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リエノテソーロ
通算成績19戦5勝
獲得賞金1億5,127万円
生年月日 2014.02.24(平成26年)毛色 栗毛性 牝
全成績
主要戦績(抜粋)・新しい順| 年月日 | 着順 | レース | コース | 人気 | 騎手 | タイム | 上り3F | 映像 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 12 | JpnⅢかきつばた記念 | 名古屋 ダ1400 | 4人気 | 大野拓弥 | 1:30.3 | 上り40.8 | — | |
| 3 | JpnⅢマリーンカップ | 船橋 ダ1600 | 2人気 | 大野拓弥 | 1:41.4 | 上り38.3 | — | |
| 16 | GIIIターコイズS | 中山 芝1600 | 14人気 | 田辺裕信 | 1:34.5 | 上り37.2 | 映像 | |
| 13 | JpnⅠJBCレディスクラシック | 京都 ダ1800 | 11人気 | 吉田隼人 | 1:53.2 | 上り39.4 | — | |
| 9 | JpnⅡレディスプレリュード | 大井 ダ1800 | 4人気 | 吉田隼人 | 1:55.9 | 上り39.7 | — | |
| 1 | JpnⅢスパーキングレディー | 川崎 ダ1600 | 3人気 | 吉田隼人 | 1:40.8 | 上り38.5 | — | |
| 15 | GIヴィクトリアマイル | 東京 芝1600 | 17人気 | 吉田隼人 | 1:33.6 | 上り35.2 | 映像 | |
| 14 | GI高松宮記念 | 中京 芝1200 | 13人気 | 吉田隼人 | 1:09.5 | 上り35.8 | 映像 | |
| 10 | GIII夕刊フジオーシャンS | 中山 芝1200 | 7人気 | 吉田隼人 | 1:08.7 | 上り34.3 | 映像 | |
| 6 | GIIIターコイズS | 中山 芝1600 | 6人気 | 吉田隼人 | 1:34.4 | 上り34.9 | 映像 | |
| 7 | OP信越S | 新潟 芝1400 | 2人気 | 吉田隼人 | 1:21.2 | 上り34.6 | — | |
| 5 | JpnⅢテレ玉杯オーバルスプリント | 浦和 ダ1400 | 1人気 | 吉田隼人 | 1:26.9 | 上り37.8 | — | |
| 7 | GIIIユニコーンS | 東京 ダ1600 | 1人気 | 内田博幸 | 1:37.4 | 上り37.4 | 映像 | |
| 2 | GINHKマイルカップ | 東京 芝1600 | 13人気 | 吉田隼人 | 1:32.5 | 上り34.0 | 映像 | |
| 4 | OPアネモネS | 中山 芝1600 | 2人気 | 吉田隼人 | 1:34.9 | 上り36.0 | — | |
| 1 | JpnⅠ全日本2歳優駿 | 川崎 ダ1600 | 1人気 | 吉田隼人 | 1:42.8 | 上り40.4 | — | |
| 1 | JpnⅢエーデルワイス賞 | 門別 ダ1200 | 1人気 | 吉田隼人 | 1:12.8 | 上り37.5 | — | |
| 1 | OPすずらん賞 | 札幌 芝1200 | 2人気 | 吉田隼人 | 1:10.3 | 上り34.9 | — | |
| 1 | 2歳新馬 | 札幌 芝1200 | 2人気 | 吉田隼人 | 1:10.3 | 上り35.7 | — |
血統
金色の名は 名馬ジャーニー に掲載 — その馬のページへ| 父Speightstown | Gone West | Mr. Prospector |
| Secrettame | ||
| Silken Cat | Storm Cat | |
| Silken Doll | ||
| 母Akilina | Langfuhr | Danzig |
| Sweet Briar Too | ||
| Fahamore | Gulch | |
| Cathy's Gal |
旅程 — この馬の物語
2014年生まれの栗毛の牝馬。父Speightstown、母Akilina。
テソーロ ― 宝と名づけられた栗毛
2014年2月24日、アメリカ。Oak Bluff Stables の生産で、一頭の栗毛の牝馬が生まれた。父はスプリント王 Speightstown、母 Akilina は本国で26戦6勝、芝のステークスを勝ち、GIIIハニーフォクスステークスでは3着に食い込んだ牝馬である。一つ上の半兄 Governor Malibu は、のちに2016年のベルモントステークスを4着で走る。 この馬を日本へ連れてきたのは、アメリカのセリ場で自ら彼女を選んだ一人の若い調教師だった。武井亮。山梨の生まれで、北海道大学の獣医学部では馬術部に籍を置き、競馬学校の厩務員課程から厩務員、調教助手と階段を上がって、2013年の暮れに調教師試験に受かった。開業は翌2014年、33歳。トレードマークの坊主頭は、周囲に印象を残すためにわざとそうしているのだと本人が語っている。名を売りたい若い調教師が、海の向こうで見つけた一頭。それが、この馬だった。 馬名の登録上の由来は「人名より+冠名」とされる。「テソーロ」はオーナーの冠名で、スペイン語の宝を指す。「リエノ」が誰の名から来たのかまでは、その由来欄に記されていない。宝、とだけが名に刻まれていた。
札幌の洋芝 ― 連闘の二連勝
2016年8月27日、札幌の芝1200mの新馬戦。鞍上は吉田隼人。2番人気に推されたこの馬は、好スタートから道中3番手につけ、残り100mで先頭に立つと1馬身半差で押し切った。 翌週の9月4日、連闘ですずらん賞へ向かう。前走と同じように3番手を追走し、直線でじわじわと加速して、残り100mで前を捉える。1馬身1/4差。勝ち時計は新馬戦とまったく同じ1分10秒3だった。北の洋芝で、二つ。 この日から、全19戦のうち15戦を、吉田隼人が務めることになる。
砂に降りる ― 門別の五馬身、川崎の三馬身
10月13日、門別。エーデルワイス賞は初めてのダートで、初めてのナイターだった。単勝1.7倍の1番人気に応え、好位の外から直線で先頭に立つと後続を突き放し、2着のアップトゥユーに5馬身。開業3年目の武井亮にとって、これが重賞初制覇だった。 12月14日、川崎の全日本2歳優駿。不良の砂の上、ローズジュレップが逃げ、外からシゲルコングがかかり気味に2番手へ上がる。リエノテソーロは4番手の内で静かに折り合った。4コーナー手前で前の三頭が後続を引き離し、直線の半ばで抜け出す。2着のシゲルコングに3馬身差。4戦4勝、無傷のまま2歳ダートの頂に立った。牡馬を相手にした戴冠であり、武井にとってのJpn1初制覇であり、オーナーにとっても初めてのGI級のタイトルだった。 吉田隼人はレース後、「馬の後ろで砂を被っても変わらずに良いフォームで走ってくれました」[^1]と、初めての砂被りに動じなかった2歳牝馬を振り返っている。 半年前の6月、太平洋の向こうでは半兄 Governor Malibu がベルモントステークスを4着で走っていた。同じ母から出た二頭が、同じ年に、それぞれの国のいちばん大きな砂の舞台に立っていた。
出典:競馬ラボ「【全日本2歳優駿】牝馬リエノテソーロが無傷4連勝で2歳ダートの頂点に!」2016年12月14日配信、https://www.keibalab.jp/topics/32102/、閲覧日:2026年7月26日。
府中の大外 ― 二〇一七年五月七日
3歳の春は、狂いから始まった。桜花賞を目標に据えていたが、ソエが出て回避。3月11日のアネモネステークスは、半年ぶりの芝で、三か月ぶりの実戦だった。それでも4着に踏みとどまる。 本番は、思いがけない場所で待っていた。5月7日、東京のNHKマイルカップ。単勝37.5倍、18頭中13番人気。芝で勝った経験は札幌の洋芝だけで、前走も4着。期待を寄せる声は多くなかった。 ボンセルヴィーソがハナを切り、好スタートを決めたアエロリットは控えて好位の外につけた。リエノテソーロは中団。直線、アエロリットが残り400mから追い出して先頭に立つ。そのさらに外、大外から一頭だけ違う脚色で伸びてきたのが、この馬だった。上がり3ハロン34秒0はメンバー中最速。食い下がったがアエロリットのリードは崩れず、1馬身半差の2着。 勝ち時計1分32秒5。洋芝の1分10秒台しか知らなかった馬が、府中の高速マイルで、GIのゴール板を二番目に通過していた。
勝てない季節
府中の激走のあとは、長い平坦が続いた。 6月のユニコーンステークスは1番人気に支持されながら7着。鞍上は内田博幸に替わった。秋、浦和のテレ玉杯オーバルスプリントもまた1番人気で5着。新潟の信越ステークスが7着、暮れのターコイズステークスが6着。芝でもダートでも、決め手が半歩ずつ足りなかった。 明けて2018年、矛先は芝の短距離戦へ向かう。オーシャンステークス10着、高松宮記念14着、ヴィクトリアマイル15着。掲示板は遠く、勝ち鞍は2歳の暮れのまま止まっていた。
川崎に帰る
2018年7月5日、スパーキングレディーカップ。舞台は、あの全日本2歳優駿と同じ川崎のダート1600mだった。3番人気。 船橋のオルキスリアンがハナを切り、リエノテソーロは2番手を追走する。逃げ馬が3コーナーで一杯になると、代わって先頭に立ち直線を向いた。1番人気オウケンビリーヴが懸命に襲いかかるが、その差は縮まらない。半馬身。全日本2歳優駿以来、一年半あまりぶりの勝利であり、重賞三勝目だった。 「川崎の全日本2歳優駿から勝てなかったが、また川崎で勝つことができてホッとしました」[^1]。吉田隼人の言葉のとおり、勝てなくなった場所で、この馬はもう一度勝った。
出典:競馬ラボ「【スパーキングLC】3番人気リエノテソーロがゲンのいい川崎で復活V!」2018年7月5日配信、https://www.keibalab.jp/topics/36044/、閲覧日:2026年7月26日。
日高へ ― 名を継ぐ者たち
復活の後の秋は、また厳しかった。大井のレディスプレリュード9着、京都のJBCレディスクラシック13着、田辺裕信を背にしたターコイズステークスは16着。 2019年、鞍上は大野拓弥に替わる。4月17日、船橋のマリーンカップで3着。近親のヴィータアレグリアが2016年に制したレースだった。だが2週間後、名古屋のかきつばた記念は12着。これが最後の一戦になった。8月21日、競走馬登録抹消。19戦5勝、獲得賞金1億5127万3000円。デビューから最後の一戦まで、この馬が武井亮の厩舎を離れることは一度もなかった。 北海道日高町のリョーケンファームで、繁殖牝馬になった。初仔はドゥラメンテを父に持つモービルテソーロ。2024年に生まれた牝馬ラピッドテソーロは父がキタサンブラックで、2026年の夏、函館で最初の一つを勝ち取った。母が最初の二つを勝ったのも、北海道の夏だった。 名も、遠くまで行った。冠名テソーロは2023年、ウシュバテソーロがドバイワールドカップを制して世界の頂に届く。その冠名に最初のGI級タイトルを持ち帰ったのは、この栗毛の牝馬だった。アメリカのセリ場で彼女を選んだ武井亮も、2024年の菊花賞をアーバンシックで勝ち、JRAのGIに手を伸ばしている。 日高の放牧地で草を食む彼女に、そうした後日談は関係がない。四戦目までを無敗で駆け上がり、府中の大外から一度だけGIの二着まで届き、勝てなくなった川崎でもう一度勝った——その全部を、仔たちが名前ごと受け取っていく。
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