名馬の記憶を、
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年表ICHINEN-ISSO — 2400m

BOKUJŌ-CHŌ — HOKKAIDO

牧場帖

一年ずつ、顔ぶれをたどる。引退した名馬たちの繋養・在籍と映像を綴る帳面。
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名馬録

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レシステンシアのイメージビジュアル
レシステンシアResistencia
Resistencia

レシステンシア

通算成績18戦5勝

獲得賞金(海外含む・概算)約51,464万円

生年月日 2017.03.15(平成29年)毛色 鹿毛

全成績

主要戦績(抜粋)・新しい順
レシステンシアの成績一覧
年月日着順レースコース人気騎手タイム上り3F映像
5 GIII1351ターフスプリント キングアブドゥル 芝1351 7人気 R.ムーア 1:17.8 映像
13 GI香港スプリント シャティン 芝1200 4人気 J.モレイラ 映像
11 GI安田記念 東京 芝1600 9人気 横山武史 1:32.7 上り33.6映像
3 GIヴィクトリアマイル 東京 芝1600 6人気 横山武史 1:32.5 上り34.1映像
6 GI高松宮記念 中京 芝1200 1人気 横山武史 1:08.6 上り35.2映像
2 GI香港スプリント シャティン 芝1200 2人気 C.スミヨン 映像
2 GIスプリンターズS 中山 芝1200 2人気 C.ルメール 1:07.4 上り33.5映像
1 GII産経賞セントウルS 中京 芝1200 1人気 C.ルメール 1:07.2 上り34.0映像
6 GIヴィクトリアマイル 東京 芝1600 2人気 武豊 1:31.9 上り34.1映像
2 GI高松宮記念 中京 芝1200 1人気 浜中俊 1:09.2 上り34.5映像
1 GIII阪急杯 阪神 芝1400 1人気 北村友一 1:19.2 上り33.8映像
8 GIマイルチャンピオンS 阪神 芝1600 4人気 北村友一 1:32.8 上り34.3映像
2 GINHKマイルカップ 東京 芝1600 1人気 C.ルメール 1:32.7 上り34.7映像
2 GI桜花賞 阪神 芝1600 1人気 武豊 1:36.3 上り38.2映像
3 GIIチューリップ賞 阪神 芝1600 1人気 北村友一 1:33.5 上り34.2映像
1 GI阪神ジュベナイルフィリーズ 阪神 芝1600 4人気 北村友一 1:32.7 上り35.2映像
1 GIIIKBSファンタジーS 京都 芝1400 6人気 北村友一 1:20.7 上り34.9映像
1 2歳新馬 京都 芝1400 1人気 武豊 1:22.9 上り35.8

血統

金色の名は 名馬ジャーニー に掲載 — その馬のページへ
レシステンシアの血統表(左から親・祖父母・曽祖父母)
ダイワメジャーDaiwa MajorサンデーサイレンスSunday SilenceHalo
Wishing Well
スカーレットブーケノーザンテーストNorthern Taste
スカーレットインクScarlet Ink
マラコスタムブラダMalacostumbradaLizard IslandDanehill Dancer
Add
Mapul WellsPoliglote
Pulma
STORY

旅程 — この馬の物語

2017年生まれの鹿毛の牝馬。父ダイワメジャー、母マラコスタムブラダ。主な勝ち鞍は阪神ジュベナイルF・KBSファンタジーS・阪急杯。

不屈という名 ― アルゼンチンから来た血

レシステンシア。スペイン語で「抵抗」、あるいは「不屈」を意味するその名は、母マラコスタムブラダの生まれ故郷――アルゼンチンの州都レシステンシアの街から採られている。母は現地でG1ヒルベルトレレナ大賞を制した実力馬。父は無類のスピードと勝負根性で鳴らしたダイワメジャーである。半弟には、のちに京成杯を勝つグラティアスがいた。 2019年10月、京都の芝1400m。武豊を背にした新馬戦を、この鹿毛の牝馬は1番人気に応えて快勝する。前へ行きたがる強い気性と、後続を待たせぬスピード。素材の非凡さは、初戦から隠しようがなかった。二戦目からは、若い北村友一へ手綱が託される。名に負った「不屈」を、馬と鞍上がこれから何年もかけて証明していくことになる。

五馬身 ― 二歳女王の戴冠

北村友一とのコンビは、すぐに実を結んだ。11月のファンタジーステークスを6番人気で制すると、迎えた12月の阪神ジュベナイルフィリーズ――2歳牝馬の頂点を決めるGI。ゲートを出るなり先手を奪ったレシステンシアは、800m通過45秒5という激しいペースで飛ばしながら、直線でさらに後続を突き放した。着差は五馬身。時計は1分32秒7、レースレコードにして2歳コースレコード。逃げて、しかも記録づくめの圧勝だった。 松下武士調教師にとって初めてのGIタイトルであり、北村にとっても大きな一勝。鞍上はこの2歳女王を、まだ粗削りながら高いポテンシャルを秘めた馬だと評した。年末のJRA賞最優秀2歳牝馬は、記者投票274票の満票。異論の入る余地は、どこにもなかった。

銀の春 ― 桜と府中で交わされて

明けて2020年、レシステンシアは牝馬クラシックの本命として春を迎える。チューリップ賞は1番人気で3着。始動戦を叩いて臨んだ桜花賞――阪神の芝1600m、鞍上は再び武豊。いつものように果敢にハナを切り、直線でも粘り込むかに見えた。だが残り50m、外から鋭く伸びてきた一頭に、先頭を明け渡す。差し切ったのはデアリングタクト。のちに無敗の牝馬三冠を成し遂げる、その年の主役だった。 続くNHKマイルカップは、ルメールを背に牡馬混合のGIへ。ここでも前々で運びながら、ゴール前でラウダシオンに捉えられて2着。桜花賞、NHKマイル――立て続けの2着は、この馬に長くつきまとう「銀」の始まりでもあった。秋のマイルチャンピオンシップは8着。二歳時のあの圧勝が、遠い記憶のように思える一年だった。

相棒の墜落 ― 二〇二一年五月二日

四歳になったレシステンシアは、北村友一とのコンビを取り戻す。2021年2月の阪急杯を1番人気で完勝――久しぶりの勝利であり、二人にとって三つ目の重賞制覇だった。だが翌月の高松宮記念、初めて挑む1200mでは浜中俊を背にダノンスマッシュにクビ差の2着。距離を詰めても、この馬はやはり頂の一歩手前で足踏みした。 そして5月2日、阪神。北村友一は自身の騎乗馬が他馬の斜行にあおられて落馬し、椎体骨折、右肩甲骨骨折――後日、背骨は八本以上が折れていたと分かる大怪我を負った。復帰の見通しは立たない。相棒を失ったレシステンシアは、その2週間後のヴィクトリアマイルを武豊で6着。名に刻まれた「不屈」の意味を、今度は鞍上のいない場所で、馬と厩舎が背負うことになった。

短距離へ ― 積み重なる銀メダル

スプリントに軸足を移した秋、レシステンシアは再び輝きを見せる。9月のセントウルステークスを、ルメールを背に1番人気で快勝。1分07秒2で押し切ったこの一戦が、生涯五つ目の勝利であり、最後の勝ち鞍となった。勢いそのままに向かった10月のスプリンターズステークスは2着。ピクシーナイトの前に、2馬身届かなかった。 師走の香港へ遠征し、シャティンのスプリントGIでもスミヨンを背に食い下がる。勝ったスカイフィールドとの差は、わずか四分の三馬身。高松宮記念、スプリンターズステークス、そして香港スプリント――短距離でも彼女は上位を外さず、しかしそのたびに二着に泣いた。桜花賞、NHKマイルと合わせて、GIの二着はこれで五つ。頂点のひとつ下に、この馬はいつも立っていた。それでも前をやめない走りは、名前そのものだった。

不屈の意味 ― 母になった女王と、還ってきた相棒

五歳を迎えた2022年、快速はゆるやかに陰り始める。高松宮記念6着、ヴィクトリアマイル3着、安田記念11着。年末の香港スプリントは13着。そして2023年2月、サウジアラビアの1351ターフスプリントを5着で走り終えると、レシステンシアは現役を退いた。18戦5勝。刻んだGIは阪神ジュベナイルフィリーズのひとつ、しかしGIの舞台で二着に着けた回数は五。派手な冠こそ少なくとも、一線級と幾度も渡り合い続けた牝馬の記録である。 引退した女王は北の大地で母となり、モーリスとの初仔コルベータ、続いてイクイノックスの牝馬を産んだ。快速の血は、次の世代へ受け継がれていく。 そして――彼女に唯一のGIをもたらした北村友一は、背骨八本以上を折ったあの落馬から一年余りを経て、2022年6月にターフへ還ってきた。折れずに立ち上がった鞍上は、2025年の東京優駿でクロワデュノールを駆り、デビュー20年目にしてついにダービーの頂へ辿り着く。抵抗をやめない――その名の意味を、馬と人がそれぞれの場所で生き抜いた。母になった彼女の仔が、いつかまた前へ前へと逃げる日を、静かに待てばいい。

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