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サトノアラジン
通算成績29戦8勝
獲得賞金4億5,090万円
生年月日 2011.02.16(平成23年)毛色 鹿毛性 牡
全成績
主要戦績(抜粋)・新しい順| 年月日 | 着順 | レース | コース | 人気 | 騎手 | タイム | 上り3F | 映像 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 11 | GI香港マイル | シャティン 芝1600 | 4人気 | H.ボウマン | — | 映像 | ||
| 12 | GIマイルチャンピオンS | 京都 芝1600 | 5人気 | 川田将雅 | 1:34.7 | 上り34.8 | 映像 | |
| 18 | GI天皇賞(秋) | 東京 芝2000 | 5人気 | 川田将雅 | 2:16.9 | 上り45.8 | 映像 | |
| 2 | GII毎日王冠 | 東京 芝1800 | 5人気 | 川田将雅 | 1:45.6 | 上り32.6 | 映像 | |
| 1 | GI安田記念 | 東京 芝1600 | 7人気 | 川田将雅 | 1:31.5 | 上り33.5 | 映像 | |
| 9 | GII京王杯スプリングカップ | 東京 芝1400 | 1人気 | 川田将雅 | 1:23.6 | 上り33.8 | 映像 | |
| 7 | GI香港マイル | シャティン 芝1600 | 1人気 | 川田将雅 | 1:33.8 | — | 映像 | |
| 5 | GIマイルチャンピオンS | 京都 芝1600 | 1人気 | 川田将雅 | 1:33.4 | 上り35.0 | 映像 | |
| 1 | GII毎日放送賞スワンS | 京都 芝1400 | 2人気 | 川田将雅 | 1:20.7 | 上り33.6 | — | |
| 4 | GI安田記念 | 東京 芝1600 | 3人気 | 川田将雅 | 1:33.2 | 上り33.6 | 映像 | |
| 1 | GII京王杯スプリングカップ | 東京 芝1400 | 3人気 | 川田将雅 | 1:19.6 | 上り32.4 | 映像 | |
| 3 | GIIIダービー卿チャレンジトロフィー | 中山 芝1600 | 2人気 | C.ルメール | 1:33.0 | 上り33.9 | 映像 | |
| 11 | GI香港カップ | 香港 芝2000 | 9人気 | J.マクドナルド | 2:02.0 | — | 映像 | |
| 4 | GIマイルチャンピオンS | 京都 芝1600 | 3人気 | C.ルメール | 1:33.0 | 上り33.2 | 映像 | |
| 2 | GIII富士S | 東京 芝1600 | 1人気 | C.ルメール | 1:32.7 | 上り33.0 | — | |
| 2 | GIIIエプソムカップ | 東京 芝1800 | 1人気 | C.ルメール | 1:45.4 | 上り34.3 | 映像 | |
| 1 | OPモンゴル大統領賞 | 東京 芝1800 | 1人気 | C.ルメール | 1:44.7 | 上り33.5 | — | |
| 1 | 春興S | 中山 芝1600 | 1人気 | C.ルメール | 1:34.2 | 上り32.7 | — | |
| 2 | 武庫川S | 阪神 芝1600 | 2人気 | 池添謙一 | 1:36.6 | 上り34.7 | — | |
| 6 | 逆瀬川S | 阪神 芝1800 | 1人気 | 浜中俊 | 1:47.7 | 上り34.8 | — | |
| 6 | GI菊花賞 | 京都 芝3000 | 9人気 | 浜中俊 | 3:01.9 | 上り34.9 | 映像 | |
| 4 | GII神戸新聞杯 | 阪神 芝2400 | 2人気 | 浜中俊 | 2:25.0 | 上り35.7 | — | |
| 1 | 九州スポーツ杯 | 小倉 芝2000 | 1人気 | 浜中俊 | 1:58.9 | 上り34.9 | — | |
| 1 | 茶臼山高原特別 | 中京 芝2000 | 1人気 | Z.パートン | 2:02.9 | 上り34.3 | — | |
| 2 | ゆきやなぎ賞 | 阪神 芝2400 | 1人気 | 岩田康誠 | 2:29.1 | 上り35.2 | — | |
| 3 | GIII共同通信杯 | 東京 芝1800 | 2人気 | 岩田康誠 | 1:48.6 | 上り33.8 | 映像 | |
| 3 | GIIIラジオNIKKEI杯 | 阪神 芝2000 | 1人気 | 戸崎圭太 | 2:04.6 | 上り34.9 | — | |
| 5 | GIII東京スポーツ杯2歳S | 東京 芝1800 | 1人気 | 戸崎圭太 | 1:46.3 | 上り33.6 | 映像 | |
| 1 | 2歳新馬 | 新潟 芝1600 | 1人気 | 戸崎圭太 | 1:35.2 | 上り34.2 | — |
血統
金色の名は 名馬ジャーニー に掲載 — その馬のページへ| 父ディープインパクトDeep Impact | サンデーサイレンスSunday Silence | Halo |
| Wishing Well | ||
| ウインドインハーヘアWind in Her Hair | Alzao | |
| Burghclere | ||
| 母マジックストームMagic Storm | Storm Cat | Storm Bird |
| Terlingua | ||
| Foppy Dancer | Fappiano | |
| Water Dance |
引退後・牧場での映像
ゴール板の先の時間旅程 — この馬の物語
2011年生まれの鹿毛の牡馬。父ディープインパクト、母マジックストーム。主な勝ち鞍は安田記念・京王杯スプリングC・毎日放送賞スワンS。
魔法の嵐から生まれて
2011年2月16日、北海道安平町のノーザンファーム。父ディープインパクト、母マジックストーム。母は米国産の黒鹿毛で、現地で12戦3勝。2歳時にサラトガのスピナウェイステークス(GI)で3着に入り、3歳でモンマスオークスを勝った牝馬である。アメリカのダートで走った母に、日本の至宝を配して出た鹿毛だった。 その年のセレクトセールで、当歳のこの馬に1億3650万円の値がつく。里見治のサトノの一頭となり、栗東・池江泰寿厩舎に入った。名はサトノアラジン。母の名は「魔法の嵐」。その仔に与えられたのは、魔法のランプを擦る少年の名だった。のちに遠征する香港では「神燈光照」と登録される――神の燈が照らす、という字面である。 1歳上に全姉がいた。ラキシス。同じディープインパクト×マジックストームから出た牝馬で、この弟がまだ一つも重賞を勝てずにいた2014年11月の京都で、エリザベス女王杯をクビ差で勝つことになる。その日、姉の手綱を取っていた男の名は、覚えておいていい。川田将雅という。 2013年8月10日、新潟の芝1600m。単勝1.5倍の圧倒的支持に応え、戸崎圭太を背に3馬身半差で圧勝した。ランプは、最初の一擦りで光った。
一番人気という荷物
2戦目の東京スポーツ杯2歳ステークスは単勝1.8倍。だが5着に敗れる。勝ったのはイスラボニータだった。暮れのラジオNIKKEI杯2歳ステークスも1番人気で3着、勝ったのはワンアンドオンリー。年が明けた共同通信杯も3着で、勝ったのはまたイスラボニータ。 その春、イスラボニータは皐月賞を、ワンアンドオンリーは日本ダービーを勝つ。世代の頂に立つ2頭に、2歳の秋から続けて先着を許していた馬。裏を返せば、それだけの場所に立ち続けていた馬でもある。 自己条件のゆきやなぎ賞は単勝1.2倍で2着。4か月の休養を挟んで中京の茶臼山高原特別、小倉の九州スポーツ杯を連勝したが、神戸新聞杯は4着でまたワンアンドオンリーの後ろ。菊花賞の優先出走権は取り逃がし、抽選をくぐって出走した淀の3000mは6着に終わった。勝ち馬はトーホウジャッカルである。暮れの逆瀬川ステークスも1番人気で6着。 単勝1倍台の支持を背負ったのは、これで6度目だった。期待だけが、いつもこの馬より先に走っていた。
クビ、クビ ― 二〇一五年
4歳。武庫川ステークスの2着から、中山の春興ステークスを上がり32秒7で差し切り、東京のモンゴル大統領賞も連勝した。手が届いたと見えた6月のエプソムカップ、1番人気に推されて逃げるエイシンヒカリを追い詰めたが、クビ差だけ足りない。 休み明けとなった秋の富士ステークスも1番人気。ダノンプラチナと並んで追い込み、またもクビ差の2着だった。マイルチャンピオンシップはモーリスから0秒2差の4着。初の海外遠征となった12月の香港カップは11着に沈む。この日シャティンで勝ったのは、半年前に府中でクビ差だけ前にいたエイシンヒカリだった。 一年のうちに、クビ差の2着が二度。届かない、という事実だけが静かに積み上がっていく。
川田将雅が乗ってきた
5歳初戦のダービー卿チャレンジトロフィーは3着。次の京王杯スプリングカップで、鞍上が川田将雅に替わった。1年半前に全姉ラキシスをエリザベス女王杯へ導いた男が、今度は弟の背に跨がった。 東京の芝1400m。後方に待機し、直線で外へ持ち出すと、そこから一息に伸びた。サンライズメジャーに1馬身半差。勝ち時計1分19秒6はレースレコードだった。デビューから19戦目にして、初めての重賞タイトルである。 続く安田記念は4着。スローに落ち着いた流れでは、末脚を存分に使える場所が来ないまま終わった。勝ったのはロゴタイプ。0秒2という数字が、この馬とGIとのあいだに残った距離だった。
淀の秋 ― 重賞は勝てる馬
夏を休養に充て、およそ5か月ぶりのスワンステークス。後方から進み、直線で外に持ち出すと上がり最速の脚で突き抜けた。サトノルパンに1馬身1/4差、重賞2勝目。 1番人気で臨んだマイルチャンピオンシップは5着。勝ったのはミッキーアイル。2年続けて遠征した香港マイルも7着に終わった。 GIには、この時点で6度出て、5着以内に入ったのが3度。年が明ければ6歳になる。重賞は勝てる、しかしGIには一歩足りない――そういう馬として、5歳の暮れを終えようとしていた。
二〇一七年六月四日、大外から
6歳初戦の京王杯スプリングカップは1番人気に推されたが、重馬場の直線で伸びを欠いて9着。勝ったのはレッドファルクスだった。 三週間後、安田記念。単勝12.4倍の7番人気。1番人気に支持されたのはイスラボニータ――2歳の秋、東京スポーツ杯でこの馬を負かした相手である。 ロゴタイプが外からハナを切り、前半800m通過は45秒5。スローではない。サトノアラジンは後方の外、レッドファルクスと並ぶあたりを追走した。四角を回って直線、残り300mでロゴタイプが二の脚を使い、リードは3馬身に広がる。二列目は横一線の壁になって、内も中もほどけない。 残り200mを過ぎて、ようやく大外から抜けにかかる。川田の手が動き、馬が伸びる。逃げ切るかと思われたロゴタイプを、ゴール前でクビ差だけ捉えた。1分31秒5。 3着レッドファルクスもクビ差、4着グレーターロンドンもクビ差、5着エアスピネルもクビ差。5着までが同じ幅で並んだ決着だった。二年前にクビ差で二度泣いた馬が、まったく同じ幅で初めてGIを掴んだことになる。GIは7度目の挑戦だった。イスラボニータは8着に終わっている。 川田はこのレース、2015年のモーリスに続く2勝目。管理する池江泰寿にとっては、安田記念は初めての勝利だった。
泥の府中、そしてシャティン
秋初戦の毎日王冠は、上がり32秒6の脚で追い込みながらリアルスティールにクビ差届かず2着。またクビ差だった。 三週間後の天皇賞(秋)。台風が東京を覆い、馬場は不良。泥の海と化した府中で上がりは45秒8までかかり、勝ったキタサンブラックから8秒6も離された18着。18頭立ての、最後尾である。 続くマイルチャンピオンシップは12着。そして12月10日、シャティンの香港マイル。ボウマンを背に後方から捲り気味に進出したが、直線で失速して11着。勝ったのは地元のビューティージェネレーションだった。これが最後の一戦になる。 2018年1月5日、競走馬登録抹消。29戦8勝、獲得賞金4億5090万3000円。GIは、あの一度きり。だがその一度は、壁の開かない直線で、たった一頭だけ外から届いて掴んだものだった。
ランプは南半球で擦られた
2018年、生まれ故郷と同じ安平町の社台スタリオンステーションでスタッドイン。初年度は種付料100万円で118頭の繁殖牝馬を集めた。同じ年のシーズンオフからは、ニュージーランドのリッチヒルスタッドへシャトル種牡馬として渡っている。 2021年6月、門別のオミワタリが産駒初勝利。翌7月には新潟でレディバランタインがJRA初勝利を挙げた。だが評価が跳ねたのは、日本ではなく南半球だった。 ペニーウェカが2023年にニュージーランドオークスとオーストラリアンオークスを制し、サトノアラジンは2022/23シーズンのニュージーランド2歳リーディングサイアーに立つ。種付料は1万2500ニュージーランドドルから4万5000ニュージーランドドルへ引き上げられた。2023年からは日高のブリーダーズ・スタリオン・ステーションに移り、2025年からは通年でリッチヒルスタッドに繋養されている。 母マジックストームは、姉にエリザベス女王杯を、弟に安田記念を出した。その弟は15歳になった今も、ニュージーランドの牧場で種牡馬の日々を送っている。府中の壁の外側を、たった一頭で回り込んだあの脚は、いま赤道の向こうで仔たちに配られている。
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