名馬の記憶を、
再生する。

年表ICHINEN-ISSO — 2400m

BOKUJŌ-CHŌ — HOKKAIDO

牧場帖

一年ずつ、顔ぶれをたどる。引退した名馬たちの繋養・在籍と映像を綴る帳面。
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名馬録

この世代(生まれ年)

スライダーを動かすと、その世代に生まれた馬を獲得賞金の多い順で表示します。

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レッドキングダムのイメージビジュアル
レッドキングダムRed Kingdom
Red Kingdom

レッドキングダム

通算成績31戦7勝

獲得賞金13,034万円

生年月日 2009.02.23(平成21年)毛色 鹿毛

全成績

主要戦績(抜粋)・新しい順
レッドキングダムの成績一覧
年月日着順レースコース人気騎手タイム上り3F映像
7 JGⅠ中山グランドジャンプ 中山 障4250 1人気 西谷誠 4:51.4 上り13.7映像
1 OPペガサスジャンプS 中山 障3350 1人気 西谷誠 3:45.3 上り13.5
1 JGⅠ中山大障害 中山 障4100 4人気 北沢伸也 4:41.0 上り13.7映像
1 OPイルミネーションJS 中山 障3210 3人気 西谷誠 3:35.7 上り13.4
4 阪神ジャンプS 阪神 障3140 3人気 西谷誠 3:29.6 上り13.4
1 障害3歳以上OP 小倉 障2900 6人気 西谷誠 3:10.2 上り13.1
1 障害3歳以上未勝利 小倉 障2900 1人気 西谷誠 3:12.2 上り13.3
6 障害3歳以上未勝利 中京 障3000 2人気 西谷誠 3:26.5 上り13.8
2 障害3歳以上未勝利 東京 障3000 4人気 西谷誠 3:22.6 上り13.5
7 障害4歳以上未勝利 福島 障2750 2人気 西谷誠 3:05.2 上り13.5
6 4歳以上500万下 小倉 芝1800 7人気 松山弘平 1:48.5 上り35.9
2 4歳以上500万下 小倉 芝1800 13人気 松田大作 1:47.8 上り35.2
7 3歳以上500万下 阪神 芝1800 11人気 四位洋文 1:47.6 上り35.1
12 3歳以上500万下 中京 芝1600 11人気 高倉稜 1:37.4 上り34.3
10 若戸大橋特別 小倉 芝1800 5人気 高倉稜 1:50.3 上り37.7
5 青島特別 小倉 芝1700 12人気 高倉稜 1:40.4 上り34.3
10 3歳以上500万下 阪神 芝1600 12人気 中井裕二 1:34.6 上り33.8
5 メイスター賞 川崎 ダ1600 8人気 町田直希 1:41.8 上り38.6
10 4歳以上500万下 阪神 芝2200 5人気 四位洋文 2:16.5 上り37.3
8 4歳以上500万下 小倉 芝2000 10人気 中井裕二 2:01.0 上り34.3
1 おかげ様で30年さく 水沢 ダ1800 1人気 山本聡哉 1:57.4 上り38.8
7 ノベンバーC 水沢 ダ1400 1人気 斉藤雄一 1:28.5 上り39.5
1 もりおか三大麺レース 盛岡 ダ1800 1人気 斉藤雄一 1:55.0 上り38.0
2 よこての菊まつりレー 盛岡 ダ1800 1人気 斉藤雄一 1:57.5 上り39.6
8 3歳以上500万下 阪神 芝2400 7人気 四位洋文 2:29.7 上り34.3
3 3歳以上500万下 阪神 芝1800 13人気 四位洋文 1:46.5 上り34.2
10 3歳未勝利 小倉 ダ1700 4人気 浜中俊 1:46.4 上り39.0
11 3歳未勝利 京都 芝2200 3人気 四位洋文 2:15.0 上り36.9
4 3歳未勝利 京都 芝2400 2人気 四位洋文 2:26.4 上り35.8
5 3歳未勝利 京都 芝2000 5人気 四位洋文 2:04.5 上り35.5
4 3歳新馬 京都 芝2000 6人気 四位洋文 2:07.8 上り34.9

血統

金色の名は 名馬ジャーニー に掲載 — その馬のページへ
レッドキングダムの血統表(左から親・祖父母・曽祖父母)
ディープインパクトDeep ImpactサンデーサイレンスSunday SilenceHalo
Wishing Well
ウインドインハーヘアWind in Her HairAlzao
Burghclere
プラウドビューティーProud BeautyデインヒルDanehillDanzig
Razyana
ハニーバンHoney BunUnfuwain
Cocotte
STORY

旅程 — この馬の物語

2009年生まれの鹿毛の牡馬。父ディープインパクト、母プラウドビューティー。

王国という名

2009年2月23日、北海道千歳市の社台ファームで、鹿毛の牡馬が生まれた。父はディープインパクト。母プラウドビューティーは2000年にアイルランドで生まれた牝馬で、海外を16戦して4勝、そのほとんどをアメリカで走り、2003年に芝のステークス競走を一つ勝っている。 馬主は東京ホースレーシング。勝負服は赤、白星散、袖白一本輪。冠名の「レッド」はこの服の色から来ている。続く語は、英語で王国を意味する。名づけの意図がどこにあったのかは分からない。ただ血統表をさかのぼると、父方と母方の両側から、同じ一頭の牝馬が入ってくる。父ディープインパクトの母ウインドインハーヘアの母バークレアーと、母の祖母ハニーバンの父アンファウェインの母ハイトオブファッション。どちらもハイクレアの娘である。エリザベス2世が自ら生産して所有し、1000ギニーとディアヌ賞を勝った牝馬だった。 三代母コケットは1983年にイギリスで生まれている。その産駒に、1997年のジャパンカップでエアグルーヴらを破ったピルサドスキーと、デビューから無敗の六連勝で2002年の秋華賞・エリザベス女王杯を制したファインモーションがいる。祖母ハニーバンの、半弟と半妹である。母プラウドビューティーの半妹ハニーダンサーの娘には、2021年の北九州記念を勝ったヨカヨカ——熊本県産馬による初めてのJRA重賞制覇——がいる。 一歳上に、同じ父を持つ全兄オンリーザブレイヴがいた。栗東の角居勝彦厩舎で9戦1勝。二歳上の半兄レッドガルーダは美浦の藤沢和雄厩舎に入り、中央を13戦して勝てず、2着が三度あった。 預かったのは栗東の松永幹夫である。1967年、熊本県西合志町——現在の合志市の生まれ。県の畜産試験場に勤める父に連れられて荒尾競馬場へ通い、騎手になった人だった。1991年にイソノルーブルで優駿牝馬を勝ち、「牝馬の松永」と呼ばれた。2006年に鞍を降り、翌年に厩舎を開いて三年目、同じ「レッド」を名に持つレッドディザイアで秋華賞を勝っている。

京都、四着から

2012年1月29日、京都競馬場の芝2000メートル、3歳新馬。10頭立ての4着だった。鞍上は四位洋文。1972年、鹿児島県姶良郡牧園町——のちに合併して霧島市となる町の生まれで、小学三年からポニーに乗り、競馬学校七期生として1991年にデビューし、中央のGIを十五勝した騎手である。 2月19日の未勝利戦は5着。5月5日、京都の芝2400メートルを2番人気で4着。5月26日の芝2200メートルは11着。夏には小倉のダート1700メートルへ替えて10着だった。 三歳の未勝利戦は夏の終わりで打ち切られる。勝てないまま秋を迎えた馬は、勝ち上がった馬の混じる条件戦に出るしかない。9月23日、阪神の芝1800メートル、18頭立ての500万下。13番人気で3着に入った。勝ったメロートとの差は0秒2。未勝利の身のまま残した、この時点での最高成績である。 六日後の芝2400メートルは8着。デビューから七戦、勝ち鞍はまだなかった。

盛岡と水沢

秋、この馬は岩手へ送られた。移った先は櫻田勝男厩舎。走るのはB2、地方競馬の条件戦である。 10月22日、盛岡のダート1800メートル、「よこての菊まつりレース」。単勝1.6倍の1番人気で2着。齋藤雄一が乗った。 11月4日、同じ盛岡の1800メートル、「もりおか三大麺レース」。1分55秒0で、2着ハンターに0秒5差。通算九戦目で、初めて勝った。 11月17日、水沢のダート1400メートル、ノベンバーC。単勝1.3倍の1番人気で7着。 12月3日、重馬場の水沢1800メートル、「おかげ様で30年さくら荘レース」。鞍上は山本聡哉。サダチカガーベラとほとんど並んでゴールへ入り、着差は0秒0。二勝目だった。 岩手での四戦は2勝、2着一回。稼いだ賞金は41万8000円である。ディープインパクトの息子の名が、麺と菊まつりの名を冠したレースの勝ち馬欄に並んだ。二歳上の半兄レッドガルーダも、2010年に盛岡と水沢で四度走り、二度勝っている。同じ牧場に生まれ、同じ赤い勝負服を着た兄弟が、初めての勝ち星を同じ二つの競馬場で拾っていた。

戻っても、勝てない

2013年3月、栗東の松永厩舎に戻る。小倉の500万下で8着、阪神で10着。5月21日には川崎のダート1600メートル、指定交流競走のメイスター賞に出て5着。町田直希が乗った。 6月、阪神の芝1600メートルで10着。夏の小倉は青島特別5着、若戸大橋特別10着。秋は中京で12着、暮れの阪神で7着。鞍上は四位洋文、中井裕二、高倉稜と替わった。 2014年2月8日、小倉の芝1800メートル、稍重。松田大作を乗せ、16頭の13番人気で2着に粘った。1着テイエムレンジャーとの差は0秒1。中央の平地で連対したのは、この一度だけである。3月1日、松山弘平で6着。 これで中央の平地は16戦。勝ち鞍は0、2着一回、3着一回、稼いだ賞金は764万円だった。五歳の春である。

跳ぶことを教わる

2014年4月13日、福島競馬場、障害2750メートルの3歳以上未勝利。60キロを背負って7着。この日から、鞍上はほとんど一人になる。西谷誠である。 1976年、滋賀県の生まれ。父は障害で活躍した元騎手の西谷達男。競馬学校十一期生として1995年に瀬戸口勉厩舎からデビューし、背が伸びて平地の斤量に収まらなくなったため、2011年3月に平地免許を返上して障害専門の騎手になった。1999年にゴッドスピードで中山大障害、2006年にマルカラスカルで同じ競走、2008年にはマルカラスカルで中山グランドジャンプを勝っている。跳び方を教わる相手として、これ以上の人はいない。 6月22日、東京の障害3000メートルで2着。ロードシュプリームとの差は0秒8。7月13日、中京で6着。そして8月2日、小倉の障害2900メートル、9頭立ての1番人気。3分12秒2で先にゴールへ入った。2着はマキオボーラー。障害四戦目、通算二十五戦目の、中央での初勝利である。 9月6日、同じ小倉の障害オープンを6番人気で勝つ。カリスマミッキーとの差は0秒1。9月20日の阪神ジャンプステークスはメイショウブシドウの4着。12月6日、中山のイルミネーションジャンプステークス。3分35秒7、2着マサライトとの差は0秒0。もつれた叩き合いをわずかに抜け出した。 平地では二年一か月走って中央で一度も勝てなかった馬が、障害では四戦目に勝ち、転向から八か月で三つ勝った。

中一週、代打の手綱

中一週で、暮れの中山大障害へ向かった。第137回。ただし、いつもの鞍上はいない。西谷誠は池添兼雄厩舎のメイショウヨウドウに騎乗することが決まっており、レッドキングダムの手綱は北沢伸也に回った。 1971年6月9日、東京都江戸川区の生まれ。三歳のとき隣の千葉県市川市へ移り、幼い頃から父と近くの中山競馬場に通った。息子を騎手にしたいと望んだ父の勧めで中学二年から乗馬を始め、競馬学校六期生として1990年3月に初騎乗、同じ月に初勝利を挙げている。平地では重賞を勝てないまま、1998年から障害に乗り始めた。2002年、ミレニアムスズカで阪神ジャンプステークスを制してデビュー十三年目の重賞初制覇。2014年3月8日には史上二十三人目のJRA障害100勝に達した。中山に通って育った男が、四十三歳になっていた。 12月20日、小雨。13頭立て、63キロ、馬体重466キロ。2着に入る馬は530キロあった。単勝9.6倍の4番人気である。 通過順位は六番手、五番手、三番手、三番手。最後の障害を三番手で越え、早めに抜け出して粘る1番人気アポロマーベリックを、ゴールまで100メートルのところで捉えた。3馬身。4分41秒0。前年のこの競走を勝っていたアポロマーベリックは、連覇を目の前で取りこぼしている。 北沢伸也にとって、初めてのJ・GIだった。デビューから二十五年目である。松永幹夫にとっても中山大障害は初めてで、父ディープインパクトの産駒にとっても、これが初めてのJ・GIだった。 西谷誠はメイショウヨウドウで8着。馬番はひとつ内の五番だった。 その年度のJRA賞最優秀障害馬は、この日2着だったアポロマーベリックが選ばれている。二年連続だった。

三馬身半、そして四月十八日

2015年3月29日、休養明けのペガサスジャンプステークス。9頭の1番人気で3分45秒3、2着マキオボーラーに3馬身半をつけた。前年の夏、小倉の未勝利戦で0秒2差まで詰めてきた相手である。西谷誠が戻っていた。 4月18日、中山グランドジャンプ。障害4250メートル、15頭立て、単勝1.5倍の1番人気。晴。63キロ、馬体重466キロ、前走から10キロ減っていた。 道中は五番手前後を進んだ。だがこの日は前で運んだアップトゥデイトが四コーナーで単独先頭に立ち、そのまま4分46秒6のレコードで押し切ってしまう。レッドキングダムは7着、4分51秒4。五頭が競走を中止する消耗戦だった。 レース後、左前脚に浅屈腱炎が見つかる。さらに右前脚にも同じ症状が出ている可能性が高いと分かり、引退が決まった。5月2日付で競走馬登録を抹消。六歳である。 31戦7勝。中央の平地は16戦0勝、賞金764万円。障害は10戦5勝、1億2197万円。中山の障害コースは四度走って、三度勝っている。

霧島

引退後、レッドキングダムは鹿児島県霧島市の霧島高原乗馬クラブへ送られ、乗馬になった。牧園町高千穂、霧島の山の裾である。2021年度の後期からは、引退名馬繋養展示事業の助成対象馬に選ばれている。走り終えた馬を繋いでおくための助成である。 三歳の1月、京都の芝2000メートルでこの馬に初めて跨がった四位洋文は、鹿児島県姶良郡牧園町に生まれている。乗馬クラブが立っているのと同じ町名だった。この馬が最後に落ち着いた土地の名は、最初の鞍上が生まれた土地の名と同じである。 西谷誠は2025年に史上五人目の障害通算1500回騎乗に達し、2026年4月、騎手を引退した。J・GIは四つ勝っている。引退後は四位洋文の厩舎で調教助手になった。平地でこの馬に八度乗った男の厩舎に、障害で九度乗った男が入ったことになる。 七つの勝ち鞍は、麺の名を冠した地方のB2戦から、暮れの中山大障害まで並んでいる。466キロの体に63キロを乗せ、高さ160センチの大竹柵と大生垣を越えた日は、そのうちの一日だ。王国という名を与えられた馬の領地は、中山の襷コースの一日と、霧島の裾野である。

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