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レッドルゼル
通算成績27戦9勝
獲得賞金4億4,053万円
生年月日 2016.03.25(平成28年)毛色 鹿毛性 牡
全成績
主要戦績(抜粋)・新しい順| 年月日 | 着順 | レース | コース | 人気 | 騎手 | タイム | 上り3F | 映像 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 6 | GIフェブラリーS | 東京 ダ1600 | 6人気 | 北村友一 | 1:36.5 | 上り36.9 | 映像 | |
| 3 | GIII東京中日S杯武蔵野S | 東京 ダ1600 | 5人気 | 横山典弘 | 1:35.8 | 上り36.1 | 映像 | |
| 6 | GIドバイゴールデンシャヒーン | メイダン ダ1200 | 2人気 | 川田将雅 | — | 映像 | ||
| 2 | GIフェブラリーS | 東京 ダ1600 | 3人気 | 川田将雅 | 1:35.8 | 上り35.7 | 映像 | |
| 4 | JpnⅠJBCスプリント | 盛岡 ダ1200 | 1人気 | 川田将雅 | 1:09.8 | 上り33.5 | 映像 | |
| 1 | JpnⅡ東京盃 | 大井 ダ1200 | 1人気 | 川田将雅 | 1:10.6 | 上り35.3 | — | |
| 2 | GIドバイゴールデンシャヒーン | メイダン ダ1200 | 2人気 | 川田将雅 | — | 映像 | ||
| 6 | GIフェブラリーS | 東京 ダ1600 | 1人気 | 川田将雅 | 1:34.6 | 上り34.9 | 映像 | |
| 1 | JpnⅠJBCスプリント | 金沢 ダ1400 | 1人気 | 川田将雅 | 1:24.6 | 上り35.2 | 映像 | |
| 3 | JpnⅡ東京盃 | 大井 ダ1200 | 2人気 | 川田将雅 | 1:10.4 | 上り35.5 | — | |
| 2 | GIドバイゴールデンシャヒーン | メイダン ダ1200 | 4人気 | R.ムーア | — | 映像 | ||
| 4 | GIフェブラリーS | 東京 ダ1600 | 3人気 | 川田将雅 | 1:34.9 | 上り35.5 | 映像 | |
| 1 | GIII根岸S | 東京 ダ1400 | 1人気 | 川田将雅 | 1:22.3 | 上り35.1 | 映像 | |
| 2 | GIIIカペラS | 中山 ダ1200 | 1人気 | 川田将雅 | 1:09.8 | 上り35.4 | 映像 | |
| 1 | OP室町S | 京都 ダ1200 | 2人気 | 川田将雅 | 1:09.4 | 上り34.4 | — | |
| 8 | GIIIプロキオンS | 阪神 ダ1400 | 1人気 | 川田将雅 | 1:22.7 | 上り36.3 | 映像 | |
| 2 | OP天保山S | 阪神 ダ1400 | 1人気 | 北村友一 | 1:22.4 | 上り36.1 | — | |
| 1 | LコーラルS | 阪神 ダ1400 | 1人気 | 川田将雅 | 1:22.5 | 上り36.2 | — | |
| 1 | 橿原S | 京都 ダ1200 | 1人気 | 川田将雅 | 1:10.9 | 上り36.2 | — | |
| 2 | 門松S | 京都 ダ1200 | 1人気 | 北村友一 | 1:10.1 | 上り35.0 | — | |
| 2 | 銀嶺S | 東京 ダ1400 | 1人気 | 北村友一 | 1:22.9 | 上り35.7 | — | |
| 1 | 三峰山特別 | 東京 ダ1300 | 1人気 | 北村友一 | 1:17.2 | 上り35.6 | — | |
| 7 | OP端午S | 京都 ダ1400 | 2人気 | 北村友一 | 1:24.7 | 上り36.8 | — | |
| 1 | 3歳500万下 | 阪神 ダ1400 | 2人気 | 北村友一 | 1:25.3 | 上り36.8 | — | |
| 2 | はこべら賞 | 中京 ダ1400 | 1人気 | 北村友一 | 1:25.1 | 上り39.2 | — | |
| 1 | 2歳未勝利 | 京都 ダ1400 | 1人気 | 北村友一 | 1:25.0 | 上り37.5 | — | |
| 3 | 2歳新馬 | 阪神 芝1400 | 1人気 | 北村友一 | 1:22.4 | 上り36.8 | — |
血統
金色の名は 名馬ジャーニー に掲載 — その馬のページへ| 父ロードカナロアLord Kanaloa | キングカメハメハKing Kamehameha | Kingmambo |
| マンファスManfath | ||
| レディブラッサム | Storm Cat | |
| サラトガデューSaratoga Dew | ||
| 母フレンチノワール | フレンチデピュティFrench Deputy | Deputy Minister |
| Mitterand | ||
| パープルホワイト | フジキセキFuji Kiseki | |
| カノープス |
引退後・牧場での映像
ゴール板の先の時間旅程 — この馬の物語
2016年生まれの鹿毛の牡馬。父ロードカナロア、母フレンチノワール。主な勝ち鞍はJBCスプリント・東京盃・根岸S。
熱望という名 ― 父を育てた厩舎へ
2016年3月25日、北海道千歳市の社台ファームに一頭の鹿毛が生まれた。父はロードカナロア。2012年と2013年にスプリンターズステークスと香港スプリントを連覇し、2013年には高松宮記念と安田記念も制した、日本競馬が送り出した最強級の短距離馬である。母はフレンチノワール、その父フレンチデピュティ。半姉にフィルムフランセ。母系にはフランスの名が並ぶ。 馬名は、馬主の冠名「レッド」に、フランス語で熱望を意味する語を重ねたものだった。所有は東京ホースレーシング。 そしてこの仔を預かったのが、栗東の安田隆行である。騎手時代の1991年、トウカイテイオーで皐月賞と日本ダービーを制したダービージョッキー。調教師としては、ほかならぬロードカナロアを香港の頂まで連れていった男だった。父を育てた厩舎に、その仔が入る。熱望という名は、置かれた場所からして重かった。
ただ一度の芝、そして砂の階段
2018年9月17日、阪神の芝1400メートル。北村友一を背に単勝1.4倍の圧倒的支持を集めたデビュー戦は、ニホンピロヘンソンの3着に終わった。芝を走ったのは、生涯でこの一度きりである。 2か月後、京都のダート1400メートル。初めての砂で、2着に1.9秒の大差をつけて圧勝した。答えは、もう出ていた。 そこからの二年は、階段をひとつずつ上がる時間だった。3歳の春に500万下を勝ち、端午ステークスで7着に沈み、半年の休養を挟んで三峰山特別を3馬身差。銀嶺ステークスはトップハンデを背負って半馬身差の2着。年が明けた門松ステークスでは、ジャスティンにアタマ差で先着を許した。 2020年2月、鞍上が川田将雅に替わる。橿原ステークスを危なげなく勝ち、コーラルステークスでは先に抜け出したサクセスエナジーを残り100メートルで捉えて連勝。北村友一に戻った天保山ステークスはサヴィに半馬身届かず2着、重賞初挑戦のプロキオンステークスは1番人気で8着と敗れた。秋の室町ステークスをメンバー最速の上がりで差し切り、暮れのカペラステークスへ。そこで待っていたのは、またしてもジャスティンだった。今度はクビ差。同じ相手に、二度、首と頭の分だけ届かなかった。
東京の千四百、アタマ差
2021年1月31日、根岸ステークス。単勝2.5倍の1番人気に応え、抜け出したところへ猛然と追い込んできたワンダーリーデルを、今度はアタマ差で凌いだ。届かなかった側から、凌ぐ側へ。5歳の冬に掴んだ、初めての重賞だった。 3週間後、フェブラリーステークス。前哨戦の勝ち馬として3番人気に推され、GIに初めて挑む。後方から差を詰めたが、先に抜け出したカフェファラオとエアスピネルには届かず4着。0秒5差。東京のダート1600メートル――この舞台に、レッドルゼルは以後四年続けて戻ってくることになる。
メイダンの砂
陣営が次に選んだのは、3月27日のドバイゴールデンシャヒーン。世界のスプリンターがダート1200メートルで雌雄を決するGIである。海外初挑戦の鞍上はムーア。4番人気だった。 レースは、13番人気のゼンデンが1分09秒01のコースレコードで逃げ切った。レッドルゼルは3馬身1/4差の2着。この年の日本調教馬では最先着だったが、前を捉える場面は最後まで訪れなかった。 そしてゼンデンは、入線後に故障を発生し、予後不良となった。勝った馬さえ無事には帰さない。世界の砂とは、そういう場所だった。
金沢、最内から ― 砂の頂へ
半年の休養を経て、10月6日の東京盃で3着。叩き2走目に選ばれたのは、11月3日、金沢競馬場のJBCスプリントだった。JBCが金沢で行われるのは2013年以来、二度目である。 1番人気。4コーナーで内へ進路を取ると、直線は最内から鋭く伸びて突き抜けた。1分24秒6、コースレコード。JpnI初制覇だった。 内が重いことは分かっていた。それでも川田は内を選んでいる。「パワーがあるので、内の重い馬場もこなせると思った。海外でも活躍した馬だし、自信を持って乗りました」[^1]。半年前にメイダンで味わった敗北が、この日の確信に変わっていた。 父ロードカナロアの産駒が砂のGI級タイトルを掴んだのは、これが初めてだった。芝の短距離王の血は、砂でも頂に届く。それを証明したのは、父と同じ厩舎の仔だった。
出典:中日スポーツ「レッドルゼルがコースレコードで重賞2勝目 川田はレディスクラシックに続いて連勝【JBCスプリント】」2021年11月3日配信、https://www.chunichi.co.jp/article/359374、閲覧日:2026年7月25日。
二度目の二着と、大井の差し切り
2022年、6歳。2月のフェブラリーステークスは前年の覇者カフェファラオを抑えて1番人気に支持されたが、重馬場で伸びを欠いて6着に終わる。 3月26日、二度目のメイダン。今度は道中最後方に控え、直線で猛然と追い込んだ。だが残り300メートルで先頭に立った13番人気スイッツァランドを捉えきれず、1馬身3/4差の2着。二年続けて、勝ったのは伏兵で、2着はこの馬だった。 「勝ちたかったので悔しい思いもありますが、ジョッキーは変に小細工せずこの馬の力を出し切る騎乗をしてくれました」[^1]。調教助手の藤巻渓輔は、そう言葉を残している。悔しさと納得が同じ場所にある――世界での2着とは、そういう味だった。 帰国初戦は10月5日、大井の東京盃。8頭立ての1番人気で、後方から直線に向くと外へ持ち出し、テイエムサウスダンを1馬身抑えて鮮やかに差し切った。重賞3勝目。続くJBCスプリントを勝てば、ブルーコンコルド以来史上2頭目の連覇だった。だが盛岡の1200メートルで、1番人気の追い込みは間に合わず4着。ダンシングプリンスが先に駆け抜けていた。
出典:日本中央競馬会「レース結果:2022年ドバイゴールデンシャヒーン(海外競馬発売)」2022年3月26日施行、https://www.jra.go.jp/keiba/overseas/race/2022dubai/gs/kaiko.html、閲覧日:2026年7月25日。
四年続けて、二月の府中へ
2023年2月19日、3年連続のフェブラリーステークス。15番手から、メンバー最速となる上がり3ハロン35秒7で伸びた。勝ったレモンポップとの差は0秒2。7歳の馬が、GIにもっとも近づいた日だった。 3度目のドバイゴールデンシャヒーンは6着。夏負けの影響で秋のJBCスプリントを回避し、11月の武蔵野ステークスは横山典弘を背に3着。そこから翌年のフェブラリーステークス一本に絞って、放牧に出た。 2024年2月18日。4年連続、8歳での府中。鞍上は北村友一だった。デビュー戦の手綱を取り、2020年6月の天保山ステークスを最後に離れていた男である。その間に北村自身も、2021年5月の落馬で背骨を含む多くの骨を折り、一年余りをかけてターフへ戻ってきていた。 6番人気6着。始まりの鞍上とともに、レッドルゼルは走り終えた。
三月五日、そして浦河へ
レース後、右前脚に違和感が出た。検査の結果は種子骨靱帯周辺の腱鞘の炎症で、一部の腱は石灰化していた。復帰には相当な時間を要する。2月25日に引退が発表され、28日にJRAの競走馬登録が抹消された。 3月5日、安田隆行が定年で調教師を引退した。レッドルゼルはその日を前に転厩することになっていたが、その手続きは要らなくなった。父ロードカナロアを送り出した厩舎で、その仔もまた現役を終えた。同じ人の手で始まり、同じ人の手で終わる馬は、そう多くない。 移った先は、浦河町のイーストスタッド。種牡馬となった。展示会に並ぶ鹿毛の馬体は、いまも映像に残っている。 血のほうは、すでに次を送り出している。半姉フィルムフランセの娘マピュースが、2025年8月に中京記念を勝った。フランスの名を並べた牝系は、まだ止まっていない。 27戦9勝、うち20戦で3着以内。獲得賞金4億4053万円。世界の短距離王の血を砂へ運び、二度メイダンで2着に終わり、金沢の最内で一度だけ頂に立った。熱望という名の馬は、その名のとおりに走り抜けて、いま浦河の放牧地に立っている。自分の血を継ぐ仔たちが砂を蹴る日を、そこで待っている。
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