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セイウンコウセイ
通算成績42戦7勝
獲得賞金3億3,657万円
生年月日 2013.03.08(平成25年)毛色 栗毛性 牡
全成績
主要戦績(抜粋)・新しい順| 年月日 | 着順 | レース | コース | 人気 | 騎手 | タイム | 上り3F | 映像 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 6 | GII阪神カップ | 阪神 芝1400 | 12人気 | 勝浦正樹 | 1:20.8 | 上り34.6 | 映像 | |
| 9 | GIIMBS賞スワンS | 阪神 芝1400 | 13人気 | 勝浦正樹 | 1:21.2 | 上り35.3 | 映像 | |
| 3 | GIIIキーンランドカップ | 札幌 芝1200 | 9人気 | 勝浦正樹 | 1:09.2 | 上り34.6 | 映像 | |
| 8 | GII京王杯スプリングカップ | 東京 芝1400 | 14人気 | 内田博幸 | 1:20.4 | 上り33.4 | 映像 | |
| 9 | GI高松宮記念 | 中京 芝1200 | 13人気 | 幸英明 | 1:09.7 | 上り35.2 | 映像 | |
| 5 | GIIIシルクロードS | 中京 芝1200 | 15人気 | 幸英明 | 1:08.8 | 上り34.8 | 映像 | |
| 17 | GII産経賞セントウルS | 中京 芝1200 | 5人気 | 幸英明 | 1:09.5 | 上り36.5 | 映像 | |
| 12 | GI安田記念 | 東京 芝1600 | 14人気 | 内田博幸 | 1:33.4 | 上り35.6 | 映像 | |
| 5 | GII京王杯スプリングカップ | 東京 芝1400 | 7人気 | 内田博幸 | 1:20.1 | 上り33.3 | 映像 | |
| 7 | GI高松宮記念 | 中京 芝1200 | 6人気 | 幸英明 | 1:09.1 | 上り34.4 | 映像 | |
| 5 | GIIIシルクロードS | 京都 芝1200 | 10人気 | 幸英明 | 1:09.2 | 上り35.1 | 映像 | |
| 8 | GII毎日放送賞スワンS | 京都 芝1400 | 11人気 | 幸英明 | 1:22.0 | 上り35.4 | 映像 | |
| 12 | GIスプリンターズS | 中山 芝1200 | 8人気 | 幸英明 | 1:08.1 | 上り34.9 | 映像 | |
| 6 | GIIIキーンランドカップ | 札幌 芝1200 | 5人気 | 幸英明 | 1:09.7 | 上り36.3 | 映像 | |
| 3 | GIIICBC賞 | 中京 芝1200 | 2人気 | 幸英明 | 1:09.9 | 上り35.0 | 映像 | |
| 2 | GI高松宮記念 | 中京 芝1200 | 12人気 | 幸英明 | 1:07.4 | 上り33.9 | 映像 | |
| 15 | GIIIシルクロードS | 京都 芝1200 | 5人気 | 池添謙一 | 1:09.6 | 上り36.3 | 映像 | |
| 14 | GIJBCスプリント | 京都 ダ1200 | 7人気 | 池添謙一 | 1:12.8 | 上り38.4 | — | |
| 12 | GIスプリンターズS | 中山 芝1200 | 8人気 | 池添謙一 | 1:09.2 | 上り35.7 | 映像 | |
| 1 | GIII函館スプリントS | 函館 芝1200 | 3人気 | 池添謙一 | 1:07.6 | 上り34.5 | 映像 | |
| 12 | GII京王杯スプリングカップ | 東京 芝1400 | 5人気 | 三浦皇成 | 1:20.0 | 上り34.3 | 映像 | |
| 6 | GI高松宮記念 | 中京 芝1200 | 5人気 | 松田大作 | 1:08.8 | 上り35.5 | 映像 | |
| 2 | GIIIシルクロードS | 京都 芝1200 | 5人気 | 松田大作 | 1:08.6 | 上り34.6 | 映像 | |
| 7 | GIII京阪杯 | 京都 芝1200 | 5人気 | 松田大作 | 1:09.0 | 上り34.4 | 映像 | |
| 14 | GII毎日放送賞スワンS | 京都 芝1400 | 3人気 | 幸英明 | 1:23.4 | 上り36.2 | 映像 | |
| 11 | GIスプリンターズS | 中山 芝1200 | 3人気 | 幸英明 | 1:08.1 | 上り33.8 | 映像 | |
| 4 | GIII函館スプリントS | 函館 芝1200 | 1人気 | 幸英明 | 1:07.3 | 上り34.9 | 映像 | |
| 1 | GI高松宮記念 | 中京 芝1200 | 5人気 | 幸英明 | 1:08.7 | 上り34.5 | 映像 | |
| 2 | GIIIシルクロードS | 京都 芝1200 | 4人気 | 松田大作 | 1:07.8 | 上り33.6 | 映像 | |
| 1 | OP淀短距離S | 京都 芝1200 | 5人気 | 松田大作 | 1:08.0 | 上り33.8 | — | |
| 1 | 渡月橋S | 京都 芝1400 | 11人気 | 松田大作 | 1:25.1 | 上り36.1 | — | |
| 13 | 白秋S | 東京 芝1400 | 8人気 | 内田博幸 | 1:21.5 | 上り35.4 | — | |
| 1 | さくらんぼ特別 | 福島 芝1200 | 1人気 | 内田博幸 | 1:08.0 | 上り34.2 | — | |
| 1 | 3歳500万下 | 東京 芝1400 | 4人気 | 三浦皇成 | 1:20.8 | 上り35.1 | — | |
| 2 | 3歳500万下 | 東京 芝1400 | 4人気 | 吉田豊 | 1:20.7 | 上り34.6 | — | |
| 1 | 3歳未勝利 | 中山 ダ1200 | 1人気 | 三浦皇成 | 1:12.0 | 上り37.9 | — | |
| 2 | 3歳未勝利 | 中山 ダ1200 | 2人気 | 三浦皇成 | 1:12.7 | 上り38.0 | — | |
| 2 | 3歳未勝利 | 東京 ダ1400 | 6人気 | 三浦皇成 | 1:26.4 | 上り38.2 | — | |
| 2 | 2歳未勝利 | 東京 ダ1400 | 3人気 | 三浦皇成 | 1:26.0 | 上り37.0 | — | |
| 6 | 2歳未勝利 | 東京 芝1600 | 9人気 | 三浦皇成 | 1:35.8 | 上り34.4 | — | |
| 12 | 2歳未勝利 | 福島 芝1800 | 4人気 | 北村宏司 | 1:52.0 | 上り39.0 | — | |
| 8 | 2歳新馬 | 東京 芝1800 | 9人気 | 田辺裕信 | 1:52.3 | 上り34.6 | — |
血統
金色の名は 名馬ジャーニー に掲載 — その馬のページへ| 父アドマイヤムーンAdmire Moon | エンドスウィープEnd Sweep | フォーティナイナーForty Niner |
| Broom Dance | ||
| マイケイティーズ | サンデーサイレンスSunday Silence | |
| ケイティーズファーストKaties First | ||
| 母オブザーヴァントObservant | Capote | Seattle Slew |
| Too Bald | ||
| パテントリークリアPatently Clear | Miswaki | |
| Badge of Courage |
引退後・牧場での映像
ゴール板の先の時間旅程 — この馬の物語
2013年生まれの栗毛の牡馬。父アドマイヤムーン、母オブザーヴァント。主な勝ち鞍は高松宮記念・函館スプリントS。
恒星の名 ― 社員がつけた名前
2013年3月8日、北海道新ひだか町の桜井牧場に、栗毛の牡馬が生まれた。父はアドマイヤムーン、母はオブザーヴァント。母は大樹ファームが生産した米国産の牝馬で、アイルランドで6戦して一度も勝てないまま繁殖に上がっている。その母の半兄が、第1回NHKマイルカップを勝ったタイキフォーチュンだった。4代母タメレットは英2000ギニー馬ノウンファクトを産んだ牝馬で、その子孫には名種牡馬ゴーンウェストもいる。速さの血は、細く、しかし確かに繋がっていた。 翌2014年のセレクトセール、1歳市場。この馬は1404万円で取引される。買ったのは西山茂行。西山牧場を築いた西山正行の息子である。茂行は二つの冠名を使う――法人・西山牧場の所有馬に使われてきた「ニシノ」と、父が個人名義の所有馬に使っていた「セイウン」。 西山興業では、所有馬の名を社員から募って決める。集まった案のなかから選ばれたのが、冠名の「セイウン」に「恒星」を重ねた一語だった。セイウンコウセイ。星雲と、恒星。自ら光を放つほうの星の名が、まだ何者でもない栗毛に与えられた。 預けられたのは美浦の上原博之厩舎。もとは馬術の選手である。高校では国体で個人準優勝、中央大学では馬術部の主将を務め、乗馬インストラクターを経て調教助手になり、5度目の受験でようやく調教師免許を取った。開業は1994年。管理馬のダイワメジャーでGIを5つ勝っている。
泥の中の初勝利
2015年6月27日、東京の芝1800m。田辺裕信を背にした新馬戦は、9番人気の8着だった。福島の芝1800mで12着、東京の芝1600mで6着。芝の中距離では、この馬に何も起こらなかった。 距離を詰め、路面をダートに替えたのはその年の11月である。東京のダート1400m、三浦皇成と組んで2着。年が明けても2着、2着と、あと一歩が届かない。 初勝利は2016年3月21日、中山のダート1200m、雨で重くなった馬場だった。単勝1.3倍の支持に応え、2着に1秒3――8馬身の差をつけて逃げ切る。三度続けて2着に敗れたあとの、七戦目でつかんだ一勝だった。 そこからは早い。芝に戻した東京の1400mで一度2着に敗れたのち、同じ条件で2勝目を挙げ、福島のさくらんぼ特別で3勝目を重ねた。秋の白秋ステークスこそ13着に沈んだが、11月27日、雨に濡れた京都の芝1400m・渡月橋ステークスを11番人気で押し切り、準オープンを卒業した。このとき初めて手綱を取ったのが、松田大作である。 松田は1978年生まれ、1997年デビューの競馬学校第13期生。イタリアに二度の長期遠征をするなど研鑽を重ねながら、重賞にはなかなか手が届かなかった。2015年、デビュー19年目にしてタガノアザガルでファルコンステークスを制し、鞍上で男泣きしたばかりの男だった。
一月の京都、二月の報せ
2017年1月7日、京都の淀短距離ステークス。5番人気の評価をよそに、松田を背にしたセイウンコウセイは2着に0秒2差をつけて勝った。年が明けて、この馬はもうオープン馬になっていた。 続く1月29日、シルクロードステークス。重賞は初挑戦である。好位から一旦は先頭に立ったが、後方から追い込んできたダンスディレクターに交わされて2着。着差は0秒0――ゴール板の上で、わずかに前へ出られただけの差だった。渡月橋、淀短距離、シルクロード。松田と組んだ三戦は1着、1着、2着。春の大一番が、はっきりと射程に入っていた。 その四日後だった。2月2日、松田は京都市内で自動車を運転中に道路交通法違反――免許停止中の無免許運転および速度超過――で検挙され、罰金刑を受ける。裁定委員会は、2月9日から8月8日までの6か月間の騎乗停止を決めた。高松宮記念は3月26日。その日、彼は鞍上にいない。 セイウンコウセイの手綱は、幸英明に渡った。
代打 ― 二〇一七年三月二十六日
小雨が降っていた。中京の芝は湿り気を帯び、スピードだけでなく力の要る馬場になっていた。1番人気はスプリンターズステークスを勝ったレッドファルクス、2番人気は桜花賞馬レッツゴードンキ。18頭立ての5番人気が、初めてのGIに臨むセイウンコウセイだった。 幸はこの馬に初めて跨る。荒れた馬場を苦にしない馬だと上原から聞かされていた、と彼はのちに振り返っている。事実、初勝利は重馬場のダート1200mであり、準オープンを卒業した渡月橋ステークスもまた重馬場だった。 抜群のスタートを切り、しかし抑えて好位。先行勢が馬場のいいところを求めて外へふくらむと、その内から馬場の中央へ進路を取り、坂を駆け上がる。一気に先頭。内でレッツゴードンキとレッドファルクスが競り合いながら伸びてきたが、届かない。1馬身1/4差、1分8秒7。GI初挑戦での初制覇だった。 幸英明はこれがJRA・GI6勝目。2003年にスティルインラブで牝馬三冠を制した名手にとって、高松宮記念は2008年のファイングレイン以来2度目である。上原博之にとっては、2007年にダイワメジャーが最後の一つを勝って以来のGIだった。恒星の名を与えられた栗毛が、自分の光で春のスプリント王になった。 勝利騎手インタビューの最後に、幸はこう言った。「代打で、役目を果たせてよかったです」[^1]。代打、という言葉を、彼は自分から選んでいる。
出典:Number Web「高松宮記念、昨年王者は“正騎手”と。セイウンコウセイと松田大作の物語。」2018年3月24日配信、https://number.bunshun.jp/articles/-/830270、閲覧日:2026年7月26日。
正騎手、帰る ― 函館の一年三か月
GI馬になった栗毛は、しかしその後が続かなかった。1番人気で臨んだ函館スプリントステークスは4着。秋のスプリンターズステークスは11着、スワンステークスは14着に沈む。 その間の8月12日、松田が札幌で復帰していた。騎乗停止の期間中も、6月には函館スプリントステークスに出走する馬の調教に跨っている。復帰を控えた夏、セレクトセールの会場で彼はこう口にした。「明らかに変わった姿を見せなければならないので、むっちゃ頑張ります」[^1]。 11月26日の京阪杯(7着)から、セイウンコウセイの手綱は松田に戻った。年明けのシルクロードステークスは、ファインニードルの0秒3差で2着。そして2018年3月25日、連覇のかかる高松宮記念――1番枠から先手を取り、粘るところを内からレッツゴードンキに交わされ、そこへ外からファインニードルが差し込んできた。6着、勝ち馬とは0秒3。馬体重は14キロ減の490キロだった。 京王杯スプリングカップは三浦皇成で12着。そして6月17日、函館。鞍上は池添謙一に替わっていた。最内枠から押して押してハナを主張し、洋芝のスプリントを最後まで渡さない。四位洋文のヒルノデイバローに詰め寄られながら、ハナ差でしのぎ切る。1年3か月ぶりの勝利であり、重賞2勝目だった。 この競走は、上原博之が調教師として初めて重賞を勝った舞台でもある。1995年、まだ札幌スプリントステークスと呼ばれ札幌で行われていた頃、厩舎の初勝利馬ノーブルグラスで制した。それから23年、馬術場から回り道をしてきた男は、同じ北のスプリント重賞をGI馬で勝った。
出典:Number Web「高松宮記念、昨年王者は“正騎手”と。セイウンコウセイと松田大作の物語。」2018年3月24日配信、https://number.bunshun.jp/articles/-/830270、閲覧日:2026年7月26日。
道悪巧者 ― 十二番人気の二着
秋のスプリンターズステークスは12着。久々のダート戦となったJBCスプリントも14着。明けて2019年、始動戦のシルクロードステークスは15着。6歳になったこの馬に、大きな期待はもう集まらなかった。 3月24日、高松宮記念。単勝は12番人気だった。晴れて馬場は良、前半3ハロン33秒2の速い流れになる。好スタートから飛び出したのはセイウンコウセイで、これにラブカンプーが競りかけ、その外からモズスーパーフレアが交わしてハナに立った。セイウンコウセイは番手を追走する。直線、モズスーパーフレアとの間を割って、福永祐一のミスターメロディが伸びてきた。残り100mで先頭。セイウンコウセイは0秒1差の2着に踏みとどまった。3着に17番人気が飛び込み、3連単は449万円になった。 3か月の休みを挟んで臨んだCBC賞は不良馬場。2番人気に応えて3着に入る。馬場が荒れるほど、この馬は動いた。いつしか「道悪巧者」と呼ばれるようになっていた。小雨の中京でGIを掴んだ馬に、ふさわしい呼び名だった。
四十二戦 ― 走り終えて
2020年は5戦。シルクロードステークスと京王杯スプリングカップで5着に食い込んだものの、勝ち負けには絡めなかった。マイルに矛先を向けた安田記念は12着、セントウルステークスは17着。7歳の一年が、そのまま過ぎていく。 それでも陣営は現役を続けた。2021年、8歳。高松宮記念には5年連続で出走して9着。そして8月29日、札幌のキーンランドカップ――58キロを背負った9番人気が、勝ったレイハリアと0秒1差の3着に突っ込んだ。2019年のCBC賞以来、2年2か月ぶりの3着だった。 秋、手綱は勝浦正樹に移る。松田大作と競馬学校で同期だった男である。スワンステークス9着を経て、12月25日の阪神カップ。中団から追い上げて6着。これが最後の一戦になった。 2022年1月5日、競走馬登録抹消。42戦7勝、獲得賞金3億3657万3000円。1歳のセリで1404万円だった馬が、その二十倍を超える賞金を稼いで走り終えた。 松田大作は2023年12月17日、騎手を引退している。JRA通算8924戦500勝、JRAの重賞は4勝。GIには、ついに手が届かなかった。届いたかもしれない一つは、2017年3月26日の中京にあった。彼の代わりにその鞍にいた男は、勝ってなお自分を「代打」と呼んだ。 セイウンコウセイは新ひだか町のアロースタッドで種牡馬となり、2026年からは新冠町の白馬牧場に繋養されている。産駒はすでに競馬場を走り始めた。雨が降り、馬場が渋って、人がいっせいに渋い顔をする日がある。そういう日にこそ強い馬がいるということを、この栗毛は42回の出走で証明していった。その脚が、いま北の牧場から次の世代へ渡されようとしている。
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