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サンビスタ
通算成績28戦11勝
獲得賞金3億7,625万円
生年月日 2009.03.18(平成21年)毛色 黒鹿毛性 牝
全成績
主要戦績(抜粋)・新しい順| 年月日 | 着順 | レース | コース | 人気 | 騎手 | タイム | 上り3F | 映像 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 1 | GIチャンピオンズカップ | 中京 ダ1800 | 12人気 | M.デムーロ | 1:50.4 | 上り37.4 | 映像 | |
| 2 | JpnⅠJBCレディスクラシック | 大井 ダ1800 | 1人気 | 岩田康誠 | 1:52.6 | 上り40.1 | 映像 | |
| 1 | JpnⅡレディスプレリュード | 大井 ダ1800 | 2人気 | 岩田康誠 | 1:50.2 | 上り36.3 | — | |
| 2 | JpnⅢブリーダーズゴールドカップ | 門別 ダ2000 | 1人気 | 岩田康誠 | 2:08.1 | 上り38.5 | — | |
| 3 | JpnⅢスパーキングレディー | 川崎 ダ1600 | 1人気 | 岩田康誠 | 1:41.7 | 上り39.8 | — | |
| 5 | JpnⅠかしわ記念 | 船橋 ダ1600 | 2人気 | 岩田康誠 | 1:39.2 | 上り38.8 | — | |
| 1 | JpnⅢマリーンカップ | 船橋 ダ1600 | 1人気 | 岩田康誠 | 1:38.4 | 上り37.0 | — | |
| 7 | GIフェブラリーS | 東京 ダ1600 | 6人気 | C.デムーロ | 1:36.7 | 上り36.2 | 映像 | |
| 1 | JpnⅢTCK女王盃 | 大井 ダ1800 | 1人気 | C.デムーロ | 1:52.3 | 上り36.5 | — | |
| 4 | GIチャンピオンズカップ | 中京 ダ1800 | 15人気 | 松田大作 | 1:51.4 | 上り36.3 | 映像 | |
| 1 | JpnⅠJBCレディスクラシック | 盛岡 ダ1800 | 2人気 | 岩田康誠 | 1:49.3 | 上り36.6 | 映像 | |
| 2 | JpnⅡレディスプレリュード | 大井 ダ1800 | 2人気 | 岩田康誠 | 1:51.8 | 上り36.2 | — | |
| 1 | JpnⅢブリーダーズゴールドカップ | 門別 ダ2000 | 2人気 | 岩田康誠 | 2:07.4 | 上り39.3 | — | |
| 2 | OPマリーンS | 函館 ダ1700 | 2人気 | 岩田康誠 | 1:43.5 | 上り36.6 | — | |
| 3 | JpnⅡエンプレス杯 | 川崎 ダ2100 | 2人気 | D.バルジュー | 2:14.3 | 上り39.2 | — | |
| 1 | 門司S | 小倉 ダ1700 | 1人気 | D.バルジュー | 1:43.1 | 上り36.9 | — | |
| 6 | 雅S | 京都 ダ1900 | 1人気 | 岩田康誠 | 1:59.6 | 上り36.5 | — | |
| 3 | 初夢S | 京都 ダ1800 | 9人気 | 岩田康誠 | 1:51.2 | 上り37.0 | — | |
| 1 | 竜飛崎特別 | 函館 ダ1700 | 1人気 | 岩田康誠 | 1:44.0 | 上り36.5 | — | |
| 3 | 駒場特別 | 函館 ダ1700 | 4人気 | 岩田康誠 | 1:44.3 | 上り36.8 | — | |
| 3 | 総武S | 中山 ダ1800 | 8人気 | 蛯名正義 | 1:52.8 | 上り37.2 | — | |
| 9 | 下総S | 中山 ダ1800 | 5人気 | 津村明秀 | 1:54.1 | 上り38.6 | — | |
| 1 | 早鞆特別 | 小倉 ダ1700 | 4人気 | 吉田隼人 | 1:45.0 | 上り37.2 | — | |
| 1 | 3歳以上500万下 | 京都 ダ1800 | 1人気 | 和田竜二 | 1:52.3 | 上り36.5 | — | |
| 3 | 3歳以上500万下 | 阪神 ダ1800 | 3人気 | 川田将雅 | 1:53.4 | 上り38.0 | — | |
| 1 | 3歳未勝利 | 京都 ダ1800 | 4人気 | 川田将雅 | 1:55.2 | 上り37.5 | — | |
| 6 | 3歳未勝利 | 阪神 ダ1800 | 2人気 | 川田将雅 | 1:55.3 | 上り38.3 | — | |
| 4 | 3歳未勝利 | 阪神 ダ1800 | 3人気 | 川田将雅 | 1:57.5 | 上り37.0 | — |
血統
金色の名は 名馬ジャーニー に掲載 — その馬のページへ| 父スズカマンボSuzuka Mambo | サンデーサイレンスSunday Silence | Halo |
| Wishing Well | ||
| スプリングマンボ | Kingmambo | |
| キーフライヤーKey Flyer | ||
| 母ホワイトカーニバル | ミシルMisil | Miswaki |
| April Edge | ||
| イエローブルーム | パークリージェントPark Regent | |
| グランドリーム |
旅程 — この馬の物語
2009年生まれの黒鹿毛の牝馬。父スズカマンボ、母ホワイトカーニバル。主な勝ち鞍はJBCレディスクラシック・チャンピオンズカップ・レディスプレリュード。
グランド牧場から
2009年3月18日、北海道新ひだか町のグランド牧場で、黒鹿毛の牝馬が生まれた。父スズカマンボはこの牧場の生まれで、2005年の天皇賞(春)を13番人気で差し切った馬である。母ホワイトカーニバルも同じ牧場の生産で、2002年12月の中山でフェアリーステークスを勝っている。牧場が自分の手で出した重賞馬同士を、自分の手で配合した一頭だった。 母の名は「白い祭典」。その娘には、父の名と母の名から連想して名が付けられた。サンビスタ——ポルトガル語で、サンバを愛してやまない人のことをいう。マンボとカーニバルの間に生まれた牝馬に、これ以上ふさわしい名前もない。馬主はヒダカ・ブリーダーズ・ユニオン。日高の生産牧場が株主になっているクラブで、所有馬の名は会員の公募から決まる。緑に赤襷、赤袖白一本輪。グランド牧場は、その株主牧場のひとつである。 預かったのは栗東の角居勝彦。1964年、石川県金沢市の、競馬とは縁のない家に生まれた男である。金沢桜丘高校を出て、大学受験の失敗もあって北海道の牧場に就職し、そこで三年働いた。競馬場にいる馬に触れてみたいと思ってJRA競馬学校の門をたたき、栗東で調教助手を務め、2001年に自分の厩舎を開いた。三年働いたその牧場が、グランド牧場だった。 牧場を出て競馬場へ行った男のもとに、その牧場で生まれた牝馬が入ってきた。
三歳の三月、砂の千八百
デビューは遅かった。2012年3月31日、阪神のダート1800メートル。三歳の三月に迎えた初戦は川田将雅を鞍上に3番人気で4着、二週後の同じ条件で6着、三戦目の5月5日、京都でようやく勝ち上がった。ここまでの五戦はすべてダートの1800メートルで、芝は一度も使われていない。体質に不安があり、前さばきも硬い。砂を選び、走らせるたびに休ませる——そういう扱い方でしか、この馬は使えなかった。 秋に京都の500万下を和田竜二で勝つと、また五か月休んだ。明けて2013年3月、小倉の早鞆特別を吉田隼人で勝つ。中山へ移って津村明秀で9着、蛯名正義で3着。夏の函館では7月14日の駒場特別が3着、二週後の竜飛崎特別を勝った。この二戦の鞍上が岩田康誠だった。四歳の夏、この馬の主戦が決まる。 デビューから一年四か月で、まだ十戦。四勝はしたが、重賞にはまだ一度も出ていない。
門司の快勝
2014年、五歳。年明けの初夢ステークスは3着、雅ステークスは1番人気で6着。だが2月16日、小倉の門司ステークスを0秒2差で勝ち、オープン入りを決める。角居はこの勝ち方に、この馬が本格化したと言った。鞍上はD.バルジュー。イタリアのダリオ・バルジューは、2002年12月の中山でこの馬の母ホワイトカーニバルに乗り、それでJRAの重賞を初めて勝った騎手である。 オープンでの初戦は川崎のエンプレス杯。同期のワイルドフラッパーに2秒以上離された3着だった。牡馬に混じった函館のマリーンステークスで2着に走り、8月14日、門別のブリーダーズゴールドカップ。この年から牝馬限定になったレースで、ワイルドフラッパーを0秒7差の2着に置いて勝った。五歳の夏、初めての重賞である。 母は2002年、初めて砂を踏んだ門別のエーデルワイス賞で2着になっている。娘は同じ競馬場の砂で、最初の重賞を手にした。
盛岡の一馬身四分の一
10月2日、大井のレディスプレリュードは再びワイルドフラッパーの2着。11月3日、盛岡のJBCレディスクラシック。2番人気。岩田康誠を背に1分49秒3で走り、1馬身1/4の差をつけた。JpnI——最上級のタイトルが、重賞に出て四戦目で手に入った。 一か月後、中京。ジャパンカップダートから名を改めて最初のチャンピオンズカップに、松田大作を乗せて出た。16頭中15番人気。逃げたクリノスターオーの1000メートル通過は62秒3という緩い流れで、上がり36秒3を使って4着まで押し上げた。勝ったホッコータルマエとの差は0秒4。牡馬の最上級戦で、掲示板に載った。 この日、彼女の主戦はローマンレジェンドの背にいて、3着に入っている。
五十八キロ
2015年、六歳。年明けの大井、TCK女王盃を1番人気で0秒4差。鞍上はクリスチャン・デムーロ、ミルコ・デムーロの弟である。続く東京のフェブラリーステークスは6番人気の7着で、勝ったコパノリッキーから0秒4差だった。牡馬混合のGIは、まだ遠い。 春から夏は、背負う重さが増えていく。4月の船橋・マリーンカップは58キロで0秒8差の圧勝。5月のかしわ記念は牡馬混じりの1600メートルで5着、1秒8離された。7月の川崎・スパーキングレディーカップは58キロで3着、8月の門別・ブリーダーズゴールドカップも58キロで、アムールブリエに時計の上では差のない2着。牝馬同士では58キロを課され、牡馬混合のGIでは55キロで足りる。強い牝馬とは、そういう立場である。 本当なら、この馬の現役はこの春で終わっていた。クラブの規定では六歳の春に繁殖へ上がる決まりで、そのとおりなら夏を待たずに牧場へ帰っていたはずである。関係者が協議して、規定を一年延ばした。延ばした一年が何を連れてくるかは、延ばした側にも分からない。
大井の一秒一
10月1日、大井のレディスプレリュード。前年に2着だったレースを、今度は57キロで0秒4差の勝利。牝馬同士の重賞は、この年これで三つ目である。 11月3日、同じ大井のJBCレディスクラシック。連覇を狙って単勝1.3倍の1番人気に推された。不良馬場の1800メートル。勝ったのは三歳のホワイトフーガで、着差は1秒1、上がりは40秒1だった。この三歳牝馬は翌年も同じレースを勝ち、牝馬ダートの次の主役になっていく。 牝馬同士で1秒1も離された馬の、次の登録先は、牡馬の最上級戦だった。
中京、六十秒二
2015年12月6日、中京競馬場。曇り、ダートは良。第16回チャンピオンズカップに16頭が集まった。1番人気は武豊のコパノリッキー、2番人気は連覇を狙うホッコータルマエ、3番人気はクリストフ・ルメールの三歳馬ノンコノユメ。サンビスタは12番人気、単勝66.4倍。ミルコ・デムーロは、この馬に初めて跨った。中間のゲート練習で乗ったときに状態の良さを感じていた、と後に語っている。 ゲートが開くと、コパノリッキーがコーリンベリーを制してハナに立ち、外からクリノスターオーとガンピットが絡んでいった。1000メートル通過は60秒2。前年より2秒1速い。サンビスタは4番枠から内ラチ沿いの中団に収まり、その外にホッコータルマエがいた。 3コーナーからホッコータルマエが外を上がってコパノリッキーに並びかけ、直線はその二頭の追い比べになる。内で脚を溜めていた一頭が、外へ持ち出された。残り200メートル、密集の中から抜け出したサンビスタが、並ぶ間もなく人気の二頭をかわしていく。「4コーナーでは狭くなったけれど、馬が頑張ってくれた」[^1]。内からノンコノユメ、大外からサウンドトゥルーが伸びてきたが、1馬身半あった。 1分50秒4。上がりは37秒4で、追い込んできた二頭より遅い。それでも先にゴールへ入ったのは、厳しい流れの中で自分の競馬を通したこの馬だった。第1回のジャパンカップダートから、フェブラリーステークスも含めて、JRAのダートGIを牝馬が勝ったのは初めてだった。それまでの重賞5勝は、すべて牝馬同士のレースである。角居勝彦はこのレース3勝目——2005年と2008年、カネヒキリで勝っていた。ミルコ・デムーロは初勝利。そして岩田康誠は、この日もローマンレジェンドの背にいた。
出典:日本中央競馬会「11R 第16回 チャンピオンズカップ(GI)」2015年12月6日、https://www.jra.go.jp/datafile/seiseki/g1/jcd/result/jcd2015.html 、閲覧日:2026年7月30日。
牧場へ帰る
東京大賞典に出るプランもあった。だが12月15日、引退と繁殖入りが決まる。クラブの東京事務所代表・釜谷恵子は「もともとルールを延長していた馬ですし、繁殖への準備期間も必要ですからね」[^1]と説明している。17日付で競走馬登録が抹消され、翌18日、生まれたグランド牧場へ帰った。28戦11勝。中央で17戦6勝、地方で11戦5勝。獲得賞金3億7625万7000円のうち、1億8520万円は地方の砂で稼いだものだった。 父スズカマンボは、その年の2月20日に死んでいる。13歳だった。娘が中京でしたことを、父は見ていない。母ホワイトカーニバルは同じ牧場にいて、2018年10月13日に死んだ。母の産駒は十頭。全兄スズカホープ、全弟ヨクエロマンボとフードゥルブラン——同じ父と母から四頭が生まれたが、重賞を勝ったのはこの一頭だけだった。半姉ホワイトクルーザーの息子ハヤブサナンデクンは、2023年のマーチステークスを勝っている。祖母イエローブルームの枝からは、もう一頭大きな馬が出た。母の半妹スズカブルームの息子メイショウダッサイ——2020年の中山大障害と2021年の中山グランドジャンプを勝ち、2020年のJRA賞最優秀障害馬に選ばれた従兄弟である。 2017年に初仔サンジョアン(父ルーラーシップ)が生まれ、三番仔ジレトール(父ロードカナロア)は天王山ステークスと松風月ステークスを勝ってオープンの馬になった。2024年にも仔が生まれている。 角居勝彦は2021年2月に厩舎を解散し、石川県珠洲市で引退した競走馬を受け入れる牧場を始めた。2023年8月には同市の蛸島町に珠洲ホースパークを開いている。牧場から競馬場へ出た男は牧場へ戻り、その牧場から出た牝馬も、生まれた場所へ戻った。 2025年12月、中京のチャンピオンズカップをダブルハートボンドが勝った。牝馬による二頭目の優勝である。最初の一頭が牡馬の砂の頂で開けた扉から、ちょうど十年が経っていた。
出典:デイリースポーツ「サンビスタ電撃引退、繁殖入りへ」2015年12月16日配信、https://www.daily.co.jp/horse/2015/12/16/0008649785.shtml 、閲覧日:2026年7月30日。
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