名馬の記憶を、
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年表ICHINEN-ISSO — 2400m

BOKUJŌ-CHŌ — HOKKAIDO

牧場帖

一年ずつ、顔ぶれをたどる。引退した名馬たちの繋養・在籍と映像を綴る帳面。
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名馬録

この世代(生まれ年)

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ステラヴェローチェのイメージビジュアル
ステラヴェローチェStella Veloce
Stella Veloce

ステラヴェローチェ

通算成績19戦4勝

獲得賞金37,563万円

生年月日 2018.02.19(平成30年)毛色 青鹿毛

全成績

主要戦績(抜粋)・新しい順
ステラヴェローチェの成績一覧
年月日着順レースコース人気騎手タイム上り3F映像
9 GI天皇賞(秋) 東京 芝2000 13人気 佐々木大輔 1:58.0 上り33.5映像
6 GII産経賞オールカマー 中山 芝2200 2人気 横山典弘 2:12.2 上り34.5映像
3 GII札幌記念 札幌 芝2000 4人気 横山典弘 2:00.0 上り34.9映像
9 GI安田記念 東京 芝1600 7人気 横山典弘 1:33.0 上り34.1映像
4 GI大阪杯 阪神 芝2000 7人気 酒井学 1:58.3 上り34.2映像
1 L大阪城S 阪神 芝1800 5人気 酒井学 1:45.4 上り34.5
16 GIII東京中日S杯武蔵野S 東京 ダ1600 7人気 M.デムーロ 1:38.0 上り39.0映像
7 GII富士S 東京 芝1600 8人気 M.デムーロ 1:32.4 上り35.4映像
9 GIドバイシーマクラシック メイダン 芝2410 3人気 M.デムーロ 映像
2 GII日経新春杯 中京 芝2200 1人気 M.デムーロ 2:11.8 上り34.7映像
4 GI有馬記念 中山 芝2500 3人気 M.デムーロ 2:32.3 上り35.9映像
4 GI菊花賞 阪神 芝3000 2人気 吉田隼人 3:05.4 上り34.7映像
1 GII神戸新聞杯 中京 芝2200 2人気 吉田隼人 2:18.0 上り35.6映像
3 GI東京優駿 東京 芝2400 9人気 吉田隼人 2:22.7 上り33.4映像
3 GI皐月賞 中山 芝2000 6人気 吉田隼人 2:01.1 上り36.7映像
5 GIII共同通信杯 東京 芝1800 1人気 横山典弘 1:48.1 上り33.6映像
2 GI朝日杯フューチュリティステークス 阪神 芝1600 2人気 横山典弘 1:32.4 上り33.5映像
1 GIIIサウジアラビアロイヤルカップ 東京 芝1600 3人気 横山典弘 1:39.6 上り36.8映像
1 2歳新馬 阪神 芝1600 2人気 川田将雅 1:36.4 上り35.7

血統

金色の名は 名馬ジャーニー に掲載 — その馬のページへ
ステラヴェローチェの血統表(左から親・祖父母・曽祖父母)
バゴBagoNashwanBlushing Groom
Height of Fashion
Moonlight's BoxNureyev
Coup de Genie
オーマイベイビーディープインパクトDeep ImpactサンデーサイレンスSunday Silence
ウインドインハーヘアWind in Her Hair
オールザウェイベイビーGrand Slam
Lustily

引退後・牧場での映像

ゴール板の先の時間
STORY

旅程 — この馬の物語

2018年生まれの青鹿毛の牡馬。父バゴ、母オーマイベイビー。主な勝ち鞍はサウジアラビアRC・神戸新聞杯。

星は、速く ― 名前と血

ステラヴェローチェ。イタリア語で「星」と「速い」を継いだその名は、そのまま「速い星」を意味する。 2018年2月19日、ノーザンファームに生まれた青鹿毛の牡馬。父は2004年の凱旋門賞を制したフランスの強豪バゴで、日本でこの血は、宝塚記念と有馬記念を制した名牝クロノジェネシスを送り出している。母オーマイベイビーの父はディープインパクト。欧州の重厚な底力に、日本のスピードを掛け合わせた配合だった。 そして母の一族には、一頭の名がある。祖母オールザウェイベイビーが産んだ叔父ゴスホークケンは、2007年の朝日杯フューチュリティステークスを勝った2歳王者だった。その同じレースが、十三年後にこの馬を待っている――だが、それはまだ先の話だ。 馬主は大野剛嗣。ホテル経営からモータースポーツまで手を広げた実業家で、「Max Racing」の勝負服は赤に緑の袖。2020年7月5日、阪神の芝1600m、川田将雅を背にした新馬戦を、この速い星は危なげなく勝ち上がった。

朝日杯の二着 ― 叔父の走った道

デビューから三か月、東京の芝1600mで行われたサウジアラビアロイヤルカップ。横山典弘に乗り替わったステラヴェローチェは、ここを制して重賞初制覇を飾る。世代の一角として、確かに名乗りを上げた一戦だった。 迎えた十二月、阪神の朝日杯フューチュリティステークス。叔父ゴスホークケンが十三年前に勝った、その舞台である。2番人気に推されたこの馬は、直線で馬群を割って鋭く伸びた。だが前には、二歳コースレコードの1分32秒3で押し切ったグレナディアガーズがいた。わずかに及ばず、二着。 叔父が勝った同じレースで、甥はマイル王のタイトルに手を伸ばしながら、あと一歩で届かなかった。届きそうで届かない――この馬の物語の音色が、早くもここに響いていた。

三着、また三着 ― クラシックの春

年が明け、共同通信杯。1番人気に支持されたが、勝ったのは4番人気のエフフォーリア。デビューから無傷の三連勝を飾ったこの馬に、ステラヴェローチェは五着と初めて後れを取る。以後この世代は、長くエフフォーリアの名とともに語られることになる。 吉田隼人に手綱を託した皐月賞。中山の直線、ステラヴェローチェはインコースを突いて伸びた。だが三馬身先にはエフフォーリアがいて、二着タイトルホルダーとはクビ差の三着。 続く日本ダービー。9番人気と評価を落としたこの馬は、後方から直線で大外に持ち出し、猛然と追い込んだ。上がりは33秒4――勝ったシャフリヤール、二着エフフォーリアと並ぶ、出走馬中の最速タイ。それでも前の二頭を捕らえきれず、一馬身四分の一差の三着だった。 二度のクラシックで、三着。世代の頂にあとわずかで届かない位置で、この馬はいつも脚を余していた。

神戸新聞杯 ― 最初のタイトル

秋、中京の神戸新聞杯。吉田隼人とのコンビで、ステラヴェローチェはついに突き抜けた。直線で馬群の中央を割ると、先に抜け出したレッドジェネシスを半馬身捕らえてゴール。重賞二勝目にして、クラシックで奪えなかった「勝ち」を、ようやくこの手に掴んだ一戦だった。 だが菊花賞では、また扉の前で止まる。逃げたタイトルホルダーが後続を大きく突き放して圧勝するなか、ステラヴェローチェは上がり34秒7の最速タイの脚で追い上げたが、四着。 暮れの有馬記念は、鞍上をミルコ・デムーロに替えて臨んだ。三歳で古馬の一線級に挑み、勝ったエフフォーリアと並ぶ最速上がり35秒9で猛追して四着。負けはしたが、世代の枠を越えて通用することを、確かに示していた。

二〇二二年三月 ― 主を喪って

四歳初戦の日経新春杯。1番人気に応えて突き抜けることはできず二着だったが、この馬はまだ上を目指せる位置にいた。次の照準は海外――ドバイシーマクラシックである。 だが、その遠征を前に、悲報が届く。2022年3月2日、馬主・大野剛嗣が五十歳の若さで急逝した。愛馬がまさに世界へ挑もうとする、その矢先のことだった。 主を喪ったまま、ステラヴェローチェはメイダンのゲートに立った。3番人気。しかし異国の芝2410mで見せ場をつくれず九着に沈む。そして帰国後、この馬を屈腱炎が襲った。競走馬にとって、しばしば引退を意味する脚元の故障である。須貝尚介の厩舎は、逝った馬主に何かひとつ良い報告を届けたい一心で、この馬を諦めなかった。一年七か月――長い夜が、静かに始まった。

二年五か月ぶり ― 帰還

2023年十月、富士ステークスでステラヴェローチェは戻ってきた。だが一年七か月のブランクは重く、七着。続く武蔵野ステークスでは初めてダートを試して十六着と大敗し、かつての切れ味は影も見えなかった。 陣営は脚元と相談しながら、坂路を中心とした慎重な調整を積み重ねる。そして2024年3月3日、阪神の大阪城ステークス。トップハンデを背負ったこの馬は、酒井学を背に好位から抜け出し、デビットバローズとの叩き合いをアタマ差で制した。2021年秋の神戸新聞杯以来、実に二年五か月ぶりの勝利だった。 この復活は、まぐれではなかった。続く大阪杯で、GIの一線級を相手に四着。屈腱炎から還ってきた馬が、もう一度、頂点の景色の近くまで駆け上がっていた。

静内へ ― 星を継ぐ

六歳の夏から秋、ステラヴェローチェはなお走り続けた。安田記念九着、札幌記念三着、オールカマー六着。そして2024年10月27日、天皇賞(秋)。佐々木大を背にした東京2000mが、通算十九戦目にして最後の一戦となる。九着だった。 その年の十一月六日、JRAの登録を抹消。引退後は日本軽種馬協会が種牡馬として迎え、2025年から北海道・新ひだか町の静内種馬場で供用されることになった。 GIには、ついに手が届かなかった。皐月賞三着、ダービー三着、菊花賞四着――常にあと一歩、頂の手前で脚を余した馬。だが、叔父の走った朝日杯の道をなぞり、主を喪い、引退の淵から二年五か月をかけて還ってきたこの星は、勝ち鞍の数では測れない道のりを、確かに走り切った。速い星の血は、いま日高の空の下で、次の世代へと受け継がれてゆく。

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