名馬の記憶を、
再生する。

年表ICHINEN-ISSO — 2400m

BOKUJŌ-CHŌ — HOKKAIDO

牧場帖

一年ずつ、顔ぶれをたどる。引退した名馬たちの繋養・在籍と映像を綴る帳面。
HORSES

名馬録

この世代(生まれ年)

スライダーを動かすと、その世代に生まれた馬を獲得賞金の多い順で表示します。

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サンライズバッカスのイメージビジュアル
サンライズバッカスSunrise Bacchus
Sunrise Bacchus

サンライズバッカス

通算成績38戦6勝

獲得賞金41,147万円

生年月日 2002.04.30(平成14年)毛色 黒鹿毛

全成績

主要戦績(抜粋)・新しい順
サンライズバッカスの成績一覧
年月日着順レースコース人気騎手タイム上り3F映像
10 OP’10ムーンライトカ 大井 ダ1600 9人気 山田信大 1:41.5 上り38.6
11 サンタアニタトロフィー 大井 ダ1600 9人気 山田信大 1:40.4 上り39.2
13 JpnⅠ帝王賞 大井 ダ2000 10人気 真島大輔 2:06.9 上り40.1
6 大井記念 大井 ダ2600 6人気 真島大輔 2:49.2 上り38.9
9 JpnⅠかしわ記念 船橋 ダ1600 10人気 真島大輔 1:39.8 上り37.9
12 GIIIエルムS 新潟 ダ1800 6人気 佐藤哲三 1:52.5 上り36.6
6 GIIIプロキオンS 阪神 ダ1400 4人気 佐藤哲三 1:23.6 上り36.0
15 GIフェブラリーS 東京 ダ1600 8人気 三浦皇成 1:36.7 上り36.6映像
8 GIII平安S 京都 ダ1800 2人気 岩田康誠 1:51.8 上り35.9
4 GIジャパンカップダート 阪神 ダ1800 6人気 佐藤哲三 1:49.6 上り36.3映像
2 GIII東京中日S杯武蔵野S 東京 ダ1600 4人気 佐藤哲三 1:36.1 上り36.1
3 JpnⅡ日本テレビ盃 船橋 ダ1800 3人気 佐藤哲三 1:48.9 上り37.0
3 GIIIプロキオンS 阪神 ダ1400 4人気 佐藤哲三 1:22.3 上り34.6
11 GII東海S 中京 ダ2300 3人気 佐藤哲三 2:24.6 上り36.0
3 GIIIアンタレスS 京都 ダ1800 5人気 安藤勝己 1:50.8 上り35.5
川崎記念 川崎 ダ2100 安藤勝己
3 GIジャパンカップダート 東京 ダ2100 7人気 安藤勝己 2:07.5 上り36.8映像
3 JpnⅠJBCクラシック 大井 ダ2000 4人気 安藤勝己 2:05.7 上り38.0映像
5 JpnⅠマイルチャンピオンシップ 盛岡 ダ1600 3人気 安藤勝己 1:37.7
3 JpnⅠ帝王賞 大井 ダ2000 3人気 安藤勝己 2:04.7 上り37.5
5 JpnⅠかしわ記念 船橋 ダ1600 2人気 安藤勝己 1:38.3 上り37.0
1 GIフェブラリーS 東京 ダ1600 3人気 安藤勝己 1:34.8 上り35.0映像
2 GIII平安S 京都 ダ1800 3人気 安藤勝己 1:51.0 上り35.6
5 GIジャパンカップダート 東京 ダ2100 3人気 安藤勝己 2:09.1 上り36.2映像
2 GIII東京中日S杯武蔵野S 東京 ダ1600 6人気 後藤浩輝 1:35.4 上り35.9
8 GIIIマーチS 中山 ダ1800 4人気 北村宏司 1:52.3 上り37.3
12 GIフェブラリーS 東京 ダ1600 6人気 柴田善臣 1:36.6 上り37.1映像
4 GIII根岸S 東京 ダ1400 1人気 佐藤哲三 1:24.1 上り36.5
5 GIジャパンカップダート 東京 ダ2100 5人気 佐藤哲三 2:08.2 上り36.1映像
1 GIII東京中日S杯武蔵野S 東京 ダ1600 2人気 佐藤哲三 1:35.2 上り36.2
2 GIダービーグランプリ 盛岡 ダ2000 2人気 佐藤哲三 2:04.2
1 OP阿蘇S 小倉 ダ1700 1人気 佐藤哲三 1:44.7 上り36.5
1 鶴見特別 阪神 ダ1400 2人気 佐藤哲三 1:22.4 上り35.7
1 インディアT 中京 ダ1700 1人気 佐藤哲三 1:45.7 上り38.5
1 3歳未勝利 福島 ダ1700 4人気 小林徹弥 1:47.2 上り37.8
6 3歳未勝利 阪神 芝2000 6人気 小林徹弥 2:05.8 上り35.1
7 3歳未勝利 中京 芝1800 7人気 安部幸夫 1:50.4 上り35.9
6 2歳未勝利 京都 芝1600 11人気 本田優 1:37.5 上り35.2
15 2歳新馬 京都 芝1400 11人気 池添謙一 1:25.9 上り37.0

血統

金色の名は 名馬ジャーニー に掲載 — その馬のページへ
サンライズバッカスの血統表(左から親・祖父母・曽祖父母)
ヘネシーHennessyStorm CatStorm Bird
Terlingua
Island KittyHawaii
T. C. Kitten
リアルサファイヤリアルシャダイReal ShadaiRoberto
Desert Vixen
ワールドサファイヤサーペンフロ
トビノボリ
STORY

旅程 — この馬の物語

2002年生まれの黒鹿毛の牡馬。父ヘネシー、母リアルサファイヤ。主な勝ち鞍はフェブラリーS・東京中日S杯武蔵野S。

芝では、届かなかった

2002年4月30日、北海道門別町のヤナガワ牧場で黒鹿毛の牡が生まれた。父はアメリカ産のヘネシー、母はリアルサファイヤ。母は1989年3月、中山のフラワーカップを勝った牝馬である。そのひと月前には東京のダート千六百を走り、二着に入っている。 馬主は松岡隆雄。冠名のサンライズに続く一語はバッカス——ローマ神話の、酒と豊穣の神の名である。父の名もまた、フランスでコニャックを造る家と同じ綴りだった。二つ上に半姉ブライトサファイヤがいた。五代さかのぼっても重なる祖先の出てこない、まっさらな配合である。 デビューは2004年10月23日、京都の芝千四百。十一番人気で、十五頭の最後尾に入った。二戦目の単勝は百三十倍を超え、六着。年が明けて中京の芝千八百で七着、阪神の芝二千で六着。四度走って一度も掲示板に乗らないまま、三歳の春になった。

福島の砂から、四つ

2005年4月17日、福島のダート千七百。初めての砂で、五戦目にして初めて勝った。二着との差は一秒あった。 六月の中京、インディアトロフィー。ここから佐藤哲三が手綱を取る。重馬場を0秒7突き放し、七月の阪神・鶴見特別も連勝。八月の小倉、阿蘇ステークスは格上挑戦のオープン特別で、五十一キロという軽い斤量を背負い、詰め寄られながらタイム差なしで凌いだ。未勝利戦から数えて四連勝。四か月でオープン馬になっていた。

盛岡の二着、東京の一着

九月十九日、盛岡のダービーグランプリ。単勝一倍台の一番人気カネヒキリに二馬身半差の二着だった。ただし三着ドンクールは、そこからさらに七馬身も後ろにいる。二頭だけの競馬だった。 十月二十九日、東京のダート千六百、武蔵野ステークス。カネヒキリは五十七キロ、三歳のこちらは五十四キロ。前半四ハロンが四十五秒台で刻まれ、前で運んだ馬たちが最後に苦しくなる流れになった。カネヒキリは芝スタートで脚を滑らせて出遅れ、そこから追い込んできたが、一馬身四分の三だけ足りなかった。四百六十四キロの三歳馬が、ダートでは一度も負けたことのなかった同期に、最初の黒星をつけた。重賞初制覇である。 十一月のジャパンカップダートは、そのカネヒキリの五着。三歳の秋は、そこで終わった。

手綱が替わっていく

四歳の一月、東京の根岸ステークスに単勝一番人気で臨んで四着。二月のフェブラリーステークスは鞍上が柴田善臣に替わり、十二着に終わった。勝ったのはカネヒキリである。三月のマーチステークス八着を最後に、春から夏は使われないまま過ぎた。 七か月ぶりの実戦となった秋の武蔵野ステークスは後藤浩輝で二着。十一月のジャパンカップダートからは安藤勝己が乗る。その日、佐藤哲三はメイショウバトラーの背にいた。自身がその年にプロキオンステークスとシリウスステークスを勝たせた牝馬である。 四歳の一年は五戦して、勝ち鞍がなかった。

二月十八日、不良

2007年2月18日、東京競馬場。空は晴れていた。前日までの雨が抜けきらず、ダートコースは不良と掲示されている。 この冬、カネヒキリは屈腱炎の療養で厩舎にいない。一番人気に推されたのは前年このレースで二着だったシーキングザダイヤ。前年の帝王賞を勝ったアジュディミツオーも、一月の平安ステークスでこの馬に先着したメイショウトウコンも、同じゲートに収まった。 紫に白い星を散らした勝負服が、六枠から出ていく。前では二頭が競り合い、流れは一度も緩まない。安藤勝己は動かない。三コーナーで十番手、四コーナーでも十番手。前には、まだ九頭の背中がある。 直線を向いて、ようやく追い出しにかかった。競り合っていた二頭は止まり、掲示板にも残らなかった。前にいたビッググラスを捉える。後ろからはブルーコンコルドが同じ脚色で伸びてくる。 その差は、ゴール板の前で一馬身半に開いていた。 五歳の二月に、初めてのGIだった。この年からフェブラリーステークスは国際競走に指定され、格付けも国際基準のG1に変わっている。その最初の一年の勝ち馬が、この馬である。

三着ばかりが並ぶ棚

二月に負かした相手には、その後まったく届かなかった。五月の船橋・かしわ記念はブルーコンコルドの五着。十月の盛岡・マイルチャンピオンシップ南部杯も、同じ馬の五着。あいだの六月、大井の帝王賞は三着だった。 秋は大井のJBCクラシックで三着、十一月の東京・ジャパンカップダートでも三着。どちらも先頭でゴール板を過ぎたのはヴァーミリアンである。ジャパンカップダートでは七番人気に落ちていて、それでも三着に残った。 2008年は一月の川崎記念で出走を取り消して始まる。四月のアンタレスステークス三着。五月の東海ステークスは中京のダート二千三百。それまで走ったなかでいちばん長い距離で、十一着に沈んだ。ここから佐藤哲三が戻ってくる。七月のプロキオンステークスは上がり三十四秒六を使って三着、九月の船橋・日本テレビ盃も三着。勝てないまま、三着ばかりが並んでいく。 十一月八日、東京の武蔵野ステークス。二年四か月の休養を終えたカネヒキリが、三年ぶりに同じレースへ戻ってきていた。王者は九着、六歳になったこちらは二着。ふたたび、この馬が前にいた。 翌月、阪神のジャパンカップダートで、カネヒキリは二年十か月ぶりの勝利を挙げる。その四着だった。

栗東を出る

2009年は一月の平安ステークスを二番人気で八着。二月のフェブラリーステークスは十五着に終わった。この日、佐藤哲三はエスポワールシチーに乗って四着に入っている。のちに佐藤とのコンビでダートのGI・JpnIを七つ勝つことになる、四歳馬だった。七月のプロキオンステークス六着、九月、新潟のエルムステークス十二着。これが中央での最後の一戦になる。 十二月九日、JRAの登録が抹消された。栗東の音無秀孝厩舎から、大井の村上頼章厩舎へ。デビューから五年を過ごした関西のトレーニングセンターを離れ、南関東の砂へ移る。 2010年は五走した。五月の船橋・かしわ記念で九着。大井記念は生涯でいちばん長い二千六百メートルを走って六着。六月の帝王賞では八度目にしてカネヒキリと最後に顔を合わせ、その王者が二着に粘るのを、十三着の位置から見た。七月のサンタアニタトロフィー十一着。十一月九日、大井のムーンライトカップ十着。それが最後のレースになった。 2012年1月26日、地方競馬の登録も抹消される。その一年余りを、生まれた場所であるヤナガワ牧場で過ごしていた。 2012年からレックススタッドで種牡馬になり、翌年六月にはヤナガワ牧場へ帰った。三シーズンで血統登録されたのは十五頭。そのうち十四頭が競馬場に出て、八頭が勝ち上がっている。2018年7月1日付で用途変更となり、翌年、引退名馬繋養展示事業の助成対象馬になった。

一着が、すべてではない

東京のダート千六百は、この一族の道だった。1989年の二月、母リアルサファイヤはそこで二着に敗れている。十八年後の二月、その仔が同じ千六百を先頭で駆け抜けた。さらに十一年後の秋、半姉ブライトサファイヤの産んだサンライズノヴァが、叔父の重賞初制覇と同じ武蔵野ステークスを勝った。翌年には盛岡のマイルチャンピオンシップ南部杯でJpnIを獲り、二年後にもう一度、武蔵野ステークスを勝っている。同じヤナガワ牧場の生産、同じ紫に白星の勝負服、同じ音無秀孝の厩舎である。 佐藤哲三はこの馬に十四回乗った。ただし、いちばん大きな一日に並んだ十六人の鞍上に、彼の名はない。勝てなくなってからの七回にも乗り続け、その七回では一度も勝てていない。2012年11月、京都の直線で落馬して全身七か所を折り、二年のリハビリののち、2014年10月に九百五十四勝で騎手を退いた。引退後、彼は、一着がすべてではない、勝てなくてもファンの中で主役になれる馬がいるはずだ、という信条を語っている。その言葉が誰を思い浮かべて出たものかは、書かれていない。 三十八戦六勝。八度顔を合わせた同期のダート王より前でゴール板を過ぎたのは、二度だけだった。二度とも東京のダート千六百、二度とも武蔵野ステークスである。東京のダートは、四コーナーを回ってからゴールまでが長い。その一本を、母は二着で通り、仔は先頭で通り、姉の仔は二度、先頭で通っていった。十番手から動きはじめた黒鹿毛の背中は、そのまん中にある。

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