名馬の記憶を、
再生する。

年表ICHINEN-ISSO — 2400m

BOKUJŌ-CHŌ — HOKKAIDO

牧場帖

一年ずつ、顔ぶれをたどる。引退した名馬たちの繋養・在籍と映像を綴る帳面。
HORSES

名馬録

この世代(生まれ年)

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サクラトゥジュールのイメージビジュアル
サクラトゥジュールSakura Toujours
Sakura Toujours

サクラトゥジュール

通算成績32戦8勝

獲得賞金21,101万円

生年月日 2017.04.14(平成29年)毛色 青鹿毛セン

全成績

主要戦績(抜粋)・新しい順
サクラトゥジュールの成績一覧
年月日着順レースコース人気騎手タイム上り3F映像
1 A1二ありがとう!葛山晃平騎手特別 金沢 ダ1700 1人気 青柳正義 1:51.2 上り39.6
15 GI安田記念 東京 芝1600 16人気 佐々木大輔 1:33.3 上り34.1映像
13 GIフェブラリーS 東京 ダ1600 13人気 R.キング 1:37.7 上り37.6映像
9 GIII東京新聞杯 東京 芝1600 14人気 R.キング 1:32.5 上り33.2映像
8 GI安田記念 東京 芝1600 13人気 D.レーン 1:33.2 上り34.0映像
15 GIII東京新聞杯 東京 芝1600 4人気 R.キング 1:34.0 上り34.8映像
1 GIII京都金杯 中京 芝1600 6人気 R.キング 1:33.5 上り34.6映像
13 GIII関屋記念 新潟 芝1600 6人気 佐々木大輔 1:33.8 上り34.0映像
1 GIII東京新聞杯 東京 芝1600 7人気 R.キング 1:32.1 上り33.5映像
12 GIII中山金杯 中山 芝2000 9人気 R.キング 1:59.6 上り34.3映像
6 GIII関屋記念 新潟 芝1600 9人気 田辺裕信 1:32.6 上り32.8映像
1 OPメイS 東京 芝1800 7人気 D.レーン 1:44.7 上り33.7
14 GIII東京新聞杯 東京 芝1600 10人気 田辺裕信 1:32.9 上り34.2映像
2 LニューイヤーS 中山 芝1600 6人気 田辺裕信 1:33.2 上り33.6
2 LディセンバーS 中山 芝1800 10人気 田辺裕信 1:48.5 上り35.5
16 LオクトーバーS 東京 芝2000 4人気 石橋脩 1:59.1 上り35.6
1 WASJ第2戦 札幌 芝2000 1人気 川田将雅 2:00.6 上り35.6
5 STV賞 札幌 芝1800 8人気 浜中俊 1:47.9 上り34.4
14 スピカS 中山 芝1800 5人気 横山武史 1:49.3 上り37.0
14 STV杯 函館 芝2000 2人気 横山武史 2:01.6 上り38.7
2 五稜郭S 函館 芝1800 4人気 横山武史 1:48.7 上り35.3
5 スピカS 中山 芝1800 3人気 石橋脩 1:51.4 上り36.8
4 幕張S 中山 芝1600 2人気 石橋脩 1:32.5 上り34.7
1 3歳以上2勝クラス 中山 芝1800 1人気 石橋脩 1:49.3 上り34.6
2 神奈川新聞杯 東京 芝1600 1人気 石橋脩 1:34.0 上り34.5
6 GIIIラジオNIKKEI賞 福島 芝1800 4人気 石橋脩 1:48.5 上り36.1映像
1 3歳1勝クラス 東京 芝1600 1人気 D.レーン 1:31.7 上り34.6
2 3歳1勝クラス 東京 芝1600 1人気 D.レーン 1:32.2 上り34.1
2 3歳1勝クラス 中山 芝1800 1人気 石橋脩 1:50.4 上り35.1
3 Lジュニアカップ 中山 芝1600 2人気 石橋脩 1:33.8 上り35.7
2 ひいらぎ賞 中山 芝1600 1人気 R.ムーア 1:34.8 上り34.1
1 2歳新馬 東京 芝2000 2人気 石橋脩 2:05.3 上り33.6

血統

金色の名は 名馬ジャーニー に掲載 — その馬のページへ
サクラトゥジュールの血統表(左から親・祖父母・曽祖父母)
ネオユニヴァースNeo UniverseサンデーサイレンスSunday SilenceHalo
Wishing Well
ポインテッドパスPointed PathKris
Silken Way
サクラレーヌシンボリクリスエスSymboli Kris SKris S.
Tee Kay
セダンフオーエバーマルゼンスキーMaruzensky
サクラセダン
STORY

旅程 — この馬の物語

2017年生まれの青鹿毛のせん馬。父ネオユニヴァース、母サクラレーヌ。主な勝ち鞍は東京新聞杯・京都金杯。

トゥジュール ― 永遠という名

2019年10月6日、東京の芝2000メートル。石橋脩を背に2番人気で迎えた2歳新馬戦で、この青鹿毛は好位から抜け出し、ロードソリッドとの競り合いを4分の3馬身しのいでデビューを飾った。 名は、さくらコマースの冠「サクラ」に、フランス語の toujours ―― いつも、常に ―― を重ねたもの。母の母、セダンフォーエバーの「フォーエバー(永遠)」から連想された名だという。その母母セダンフォーエバーは、1988年の日本ダービーを制したサクラチヨノオーの全妹にあたる。血の格は、けっして軽くない。 伯父もいた。母サクラレーヌの半兄サクラプレジデント。2003年の皐月賞で、一頭の若駒とアタマ差の叩き合いを演じ、惜しくも敗れた馬である。その若駒の名を、ネオユニヴァース ―― この馬の、父という。勝者と敗者、二つの血が、一頭のサクラのなかで出会っていた。

銀の季節

3歳のうちに、石橋脩を背に2勝クラスまで駒を進めた。だが重賞の壁は厚い。挑んだラジオNIKKEI賞は6着。オープンに上がってからは、勝ち切れない日々が続いた。神奈川新聞杯で2着、五稜郭ステークスで2着、ディセンバーステークスで2着、ニューイヤーステークスで2着 ―― 掲示板の上位には決まって顔を出すのに、あと一列が遠い。 夏の札幌ではオールスタージョッキーズの一戦を川田将雅とともに制した。それでも、格の付く舞台では、いつも誰かの前で脚が止まる。トゥジュール ―― いつも。その名が、いつも二番手、という響きに聞こえかねない季節だった。それでもこの馬は、走ることをやめなかった。

六歳のオープン初勝利

転機は6歳の初夏だった。2023年5月20日、東京のメイステークス。レーンを鞍上に7番人気。逃げ粘るマテンロウスカイを、ゴール前でクビ差だけ差し切り、ようやくオープンの勲章をひとつ手にした。デビューから3年半。遅い、けれど確かな一勝だった。

七歳、はじめての重賞

遅れて、新しいパートナーが現れた。イングランドに生まれ、オーストラリアを拠点とする女性騎手、レイチェル・キング。短期免許で来日した彼女を背に迎えた2024年2月4日の東京新聞杯で、7歳のサクラトゥジュールはついに殻を破る。 中団のインでじっと脚を溜め、直線で馬群のなかから鋭く伸びた。1馬身の差をつけて先頭でゴールへ。長い下積みの果ての、七歳での重賞初制覇だった。

去勢、そして八歳の頂

その年、関屋記念を走り終えたあと、サクラトゥジュールは去勢手術を受けた。牡馬として血を残す未来を手放し、走ることそのものに専心する ―― そういう選択だった。 去勢明けの初戦が、2025年1月5日の京都金杯である。斤量はトップハンデの58キロ。6番人気の評価をよそに、キングは中団のインから直線で馬群を割り、先頭に立った。1分33秒5。八歳、去勢明け、トップハンデ ―― どれ一つとして楽ではない看板を背負って、重賞2勝目をもぎ取った。 桃色に白の一本輪。さくらの勝負服で頂に立ったこの馬には、二十年あまり前の皐月賞でアタマ差を競った父ネオユニヴァースと伯父サクラプレジデント、その勝者と敗者、双方の血が流れている。父が退けた相手の無念ごと、一頭のサクラが冬の重賞を勝ち切った。

下り坂の果て、北陸への道

頂の後には、長い下り坂もある。8歳から9歳にかけて、東京新聞杯も、安田記念も、フェブラリーステークスも、かつての切れ味は影をひそめ、着順は伸びなかった。 2026年6月18日付で、中央競馬の登録を抹消。だが、これは引退ではなかった。行き先は金沢 ―― 中川雅之厩舎に籍を移し、地方競馬でなお現役を続ける道を選んだのである。中央での成績は31戦7勝。九歳のセン馬は、走る場所ごと入れ替えて、もう一度ゲートの前に立つことになった。

トゥジュール ― 金沢の夏

転入初戦は、中央を去って四十日後にやってきた。2026年7月28日、金沢のダート1700メートル。レース名を『ありがとう!葛山晃平騎手特別』という。1997年に初騎乗した地元のベテランが、その月かぎりで騎手を退き、調教師へ転じる ―― 送り出される側の名を冠した、金沢の第10競走だった。 芝のマイルで二つの重賞を勝った青鹿毛は、その日、不良のダートに立っていた。鞍上は青柳正義。11頭立ての1番人気、斤量は57キロ。1分51秒2、2着イルミネーターに1秒2の差。競り合いにすらならない勝ち方だった。 芝からダートへ。中央から地方へ。九歳のセン馬にとって、変わったものは多い。それでも変わらなかったものが、その日の北陸ではっきりと形になった。トゥジュール。いつも、常に。二歳の秋に授かったその名の通り、この馬は走る場所が変わっても、走ることだけはやめなかった。デビュー勝ちから数えた幾つもの二着と、遅れて咲いた二つの重賞と、夏の金沢で挙げた新しい一勝を携えて ―― サクラは、まだ走っている。

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