名馬の記憶を、
再生する。

年表ICHINEN-ISSO — 2400m

BOKUJŌ-CHŌ — HOKKAIDO

牧場帖

一年ずつ、顔ぶれをたどる。引退した名馬たちの繋養・在籍と映像を綴る帳面。
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名馬録

この世代(生まれ年)

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サンライズアムールのイメージビジュアル
サンライズアムールSunrise Amour
Sunrise Amour

サンライズアムール

通算成績25戦9勝

獲得賞金22,499万円

生年月日 2019.02.27(令和元年)毛色 栗毛

全成績

主要戦績(抜粋)・新しい順
サンライズアムールの成績一覧
年月日着順レースコース人気騎手タイム上り3F映像
7 OP水無月S 阪神 ダ1200 4人気 斎藤新 1:11.1 上り36.6
6 GIIIカペラS 中山 ダ1200 9人気 北村宏司 1:10.1 上り36.9映像
3 JpnⅠJBCスプリント 船橋 ダ1000 3人気 松山弘平 0:59.2 上り36.2映像
3 JpnⅡ東京盃 大井 ダ1200 3人気 池添謙一 1:11.2 上り37.0
1 JpnⅢクラスターカップ 盛岡 ダ1200 1人気 高松亮 1:09.2 上り34.8
1 OP水無月S 阪神 ダ1200 4人気 幸英明 1:10.9 上り36.0
11 OP天王山S 京都 ダ1200 5人気 鮫島克駿 1:11.9 上り35.5
9 OP千葉S 中山 ダ1200 1人気 C.ルメール 1:10.4 上り36.8
4 GIIIカペラS 中山 ダ1200 4人気 斎藤新 1:10.3 上り37.3映像
1 OPながつきS 中山 ダ1200 1人気 C.ルメール 1:10.6 上り36.3
1 L栗東S 京都 ダ1400 4人気 坂井瑠星 1:23.6 上り36.1
8 OP天王山S 京都 ダ1200 1人気 池添謙一 1:12.0 上り36.7
3 LすばるS 京都 ダ1400 3人気 松山弘平 1:24.6 上り37.5
2 OPりんくうS 阪神 ダ1200 1人気 藤岡康太 1:11.5 上り36.4
1 OP藤森S 京都 ダ1200 1人気 池添謙一 1:10.9 上り36.0
3 OPながつきS 中山 ダ1200 2人気 池添謙一 1:09.4 上り35.7
4 OP松風月S 阪神 ダ1200 1人気 酒井学 1:11.0 上り36.0
3 OP京都グランドOP 京都 ダ1200 1人気 川田将雅 1:11.2 上り36.3
1 陽春S 阪神 ダ1200 1人気 川田将雅 1:11.5 上り36.0
5 伊賀S 中京 ダ1200 1人気 川田将雅 1:11.9 上り37.2
1 3歳以上2勝クラス 阪神 ダ1200 1人気 池添謙一 1:10.7 上り36.1
1 3歳以上1勝クラス 中京 ダ1200 1人気 福永祐一 1:11.3 上り35.9
1 3歳未勝利 中京 ダ1200 4人気 福永祐一 1:11.2 上り36.5
7 3歳未勝利 中京 芝1600 3人気 酒井学 1:35.6 上り35.4
10 3歳未勝利 阪神 芝1600 6人気 酒井学 1:36.2 上り34.7

血統

金色の名は 名馬ジャーニー に掲載 — その馬のページへ
サンライズアムールの血統表(左から親・祖父母・曽祖父母)
モーリスMauriceスクリーンヒーローScreen HeroグラスワンダーGrass Wonder
ランニングヒロイン
メジロフランシスカーネギーCarnegie
メジロモントレー
ジルコニアタイキシャトルTaiki ShuttleDevil's Bag
ウェルシュマフィンWelsh Muffin
スパイシークラウンタバスコキャットTabasco Cat
ウエストバイノースウエストWest by Northwest
STORY

旅程 — この馬の物語

2019年生まれの栗毛の牡馬。父モーリス、母ジルコニア。

冠名と、遅れてきた愛 ― 芝からダートへ

サンライズアムール。前半は馬主・株式会社ライフハウスの冠名、後半のアムールはフランス語で「愛」を意味する。派手な血の看板を背負った名ではない。 2019年2月27日、日高町の下河辺牧場に生まれた栗毛の牡馬。父は安田記念や天皇賞・秋を制した芝の一流マイラー、モーリス。母ジルコニアの父は、日本とフランスのマイルGⅠを勝ったスピードの化身タイキシャトル。芝の中距離で頂点を極めた父の子でありながら、この馬の速さは母系の奥、ダートに滋味のある血から引き出されることになる。 デビューは同世代よりやや遅れた。2022年3月27日、阪神の芝1600メートル、鞍上は酒井学。結果は10着。二戦目も中京の芝で7着と、芝では持ち味が噛み合わない。転機は三戦目に訪れる。舞台をダート1200メートルに移し、福永祐一を背に、ようやく一つ目の白星を挙げた。芝で躓いた馬が、砂の短距離で自分の居場所を見つけた瞬間だった。ここから、四年におよぶ長い出世の旅が始まる。

一勝、また一勝 ― 池添謙一と出世の階段

ダートに転じてからのサンライズアムールは、着実に階段を上っていった。2022年秋、中京で一勝クラスを福永祐一で、続く阪神の二勝クラスを池添謙一で連勝する。この阪神が、のちにこの馬へ最も多く跨ることになる池添との、最初の一戦だった。 2023年は川田将雅の手で始まる。一番人気に推された伊賀ステークスは五着と足踏みしたが、春に条件を勝ち上がり、京都グランドオープンで三着と古馬のオープンに手をかけた。そして10月、京都ダート1200メートルの藤森ステークス。再び手綱を取った池添が好位からロスなく運び、直線で抜け出して、これがオープン特別の初勝利となった。一番人気の期待に、きっちり応えた勝ちだった。 もっとも、勝ちきれない日も少なくない。一番人気で臨んだりんくうステークスは二着。掲示板の常連でありながら、あと一歩が遠い時期が続く。それでも敗れるたびに格上のレースへ挑み、砂の短距離を舞台に、少しずつ地力を蓄えていった。

一番人気の重さ ― 敗れて、また勝つ

力をつけるほど、サンライズアムールは支持を集めた。だが一番人気の重さは、ときに牙をむく。2024年春の天王山ステークスは池添を背に一番人気で八着。翌2025年春、ルメールに導かれた千葉ステークスも一番人気で九着、続く天王山ステークスは十一着と大きく崩れた。人気を裏切る敗戦が、栄光の谷間に影を落とす。 それでも、この馬は谷のたびに勝ち星で応えた。坂井瑠星と栗東ステークス(リステッド)をダート1400メートルで、ルメールとながつきステークスを、幸英明と水無月ステークスを――負けた数だけ、勝ちも積み上げていく。 2024年12月、初めての中央重賞となるカペラステークス(GⅢ)に挑み、中山のダート1200メートルで四着。タイトルには届かなかったが、重賞でも掲示板を外さない地力が、はっきりと形になっていた。砂のスペシャリストとして、馬は充実期に入りつつあった。

代打の手綱 ― 盛岡の初タイトル

2025年6月、阪神ダート1200メートルの水無月ステークスを幸英明で制すと、次に据えられたのは盛岡のクラスターカップ(JpnⅢ)だった。交流重賞。幸との継続コンビで挑むはずの一戦である。 ところが番狂わせは開催前に起きた。8月9日、中京競馬で幸が落馬し、右足を負傷。急きょ、手綱は地元岩手・水沢所属の高松亮に託された。2004年に免許を得て、地方で二千を超える勝ち鞍を重ねてきたベテランだが、ダートグレードのタイトルには、まだ手が届いていなかった。 8月11日、盛岡。一番人気のサンライズアムールは、ゲートを出るとためらわず先手を取る。逃げるだけの脚が、この馬にはあった。ラチ沿いを離さず、追いすがるキャンディドライヴをクビ差だけ抑え込む。武豊が跨る二番人気チカッパの猛追も、届かなかった。六歳にして掴んだ、初めての重賞タイトル。そして高松にとっても、ダートグレード初勝利を、ほかならぬ地元・盛岡で果たした一日だった。 レースの後、代打の男の言葉には、勝利の高揚だけではないものがにじんでいた。「幸騎手がけがをされてしまったということで、急きょの乗り替わりで騎乗したのですけど、手放しに喜べることではありませんが、この馬のことだけ考えて一生懸命、乗りました」[^1]。仲間の不運の上に回ってきた手綱を、馬のためだけに握り締めた、正直な述懐だった。

出典:スポーツ報知「【クラスターC】サンライズアムールが重賞初V 代打の高松亮騎手がダートグレード初勝利「地元で勝つことができた」」2025年8月11日配信、https://topics.smt.docomo.ne.jp/article/hochi/sports/hochi-20250811-OHT1T51187、閲覧日:2026年7月19日。

JpnⅠの隣まで ― そして今

初タイトルを手に、サンライズアムールの2025年秋はさらに上を目指した。10月、大井の東京盃(JpnⅡ)では、再び池添謙一が手綱を取る。この馬に最も長く寄り添ってきた男との、久しぶりのコンビだった。好位から確かな手応えで運んだが、直線で内から一頭に鋭く差され、三着。抜け出しかけた一瞬の差し返しに屈した、惜しい負けだった。 11月、船橋のJBCスプリント(JpnⅠ)。オーストラリア遠征から戻ったばかりの松山弘平が、ひさしぶりに跨った。ダート1000メートルの頂上決戦で、勝ったファーンヒル、そしてスプリンターズステークスを制した女傑ママコチャに次ぐ三着。JpnⅠの表彰台という、キャリアで最も高い場所に、この馬は自らの脚で立った。芝で躓き、砂に居場所を見つけ、幾人もの手綱に託されながら登ってきた旅が、最高峰の一線に半歩まで迫った瞬間だった。 続く12月のカペラステークス(GⅢ)は六着。年が明けた2026年6月の水無月ステークスは七着と、頂の空気は薄い。それでも、七歳になった今も、サンライズアムールは現役の砂の短距離馬として走り続けている。芝から始まり、勝ち星と黒星を等しく重ね、JpnⅠの隣まで辿り着いた栗毛の旅は、まだ終わっていない。ゲートが開けば、この馬はまた迷わず先手を取り、前へ出ていくのだろう。

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