名馬の記憶を、
再生する。

年表ICHINEN-ISSO — 2400m

BOKUJŌ-CHŌ — HOKKAIDO

牧場帖

一年ずつ、顔ぶれをたどる。引退した名馬たちの繋養・在籍と映像を綴る帳面。
HORSES

名馬録

この世代(生まれ年)

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サウンドスカイのイメージビジュアル
サウンドスカイSound Sky
Sound Sky

サウンドスカイ

通算成績18戦4勝

獲得賞金7,346万円

生年月日 2013.03.23(平成25年)毛色 栗毛

全成績

主要戦績(抜粋)・新しい順
サウンドスカイの成績一覧
年月日着順レースコース人気騎手タイム上り3F映像
11 OP巴賞 函館 芝1800 11人気 加藤祥太 1:51.7 上り36.7
11 OP大沼S 函館 ダ1700 11人気 菱田裕二 1:46.8 上り38.4
14 OPオアシスS 東京 ダ1600 15人気 岡田祥嗣 1:38.4 上り37.3
15 OPすばるS 京都 ダ1400 16人気 高倉稜 1:26.1 上り37.7
14 OPベテルギウスS 阪神 ダ1800 16人気 松若風馬 1:54.2 上り38.6
15 OP霜月S 東京 ダ1400 15人気 菱田裕二 1:24.9 上り36.5
14 OPグリーンチャンネルカップ 東京 ダ1400 15人気 勝浦正樹 1:23.3 上り35.7
10 OPエニフS 阪神 ダ1400 12人気 高倉稜 1:24.6 上り36.0
12 OP阿蘇S 小倉 ダ1700 13人気 高倉稜 1:47.2 上り38.5
13 OP名鉄杯 中京 ダ1800 12人気 高倉稜 1:53.6 上り38.4
14 OP天保山S 阪神 ダ1400 8人気 高倉稜 1:25.0 上り38.1
16 OPすばるS 京都 ダ1400 7人気 松田大作 1:26.1 上り39.2
1 JpnⅠ全日本2歳優駿 川崎 ダ1600 1人気 戸崎圭太 1:43.1 上り39.6
1 JpnⅡ兵庫ジュニアグランプリ 園田 ダ1400 1人気 戸崎圭太 1:28.6 上り37.9
1 なでしこ賞 京都 ダ1400 5人気 福永祐一 1:25.2 上り38.1
1 2歳未勝利 阪神 ダ1400 2人気 戸崎圭太 1:26.4 上り38.2
9 2歳未勝利 小倉 芝1800 2人気 小牧太 1:49.9 上り36.6
4 2歳新馬 新潟 芝1600 4人気 小牧太 1:38.0 上り33.3

血統

金色の名は 名馬ジャーニー に掲載 — その馬のページへ
サウンドスカイの血統表(左から親・祖父母・曽祖父母)
ディープスカイDeep SkyアグネスタキオンAgnes TachyonサンデーサイレンスSunday Silence
アグネスフローラ
アビAbiChief's Crown
Carmelized
アンジェラスキッスGone WestMr. Prospector
Secrettame
River FairyIrish River
Fairy Garden
STORY

旅程 — この馬の物語

2013年生まれの栗毛の牡馬。父ディープスカイ、母アンジェラスキッス。

静内御園、三十一戦の母から

アンジェラスキッスは、日本で三十一回走って、一度だけ勝った。 2004年にアメリカで生まれ、新ひだか町のフジワラファームを興した藤原昭三の所有馬として海を渡ってきた牝馬である。中央で二十三戦、地方で八戦。勝ち星は2007年の一度きりだった。数字だけを並べれば、競馬場のどこにでもいる一頭になる。 引退した彼女は、静内御園のフジワラファームで繁殖牝馬になった。1958年に創業されたこの牧場は、菊花賞のコクサイプリンス、フェブラリーステークスとジャパンカップダートのウイングアローを世に出し、2007年には全日本2歳優駿の勝ち馬イイデケンシンを送り出している。三十一戦一勝の母は、その血の流れの端に立った。 2013年3月23日、彼女に栗毛の牡が生まれる。父はディープスカイ——アグネスタキオン産駒で、2008年のNHKマイルカップと日本ダービーを続けて勝っている。母はこの種牡馬に三度配され、三度とも栗毛の牡が生まれた。二年前のディープミタカ、この年のこの馬、翌年のトライデントミノル。 2014年夏、北海道サマーセールの一歳市場に上場されたこの馬を、1134万円で落札したのが増田雄一だった。増田の冠名「サウンド」は、言葉の響きに由来する。そこに、父の名の後半がそのまま重なっている。サウンドスカイ。

芝で届かなかった二戦

デビューは2015年8月16日、新潟の芝1600m。18頭立ての大外18番、鞍上は小牧太、単勝10.5倍の4番人気。道中は後方に置き、直線だけで押し上げた。上がり3ハロン33秒3。だが前を捕まえきる前にゴールが来て、勝ったディーズプラネットから0秒2差の4着に終わる。 三週間後の9月5日、小倉の芝1800m。2番人気に支持されながら9着。前走で見せた末脚は、この日は形にならなかった。 芝で二戦、勝ち上がれない。陣営が次に選んだ舞台は、砂だった。

砂に替えた秋

9月27日、阪神のダート1400m。鞍上に戸崎圭太を迎えた2歳未勝利戦で、2番人気に応えて先頭でゴールした。二着メイショウノボサンとの差は2馬身、0秒3。三戦目にして初勝利である。 一か月後の10月25日、京都のダート1400m・なでしこ賞。今度は福永祐一が跨り、単勝15.4倍の5番人気という評価だった。後方で脚を溜め、直線は外へ。コパノディールを0秒4差で差し切って、あっさり二連勝を決める。 芝の二戦で足りなかったものが、砂の上では過不足なく足りていた。同じ馬の、同じ末脚だった。

園田、四コーナーの大外

11月25日、園田のダート1400m、兵庫ジュニアグランプリ。中央と地方の垣根を越えて争われるJpnIIで、単勝2.1倍の1番人気に推された。 稍重の馬場を中団で追走し、四コーナーで大外へ持ち出す。逃げ粘るコウエイテンマを直線で捉え、0秒2差。重賞初制覇、そして三連勝だった。 この馬を管理していたのは栗東の佐藤正雄である。岩手県出身の元騎手で、1993年に鞍を降りたのち1999年に厩舎を開き、2012年、ワンダーアキュートのJBCクラシックで開業十四年目のGI級初制覇にたどり着いていた。増田の勝負服——青地に黄の鋸歯形——も、この厩舎からサウンドリアーナでファンタジーステークスを、サウンドガガでスパーキングレディーカップを勝っている。だが、GI級のタイトルにだけは、まだ手が届いていなかった。

十二月十六日、川崎

2015年12月16日、川崎のダート1600m。全日本2歳優駿、稍重、11頭立て。単勝3.1倍の1番人気。 道中は五番手。前ではアンサンブルライフが粘り込みを図っている。直線でサウンドスカイがこれを捉え、そこへ追い込んできたレガーロを1馬身半だけ突き放してゴールに入った。1分43秒1。四連勝で、その年のダート二歳王者になった。 ディープスカイの産駒が獲った、最初のGI級タイトルである。増田雄一にとっても、馬主として初めてのGI級制覇だった。佐藤にとっては、ワンダーアキュートに続く二頭目のGI級勝ち馬。そしてフジワラファームは、イイデケンシンから八年を経て、ふたたび全日本2歳優駿の勝ち馬を送り出した。 サマーセールで1134万円の値が付いた栗毛が、その全部を一度に返した一日だった。まだ2歳の十二月である。

戻らなかった一年

3歳の2016年、サウンドスカイは一度もゲートに入らなかった。故障などがあり、一年をまるごと休んだ。 2017年1月21日、京都のすばるステークスで復帰する。単勝16.9倍の7番人気、16頭立ての16着。勝ち馬から2秒9離れていた。 そこから先が長かった。天保山ステークス、名鉄杯、阿蘇ステークス、エニフステークス、グリーンチャンネルカップ、霜月ステークス、ベテルギウスステークス。年が明けてすばるステークス、オアシスステークス、大沼ステークス。復帰後の十二戦は、すべて二桁の着順で終わっている。単勝オッズは三桁が当たり前になり、四百倍を超えた日もあった。獲得賞金は、2歳の暮れに刻まれた数字から一円も動かなかった。 鞍上も替わり続けた。松田大作、高倉稜、勝浦正樹、菱田裕二、松若風馬、岡田祥嗣、加藤祥太。川崎で手綱を取った戸崎が、この馬の背に戻ってくることはなかった。 2018年2月28日、佐藤正雄が定年で調教師を引退する。1999年から十九年続いた厩舎が閉じた。サウンドスカイは、同じ栗東でその年に開業したばかりの高柳大輔のもとへ移る。高柳厩舎の初出走は3月3日、初勝利は4月8日。開業一年目の厩舎に、JpnIを勝ったことのある5歳馬が入った。 最後の一戦は7月1日、函館の巴賞。芝1800m。2015年9月の小倉以来の芝だった。11着。その五日後、7月6日付でJRA競走馬登録を抹消される。18戦4勝。四つの勝ち星はすべて、2歳の秋から冬にかけての三か月の中に収まっていた。

日高に立つ

抹消の時点では、乗馬になる予定だったという。それがオーナーサイドの意向で変わり、2018年の夏、新冠町の優駿スタリオンステーションでの種牡馬入りが決まった。1134万円の一歳馬から始まった関係の、いちばん静かな決着である。最初のGI級を運んできた馬に、増田は血を残す場所を用意した。 産駒は地方の競馬場を走っている。園田のアコーダンス、笠松のスカイオージ、園田のチーフインザスカイ。頭数は多くない。ただ、アコーダンスを生産したのはフジワラファームだった。この馬自身が生まれ、母アンジェラスキッスが仔を産み続けた、静内御園のあの牧場である。 父ディープスカイは2021年に種牡馬を退き、引退馬協会に引き取られて日高町で余生を送っている。息子は同じ日高町の牧場に立ち、2026年度の種付料が公示されている。今年で13歳になった。 新潟の芝で追い込み、砂に替えて四つ勝ち、最後にまた芝へ戻って走り終えた馬である。あの十二月十六日以降、彼の名が着順表の一番上に載ることは二度となかった。それでも、川崎の一分四十三秒一は記録に残り続ける。全日本2歳優駿の歴代優勝馬の欄に並ぶ七文字は、動かないからこそ、消えない。

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