名馬の記憶を、
再生する。

年表ICHINEN-ISSO — 2400m

BOKUJŌ-CHŌ — HOKKAIDO

牧場帖

一年ずつ、顔ぶれをたどる。引退した名馬たちの繋養・在籍と映像を綴る帳面。
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セイウンハーデスのイメージビジュアル
セイウンハーデスSeiun Hades
Seiun Hades

セイウンハーデス

通算成績19戦5勝

獲得賞金23,103万円

生年月日 2019.04.08(令和元年)毛色 黒鹿毛

全成績

主要戦績(抜粋)・新しい順
セイウンハーデスの成績一覧
年月日着順レースコース人気騎手タイム上り3F映像
4 GI安田記念 東京 芝1600 6人気 幸英明 1:32.1 上り33.7映像
5 GI大阪杯 阪神 芝2000 9人気 幸英明 1:58.0 上り35.3映像
12 GII中山記念 中山 芝1800 1人気 幸英明 1:45.9 上り35.2映像
12 GIジャパンカップ 東京 芝2400 13人気 津村明秀 2:22.6 上り36.9映像
7 GI天皇賞(秋) 東京 芝2000 10人気 菅原明良 1:59.0 上り32.4映像
1 GIIIエプソムカップ 東京 芝1800 6人気 幸英明 1:43.9 上り34.3映像
8 GII京都記念 京都 芝2200 4人気 幸英明 2:16.5 上り35.4映像
5 GIIIチャレンジカップ 京都 芝2000 9人気 幸英明 1:59.1 上り36.1映像
1 GIII七夕賞 福島 芝2000 2人気 幸英明 1:59.8 上り34.9映像
2 GIII新潟大賞典 新潟 芝2000 2人気 津村明秀 2:03.9 上り36.6映像
1 競馬法100周年記念 阪神 芝2000 2人気 幸英明 1:58.9 上り34.5
17 GI菊花賞 阪神 芝3000 12人気 幸英明 3:07.6 上り42.2映像
4 GII朝日セントライト記念 中山 芝2200 7人気 幸英明 2:12.7 上り36.0映像
11 GI東京優駿 東京 芝2400 16人気 幸英明 2:23.9 上り36.4映像
1 LプリンシパルS 東京 芝2000 6人気 幸英明 1:59.0 上り34.5
4 GIII毎日杯 阪神 芝1800 7人気 幸英明 1:47.9 上り35.6映像
2 こぶし賞 阪神 芝1600 4人気 幸英明 1:36.9 上り33.6
5 こうやまき賞 中京 芝1600 5人気 幸英明 1:35.6 上り35.2
1 2歳新馬 阪神 芝1400 1人気 幸英明 1:22.9 上り35.5

血統

金色の名は 名馬ジャーニー に掲載 — その馬のページへ
セイウンハーデスの血統表(左から親・祖父母・曽祖父母)
シルバーステートSilver StateディープインパクトDeep ImpactサンデーサイレンスSunday Silence
ウインドインハーヘアWind in Her Hair
シルヴァースカヤSilverskayaSilver Hawk
Boubskaia
ハイノリッジマンハッタンカフェManhattan CafeサンデーサイレンスSunday Silence
サトルチェンジSubtle Change
ゴールドグレースエリシオHelissio
グレースウーマン
STORY

旅程 — この馬の物語

2019年生まれの黒鹿毛の牡馬。父シルバーステート、母ハイノリッジ。主な勝ち鞍は七夕賞・エプソムC。

幻の父と、冥府の名

2019年4月8日、北海道・荻伏に黒鹿毛の牡馬が生まれた。父はシルバーステート――ディープインパクト産駒で、鞍上の福永祐一に底知れぬ器と言わしめ、勝った4戦はいずれもステッキを使わぬまま抜け出した俊足である。だが2017年夏、屈腱炎が右前脚を蝕んだ。GIに一度も出走しないまま5戦4勝で退いたその馬は、種牡馬パンフレットに『幻の最強馬』と記された。母ハイノリッジは、菊花賞と天皇賞(春)を制した長距離の雄マンハッタンカフェの娘。速さと脆さを孕んだ父の血に、母系から重厚なスタミナが重なった。西山茂行のセイウン冠名を受けたこの仔には、黄泉の国を統べるギリシャ神話の神の名が与えられる――セイウンハーデス。2021年10月31日、阪神の新馬戦(芝1400m)を、幸英明を背に一番人気で勝ち上がった。この日から、鞍上はほとんど替わらない。

クラシックの壁

明けて2022年。こぶし賞では、のちにその年の秋華賞を制する牝馬スタニングローズの2着に敗れたが、素質の片鱗はのぞかせていた。5月のプリンシパルステークス(L)は先手を取り、そのまま逃げ切って優勝。東京優駿(ダービー)への出走権をつかむ。だが本番は16番人気の11着。秋の菊花賞は阪神の3000mで上がりに脚が残らず、17着に沈んだ。世代の頂点を争う舞台は、この馬にはまだ遠かった。

福島の夏、重賞のタイトル

転機は4歳の春に訪れる。2023年4月、競馬法100周年を記念した一戦(3勝クラス)を先行策から上がり3位の脚で制し、続く新潟大賞典はカラテの2着に粘った。そして7月9日、福島の七夕賞。二番人気に推されると、道中3、4番手の好位から外を力強く伸び、1馬身1/4差で抜け出す。サマー2000シリーズの開幕戦を飾る重賞初制覇だった。デビューから背に跨り続けた幸英明にとっても、この馬で掴んだ初めての重賞タイトルである。

父と同じ傷

栄光の直後に、影が差す。右前脚の、屈腱炎。競走馬の脚をゆっくりと蝕み、時に命運を分けるその故障は、かつて父シルバーステートを頂点の手前で退かせたものと同じだった。引退も囁かれるなか、陣営は馬を治療とリハビリに委ねる。福島の夏から次にゲートへ戻るまで、およそ1年5か月。ターフの記憶から、その名は一度、遠ざかった。

還ってきた馬 ― エプソムのレコード

2024年11月、京都のチャレンジカップ。1年5か月ぶりの実戦で、4コーナーでは一度先頭に立ちながら直線で交わされ5着。まだ本調子ではなかった。京都記念を叩き、迎えた2025年5月10日、東京のエプソムカップ。六番人気という評価は低い。だが中団の外で脚を溜めたセイウンハーデスは、直線で外へ持ち出されると残り300mから一気に先行勢を飲み込み、稍重の芝を1分43秒9――コースレコードで駆け抜けた。復帰3戦目での重賞2勝目。冥府から還った馬が、自らの名を刻んだ時計でそれを証明してみせた。手綱はやはり、幸英明だった。

GIの扉の前で

レコード勝ちは、この馬を一気に大舞台へ押し上げた。2025年秋の天皇賞(秋)では菅原明良を背に、メンバー屈指の上がり32秒4を繰り出して7着。ジャパンカップは12着に終わったが、年が明けても歩みは止まらない。大阪杯の5着を経て、2026年6月の安田記念。ふたたび幸英明とのコンビで、勝ったシックスペンスらを追って4着に食い込み、GIでの自己最高順位を東京のマイルに記した。19戦を走って勝ち星は5つ。GIのタイトルにはまだ手が届かないが、頂の扉が閉じたわけではない。屈腱炎を越えて冥府から還ってきた黒鹿毛の旅は、まだ終わっていない。

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