名馬の記憶を、
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年表ICHINEN-ISSO — 2400m

BOKUJŌ-CHŌ — HOKKAIDO

牧場帖

一年ずつ、顔ぶれをたどる。引退した名馬たちの繋養・在籍と映像を綴る帳面。
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名馬録

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スズカハービンのイメージビジュアル
スズカハービンSuzuka Harbin
Suzuka Harbin

スズカハービン

通算成績30戦6勝

獲得賞金1934万円

生年月日 2020.04.10(令和2年)毛色 栗毛

全成績

主要戦績(抜粋)・新しい順
スズカハービンの成績一覧
年月日着順レースコース人気騎手タイム上り3F映像
1 東京ジャンプS 東京 障3110 3人気 難波剛健 3:22.3 上り13.0映像
5 OPペガサスジャンプS 中山 障3350 2人気 難波剛健 3:44.2 上り13.4
1 障害4歳以上OP 小倉 障3390 1人気 難波剛健 3:52.3 上り13.7
2 OP秋陽ジャンプS 東京 障3110 2人気 難波剛健 3:27.0 上り13.3
2 障害3歳以上OP 東京 障3100 1人気 難波剛健 3:30.6 上り13.6
1 障害3歳以上OP 新潟 障3250 4人気 難波剛健 3:35.3 上り13.2
5 OPソレイユジャンプS 小倉 障3390 5人気 難波剛健 3:49.5 上り13.5
1 障害4歳以上未勝利 東京 障3000 2人気 難波剛健 3:29.3 上り14.0
4 障害4歳以上未勝利 京都 障2910 8人気 難波剛健 3:22.4 上り13.9
8 4歳以上2勝クラス 京都 芝1600 8人気 松若風馬 1:36.1 上り34.6
12 RKB賞 小倉 芝2000 16人気 松若風馬 2:03.9 上り38.0
13 3歳以上2勝クラス 京都 芝2000 14人気 菱田裕二 2:02.9 上り35.7
11 九十九里特別 中山 芝2500 8人気 岩田康誠 2:35.9 上り39.6
9 宗像特別 小倉 芝2000 13人気 太宰啓介 2:01.5 上り37.0
13 鹿野山特別 中山 芝2000 4人気 太宰啓介 2:03.4 上り36.5
4 八代特別 小倉 芝2000 10人気 菱田裕二 2:02.2 上り36.1
11 フォーチュンC 阪神 芝2000 9人気 藤岡佑介 2:01.8 上り36.0
13 近江特別 京都 芝2000 9人気 M.デムーロ 2:00.5 上り35.0
9 鳴滝特別 京都 芝2400 7人気 藤岡佑介 2:26.3 上り37.0
11 九十九里特別 中山 芝2500 4人気 津村明秀 2:37.0 上り37.6
15 GIIIラジオNIKKEI賞 福島 芝1800 13人気 M.デムーロ 1:48.9 上り35.9映像
6 L白百合S 京都 芝1800 5人気 鮫島克駿 1:46.5 上り34.1
1 山藤賞 中山 芝2000 10人気 津村明秀 2:04.2 上り36.7
1 3歳未勝利 小倉 芝2000 3人気 藤岡佑介 2:03.1 上り36.9
2 3歳未勝利 小倉 芝2000 3人気 藤岡佑介 2:02.8 上り36.0
2 3歳未勝利 小倉 芝2000 4人気 藤岡佑介 2:04.8 上り35.7
8 3歳未勝利 中京 芝2200 12人気 武豊 2:15.0 上り35.8
9 2歳未勝利 阪神 芝1800 4人気 武豊 1:49.6 上り37.2
5 2歳未勝利 阪神 芝1800 4人気 武豊 1:48.5 上り33.7
5 2歳新馬 阪神 芝1800 5人気 武豊 1:48.8 上り34.8

血統

金色の名は 名馬ジャーニー に掲載 — その馬のページへ
スズカハービンの血統表(左から親・祖父母・曽祖父母)
ハービンジャーHarbingerDansiliデインヒルDanehill
Hasili
Penang PearlBering
Guapa
スズカローランサンデーサイレンスSunday SilenceHalo
Wishing Well
ローマンスズカIISeattle Slew
ローズオブスズカ
STORY

旅程 — この馬の物語

2020年生まれの栗毛の牡馬。父ハービンジャー、母スズカローラン。

スズカの血、遅咲きの一族

2020年4月10日、北海道浦河町の辻牧場で、栗毛の牡馬が生まれた。父はハービンジャー――英国キングジョージ6世&クイーンエリザベスステークスを歴史的な大差で制し、のちに日本で種牡馬となった中距離の名馬である。母はサンデーサイレンスを父に持つスズカローラン。その母はローマンスズカ、さらにその母はローズオブスズカと、母系にはスズカの名が幾重にも折り重なっていた。 名は、スズカハービン。馬主・永井家の冠名「スズカ」に、父ハービンジャーの響きを結んだものだ。中国の街の名でも、先触れを告げる英語の言葉でもない。血の出どころを、そのまま名に刻んだ一頭だった。 この牝系には、先に世へ出た兄がいた。半兄スズカデヴィアス。キングカメハメハを父に持つその馬は、平地で長く勝ち切れず、7歳になった2018年の新潟大賞典(GⅢ)でようやく重賞の頂に立った。遅れて咲く血――それが、この一族の気質だった。弟がその意味を証すまでには、まだ長い回り道が要る。

平地の底

デビューは2022年10月9日、阪神の芝1800メートル。鞍上には武豊がいた。5番人気で5着。武豊はデビューから4戦の手綱を取ったが、勝ち星は遠かった。 藤岡佑介に乗り替わって二度の二着を経た7戦目、2023年2月25日の小倉・芝2000メートルで、ようやく初勝利をつかむ。続く山藤賞では10番人気の伏兵として中山の芝2000を差し切り、2勝目。ここまでは、上を目指せる馬に見えた。 だが、そこが天井だった。白百合ステークスで6着、重賞のラジオNIKKEI賞では15着。以後は2000メートル前後の特別戦を転戦しては二桁着順を並べ、クラスは2勝クラスで足踏みを続ける。2025年2月、京都の芝1600で8着。平地の扉は、音もなく閉じかけていた。

障害の門

転機は5歳の春に訪れた。厩舎を高橋義忠に移し、スズカハービンは障害の世界へ足を踏み入れる。手綱を託されたのは、障害を専門とする難波剛健。以後、障害コースで刻むすべての飛越を、この二人は共に跳んでいくことになる。 2025年4月27日、京都の障害戦が初挑戦で、4着。そして5月31日、東京の障害3000メートルで、平地ではついに解けなかった何かがほどけた。2番人気に応え、危なげなく先頭でゴールへ飛び込む。障害未勝利戦、勝利。 平地で二桁着順に沈んでいた馬と、同じ栗毛とは思えなかった。障害という別の競技場で、この馬はようやく自分の居場所を見つけたのだった。

十一年の距離

難波剛健は2001年にデビューし、やがて障害の名手として知られるようになった騎手である。重賞は2勝。いずれもサンレイデュークとのコンビで、2014年の東京ハイジャンプ、翌15年の阪神スプリングジャンプを制した。だが、その後は重賞の勝利から遠ざかる。次の一つを掴むまでに、11年という歳月が流れることになる。 スズカハービンとの歩みは、一段ずつだった。2025年8月、新潟の障害オープンを制し、秋にはオープン特別で二着を重ねる。年が明けた26年2月には小倉のオープンを勝ち、相手が強くなる中でも崩れなくなっていった。勝ってもなお、制御と口向きの難しさは残っていた。それでも二人は、頂へ続く階段を一段ずつ登っていた。

レコードの午後

2026年6月13日、東京ジャンプステークス(J・GⅢ)。断然の一番人気は、このレースを3連覇中のジューンベロシティ。単勝1.2倍の圧倒的支持だった。スズカハービンは、3番人気。 前夜、難波はサンレイデュークで勝った12年前の東京ハイジャンプの映像を、何度も見返していたという。かつて自分が越えた同じ東京の障害コースを、翌日もう一度越えるために。 レースは、その復習のとおりに運んだ。向こう正面でジューンベロシティのすぐ後ろに折り合い、4コーナーで内か外かを一瞬で決めて、内を突く。馬は迷わず応えた。最後の直線で先頭に立つと、3連覇の王者に3馬身半の差をつけて突き抜ける。勝ちタイムは3分22秒3――コースレコードだった。 スズカハービンにとって、重賞初制覇。難波にとっては、11年ぶりの重賞であり、そして特別な縁の勝利だった。「個人的な話ですが、初騎乗も初勝利もこの勝負服。縁があるこの服で結果を出せたのはすごくうれしい」[^1]。デビューの日に袖を通したのと同じスズカの服で、名手は久方ぶりの栄光に触れた。 7歳で初めて重賞を勝った半兄スズカデヴィアスのように、この血は待つ者に報いる。平地の底から障害の頂へ、6歳の栗毛はなお現役の道を走っている。次に越えるべき障害の、その先へ。

出典:スポーツ報知「【東京ジャンプS】スズカハービンが圧倒的人気ジューンベロシティ下しV 難波剛健騎手『個人的な話ですが…』」2026年6月13日配信、閲覧日:2026年7月17日。

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