼンチン共和国杯 東京 芝2500 7人気 浜中俊 2:30.5 上り35.2映像
14 GIジャパンカップ 東京 芝2400 8人気 菱田裕二 2:25.3 上り35.6映像
6 GIIアルゼンチン共和国杯 東京 芝2500 1人気 菱田裕二 2:31.3 上り34.3映像
5 GII産経賞オールカマー 中山 芝2200 4人気 菱田裕二 2:13.5 上り35.9映像
3 GI天皇賞(春) 阪神 芝3200 4人気 菱田裕二 3:17.4 上り37.4映像
1 GIIIダイヤモンドS 東京 芝3400 2人気 菱田裕二 3:30.1 上り34.8映像
1 尼崎S 阪神 芝2400 1人気 菱田裕二 2:24.9 上り34.4
1 兵庫特別 阪神 芝2400 3人気 菱田裕二 2:26.3 上り35.0
1 3歳以上1勝クラス 中京 芝2200 1人気 菱田裕二 2:12.5 上り35.8
4 GIIテレビ東京杯青葉賞 東京 芝2400 15人気 菱田裕二 2:25.3 上り33.9映像
1 3歳未勝利 阪神 芝2400 5人気 菱田裕二 2:28.4 上り33.7
4 3歳未勝利 阪神 芝2000 6人気 菱田裕二 2:03.1 上り35.6
9 3歳未勝利 中京 芝1600 9人気 幸英明 1:35.3 上り36.0
3 2歳新馬 阪神 芝1600 6人気 幸英明 1:37.3 上り34.1

血統

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テーオーロイヤルの血統表(左から親・祖父母・曽祖父母)
リオンディーズLeontesキングカメハメハKing KamehamehaKingmambo
マンファスManfath
シーザリオCesarioスペシャルウィークSpecial Week
キロフプリミエールKirov Premiere
メイショウオウヒマンハッタンカフェManhattan CafeサンデーサイレンスSunday Silence
サトルチェンジSubtle Change
アルペンローズAlpine RoseKris S.
Amizette
STORY

旅程 — この馬の物語

2018年生まれの鹿毛の牡馬。父リオンディーズ、母メイショウオウヒ。主な勝ち鞍は天皇賞・ダイヤモンドS・阪神大賞典。

王にふさわしい名 ― 血の授かりもの

2018年3月6日に生まれた鹿毛の牡馬。父リオンディーズは、2015年の朝日杯フューチュリティステークスをキャリア2戦目で制した早熟の快足馬で、その母はオークスとアメリカンオークスを勝った名牝シーザリオ。つまりこの仔は、シーザリオの孫として、菊花賞馬エピファネイアや皐月賞馬サートゥルナーリアの甥にあたる血筋だった。 母メイショウオウヒの父は、菊花賞と天皇賞(春)を勝った本物のステイヤー、マンハッタンカフェ。同じ母からは、のちにダートで帝王賞を連覇するメイショウハリオも出た。冠名テーオーは馬主・小笹公也のイニシャルT.O.から。そこに「王にふさわしい」という願いを重ねて、ロイヤルと名づけられる。長い距離を走るための血が、たしかに一頭に集まっていた。

菱田裕二という縦糸 ― 未勝利からの上り坂

2020年暮れ、阪神の新馬戦を幸英明とともに3着。二度目までは白星が出ず、三戦目から手綱を取ったのが菱田裕二だった。菱田は、幼い日に京都競馬場で天皇賞(春)を見上げ、騎手になると決めた男である。だが騎手人生の長い時間、大きなタイトルは遠いところにあった。 2021年4月、阪神の未勝利戦をようやく勝ち上がると、青葉賞では15番人気の低評価で4着に食い込む。ダービーには届かなかったが、素質の芽は見えていた。秋、中京の1勝クラス、兵庫特別、尼崎ステークスと危なげなく3連勝。距離が延びるほど、この馬は強くなった。菱田を背にした上り坂が、静かに始まっていた。

三千四百の芝で ― 重賞初制覇と、盾への挑戦

2022年2月、東京の芝3400m、ダイヤモンドステークス。4番手の好位から直線で先頭に立つと、外を追い込む11番人気ランフォザローゼスに2馬身半差をつけ、重賞を初めて手にした。長い距離ほど、この馬の身の丈に合っていた。 勢いのまま、5月の天皇賞(春)へ。逃げるタイトルホルダーに真っ向から挑みかかったが、直線半ばで突き放され、ゴール前ではディープボンドにも差されて3着。頂は、まだ二枚も三枚も上にあった。それでも古馬の一線級と長丁場で渡り合えることは、はっきりと示した一戦だった。

影の一年 ― 骨折と、代わった手綱

好調は続かなかった。秋はオールカマー5着、1番人気で迎えたアルゼンチン共和国杯も6着。持ち味の出にくい中距離で伸びを欠き、ジャパンカップでは14着と大敗する。そして休養に入ったこの馬に、右後肢の寛骨骨折が見つかった。復帰まで、実に一年を要した。 2023年11月、11か月ぶりの実戦。鞍上は浜中俊に替わっていた。アルゼンチン共和国杯こそ10着に沈んだが、続くステイヤーズステークス、中山の芝3600mでは2着に粘り込む。最も長い距離で、復調の足音が確かに聞こえた。影の一年が、ようやく明けようとしていた。

菱田、戻る ― 王道ステイヤーの二連勝

2024年、手綱は再び菱田裕二の手に戻った。2月のダイヤモンドステークスは、内で食い下がる1番人気サリエラとの叩き合いをクビ差で制し、二度目のダイヤモンドを手にする。続く3月の阪神大賞典では、最終直線で早々に抜け出すと後続を突き放し、5馬身差の完勝。長距離のG2を、危なげなく駆け抜けた。 二度目のダイヤモンド、そして阪神大賞典。王道のステイヤー路線を二つ連勝で締めくくって、コンビは春の大一番へ向かう。菱田の背中には、二十年前からの夢が乗っていた。

二十年越しの夢 ― 二〇二四年四月二十八日

2024年4月28日、京都競馬場、芝3200m。天皇賞(春)。1番人気に推されたテーオーロイヤルは、最終コーナーを外から押し上げると、直線でディープボンドを捉え、粘るブローザホーンを2馬身突き放してゴールに飛び込んだ。勝ち時計3分14秒2。悲願のGI制覇だった。 四つ角を回るとき、菱田は二十年前にこの京都で春の盾を見上げた少年の自分に、見ておいてくれと念じながら追っていた――のちに、そう明かしている。鞍上の菱田にとっても、管理する岡田稲男にとっても、初めてのGI。父リオンディーズの産駒としても、これが最初の栄冠だった。「本当に今まで生きてきて、一番うれしいです」[^1]。少年が見上げた盾を、二十年後の同じ舞台で、その少年自身が掲げていた。

出典:中日スポーツ「テーオーロイヤルでGⅠ初勝利の菱田裕二、『いつか師匠の馬で』の大願成就【天皇賞・春】」2024年4月28日配信、https://www.chunichi.co.jp/article/891611、閲覧日:2026年7月21日。

帝王の休息 ― そして血をつなぐ

頂に立ったその一戦が、結果として最後の走りになった。左前脚を傷めて京都大賞典を回避すると、故障は癖のように繰り返し、ジャパンカップも、翌年の天皇賞(春)も、ついに一度もゲートに入れないまま時が過ぎる。2026年、栗東に戻して再起を期したが、繋靱帯炎が再発。3月、陣営は現役引退を決めた。通算18戦8勝。その8つの勝ち星は、すべて菱田裕二とのものだった。 派手な連勝でも、記録ずくめの女王でもない。骨折に一年を奪われ、脚部不安と幾度も向き合いながら、それでも最も長い距離を走るたびに強くなった一頭だった。北海道・浦河のイーストスタッドで、これからは血を伝える側にまわる。リオンディーズが初めて送り出したGI馬として、シーザリオマンハッタンカフェから受け継いだステイヤーの血を、次の世代へ。淀の三千二百を差し切ったあの末脚を継ぐ仔を、いつか誰かが待つことになる。

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