名馬の記憶を、
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年表ICHINEN-ISSO — 2400m

BOKUJŌ-CHŌ — HOKKAIDO

牧場帖

一年ずつ、顔ぶれをたどる。引退した名馬たちの繋養・在籍と映像を綴る帳面。
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スマイルスルーのイメージビジュアル
スマイルスルーSmile Through
Smile Through

スマイルスルー

通算成績19戦5勝

獲得賞金11,609万円

生年月日 2020.04.15(令和2年)毛色 鹿毛セン

全成績

主要戦績(抜粋)・新しい順
スマイルスルーの成績一覧
年月日着順レースコース人気騎手タイム上り3F映像
3 OPソレイユジャンプS 小倉 障3390 1人気 高田潤 3:45.2 上り13.3
2 OP三木ホースランドパークJS 阪神 障3140 2人気 高田潤 3:31.5 上り13.5
6 JGⅠ中山グランドJ 中山 障4260 3人気 高田潤 4:54.1 上り13.8
1 JGⅢ小倉ジャンプS 小倉 障3390 1人気 高田潤 3:44.7 上り13.3映像
1 JGⅢ京都ジャンプS 京都 障3170 1人気 高田潤 3:33.4 上り13.5映像
1 OP清秋ジャンプS 中山 障3210 4人気 高田潤 3:29.3 上り13.0
1 障害3歳上未勝利 京都 障2910 1人気 高田潤 3:16.7 上り13.5
2 障害4歳上未勝利 福島 障2770 1人気 森一馬 3:00.7 上り13.0
3 障害4歳上未勝利 小倉 障2860 1人気 森一馬 3:11.9 上り13.4
2 障害4歳上未勝利 小倉 障2860 4人気 森一馬 3:09.5 上り13.3
10 3歳以上1勝クラス 京都 ダ1800 10人気 北村友一 1:54.1 上り38.3
15 岩船特別 新潟 芝2200 9人気 北村友一 2:18.6 上り38.3
5 メルボルンT 京都 芝1600 5人気 団野大成 1:34.4 上り35.1
13 わらび賞 新潟 ダ1800 11人気 角田大和 1:56.0 上り40.9
1 3歳未勝利 小倉 ダ1700 3人気 B.ムルザバエフ 1:46.2 上り39.0
5 3歳未勝利 中京 ダ1900 1人気 D.イーガン 2:03.5 上り39.4
4 2歳未勝利 阪神 芝2000 3人気 B.ムルザバエフ 2:01.8 上り36.0
2 2歳未勝利 阪神 芝2000 2人気 北村友一 2:01.4 上り35.2
3 2歳新馬 中山 芝2000 4人気 横山武史 2:02.7 上り37.2

血統

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スマイルスルーの血統表(左から親・祖父母・曽祖父母)
ルーラーシップRulershipキングカメハメハKing KamehamehaKingmambo
マンファス
エアグルーヴAir Grooveトニービン
ダイナカール
スマイルシャワーシンボリクリスエスSymboli Kris SKris S.
Tee Kay
サンデースマイルIIサンデーサイレンス
センセーション
STORY

旅程 — この馬の物語

2020年生まれの鹿毛のせん馬。父ルーラーシップ、母スマイルシャワー。主な勝ち鞍は京都ジャンプS・小倉ジャンプS。

三つのスマイル ― 名と血

母系をさかのぼると、「スマイル」がひとつずつ灯っている。母スマイルシャワー、その母サンデースマイル――父はサンデーサイレンス。三代にわたって受け継がれた笑顔の名を、この鹿毛は「スマイルスルー」として引き継いだ。笑顔を絶やさない、という願いが込められている。 父はルーラーシップ。香港のクイーンエリザベス2世カップを制した中距離の強者で、その母は女帝と呼ばれたエアグルーヴキングカメハメハの血を引く、力の要る舞台で光る血統である。2020年4月15日、ノーザンファームに生まれ、吉田勝己の勝負服を着ることになった。母系の願いとは裏腹に、この馬に用意されていたのは、笑顔だけでは越えられない壁の連続だった。 2022年9月、中山の芝2000メートルの新馬戦。鞍上は横山武史。4番人気で3着。旅は、勝ち星のない一日から静かに始まった。

平地の壁 ― 九戦に一つの白星

デビュー戦の3着から、次走は北村友一を背に2番人気で2着。惜しいところまでは来る。だが勝ち切れない。年が明けても未勝利のまま、芝からダートへ舞台を移していく。 初めて掲示板の頂に立ったのは、2023年2月、小倉のダート1700メートルだった。ムルザバの手綱で3番人気に応え、ようやく初勝利。しかしその先が長かった。クラスがひとつ上がった途端、歯車が噛み合わなくなる。わらび賞で13着、岩船特別で15着、京都の1勝クラスで10着――芝もダートも、距離も試したが、平地では二つ目の白星が最後まで遠かった。平地成績、九戦一勝。母の名がくれた笑顔は、このあたりで一度、翳りかけていた。

障害へ ― 森一馬の惜敗、そして高田潤

四歳になった2024年、陣営は路線を大きく切り替えた。障害である。平地で頭打ちになった馬が飛越に活路を見いだすのは珍しくないが、そこにもまた、勝ち切れない癖はついて回った。森一馬を背にした障害未勝利戦を、2着、3着、2着。飛越の形は悪くない。だが、あと半歩が届かない。 手綱が高田潤に替わったのは、6月9日の京都だった。1999年のデビュー以来、障害一筋で腕を磨いてきたベテラン――のちに障害重賞の最多勝記録を打ち立てることになる名手が跨ると、スマイルスルーはあっさり障害初勝利を挙げた。惜敗を重ねた鹿毛と、飛越を知り尽くした男。ここから、二人三脚が始まる。

三連勝 ― 清秋・京都・小倉

高田を得たスマイルスルーは、別の馬のように駆け上がっていく。9月、中山の清秋ジャンプステークスをレコードで制すると、11月の京都ジャンプステークスでは、障害重賞(J・GⅢ)の初挑戦をいきなり8馬身差の圧勝で飾った。1番人気に、これ以上ない答えである。 「強いのひとことに尽きます」[^1]。レース後、高田はそう言い切った。それでいて飛越はまだ荒削りで、追えばもっと伸びる――伸びしろこそがこの馬だと、手綱を取る本人が誰より確信していた。年が明けた2025年2月、小倉ジャンプステークスも危なげなく制し、障害重賞を連勝。九戦一勝で平地を去った馬が、飛越の世界で1番人気を背負い、それに応え続ける存在になっていた。

出典:ラジオNIKKEI「【京都ジャンプS】(京都)新鋭スマイルスルーが圧巻の競馬で重賞初制覇」2024年11月9日配信、https://www.radionikkei.jp/keiba_article/news/post_33517.html、閲覧日:2026年7月17日。

大障害の壁、旅はまだ続く

連勝の勢いのまま、2025年4月、スマイルスルーは中山グランドジャンプへ向かった。距離4260メートル、大障害。日本の障害競走が一年でもっとも高く掲げる頂である。初めての距離、初めての斤量、初めての大障害コース。3番人気に推された鹿毛は、リズムをつかみきれないまま6着に終わった。 「たくさんの支持に応えることが出来ず申し訳ありませんでした」[^1]。高田は、勝てなかった責めを馬ではなく自らに引き受けた。頂の一歩手前で、コンビは初めて壁の高さを知った。 それでも旅は途切れない。2026年3月、阪神の三木ホースランドジャンプステークスで2番人気に応えて2着。7月18日には、かつて重賞を制したのと同じ小倉の障害3390メートル、ソレイユジャンプステークスに戻ってきた。1番人気。だが飛越を重ねた末の着順は3着だった。勝った日と同じコースで、今度は前を行く二頭を捉えきれない。頂を目指す脚は、まだ確かに残っている。母系から受け継いだ三つ目の笑顔は、飛越の世界で、もう一度あの高い障害へ挑む日を待っている。

出典:競馬ラボ「やはりタフなレースでした…【高田潤コラム】」2025年4月配信、https://www.keibalab.jp/topics/45130/、閲覧日:2026年7月17日。

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