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シリウスコルト
通算成績22戦4勝
獲得賞金1億5,400万円
生年月日 2021.03.22(令和3年)毛色 鹿毛性 牡
全成績
主要戦績(抜粋)・新しい順| 年月日 | 着順 | レース | コース | 人気 | 騎手 | タイム | 上り3F | 映像 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 10 | GIII関屋記念 | 新潟 芝1600 | 4人気 | 田辺裕信 | 1:35.7 | 上り37.4 | 映像 | |
| 14 | GI安田記念 | 東京 芝1600 | 15人気 | 横山和生 | 1:33.2 | 上り33.6 | 映像 | |
| 5 | GII京王杯SC | 東京 芝1400 | 11人気 | 田辺裕信 | 1:19.4 | 上り33.4 | — | |
| 13 | GIIIダービー卿CT | 中山 芝1600 | 5人気 | 三浦皇成 | 1:34.8 | 上り36.7 | 映像 | |
| 5 | GIII東京新聞杯 | 東京 芝1600 | 13人気 | 三浦皇成 | 1:32.4 | 上り33.7 | 映像 | |
| 13 | GIII中山金杯 | 中山 芝2000 | 6人気 | 三浦皇成 | 2:01.0 | 上り34.8 | 映像 | |
| 5 | GIII福島記念 | 福島 芝2000 | 5人気 | 古川吉洋 | 2:00.4 | 上り33.9 | 映像 | |
| 11 | GII毎日王冠 | 東京 芝1800 | 6人気 | 古川吉洋 | 1:45.2 | 上り34.5 | 映像 | |
| 8 | GIII七夕賞 | 福島 芝2000 | 3人気 | 古川吉洋 | 2:01.8 | 上り36.9 | 映像 | |
| 1 | GIII新潟大賞典 | 新潟 芝2000 | 8人気 | 古川吉洋 | 2:00.5 | 上り34.6 | 映像 | |
| 1 | L福島民報杯 | 福島 芝2000 | 3人気 | 古川吉洋 | 1:59.8 | 上り35.7 | — | |
| 2 | L六甲S | 阪神 芝1600 | 7人気 | 古川吉洋 | 1:32.2 | 上り34.0 | — | |
| 11 | LリゲルS | 京都 芝1600 | 6人気 | 藤岡佑介 | 1:34.7 | 上り35.6 | — | |
| 14 | GIII福島記念 | 福島 芝2000 | 5人気 | 高杉吏麒 | 2:02.9 | 上り39.2 | 映像 | |
| 9 | GIII小倉記念 | 中京 芝2000 | 3人気 | 西村淳也 | 1:57.3 | 上り35.6 | 映像 | |
| 2 | GIIIラジオNIKKEI賞 | 福島 芝1800 | 4人気 | 三浦皇成 | 1:45.3 | 上り34.5 | 映像 | |
| 14 | GI皐月賞 | 中山 芝2000 | 13人気 | 三浦皇成 | 1:58.6 | 上り36.6 | 映像 | |
| 3 | GII弥生賞ディープ記念 | 中山 芝2000 | 9人気 | 三浦皇成 | 2:00.2 | 上り35.5 | 映像 | |
| 6 | GIホープフルS | 中山 芝2000 | 9人気 | 三浦皇成 | 2:00.8 | 上り35.8 | 映像 | |
| 1 | OP芙蓉S | 中山 芝2000 | 4人気 | 三浦皇成 | 2:03.0 | 上り35.6 | — | |
| 5 | GIII新潟2歳S | 新潟 芝1600 | 12人気 | 三浦皇成 | 1:34.6 | 上り33.2 | 映像 | |
| 1 | 2歳新馬 | 福島 芝1200 | 10人気 | 丸田恭介 | 1:11.3 | 上り35.1 | — |
血統
金色の名は 名馬ジャーニー に掲載 — その馬のページへ| 父マクフィ 鹿毛 | Dubawi 鹿毛 | Dubai Millennium |
| Zomaradah | ||
| Dhelaal 鹿毛 | Green Desert | |
| Irish Valley | ||
| 母オールドフレイム 青鹿毛 | ゼンノロブロイ 黒鹿毛 | サンデーサイレンス |
| ローミンレイチェル | ||
| オーラオブザムーン 鹿毛 | Tiznow | |
| レディジョアン |
旅程 — この馬の物語
2021年生まれの鹿毛の牡馬。父マクフィ 鹿毛、母オールドフレイム 青鹿毛。主な勝ち鞍は新潟大賞典。
もっとも明るい星 ― 名と血
夜空でもっとも明るい星の名を、この鹿毛の牡馬は負っている。シリウスコルト。おおいぬ座の首もとで青白く燃える全天一の一等星、シリウス――冬の府中の空にも、いちばん早く見つかる光だ。 2021年3月22日、日高・千代田牧場に生まれた。父はマクフィ。2010年の英2000ギニーを9番人気で差し切り、続くジャック・ル・マロワ賞では女傑ゴルディコヴァまで捉えてみせた、伏兵の英国マイラーである。母はオールドフレイム――『古い炎』。その父はゼンノロブロイ、2004年に天皇賞・秋、ジャパンカップ、有馬記念を立て続けに制して年度代表馬に輝いた底力の名血だ。母の名は炎、その母はオーラオブザムーン――『月の暈』。血をさかのぼると、母系にはいくつもの光が灯っている。もっとも明るい星の名は、その灯りの先に置かれた。 馬主は千代田牧場の飯田正剛。黄色い勝負服を託されたこの星が、やがて一人の男の長い旅の、思いがけない到達点になる――そのことを、このときはまだ誰も知らない。 2023年7月1日、福島の芝1200メートル。10番人気の低評価をものともせず、後方から鋭く差し切ってデビュー戦を飾った。短距離のスプリントを、後ろから伸びて勝つ。のちに正反対の勝ち方で頂へ届く馬の物語は、この差し脚から始まった。
三浦皇成と見た夢 ― 二歳の秋からクラシックへ
二歳の夏から、手綱は三浦皇成に託された。8月の新潟2歳ステークス、12番人気の伏兵は上がり33秒2の脚で追い込んで5着。九月の芙蓉ステークスでは中山の2000メートルを制し、オープンの一戦を勝ち切ってみせる。距離が延びるほど、この馬は良くなった。 年末、中山のホープフルステークスへ。世代の頂点を争うGIに9番人気で挑み、低評価をはねのけて6着に走った。明けて三歳、報知弥生ディープ記念で3着に食い込むと、クラシックへの扉が開く。三浦を背に、シリウスコルトは皐月賞の舞台に立った。父も母の父も、遠い日にGIを沸かせた馬たちだ。世代の頂点は、決して手の届かない場所には見えなかった。
中山の落日 ― 皐月賞とそのあとの一年
2024年4月14日、皐月賞。13番人気。この日のシリウスコルトは、いつもの差しではなく、二番手からの積極策に出た。前半から前をうかがう強気の競馬。だが直線、脚は続かなかった。ずるずると後退し、14着。中山の坂の上で、クラシックの夢は音もなく消えた。 そこからが長かった。夏の福島、ラジオNIKKEI賞で2着に粘ったのを境に、勝ち星が遠のく。小倉記念9着、福島記念14着、暮れのリゲルステークス11着。三浦の手綱でも、乗り替わった鞍上でも、どうしても掲示板の内側へ届かない。二歳であれほど鮮やかだった差し脚は、古馬の重賞の壁の前で、行き場を失っていた。勝てない馬に、時間だけが積もっていく。
受け継ぐ ― 宗像義忠から田中勝春へ
転機は、人の側からやってきた。 2025年3月4日、宗像義忠が70歳の定年を迎え、厩舎を解散した。長く名馬を送り出してきた美浦の名門である。その翌日――3月5日、一人の男が十二の馬房を構えて厩舎を開いた。田中勝春。騎手として二十年以上ターフを駆け、通算1812勝、重賞51勝を積み上げ、2007年には皐月賞をヴィクトリーで制した男だ。だがその輝かしい数字の裏で、1990年代から2000年代半ばまで、GIを125回続けて勝てなかった時期があった。勝てない時間の重さを、誰よりも知る騎手だった。三度目の受験で調教師の免許を取り、54歳で第二の馬生を歩き始めた彼のもとへ、宗像厩舎から一頭が移ってくる。シリウスコルトだった。田中は騎手時代、宗像の管理馬で189もの白星を分け合ってきた。師の厩舎から託された馬で、新しい旅が始まる。 手綱はベテラン古川吉洋に替わった。3月の六甲ステークスで2着に迫ると、4月13日、福島民報杯を勝ち切る。開業からわずか一か月あまり、田中勝春が調教師として挙げた、JRA初勝利だった。
逃げ切り ― 新潟大賞典、勝春厩舎の初重賞
2025年5月17日、新潟大賞典。8番人気。古川吉洋は、スタートからためらわなかった。ハナを主張し、そのまま先頭で新潟の長い直線へ。二歳のデビュー戦では後方から差し切った馬が、いまは自ら逃げて、誰にも前を譲らない。二番手を2馬身振り切って、シリウスコルトは先頭でゴール板を駆け抜けた。重賞初制覇。そして田中勝春にとっては、調教師としての重賞初挑戦での、初制覇だった。 『こんなにすぐ勝てるとは……』[^1]。ゴールの瞬間、スタンドの田中はただ『頑張れ、頑張れ』と声をかけ続けていた。125回続けてGIに手が届かなかった男が、第二の馬生では、開業二か月で重賞のゴール板を先頭で見た。宗像から受け継いだ馬が、師の退いたその春に、新しい厩舎へ最初の大きな勲章を運んできたのだ。鞍上の古川も、かつての先輩騎手が手がける馬での勝利を噛みしめた。『先輩の馬で勝ててうれしい』[^2]。父マクフィが英2000ギニーを9番人気で制したように、その仔もまた、8番人気の低評価をはね返して新潟の頂に立つ。伏兵が、伏兵の血を継いでいた。
出典:サンケイスポーツ「【新潟大賞典】シリウスコルト鮮やか逃げ切りで重賞初勝利 重賞初挑戦Vの田中勝師『こんなにすぐ勝てるとは…』」2025年5月17日、閲覧日:2026年7月5日。/東京スポーツ「【新潟大賞典結果&コメント】シリウスコルト重賞初制覇 古川吉洋『先輩の馬で勝ててうれしい』」2025年5月17日、https://tospo-keiba.jp/breaking_news/58442、閲覧日:2026年7月5日。
星はまだ ― 二〇二六年、旅の途中で
栄光は長くは続かなかった。夏の七夕賞は3番人気で8着、秋の毎日王冠は11着、福島記念は5着。重賞の常連ではあり続けたが、あの新潟の逃げ切りを再現する日は、なかなか訪れない。 2026年、手綱にふたたび三浦皇成が戻ってきた。二歳の秋からクラシックまで、いちばん長くこの馬と夢を見た男である。中山金杯、東京新聞杯で5着、ダービー卿チャレンジトロフィー。かつての相棒は、若駒だったころとは違う、五歳になった星をもう一度導こうとした。春には田辺裕信を背に京王杯スプリングカップで5着。そして6月7日、東京の安田記念。1600メートルのGIに、キャリアで初めて挑んだ。横山和生を鞍上に果敢に流れへ乗ったが、一線級のマイラーが集う府中では14着に終わった。 それでも、この星はまだ夜空にある。21戦4勝。後方から差し切った二歳の夏があり、自ら逃げて重賞の頂に立った四歳の春があった。一人の騎手が二歳から見つづけた夢があり、勝てない時間を知り尽くした男へ、第二の馬生の最初の重賞を届けた一日があった。福島でデビューし、新潟で頂に届き、いまは府中のマイルにまで挑んでいる。母系に灯る光を継いで、シリウスコルトはなお走りつづける。夜空でもっとも明るい星の名にふさわしい一日を、この馬はもう一度、探している。旅は、まだ途中だ。
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