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サトノレーヴ
通算成績21戦9勝
獲得賞金8億3,551万円
生年月日 2019.03.22(令和元年)毛色 鹿毛性 牡
全成績
主要戦績(抜粋)・新しい順| 年月日 | 着順 | レース | コース | 人気 | 騎手 | タイム | 上り3F | 映像 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 9 | GIシティオブヨークS | ヨーク 芝1400 | 6人気 | J.モレイラ | 上り0.0 | ![]() | ||
| 3 | GIジュライC | ニューマーケット 芝1200 | 1人気 | C.ルメール | 1:10.20 | 上り0.0 | ![]() | |
| 2 | GIQE2世ジュビリーS | アスコット 芝1200 | 2人気 | R.ムーア | 1:11.82 | 上り0.0 | ||
| 2 | GIチェアマンズSP | シャティン 芝1200 | 2人気 | J.モレイラ | 1:07.77 | 上り0.0 | ![]() | |
| 1 | GI高松宮記念 | 中京 芝1200 | 1人気 | C.ルメール | 1:06.3 | 上り32.4 | ![]() | |
| 9 | GI香港スプリント | シャティン 芝1200 | 2人気 | R.ムーア | 1:08.98 | 上り0.0 | ![]() | |
| 4 | GIスプリンターズS | 中山 芝1200 | 1人気 | J.モレイラ | 1:07.2 | 上り33.0 | ![]() | |
| 2 | GIQE2世ジュビリーS | アスコット 芝1200 | 1人気 | J.モレイラ | 1:11.37 | 上り0.0 | ||
| 2 | GIチェアマンズSP | シャティン 芝1200 | 3人気 | J.モレイラ | 1:08.23 | 上り0.0 | ||
| 1 | GI高松宮記念 | 中京 芝1200 | 2人気 | J.モレイラ | 1:07.9 | 上り33.4 | ![]() | |
| 3 | GI香港スプリント | シャティン 芝1200 | 3人気 | J.モレイラ | 1:08.27 | 上り0.0 | ![]() | |
| 7 | GIスプリンターズS | 中山 芝1200 | 1人気 | D.レーン | 1:07.4 | 上り33.8 | ![]() | |
| 1 | GIIIキーンランドカップ | 札幌 芝1200 | 2人気 | D.レーン | 1:07.9 | 上り34.0 | ![]() | |
| 1 | GIII函館スプリントS | 函館 芝1200 | 2人気 | 浜中俊 | 1:08.4 | 上り34.6 | ![]() | |
| 1 | L春雷S | 中山 芝1200 | 1人気 | J.モレイラ | 1:07.1 | 上り33.2 | ||
| 4 | GIII阪急杯 | 阪神 芝1400 | 4人気 | 小崎綾也 | 1:21.6 | 上り36.1 | ![]() | |
| 1 | 朱雀S | 京都 芝1200 | 1人気 | 浜中俊 | 1:07.7 | 上り33.4 | ||
| 1 | 勝浦特別 | 中山 芝1200 | 1人気 | 浜中俊 | 1:07.7 | 上り34.0 | ||
| 1 | 3歳以上1勝クラス | 函館 芝1200 | 1人気 | 浜中俊 | 1:12.3 | 上り37.0 | ||
| 2 | 長万部特別 | 函館 芝1200 | 2人気 | 浜中俊 | 1:09.7 | 上り35.0 | ||
| 1 | 3歳未勝利 | 中山 芝1600 | 1人気 | 石橋脩 | 1:34.6 | 上り35.3 |
血統
金色の名は掲載馬 — その馬のページへ/点線の名は押すと一言解説| 父ロードカナロアLord Kanaloa | キングカメハメハKing Kamehameha | |
| サクラバクシンオーSakura Bakushin O | ||
| メガミゲラン | シェイディハイツ | |
| モガミゲラン |
旅程 — この馬の物語
2019年生まれの鹿毛の牡馬。父ロードカナロア、母チリエージェ。主な勝ち鞍は高松宮記念・函館スプリントS・キーンランドカップ。
名と血 ― さくらんぼの牝系と、堀宣行の厩舎
2019年3月22日、白井牧場に生まれた鹿毛の牡馬。父はスプリント王ロードカナロア、母はチリエージェ、母の父にサクラバクシンオー。母の名はイタリア語で「さくらんぼ」、その父はさくら――短い距離を速く駆ける血を、代々受け継いできた快速の牝系である。馬主はサトミホースカンパニー、里見治のサトノの冠に、フランス語で夢を意味するレーヴを重ねた。その夢を託されたのは、美浦の堀宣行厩舎だった。 2022年4月、中山の芝1600mでデビュー。石橋脩を背に2番手を進み、直線で先頭に立つと、追い込むイワクニを半馬身しのいで初陣を飾った。この日の距離は1600m。だがこの馬の本当の戦場は、やがてもっと短く、もっと速い場所になる。母がかつて、もう一頭の快足を送り出していた、あの場所に。
兄ハクサンムーン ― 母が先に送った快足
サトノレーヴが生まれる十年前、同じチリエージェの腹から、一頭のスプリンターが世に出ていた。半兄ハクサンムーン。父はアドマイヤムーン。前へ前へと快足を飛ばす逃げ馬で、2012年の京阪杯、2013年のアイビスサマーダッシュとセントウルステークスを勝ち、その年のサマースプリントの頂点に立った。 だが、大きな舞台の女神は最後まで微笑まなかった。2013年のスプリンターズステークスで2着。そのとき前でゴールを駆け抜けたのは、のちに弟の父となるロードカナロアだった。2015年、六歳で臨んだ高松宮記念でも、あと一歩届かず2着。記録より記憶に残る快足として語り草にはなったが、GIのタイトルだけは、ついに手にできなかった。 母チリエージェが競馬に遺した、その小さな空白を、十年後、同じ母の弟が埋めにいくことになる。
回り道 ― 未勝利からの三年と、故障の空白
弟の歩みは、兄のように早くは花開かなかった。デビュー勝ちのあとは函館で身を立て、2022年夏に1勝クラス、秋に勝浦特別を制し、明けて2023年4月の朱雀ステークスを勝ってオープンの扉を開く。ここまでは順調だった。 だが、その直後に故障が襲う。長い休養。復帰は一年近くを跨いだ2024年2月の阪急杯で、結果は4着。気づけば五歳が近い。兄が駆けた重賞の舞台に、弟はまだ立てずにいた。素質を疑う者はいなかったが、時計の針だけが淡々と進んでいった。
五歳の夏 ― 重賞という名の階段
遅れてきた才能が本来の速力を現したのは2024年だった。4月、ジョアン・モレイラを背に春雷ステークスを快勝。6月の函館スプリントステークスを浜中俊とともに制し、五歳にして初めて重賞を手にする。8月にはダミアン・レーンでキーンランドカップも勝ち、夏の北海道でスプリント重賞を二つ連取した。 勢いのままGIへ向かう。だが9月のスプリンターズステークスは1番人気に応えられず7着。兄が2着に泣いたその同じ舞台で、弟もまた頂点を取りこぼした。師走の香港スプリントは3着。父ロードカナロアが5馬身差で圧勝した海の向こうの短距離戦で、子はまだ表彰台の隅にいた。頂は、見えているのに遠かった。
兄が届かなかったもの ― 二〇二五年、中京
2025年3月、高松宮記念。鞍上はジョアン・モレイラ、2番人気。直線、モレイラは前に壁を作って向かい風をしのぎ、残り250mから追い出した。抜け出したサトノレーヴは、追いすがるナムラクレアを抑えて先頭でゴールを駆け抜ける。悲願のGI初制覇だった。 それは、兄ハクサンムーンが何度挑んでも届かなかったタイトルであり、十年前に同じ母の兄が2着に沈んだ、まさにこの高松宮記念だった。母チリエージェの血が、二頭がかりで、ようやくGIの頂に立った。この年、サトノレーヴはJRA賞最優秀スプリンターに選ばれる。回り道の果てに、遅れてきた素質が、母系の悲願ごと栄冠を掴んだ。
連覇 ― 二〇二六年、レコードと落鉄
種牡馬入りの話もあった。それでも陣営は現役を一年延ばす。2026年3月、七歳になったサトノレーヴは、クリストフ・ルメールを新たな相棒に高松宮記念へ戻ってきた。中団から直線で突き抜け、レッドモンレーヴに2馬身差。勝ちタイム1分6秒3は、2016年ビッグアーサーの記録を塗り替えるレースレコードだった。 高松宮記念の連覇は、キンシャサノキセキ(2010・2011年)以来、史上2頭目。そのキンシャサノキセキを連覇させたのも、堀宣行その人である。師は自らの手で、この春の短距離王決定戦を二度、同じ馬に勝たせる離れ業を、二頭で再現してみせた。 レース後、サトノレーヴの左後肢は落鉄していた。それでもルメールは涼しい顔で言い切った。「蹄鉄なしでも勝っていました」[^1]。父ロードカナロアもかつて勝った高松宮記念で、子は父を一つ超える連覇を果たした。
出典:スポーツナビ「『メチャクチャ強い!』名手絶賛、サトノレーヴ驚異のレコードで示した『現役続行』の正解」2026年3月30日配信、https://sports.yahoo.co.jp/official/detail/2026033000010-spnaviow、閲覧日:2026年7月18日。
父の庭へ ― まだ見ぬ頂を追って
国内の春の頂は極めた。残るは、父だけが立った海の向こうである。ロードカナロアは香港スプリントを連覇し、日本のスプリンターとして世界最高のレーティングを受けた馬だった。その庭に、子は繰り返し挑む。 香港のチェアマンズスプリントプライズは2025年も2026年も2着。アスコットのクイーンエリザベス2世ジュビリーステークスも二年続けて2着で、ロイヤルアスコット開催のGIで連対した日本馬は、この馬が史上初めてだった。だが、あと一つが遠い。2026年7月、拠点をニューマーケットに移して臨んだジュライカップは、1番人気で先行しながら、コマンチェブレーブに屈して3着。七度目の海外GI挑戦も、悲願には届かなかった。 八度目は、八月のヨークだった。芝1400mのシティオブヨークステークス、馬場は稍重。珍しくゲート入りを渋る仕草を見せたが発馬そのものは決め、モレイラの手綱で中団を追走する。だが久々の七ハロン戦だったからか、直線で伸びを欠いた。勝ったノータブルスピーチから六馬身、9着。海外GIで四度も2着に来た馬にとって、いちばん遠い負け方だった。 あと一つが遠かった春があり、六馬身が遠かった夏がある。ヨークの9着から二週間あまり、七歳の夏の名残を、馬は英国で過ごした。それが海の向こうで走った最後の一戦だったと知らされるのは、帰国の翌日のことである。
帰国 ― もうひとつの父の庭へ
帰国は2026年9月6日。四か月に及んだ英国滞在を終えた鹿毛は、千葉県白井市の競馬学校で輸入検疫に入った。翌7日、堀宣行は書面を添えて、現役引退と種牡馬入りを発表する。ヨークの9着が、最後の一戦になった。 引退の時期を決めたのは、検疫の規則だった。国外の滞在が90日を超えた馬は通常の遠征馬とは扱いが変わり、帰国後は一般の輸入馬と同じ三か月間の着地検疫を経なければならず、移動も制限される。出走できるレースは、おのずと限られる。師の書面は、そもそもなぜ英国だったのかも明かしていた。筋肉量が多く、暑さを苦手とする馬である。GIを勝った馬が目指すレースが限られる日本で秋を待つより、涼しい気候のもと、夏にトップレベルの短距離路線が整っている英国で走り続ける――そういう選択だった。もともと晩成の傾向があり、伸び盛りの時期には仙腸関節を傷めるアクシデントにも見舞われた。それでも馬主の理解を得て、馬に合わせて出走を重ねた結果、無事に試練を乗り越えてくれた、と師は記している。 渡英以来コンスタントに3戦を消化し、健闘を重ねた馬に感謝の気持ちで一杯だ、と書面は続く。「海外でのGⅠ制覇がかなわず、私どもとしては力不足を痛感していますが、貴重な体験を積めました」[^1]。通算21戦9勝。重賞4勝のうち二つが高松宮記念で、海の向こうの8戦に勝ち星はなかったが、2着が四度、3着が二度ある。 17日に北海道安平町の社台スタリオンステーションへ移り、種牡馬になる――書面はそう告げていた。父ロードカナロアが2014年に種牡馬としての第二の生を始めた場所であり、母の父サクラバクシンオーもまた、長くそこで血を伝えた庭である。父だけが立った海の向こうの頂には、ついに届かなかった。けれど帰っていく先もまた、父の庭だった。 母チリエージェが送り出した、記憶に残る兄と、記録を掴んだ弟。兄が届かなかった高松宮記念を二度勝った弟は、夢という名のとおりの旅を、七歳の夏の終わりに走り終えた。さくらんぼの名を持つ母から受け継いだ速さを、こんどは自分の仔たちに渡す番である。
出典:サンケイスポーツ「サトノレーヴが電撃引退! 社台スタリオンステーションで種牡馬入り 堀師『引き続き産駒たちへの応援をよろしくお願い申し上げます』」2026年9月7日配信、https://www.sanspo.com/race/article/general/20260907-PI5YKLENBJIU5AC2T5XGQTCQMM/、閲覧日:2026年9月8日。
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