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ショウナンパンドラ
通算成績18戦5勝
獲得賞金6億768万円
生年月日 2011.03.10(平成23年)毛色 鹿毛性 牝
全成績
主要戦績(抜粋)・新しい順| 年月日 | 着順 | レース | コース | 人気 | 騎手 | タイム | 上り3F | 映像 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 3 | GIヴィクトリアマイル | 東京 芝1600 | 2人気 | 池添謙一 | 1:31.9 | 上り33.5 | 映像 | |
| 3 | GII産経大阪杯 | 阪神 芝2000 | 4人気 | 池添謙一 | 1:59.5 | 上り33.3 | — | |
| 1 | GIジャパンカップ | 東京 芝2400 | 4人気 | 池添謙一 | 2:24.7 | 上り33.9 | 映像 | |
| 4 | GI天皇賞(秋) | 東京 芝2000 | 5人気 | 池添謙一 | 1:58.6 | 上り33.4 | 映像 | |
| 1 | GII産経賞オールカマー | 中山 芝2200 | 3人気 | 池添謙一 | 2:11.9 | 上り34.1 | — | |
| 3 | GI宝塚記念 | 阪神 芝2200 | 11人気 | 池添謙一 | 2:14.6 | 上り34.7 | 映像 | |
| 8 | GIヴィクトリアマイル | 東京 芝1600 | 7人気 | 浜中俊 | 1:32.8 | 上り33.5 | 映像 | |
| 9 | GII産経大阪杯 | 阪神 芝2000 | 7人気 | 浜中俊 | 2:04.8 | 上り38.4 | — | |
| 6 | GIエリザベス女王杯 | 京都 芝2200 | 4人気 | 浜中俊 | 2:12.7 | 上り33.3 | 映像 | |
| 1 | GI秋華賞 | 京都 芝2000 | 3人気 | 浜中俊 | 1:57.0 | 上り34.3 | 映像 | |
| 2 | OP紫苑S | 新潟 芝2000 | 1人気 | 岩田康誠 | 2:03.3 | 上り35.7 | — | |
| 1 | 糸魚川特別 | 新潟 芝2000 | 1人気 | 岩田康誠 | 2:00.1 | 上り33.6 | — | |
| 2 | カーネーションC | 東京 芝1800 | 3人気 | C.ウィリアムズ | 1:47.7 | 上り33.0 | — | |
| 5 | OPスイートピーS | 東京 芝1800 | 1人気 | 川須栄彦 | 1:47.8 | 上り33.6 | — | |
| 5 | GIIIフラワーカップ | 中山 芝1800 | 1人気 | 浜中俊 | 1:51.8 | 上り36.6 | — | |
| 2 | OPエルフィンS | 京都 芝1600 | 1人気 | 浜中俊 | 1:38.0 | 上り34.0 | — | |
| 1 | 3歳未勝利 | 京都 芝2000 | 1人気 | 浜中俊 | 2:01.0 | 上り34.9 | — | |
| 2 | 2歳新馬 | 阪神 芝1800 | 2人気 | 浜中俊 | 1:49.2 | 上り33.4 | — |
血統
金色の名は 名馬ジャーニー に掲載 — その馬のページへ| 父ディープインパクトDeep Impact | サンデーサイレンスSunday Silence | Halo |
| Wishing Well | ||
| ウインドインハーヘアWind in Her Hair | Alzao | |
| Burghclere | ||
| 母キューティゴールド | フレンチデピュティFrench Deputy | Deputy Minister |
| Mitterand | ||
| ゴールデンサッシュ | ディクタスDictus | |
| ダイナサッシュ |
旅程 — この馬の物語
2011年生まれの鹿毛の牝馬。父ディープインパクト、母キューティゴールド。主な勝ち鞍は秋華賞・ジャパンC・産経賞オールカマー。
贈り物を与えられた女 ― 白老の三月
2011年3月10日、北海道白老町。社台コーポレーションの白老ファームで、ディープインパクトを父とする鹿毛の牝馬が生まれた。その翌日に、東日本大震災が起きている。 馬名は、馬主・国本哲秀の冠名「ショウナン」に、ギリシャ語のパンドラ――神から全ての贈り物を与えられた女――を重ねたもの。贈り物の名を負って、この牝馬は競走馬になった。 血の方は、日本競馬の一等地に近い。母キューティゴールドはステイゴールドの半妹。祖母ゴールデンサッシュはサッカーボーイの全妹で、その母ダイナサッシュはノーザンテースト産駒である。ロイヤルサッシュに遡る一族は、走る馬を出し続けてきた牝系だ。近親にはレクレドール、ドリームパスポート、ベルーフ、カラテらが並ぶ。 預かったのは栗東の高野友和。松田国厩舎の調教助手を経て2010年に調教師免許を取り、翌2011年に開業したばかりの若い師で、この時点ではまだ重賞をひとつも勝っていなかった。贈り物の名を持つ牝馬と、まだ重賞タイトルを持たない厩舎。旅はそこから始まる。
一番人気の二着 ― クラシックに乗り遅れて
2013年12月8日、阪神の芝1800m。浜中俊を背に2番人気で新馬戦に立ち、勝ったブルーフラッシュを捉えきれずに2着。年が明けた1月5日、京都の芝2000mの未勝利戦では、スタートで出遅れながら直線で抜け出して初勝利を挙げた。 そこからの春は、期待と取りこぼしの連続だった。エルフィンステークス2着、フラワーカップ5着、スイートピーステークス5着――三戦とも単勝1番人気に支持されながら、勝ち切れない。スイートピーSは優駿牝馬への優先出走権がかかる一戦で、5着ではその権利に届かなかった。桜花賞にも優駿牝馬にも、この馬は出走していない。世代の主役たちが樫の舞台に向かう頃、ショウナンパンドラは東京のカーネーションカップで2着に敗れていた。 夏、新潟。古馬混合の500万下・糸魚川特別を岩田康誠で0秒4差の完勝。重馬場をものともせず、上がりは33秒6だった。続く紫苑ステークスは2着ながら、秋華賞の優先出走権を手にする。クラシックには乗り遅れた。それでも、最後の一冠の扉だけは開いた。
淀のクビ差 ― 秋華賞
2014年10月19日、京都。牝馬三冠の最終戦に、ショウナンパンドラは3番人気で臨んだ。鞍上は浜中俊。フラワーカップ以来5戦ぶりのコンビ復帰で、空いているなら乗ってほしいと、オーナーの国本哲秀が自ら頼んだ乗り替わりだった。二人の間にはショウナンマイティという馬がいた。クラシックには出られず、浜中自身が未熟だったと振り返る時期もあった。一度は武豊に手綱が渡ったが、オーナーは再び浜中にオファーを出している。浜中はその借りを覚えていた。 前半1000mは58秒0の速い流れ。浜中は終始、内にこだわった。直線、前でバテた馬が下がってきても慌てず、逃げたペイシャフェリスとリラヴァティの間に生まれた隙間へ迷わず飛び込む。外へ持ち出したのは、1番人気で優駿牝馬を制していたヌーヴォレコルト。内と外に離れての追い比べは、経済コースを通った方にクビ差だけ軍配が上がった。 GI初制覇。そして同じ日、高野友和は調教師としての初めての重賞を、いきなりGIで手に入れている。開業4年目、38歳だった。「僕が初めてというより、G1を獲って不思議のない馬ですからね」[^1]。師は、自分の初勝利より先に、馬の格の話をした。
出典:スポーツニッポン「【秋華賞】ショウナンパンドラ、女王ヌーヴォ撃破!浜中恩返しV」2014年10月20日配信、https://www.sponichi.co.jp/gamble/news/2014/10/20/kiji/K20141020009133600.html、閲覧日:2026年7月28日。
勝てない半年と、鞍上の交代
戴冠の余韻は長く続かなかった。続くエリザベス女王杯は6着。明けて2015年、始動戦の産経大阪杯は不良馬場に脚を取られ、上がり38秒4の9着と大敗する。ヴィクトリアマイルも縦長の速い流れで二の足がつかず8着。秋華賞のあとの三戦は、いずれも掲示板に届かなかった。 陣営が次に選んだのは宝塚記念だった。ただし浜中俊にはデニムアンドルビーへの先約があり、手綱は池添謙一に渡る。 この乗り替わりには、血の因縁があった。池添が長く跨ってきたドリームジャーニーとオルフェーヴルは、いずれもステイゴールドの産駒。そのステイゴールドの半妹が、ショウナンパンドラの母キューティゴールドである。加えて池添は、オルフェーヴルとの最後の有馬記念を8馬身差で飾った2013年の翌年、2014年を重賞未勝利で終えていた。2000年から14年続いていた連続重賞勝利が、そこで途切れている。 新コンビの初戦、単勝は99.2倍の11番人気だった。1枠1番から最短距離だけを通り、ショウナンパンドラは勝ったラブリーデイから0秒2差の3着に踏みとどまる。低い評価への、静かな返答だった。
中山の大外、府中の十五番
2015年9月27日、中山のオールカマー。3番人気。直線で最内を突いたヌーヴォレコルトが抜け出しにかかるのを、ショウナンパンドラは大外から上がり最速の脚で捉えた。牝馬によるこのレースの制覇は、1997年のメジロドーベル以来18年ぶりである。重賞2勝目と、天皇賞(秋)への優先出走権を同時に掴んだ。 迎えた11月1日の府中。枠は7枠15番だった。スタート直後の2コーナーで外枠が響いて隊列の後ろに置かれ、直線では上がり最速タイの33秒4を叩き出す。それでも勝ったラブリーデイまで0秒2届かず4着。脚は確かにあった。位置だけが足りなかった。
もう一度、十五番 ― 二〇一五年十一月二十九日
ジャパンカップの枠順が出たとき、また7枠15番だった。前走とまったく同じ枠、同じ馬番。単勝9.2倍の4番人気。 カレンミロティックが単騎で逃げ、前半1000mは59秒3。ショウナンパンドラは18頭立ての中団、内を進んだ。3〜4コーナーで逃げ馬のリードは5馬身に広がり、その後ろに馬群が固まる。直線、馬場の中ほどからラブリーデイが伸び、外からサウンズオブアース。その内側で、ショウナンパンドラが馬群を割って末脚を伸ばしにかかった。 残り300mでラブリーデイが先頭。内からはラストインパクトがしぶとく食い下がる。馬体をぶつけられながら隙間を抜け、ラブリーデイの外へ馬体を併せると、残り100mからの叩き合いをゴール直前でクビ差だけ制した。2分24秒7、上がり33秒9。2着ラストインパクト、3着ラブリーデイ、いずれもクビ差である。 牝馬によるジャパンカップ制覇は史上7頭目。池添にとっては、2012年にオルフェーヴルでハナ差の2着に泣いたこのレースの、三年越しの決着でもあった。高野友和も池添も、ジャパンカップは初制覇。そしてこの日の18頭には、母の半兄ステイゴールドの産駒ゴールドシップも加わっていて、10着で走り終えている。祖母ゴールデンサッシュの血が、府中の2400mを先頭で駆け抜けた日だった。
箱を閉じる ― 二〇一六年
暮れの有馬記念には出走を表明していたが、最終追い切り後の息の入り方がいつもと違うとして回避した。無理をさせない判断だった。年明けのJRA賞では、この秋の充実が評価されて最優秀4歳以上牝馬に選ばれている。 5歳になった2016年、産経大阪杯は勝ったアンビシャスから0秒2差の3着。ヴィクトリアマイルは2番人気に推され、後方から追い込んで3着。連覇を果たしたストレイトガールには0秒4届かなかったが、内容そのものは悪くなかった。 宝塚記念を目指して態勢を整えていた6月10日、左第3中手骨遠位の罅裂骨折が判明する。出走を断念して休養に入り、そのままターフに戻ることはなかった。11月2日、競走馬登録抹消。18戦5勝、獲得賞金6億768万8000円。5歳の秋、ショウナンパンドラは生まれ故郷の白老ファームへ帰った。
底に残ったもの ― 白老の草
2018年、初仔のショウナンハイネス(父ロードカナロア)が生まれた。以来ほぼ毎年、仔が生まれている。パンドレア、ウォーターハウス、レイナドラーダ、ショウナンサムデイ、ショウナンサイオウ、ショウナンバトレニ。ショウナンハイネス、ウォーターハウス、レイナドラーダの三頭は、母と同じ高野友和のもとに預けられた。2025年にはモーリスとの間に牝馬が生まれている。 そして2025年9月13日、阪神のチャレンジカップ。勝ったのはオールナットという4歳の牡馬だった。父サトノダイヤモンド、母キューティゴールド。ショウナンパンドラの半弟である。馬名は黄色いダイヤモンドの名から採られ、父の名と母の名――金剛石と金――から連想されたものだという。ジョアン・モレイラを背に最内を突いて抜け出し、重賞初制覇。管理していたのは、11年前にこの牝系で自身初の重賞を勝った高野友和だった。 ギリシャの物語では、あらゆるものが飛び出したあと、箱の底には希望だけが残る。贈り物の名を負った牝馬は、二つのGIを自分の脚で掴み、白老の草の上で母になった。配り終えた贈り物より、これから配るもののほうが、まだ多いのかもしれない。
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