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シンティレーション
通算成績17戦5勝
獲得賞金1億3,312万円
生年月日 2019.01.15(令和元年)毛色 黒鹿毛性 牝
全成績
主要戦績(抜粋)・新しい順| 年月日 | 着順 | レース | コース | 人気 | 騎手 | タイム | 上り3F | 映像 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 7 | GIII中山牝馬S | 中山 芝1800 | 5人気 | 杉原誠人 | 1:47.4 | 上り34.4 | 映像 | |
| 1 | GIII小倉牝馬S | 小倉 芝2000 | 3人気 | 杉原誠人 | 1:58.4 | 上り35.3 | 映像 | |
| 10 | GIエリザベス女王杯 | 京都 芝2200 | 4人気 | T.マーカンド | 2:12.0 | 上り34.6 | 映像 | |
| 2 | GII府中牝馬ステークス | 東京 芝1800 | 10人気 | 戸崎圭太 | 1:44.9 | 上り32.8 | 映像 | |
| 1 | 新潟日報賞 | 新潟 芝1800 | 11人気 | 和田竜二 | 1:44.1 | 上り33.3 | — | |
| 6 | パールS | 京都 芝2000 | 4人気 | 鮫島克駿 | 2:00.5 | 上り34.4 | — | |
| 4 | スピカS | 中山 芝1800 | 8人気 | 岩田康誠 | 1:47.9 | 上り34.6 | — | |
| 1 | 東雲賞 | 中山 芝1800 | 1人気 | C.ルメール | 1:47.3 | 上り34.8 | — | |
| 3 | かもめ島特別 | 函館 芝1800 | 1人気 | C.ルメール | 1:51.4 | 上り36.5 | — | |
| 2 | 調布特別 | 東京 芝1800 | 2人気 | C.ルメール | 1:45.4 | 上り34.2 | — | |
| 2 | 野島崎特別 | 中山 芝2000 | 2人気 | C.ルメール | 2:00.9 | 上り35.7 | — | |
| 4 | 東雲賞 | 中山 芝1800 | 2人気 | C.ルメール | 1:49.2 | 上り35.8 | — | |
| 3 | GIIIフラワーカップ | 中山 芝1800 | 1人気 | 横山武史 | 1:48.9 | 上り35.2 | 映像 | |
| 1 | 若竹賞 | 中山 芝1800 | 2人気 | 横山武史 | 1:49.1 | 上り35.3 | — | |
| 6 | GIIIアルテミスS | 東京 芝1600 | 5人気 | 横山武史 | 1:34.7 | 上り34.5 | 映像 | |
| 1 | 2歳未勝利 | 札幌 芝1800 | 1人気 | 横山武史 | 1:49.2 | 上り35.3 | — | |
| 2 | 2歳新馬 | 函館 芝1800 | 2人気 | 横山武史 | 1:49.1 | 上り36.8 | — |
血統
金色の名は 名馬ジャーニー に掲載 — その馬のページへ| 父ロードカナロアLord Kanaloa | キングカメハメハKing Kamehameha | Kingmambo |
| マンファスManfath | ||
| レディブラッサム | Storm Cat | |
| サラトガデューSaratoga Dew | ||
| 母ファシネートダイア | アグネスタキオンAgnes Tachyon | サンデーサイレンスSunday Silence |
| アグネスフローラ | ||
| トコア | カーネギーCarnegie | |
| パーソナルファイルPersonal File |
旅程 — この馬の物語
2019年生まれの黒鹿毛の牝馬。父ロードカナロア、母ファシネートダイア。主な勝ち鞍は小倉牝馬S。
閃光という名
2019年1月15日、ノーザンファーム生まれの黒鹿毛。父はスプリント王ロードカナロア、母はアグネスタキオン産駒のファシネートダイア。この牝馬に与えられた名の意味は、閃光――一瞬の、しかし確かな光。母の名からの連想だった。 血の格は決して軽くない。母ファシネートダイアの全兄には、2008年の青葉賞を制したアドマイヤコマンド。母系をさかのぼれば、三代母パーソナルファイルの半兄に、1990年の朝日杯三歳ステークスをレコードで駆け抜けたリンドシェーバーがいる。近親には小倉二歳ステークスのオーミアリス。重賞をいくつも咲かせてきた一族に、この仔もまた生まれ落ちた。馬主はシルクレーシング、預けられたのは美浦・池上昌和厩舎。ただ、名にふさわしい閃きが差すまでには、ずいぶんと長い時間がかかることになる。
二歳の夏、横山武史と
2021年7月、函館の芝1800m。デビュー戦は横山武史を背に、惜しくも勝ち馬に及ばず2着。だが一か月後の札幌でその借りを返し、未勝利を1番人気で危なげなく勝ち上がる。秋にはアルテミスステークスで初めて重賞の水に触れ、明けて2022年、若竹賞を制して素質の片鱗を示した。 そして三月のフラワーカップ。単勝1番人気に推されたこの一戦こそ、重賞の扉が開く瞬間になるはずだった。だが直線で伸びを欠き、3着。人気に応えられぬまま、彼女は長い休養へと消えていく。ターフに戻ってくるのは、翌年の一月。二歳の夏に見えたきらめきは、いったん夜の底へ沈んだ。
善戦の季節 ― ルメールの手綱
復帰後、手綱は名手クリストフ・ルメールに託された。だが返ってきたのは、勝ち切れない日々だった。野島崎特別2着、調布特別2着、1番人気に推されたかもめ島特別も3着。あと半馬身、あと一伸び――そのたびに彼女は誰かの前で足を止めた。名手が跨っても、頂の一つ手前で影に沈む。二着と三着ばかりが積み上がっていった。 それでも歩みは止まらなかった。明けて2024年一月、東雲賞でおよそ二年ぶりの白星を掴む。派手な勝ち方ではない。ただ、負け続けても走ることをやめない牝馬の、静かな意地がそこにあった。
十一番人気の閃光
転機は、人気が離れたところで訪れた。2024年八月、新潟日報賞。和田竜二を背に、単勝11番人気。誰の本命でもなかった牝馬が、直線で弾けるように伸びて先頭でゴールを駆け抜ける。オープンの扉は、伏兵の一撃で開いた。 勢いは秋へ続く。府中牝馬ステークス、今度は戸崎圭太を背に10番人気。GIIの舞台で鋭い末脚を繰り出し、府中の長い直線を大外から豪快に伸びて2着まで突っ込んだ。人気を落とすほどに、彼女はよく閃いた。だが十一月、前走の激走で四番人気に支持された初のGI・エリザベス女王杯では、京都の2200mに屈して10着。大舞台の壁は、まだ高かった。
同着の頂 ― 杉原誠人と小倉の一月
2025年1月25日、小倉。芝2000mの牝馬重賞、その記念すべき第一回。手綱を取ったのは杉原誠人だった。名門・藤沢和雄厩舎からデビューしながら勝ち星に恵まれず、十二年目にしてようやく初重賞を掴んだ叩き上げ。厩舎の定年解散でフリーとなり、乗鞍を一つずつ拾ってきた男である。三番人気の牝馬と、遅れて花開いた騎手――どこか似た二つの歩みが、この日、頂で交わった。 直線、内で抜け出しかけたシンティレーションに、外からフェアエールングが馬体を併せてくる。二頭は寸分も譲らぬまま、もつれ合ってゴール板を通過した。勝ったのはどちらか――鞍上にすら分からない。長い写真判定の末に掲示されたのは、同着。二頭ともに、初めての重賞タイトルだった。フラワーカップで一番人気の重責に応えられなかったあの日から、三年近く。人気を落とし、鞍上を替え、二着三着を数えきれぬほど重ねた末に、六歳の牝馬はついに重賞の頂で閃いた。
星は、牧場へ
六歳の春、中山牝馬ステークスを7着で走り終えると、シンティレーションは静かにターフを去った。三月、シルクの発表とともに現役を退き、繁殖牝馬となる。通算十七戦五勝。二着四回、三着二回――勝ち切れなかった日々のほうが、ずっと多い一生だった。 それでも、この牝馬は確かに光った。人気薄で弾けた新潟の直線。大外を突き抜けた府中の末脚。そして、小倉の写真判定が最後まで分けられなかったあの同着。閃光とは、一瞬の光をいう。長く続く必要はない。夜空のどこかで一度でも強くまたたけば、見ていた者はその瞬きを忘れない。役目を終えた牝馬は、いま母となる側に回った。あの一月の閃きを継ぐ仔が、いつか同じ光を放つ日を、静かに待てばいい。
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