名馬の記憶を、
再生する。

年表ICHINEN-ISSO — 2400m

BOKUJŌ-CHŌ — HOKKAIDO

牧場帖

一年ずつ、顔ぶれをたどる。引退した名馬たちの繋養・在籍と映像を綴る帳面。
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名馬録

この世代(生まれ年)

スライダーを動かすと、その世代に生まれた馬を獲得賞金の多い順で表示します。

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サブノジュニアのイメージビジュアル
サブノジュニアSabuno Junior
Sabuno Junior

サブノジュニア

通算成績44戦12勝

獲得賞金17,562万円

生年月日 2014.03.15(平成26年)毛色 黒鹿毛

全成績

主要戦績(抜粋)・新しい順
サブノジュニアの成績一覧
年月日着順レースコース人気騎手タイム上り3F映像
6 ビオラ賞 大井 ダ1400 1人気 矢野貴之 1:26.9 上り38.2
6 JpnⅠJBCスプリント 金沢 ダ1400 8人気 矢野貴之 1:25.6 上り35.6映像
6 JpnⅡ東京盃 大井 ダ1200 4人気 矢野貴之 1:11.1 上り35.9
3 アフター5スター賞 大井 ダ1200 1人気 矢野貴之 1:12.7 上り37.8
2 JpnⅢ東京スプリント 大井 ダ1200 2人気 矢野貴之 1:11.5 上り36.9
4 フジノウェーブ記念 大井 ダ1400 2人気 矢野貴之 1:26.3 上り38.3
9 GIII根岸S 東京 ダ1400 15人気 森泰斗 1:22.9 上り35.9映像
8 GIIIカペラS 中山 ダ1200 5人気 矢野貴之 1:10.6 上り35.9映像
1 JpnⅠJBCスプリント 大井 ダ1200 8人気 矢野貴之 1:10.7 上り36.4映像
5 JpnⅡ東京盃 大井 ダ1200 4人気 矢野貴之 1:11.2 上り36.1
1 アフター5スター賞 大井 ダ1200 1人気 矢野貴之 1:11.7 上り35.8
1 ジュライ賞 大井 ダ1200 1人気 矢野貴之 1:11.7 上り36.3
1 神田川オープン 大井 ダ1200 1人気 矢野貴之 1:11.0 上り35.6
2 JpnⅢ東京スプリント 大井 ダ1200 5人気 矢野貴之 1:11.1 上り36.0
4 フジノウェーブ記念 大井 ダ1400 1人気 矢野貴之 1:25.9 上り37.2
1 ’20ウインタースプ 大井 ダ1200 1人気 矢野貴之 1:12.5 上り37.1
1 黄葉賞 大井 ダ1200 2人気 矢野貴之 1:11.9 上り36.2
7 マイルグランプリ 大井 ダ1600 3人気 矢野貴之 1:41.3 上り38.7
2 マイルグランプリトライアル 大井 ダ1600 2人気 矢野貴之 1:41.5 上り39.8
3 アフター5スター賞 大井 ダ1200 3人気 矢野貴之 1:11.9 上り36.1
5 サンタアニタトロフィー 大井 ダ1600 10人気 西啓太 1:40.1 上り37.2
2 黄葉賞 大井 ダ1200 3人気 矢野貴之 1:13.2 上り38.0
5 マイルグランプリ 大井 ダ1600 15人気 柏木健宏 1:41.1 上り38.8
7 マイルグランプリトライアル 大井 ダ1600 7人気 矢野貴之 1:41.9 上り39.7
4 JpnⅢ東京スプリント 大井 ダ1200 11人気 矢野貴之 1:12.3 上り37.3
3 弥生賞 大井 ダ1000 2人気 矢野貴之 0:59.2 上り35.1
10 フジノウェーブ記念 大井 ダ1400 5人気 和田譲治 1:27.7 上り39.5
2 ’18ウインタースプ 大井 ダ1200 1人気 和田譲治 1:12.7 上り37.2
6 ゴールドカップ 浦和 ダ1400 5人気 和田譲治 1:28.7 上り38.4
2 東京トゥインクルマル 大井 ダ1200 2人気 和田譲治 1:12.1 上り36.4
1 しぶやダイバーシティ 大井 ダ1600 2人気 和田譲治 1:41.5 上り39.4
2 印西市コスモス賞 大井 ダ1400 1人気 和田譲治 1:26.1 上り38.0
4 アフター5スター賞 大井 ダ1200 3人気 和田譲治 1:12.0 上り37.1
2 優駿スプリント 大井 ダ1200 1人気 的場文男 1:13.2 上り38.0
1 優駿スプリントトライ 大井 ダ1200 1人気 的場文男 1:13.5 上り37.7
1 マーガレット特別 大井 ダ1200 1人気 的場文男 1:13.0 上り37.0
1 菜の花特別 大井 ダ1200 1人気 的場文男 1:13.6 上り37.1
1 クロッカス特別 大井 ダ1200 1人気 的場文男 1:14.7 上り38.1
3 寒椿特別 大井 ダ1200 1人気 的場文男 1:14.8 上り40.2
1 2歳 270万 大井 ダ1200 1人気 的場文男 1:14.4 上り38.5
2 2歳 170万 大井 ダ1200 2人気 的場文男 1:14.7 上り37.8
8 2歳 275万 大井 ダ1400 2人気 森泰斗 1:31.0 上り40.3
3 2歳 125万 大井 ダ1400 2人気 柏木健宏 1:30.6 上り38.9
2 2歳 新馬 大井 ダ1200 1人気 柏木健宏 1:15.1 上り38.9

血統

金色の名は 名馬ジャーニー に掲載 — その馬のページへ
サブノジュニアの血統表(左から親・祖父母・曽祖父母)
サウスヴィグラスSouth VigorousエンドスウィープEnd SweepフォーティナイナーForty Niner
Broom Dance
ダーケストスターDarkest StarStar de Naskra
Minnie Riperton
サブノイナズマカコイーシーズCacoethesAlydar
Careless Notion
サブノアフロディアフジキセキFuji Kiseki
サニーモーニングSunny Morning

引退後・牧場での映像

ゴール板の先の時間
STORY

旅程 — この馬の物語

2014年生まれの黒鹿毛の牡馬。父サウスヴィグラス、母サブノイナズマ。

大井の血 ― サブノの一族

父は、大井のダートで現役を終えた馬だった。 2003年のJBCスプリント。サウスヴィグラスは大井の1190mを柴田善臣とハナ差で制し、その一戦を最後にターフを去っている。種牡馬に上がってからは地方競馬のリーディングサイアーを八度も獲り、ダート短距離の血をこの国じゅうに敷いていった。 その仔が2014年3月15日、北海道新ひだか町の藤沢牧場に生まれる。黒鹿毛の牡馬、サブノジュニア。母サブノイナズマも、祖母サブノアフロディアも、大井でデビューした馬だった。馬主・中川三郎の冠名「サブノ」を継ぐ一族は、代々この東京の夜のダートを走ってきたのである。 一つ上の半兄サブノクロヒョウ(父ロージズインメイ)は、のちに東京記念を勝つ。祖母の半兄シロキタクロスは神戸新聞杯の勝ち馬。血をさかのぼればアメリカの名牝系の祖ベストインショウに行き着き、Raise a Nativeが5×4、Northern Dancerが5×5で重なっている。 2016年9月20日、大井の新馬戦。柏木健宏を背に単勝1.2倍の支持を受けながら、2着。父が最後の勝利を挙げた競馬場で、息子の競走生活は取りこぼしから始まった。

大晦日の逃げ ― 的場文男と四連勝

初めての勝利は、その年の最後の日にやってきた。 2016年12月31日、大井の2歳戦。鞍上は的場文男。この日サブノジュニアは初めてハナを切り、二着に1秒の差をつけて押し切った。逃げて勝つ――厩舎を預かる堀千亜樹は、騎手時代を逃げの名手と呼ばれて過ごした男である。1977年に大井で乗り出し、地方通算1294勝を挙げて2004年に鞍を降り、翌年、小林分場に自分の厩舎を開いた。 明けて3歳。1月の寒椿特別を3着としたあとは、クロッカス特別、菜の花特別、マーガレット特別、優駿スプリントトライアルと、1200mだけを選んで四連勝する。すべて的場、すべて1番人気だった。6月の優駿スプリントで初めて重賞に挑んだが、赤岡修次のバンドオンザランに直線で届かず2着。 夏からは和田譲治に手綱が渡り、11月にはマイルのしぶやダイバーシティ賞を勝つ。11戦5勝。3歳のサブノジュニアはまだ、自分がどこまでの距離を走れる馬なのか、その答えを持っていなかった。

折れた骨、そして兄と走った夏

4歳の春は、噛み合わなかった。年明けのウインタースプリントは1番人気で2着。1400mのフジノウェーブ記念は10着に沈む。3月末、大井の弥生賞から矢野貴之が乗るようになって3着、4月の東京スプリントは4着。秋はマイルグランプリの路線に向かい、トライアル7着、本番5着。1600mは、この馬の距離ではなかった。 11月14日、1200mに戻した黄葉賞で2着。手応えを取り戻しかけた矢先に骨折が見つかり、長い休養に入る。この年の3月には、父サウスヴィグラスが腸閉塞による疝痛で世を去っていた。22歳だった。 戻ってきたのは2019年7月31日、大井のサンタアニタトロフィー。八か月半ぶり、鞍上は西啓太。このレースで初めて、半兄サブノクロヒョウと同じゲートに入った。2017年に東京記念を制していた兄である。勝ったのはノンコノユメで、サブノジュニアが5着、サブノクロヒョウが6着。同じ母から出た二頭の順番は、弟が先だった。 矢野が戻ってくると、アフター5スター賞3着、マイルグランプリトライアル2着、そしてマイルグランプリはまた7着。11月13日、1200mの黄葉賞を2馬身半差で完勝する。5歳の暮れ、この馬の居場所はもう疑いようがなかった。

六歳の重賞 ― アフター5スター賞

2020年、6歳。1月のウインタースプリントを1番人気で勝ち、1400mのフジノウェーブ記念は1番人気に推されながら4着に終わる。4月の東京スプリントはジャスティンに0秒2届かず2着。神田川オープン、ジュライ賞と1200mのオープン特別を連勝して、9月8日、アフター5スター賞を迎えた。 14頭立ての1番人気。ゲートを出たサブノジュニアは11番手にいた。1200mで後ろから数えたほうが早い位置は、普通なら間に合わない。それでも上がり3ハロン35秒8の脚を使って伸び、1馬身1/4の差をつけて先頭でゴールする。 六歳にして、初めての重賞だった。デビューから四年目、34戦目である。翌月の東京盃は5着。それでもこの馬がスプリントの一線級と戦えることは、もう数字が示していた。

十一月三日、大井 ― JBCスプリント

その年のJBCは、大井で行われた。11月3日、第20回JBCスプリント、16頭立て。その年の高松宮記念を勝ったモズスーパーフレア、前年のこの競走を制したブルドッグボス、中央のマテラスカイ――スプリントの一線がそろい、サブノジュニアは8番人気、単勝19.7倍だった。初めてのJpnIである。 中団。矢野は3コーナーを過ぎたあたりから、少しずつ位置を押し上げていく。直線の入口で前が詰まり、進路が消えかけた。こじ開けるようにして隙間をつくると、残り200mから伸びた。逃げていたモズスーパーフレア、先団からじわじわと来ていたマテラスカイ。二頭をまとめて交わし、1馬身3/4差。時計は1分10秒7。 大井生え抜きの馬がJBCスプリントを勝ったのは、これが初めてだった。地方所属馬としては三頭目。そして矢野貴之にとっては、2002年のデビューから十八年を経て手にした、最初のJpnIだった。「思い入れのある馬だし、大井の馬で中央勢を負かすことができてうれしい」[^1]。 十七年前、この同じ大井の同じ競走を、父サウスヴィグラスが勝っている。そしてその一戦を最後に、父は競走馬をやめた。父が旅を終えた場所が、息子の頂になった。

出典:地方競馬全国協会「web Furlong 2020【JBC特集】第20回 JBCスプリント JpnⅠ」2020年11月配信、https://www.keiba.go.jp/furlong/2020/tokusyu/jbc_data/201103-03.html 、閲覧日:2026年7月26日。

五十九キロ ― 王者になってから

タイトルの代償は、斤量という形でやってきた。 12月、初めての中央。中山のカペラステークスで59キロを背負い8着。年が明けた1月31日、東京の根岸ステークスは矢野が負傷して森泰斗が乗り、9着。ここでも59キロだった。 3月のフジノウェーブ記念は前年と同じ4着。この1400mの重賞には三度挑んで、ついに一度も勝てなかった。4月の東京スプリントでは直線で猛然と伸びたが、リュウノユキナをアタマ差捕まえきれずに2着。 夏を休養にあて、5か月ぶりのアフター5スター賞は1番人気で3着。東京盃6着。連覇を狙って金沢へ運んだJBCスプリントは、1400mに延びた舞台で6着に終わる。勝ったのはレッドルゼルだった。 12月9日、大井のビオラ賞。1番人気に支持されたが、後方から大外を回って6着。それが44戦目、最後の一戦になった。レースのあと、引退式が行われた。44戦12勝、獲得賞金1億7562万円。中央では2戦して、ついに勝てないままだった。

浦河へ、七戸へ ― 血を預かる

2021年1月、NARグランプリ2020が発表された。サブノジュニアは年度代表馬に選ばれ、4歳以上最優秀牡馬、最優秀短距離馬も併せて受賞する。TCK大賞も贈られた。同じ年の表彰者の列には、堀千亜樹と矢野貴之の名も並んでいる。 12月10日付で競走馬登録を抹消。翌2022年から、北海道浦河町のイーストスタッドで種牡馬になった。浦河は、この馬をデビューから引退まで管理した堀千亜樹の生まれ故郷でもある。2023年に初年度産駒が生まれ、2024年10月には日本軽種馬協会が2025年からの供用を発表して、青森県の七戸種馬場へ移った。 矢野貴之は、そのまま大井で乗り続けた。2025年10月に地方通算3000勝へ到達し、同年12月29日の東京大賞典をディクテオンで制してGIを勝っている。JpnIに手が届かなかった十八年を終わらせたのは、8番人気のこの黒鹿毛だった。 父サウスヴィグラスは2018年に世を去ったが、その産駒は走り続け、地方競馬のリーディングサイアーは2021年まで通算八度を数えた。血を受けた息子は、大井の1200mを1分10秒7で走り、いま七戸で次の世代を送り出している。あの日の脚がどこまで伝わるのかは、これから確かめられていく。

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