名馬の記憶を、
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年表ICHINEN-ISSO — 2400m

BOKUJŌ-CHŌ — HOKKAIDO

牧場帖

一年ずつ、顔ぶれをたどる。引退した名馬たちの繋養・在籍と映像を綴る帳面。
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名馬録

この世代(生まれ年)

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レガレイラのイメージビジュアル
レガレイラRegaleira
Regaleira

レガレイラ

通算成績13戦5勝

獲得賞金91,063万円

生年月日 2021.04.12(令和3年)毛色 鹿毛

全成績

主要戦績(抜粋)・新しい順
レガレイラの成績一覧
年月日着順レースコース人気騎手タイム上り3F映像
7 GI宝塚記念 阪神 芝2200 5人気 C.ルメール 2:13.7 上り35.9映像
4 GI有馬記念 中山 芝2500 1人気 C.ルメール 2:31.7 上り34.6映像
1 GIエリザベス女王杯 京都 芝2200 1人気 戸崎圭太 2:11.0 上り34.2映像
1 GII産経賞オールカマー 中山 芝2200 1人気 戸崎圭太 2:10.2 上り34.0映像
11 GI宝塚記念 阪神 芝2200 2人気 戸崎圭太 2:12.6 上り37.0映像
1 GI有馬記念 中山 芝2500 5人気 戸崎圭太 2:31.8 上り34.9映像
5 GIエリザベス女王杯 京都 芝2200 1人気 C.ルメール 2:11.6 上り34.1映像
5 GII関西TVローズS 中京 芝2000 1人気 C.ルメール 2:00.3 上り33.1映像
5 GI東京優駿 東京 芝2400 2人気 C.ルメール 2:25.0 上り33.2映像
6 GI皐月賞 中山 芝2000 1人気 北村宏司 1:57.6 上り33.9映像
1 GIホープフルS 中山 芝2000 1人気 C.ルメール 2:00.2 上り35.0映像
3 LアイビーS 東京 芝1800 1人気 C.ルメール 1:48.4 上り32.7
1 2歳新馬 函館 芝1800 1人気 C.ルメール 1:49.8 上り34.3

血統

金色の名は 名馬ジャーニー に掲載 — その馬のページへ
レガレイラの血統表(左から親・祖父母・曽祖父母)
スワーヴリチャードSuave RichardハーツクライHeart's CryサンデーサイレンスSunday Silence
アイリッシュダンス
ピラミマUnbridled's Song
キャリアコレクション
ロカハービンジャーHarbingerDansili
Penang Pearl
ランズエッジダンスインザダークDance in the Dark
ウインドインハーヘアWind in Her Hair

引退後・牧場での映像

ゴール板の先の時間
STORY

旅程 — この馬の物語

2021年生まれの鹿毛の牝馬。父スワーヴリチャード、母ロカ。主な勝ち鞍はホープフルS・有馬記念・エリザベス女王杯。

シントラの娘 ― 名と血

レガレイラ――その名は、ポルトガル・シントラの丘に建つ宮殿、キンタ・ダ・レガレイラに由来する。世界遺産に登録された庭園の奥には、地下へ螺旋を描いて降りていく「イニシエーションの井戸」がある。九層の螺旋を、降り、そして昇る。神秘に満ちた、この世の縁のような場所だ。 母の名はロカ。ユーラシア大陸の最西端、断崖が大西洋へ落ちるロカ岬と同じ名を持つ。さらにその母――レガレイラの母母はランズエッジ、「陸の縁」。大陸の果てから、その近くの宮殿へ。母系の名は、ポルトガルの西の果てを一筋に辿っていた。 血もまた名門だった。母母ランズエッジは、ディープインパクトと母を同じくする近親――父はサンデーサイレンスの仔ダンスインザダーク、ディープと四分の三の血を分けた妹で、牝系の祖はウインドインハーヘアである。母ロカはクイーンカップで3着に好走した牝馬。父は新種牡馬スワーヴリチャード。2021年4月12日、ノーザンファームに生まれた鹿毛の牝馬は、サンデーレーシングの所有馬として、美浦・木村哲也厩舎に入った。

牝馬、牡を破る ― ホープフルS

2023年7月、函館の新馬戦(芝1800m)。クリストフ・ルメールを背に1番人気で快勝する。続くアイビーステークスは3着に取りこぼしたが、暮れの大一番で素質が弾けた。 12月28日、ホープフルステークス(GI・中山芝2000m)。牡馬がひしめく2歳王者決定戦で、ルメールのレガレイラは直線鋭く伸び、栄冠をさらった。牝馬によるホープフルステークス制覇は、史上初。新種牡馬スワーヴリチャードにとっても、産駒のGI初勝利だった。牝馬が、牡馬の頂点に立つ。レガレイラの旅は、その鮮烈な宣言から始まった。

牡馬の影で ― 勝てない一年

2歳女王は、そのまま牡馬のクラシックへ向かった。だが、ここからが長かった。皐月賞(GI)は北村宏司を背に1番人気で6着。日本ダービー(GI)はルメールと組んで2番人気の5着――牝馬の身で牡馬の最高峰に挑んだが、府中の坂で前に届かない。秋もローズステークス5着、得意のはずの牝馬限定エリザベス女王杯でも1番人気で5着に沈んだ。ホープフルを勝ったあの輝きは、勝ち切れない日々の中で陰っていく。重賞の表彰台にすら届かない一年。あの井戸を降りていくように、レガレイラは暗がりへと沈んでいった。

女神は二度微笑む ― 有馬記念2024

暮れ、運命が動いた。有馬記念。それまで主戦を務めたルメールは、同じレースで菊花賞馬アーバンシックを選ぶ。空いたレガレイラの手綱に座ったのは、戸崎圭太だった。5番人気。 中山の直線、レガレイラは前年のダービー馬シャフリヤールと馬体を併せた。ゴール板まで顔の上げ下げが続く叩き合い。鼻先ひとつ――ハナだけ、レガレイラが前に出てゴールした。3歳牝馬による有馬記念制覇は、1960年のスターロッチ以来、実に64年ぶりの出来事だった。 そして戸崎にとって、それは二度目の有馬だった。2014年、引退の花道に立った女傑ジェンティルドンナでこのグランプリを勝って以来、10年ぶり。二度とも、牡馬の群れをねじ伏せた牝馬の背で、暮れの中山を制した。「気持ちで負けないように」[^1]――そう振り返った男の隣で、ルメールが選んだアーバンシックは6着に終わっていた。手放された馬が、戸崎を背に、年の頂点に立っていた。

出典:東スポ競馬「【有馬記念結果&コメント】レガレイラ大舞台で1年ぶりの勝利! ハナ差を制した戸崎圭太「気持ちで負けないように」」2024年12月22日配信、https://tospo-keiba.jp/breaking_news/53309、閲覧日:2026年6月28日。

井戸を昇る ― 骨折、そして復活のGI

栄光の直後に、影が差した。有馬の後、右前脚に骨折が見つかり、手術。戦列を離れたレガレイラが復帰した2025年の宝塚記念は、2番人気で11着と振るわない。長い休養の錆は、簡単には落ちなかった。 だが、立て直しは速かった。秋初戦のオールカマー(GII)を戸崎圭太とのコンビで完勝すると、舞台はエリザベス女王杯(GI)へ。前年5着に沈んだ同じ京都の2200mで、今度は突き抜けた。2分11秒0のレコード決着、2着パラディレーヌに1馬身3/4の完勝。雪辱とともに、GI3勝目を刻む。「ベリーベリーホース!」[^1]――戸崎の弾んだ声が、復活を告げた。井戸の底まで降りた馬は、戸崎の手綱で、もう一度、光の射す高みへと昇ってきた。

出典:東スポ競馬「【エリザベス女王杯結果&コメント】レガレイラが人気に応え快勝 戸崎圭太「ベリーベリーホース!」」2025年11月16日配信、https://tospo-keiba.jp/breaking_news/65122、閲覧日:2026年6月28日。

迷宮の旅人 ― これから

2025年、レガレイラはJRA賞最優秀4歳以上牝馬に選ばれた。年の瀬の有馬記念は1番人気に推されたが、手綱がルメールに戻って4着。明けて2026年の宝塚記念は7着。グランプリのたびに名を呼ばれる常連として、5歳になった今も、現役の舞台に立ち続けている。 13戦5勝、GI3勝。牝馬で牡馬の頂を獲り、64年ぶりの記録を打ち立て、骨折の谷から這い上がった歩みは、平坦ではなかった。だが、名の由来となったあの宮殿の井戸がそうであるように――降りることは、昇るための道でもある。大陸の西の果てから名をもらった鹿毛の牝馬は、螺旋を上り下りしながら、まだ旅の途中にいる。次のグランプリでも、きっとその名が呼ばれる。

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