名馬の記憶を、
再生する。

年表ICHINEN-ISSO — 2400m

BOKUJŌ-CHŌ — HOKKAIDO

牧場帖

一年ずつ、顔ぶれをたどる。引退した名馬たちの繋養・在籍と映像を綴る帳面。
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名馬録

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セリフォスのイメージビジュアル
セリフォスSerifos
Serifos

セリフォス

通算成績17戦5勝

獲得賞金(海外含む・概算)約54,980万円

生年月日 2019.03.07(令和元年)毛色 栗毛

全成績

主要戦績(抜粋)・新しい順
セリフォスの成績一覧
年月日着順レースコース人気騎手タイム上り3F映像
4 GII阪神カップ 京都 芝1400 3人気 R.ムーア 1:20.3 上り33.5映像
6 GIマイルチャンピオンS 京都 芝1600 6人気 川田将雅 1:32.6 上り34.3映像
4 GII富士S 東京 芝1600 2人気 藤岡佑介 1:32.5 上り33.4映像
5 GI安田記念 東京 芝1600 3人気 川田将雅 1:32.7 上り33.0映像
2 GII読売マイラーズカップ 京都 芝1600 2人気 川田将雅 1:32.8 上り34.8映像
7 GI香港マイル シャティン 芝1600 5人気 川田将雅 映像
8 GIマイルチャンピオンS 京都 芝1600 2人気 川田将雅 1:32.9 上り34.4映像
2 GI安田記念 東京 芝1600 3人気 D.レーン 1:31.6 上り33.6映像
5 GIドバイターフ メイダン 芝1800 3人気 D.レーン 映像
1 GIマイルチャンピオンS 阪神 芝1600 6人気 D.レーン 1:32.5 上り33.0映像
1 GII富士S 東京 芝1600 1人気 藤岡佑介 1:32.0 上り33.2映像
4 GI安田記念 東京 芝1600 5人気 藤岡佑介 1:32.4 上り32.8映像
4 GINHKマイルカップ 東京 芝1600 1人気 福永祐一 1:32.6 上り34.6映像
2 GI朝日杯フューチュリティステークス 阪神 芝1600 1人気 C.デムーロ 1:33.6 上り34.8映像
1 GIIデイリー杯2歳S 阪神 芝1600 1人気 藤岡佑介 1:35.1 上り33.4映像
1 GIII新潟2歳S 新潟 芝1600 3人気 川田将雅 1:33.8 上り32.8映像
1 2歳新馬 中京 芝1600 1人気 川田将雅 1:35.0 上り34.4

血統

金色の名は 名馬ジャーニー に掲載 — その馬のページへ
セリフォスの血統表(左から親・祖父母・曽祖父母)
ダイワメジャーDaiwa MajorサンデーサイレンスSunday SilenceHalo
Wishing Well
スカーレットブーケノーザンテーストNorthern Taste
スカーレットインクScarlet Ink
シーフロントSea FrontLe HavreNoverre
Marie Rheinberg
Freedom HerselfFreedom Cry
Redeem Herself

引退後・牧場での映像

ゴール板の先の時間
STORY

旅程 — この馬の物語

2019年生まれの栗毛の牡馬。父ダイワメジャー、母シーフロント。主な勝ち鞍はマイルチャンピオンS・新潟2歳S・デイリー杯2歳S。

海の名前 ― その血と、名

母の名はシーフロント。海に面した、という意味の英語である。フランスで生まれ、海を渡って北海道・追分ファームの繁殖牝馬となったこの牝馬は、産んだ息子たちに海辺の地名を授けた。一頭上の全兄はフォルテデイマルミ――地中海を望むイタリア・トスカーナの避暑地の名。そして2019年3月7日に生まれた栗毛の全弟には、エーゲ海に浮かぶ島の名がついた。セリフォス。母の「海辺」から連想された、ギリシャの島である。 父はダイワメジャー。サンデーサイレンスの血を引き、自らもマイルチャンピオンシップや安田記念を勝ち抜いた名種牡馬。母父はフランスで活躍したル・アーヴル。スピードとしぶとさを、海の向こうの血が下支えする配合だった。馬主は株式会社G1レーシング、預かるのは栗東の中内田充正。デビューの手綱は、川田将雅に託された。海の名を負ったこの馬の物語は、この男が引いた最初の一完歩から始まる。

二連勝、そして半馬身 ― 二歳の秋

2021年6月、中京の芝1600メートル。新馬戦を1番人気に応えて危なげなく勝ち上がると、8月の新潟2歳ステークスでも川田を背に、最内を突いて重賞初制覇を飾る。鋭い上がり32秒8での抜け出しだった。川田はもともとこの馬の能力を高く買っており、その素質がレースで証明されたことを喜んだ。 11月のデイリー杯2歳ステークスは藤岡佑介に手が替わっても1番人気で押し切り、無傷の三連勝。世代のマイル王を決める12月の朝日杯フューチュリティステークスへ、単勝1番人気で乗り込んだ。だが、ここで初めて土がつく。抜け出しかけたセリフォスを、外から半馬身、一頭が差し切った。ドウデュース――のちに日本ダービーと有馬記念を制する、世代の頂点に立つ馬である。負けはしたが、相手が悪かった。二歳の秋は、二連勝と、価値ある半馬身の黒星で閉じた。

春の空白 ― 手が替わる季節

明けて2022年、クラシックの季節。セリフォスはマイルの一線で戦い続けたが、勝ち切れなかった。5月のNHKマイルカップは福永祐一を背に1番人気に推されながら4着。勝ったのはダノンスコーピオンだった。6月の安田記念は古馬の壁に阻まれ、藤岡佑介とともに4着。それでも自身は、上がり32秒8の鋭い脚を計時している。速い末脚を使いながら、前は捕まえきれない。手綱は川田から福永へ、福永から藤岡へと移り、勝利だけが少しずつ遠のいていく春だった。

六番人気の頂 ― 秋、マイル王

秋、風向きが変わる。10月の富士ステークスを藤岡佑介で完勝し、状態を上げたセリフォスは、11月20日のマイルチャンピオンシップへ向かった。鞍上はダミアン・レーン。単勝はシュネルマイスターらGI馬が上位を占め、セリフォスは6番人気に沈んでいた。 四角では12、13番手。前は遠い。それでもレーンは、迷わず馬場の良い大外へ持ち出した。直線、上がり33秒0――出走馬中最速の脚が炸裂する。ソダシを、ダノンザキッドを、外から一気に呑み込んで、栗毛は先頭でゴールを駆け抜けた。「直線に入って終いの脚を見せてくれて2、3完歩で届くと思った」[^1]。レーンは差し切った瞬間をそう振り返っている。3歳で古馬を破ったマイルGI。この年、セリフォスはJRA賞最優秀短距離馬に選ばれた。海の名を負った馬が、秋のマイル王として頂に立った。

出典:テレ東スポーツ(テレビ東京)「【マイルCS】セリフォスの異次元の末脚 新たなるマイル王が誕生」2022年11月20日配信、https://www.tv-tokyo.co.jp/sports/articles/2022/11/026709.html 、閲覧日:2026年7月19日。

速い脚と、届かない冠 ― 古馬の三年

頂の先に待っていたのは、もう一つの冠を追い続ける長い日々だった。2023年春、ドバイのメイダンでレーンとともに世界に挑んで5着。6月の安田記念は、直線で先頭をうかがいながら、外から伸びたソングラインの決め手に屈して2着。連覇を果たす女王の前に、1馬身4分の1が遠かった。 秋、手綱は再び川田の手に戻る。だが、かつてデビューを勝った二人でも、頂へはもう届かない。マイルチャンピオンシップ8着、香港マイル7着。明けて2024年、マイラーズカップ2着、安田記念5着――速い上がりは相変わらず使えるのに、勝ち鞍だけが積み上がらない。マイルの一線に居続けること自体が難事であるのを、この馬は身をもって示していた。二つ目のGIは、とうとう最後まで手に入らなかった。

海へ還る ― ラストラン

2024年暮れ。富士ステークス、マイルチャンピオンシップと走り、12月21日の阪神カップが最後の一戦になった。4着。レース中に鼻出血を発症していたことが分かり、1か月の出走停止を経て、12月27日付で競走馬登録は抹消された。デビューから足かけ四年、17戦5勝。GIは一度きり、しかしマイルの頂点で戦い続けた日々だった。 セリフォスは、新冠の優駿スタリオンステーションで種牡馬となった。父ダイワメジャーの快速を継ぐ後継として、次は自らの血を送り出す番である。母シーフロントが海辺の名を授けた息子は、走り終えて、また海に近い牧場へ還った。エーゲ海の島の名を継ぐ仔が、いつかこのターフを駆ける日を、静かに待てばいい。

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