名馬の記憶を、
再生する。

年表ICHINEN-ISSO — 2400m

BOKUJŌ-CHŌ — HOKKAIDO

牧場帖

一年ずつ、顔ぶれをたどる。引退した名馬たちの繋養・在籍と映像を綴る帳面。
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名馬録

この世代(生まれ年)

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リアルスティールのイメージビジュアル
リアルスティールReal Steel
Real Steel

リアルスティール

通算成績17戦4勝

獲得賞金979万円

生年月日 2012.03.01(平成24年)毛色 鹿毛

全成績

主要戦績(抜粋)・新しい順
リアルスティールの成績一覧
年月日着順レースコース人気騎手タイム上り3F映像
15 GI安田記念 東京 芝1600 4人気 岩田康誠 1:32.7 上り34.8映像
3 GIドバイターフ メイダン 芝1800 1人気 M.バルザローナ 映像
4 GI天皇賞(秋) 東京 芝2000 3人気 V.シュミノー 2:09.5 上り39.5映像
1 GII毎日王冠 東京 芝1800 3人気 M.デムーロ 1:45.6 上り32.8映像
8 GII中山記念 中山 芝1800 2人気 戸崎圭太 1:48.3 上り34.6映像
5 GIジャパンカップ 東京 芝2400 2人気 R.ムーア 2:26.4 上り35.1映像
2 GI天皇賞(秋) 東京 芝2000 7人気 M.デムーロ 1:59.5 上り33.5映像
11 GI安田記念 東京 芝1600 2人気 福永祐一 1:34.0 上り34.6映像
1 GIドバイターフ アラブ首長国連邦 芝1800 4人気 R.ムーア 1:47.1 映像
3 GII中山記念 中山 芝1800 2人気 福永祐一 1:46.0 上り34.1映像
2 GI菊花賞 京都 芝3000 2人気 福永祐一 3:03.9 上り35.1映像
2 GII神戸新聞杯 阪神 芝2400 1人気 福永祐一 2:27.0 上り34.0
4 GI東京優駿 東京 芝2400 2人気 福永祐一 2:23.8 上り34.3映像
2 GI皐月賞 中山 芝2000 2人気 福永祐一 1:58.4 上り34.5映像
2 GIIフジTVスプリングS 中山 芝1800 1人気 福永祐一 1:49.1 上り33.6映像
1 GIII共同通信杯 東京 芝1800 3人気 福永祐一 1:47.1 上り34.0映像
1 2歳新馬 阪神 芝1800 1人気 福永祐一 1:50.8 上り33.3

血統

金色の名は 名馬ジャーニー に掲載 — その馬のページへ
リアルスティールの血統表(左から親・祖父母・曽祖父母)
ディープインパクトDeep ImpactサンデーサイレンスSunday SilenceHalo
Wishing Well
ウインドインハーヘアWind in Her HairAlzao
Burghclere
ラヴズオンリーミーLoves Only MeStorm CatStorm Bird
Terlingua
MonevassiaMr. Prospector
Miesque

引退後・牧場での映像

ゴール板の先の時間
STORY

旅程 — この馬の物語

2012年生まれの鹿毛の牡馬。父ディープインパクト、母ラヴズオンリーミー。主な勝ち鞍はドバイターフ・共同通信杯・毎日王冠。

本物の鋼 ― 名前と血

父は、無敗の三冠馬ディープインパクト。母ラヴズオンリーミーは名牝ミエスクの血を引くアメリカ産で、2019年のオークスを勝つ全妹ラヴズオンリーユーを後に送り出す牝系だった。2012年3月1日、ノーザンファームに生まれた鹿毛は、文句のつけようがない良血だった。馬主はサンデーレーシング、預けられたのは栗東の矢作芳人、手綱を任されたのは福永祐一。 名は、リアルスティール。叩かれ、倒され、それでも立ち上がる――一頭の老いたボクシングロボットを描いたアメリカ映画から採られた。本物の鋼。良血の御曹司は、しかしその名のとおり、これから幾度も叩かれ、そのたびに鋼を鍛え直す競走生活を送ることになる。

怪物たちの世代 ― 二〇一五年の春

2014年暮れ、阪神の新馬戦を1番人気で勝ち上がると、明けて共同通信杯を福永とともに制してオープンの扉を開く。スプリングステークスは2着。順調に春のクラシックへ向かった。 だが、この世代には怪物がいた。ドゥラメンテ。皐月賞、リアルスティールは2番人気で食い下がったが、0秒2及ばず2着。続く日本ダービーも、抜け出したドゥラメンテの末脚の前に4着までだった。力はある。あと半歩が、どうしても届かない。鋼は、まだ熱を持ったままだった。

淀の二着 ― もう一頭の怪物

秋、神戸新聞杯を2着で叩いて、京都の3000mへ。菊花賞である。だが、ここにももう一頭の怪物が待っていた。キタサンブラック。直線で並びかけながら、リアルスティールはクビ差をしのがれて、またも2着に終わる。 春はドゥラメンテ、秋はキタサンブラック。のちに歴史へ名を刻む二頭に挟まれて、リアルスティールはついにクラシックを勝てなかった。実力は確か、しかしあと一歩。同世代の怪物たちの影で堅実に上位を拾い続けるその姿に、ファンはいつしか「惜しい男」の像を重ねるようになる。

砂漠の鋼 ― 父が獲れなかった海外GI

転機は、海の外にあった。2016年3月26日、ドバイ・メイダンの芝1800m。鞍上にライアン・ムーアを迎えたリアルスティールは、4番手から直線で力強く抜け出すと、ベリースペシャルを競り落として先頭でゴールを駆け抜ける。ドバイターフ制覇。4番人気の伏兵による、待ち望んだGI初勝利だった。 この一勝には、もう一つの意味があった。父ディープインパクトは、かつて凱旋門賞に挑みながら、自らは海外のGIを勝てずに終えた無敗の三冠馬である。その父が現役で手にできなかった海外GIのビッグタイトルを、その仔が砂漠で掴んだのだ。そして調教師・矢作芳人にとっても、これは世界へ打って出る号砲だった。のちに「世界のYAHAGI」と呼ばれる男の物語は、この一頭の鋼から動き出す。

善戦の美学 ― 一線で走り続けた馬

帰国後のリアルスティールは、トップクラスの古馬戦線で走り続けた。安田記念は人気を裏切ったが、秋の天皇賞では7番人気の低評価をはね返し、4コーナー10番手から上がり33秒5で伸びてモーリスの2着に食い込む。ジャパンカップは5着。そして2017年の毎日王冠、中団から上がり32秒8の鋭い脚で抜け出すと、サトノアラジンの追撃を振り切って、実に1年半ぶりの白星を挙げた。 派手な連勝とも、記録的なタイトルとも縁がなかった。それでも17戦の大半で掲示板を外さず、最強世代の一線で堂々と渡り合い続けた。2018年、二度目のドバイターフを3着で走り終え、安田記念を最後に、右前脚の種子骨靭帯炎で競走生活に幕を下ろす。叩かれても倒れない――その鋼の堅実さこそが、リアルスティールという馬の芯だった。

血の継承 ― 種牡馬リアルスティール

社台スタリオンステーションで種牡馬となったリアルスティールは、2024年からブリーダーズ・スタリオン・ステーションへ移った。最上級の種牡馬がひしめく日本で、その評価は当初、決して高いものではなかった。 だが、鋼は仔に受け継がれていた。第2世代から、一頭の規格外が現れる。フォーエバーヤング。2023年の全日本2歳優駿を皮切りに、ジャパンダートクラシック、東京大賞典を制し、無敗のままダート界の頂へ駆け上がっていった。父が芝で「惜しい男」と呼ばれた分を取り返すように、その仔は砂の上で勝ち続けた。

伝説の名馬 ― 砂漠が贈った称号

2025年2月、サウジカップ。発走を前に、場内へ一本のアニメーションPVが流れた。フォーエバーヤングの物語を讃えるその映像は、父リアルスティールをこう紹介した――「伝説の名馬」。 GIを一つ勝った善戦の馬を、伝説と呼ぶ。多くの競馬ファンが噴き出した。盛りすぎだ、と。だがその称号は、嘲笑ではなく、まぎれもない敬意の裏返しだった。そしてフォーエバーヤングは、PVの大言を現実が追い越していく。そのサウジカップで香港の雄ロマンチックウォリアーとの死闘をアタマ差で制し、同年秋にはアメリカのブリーダーズカップ・クラシックを完勝――日本調教馬として史上初の、ダート世界最高峰の制覇を成し遂げた。父を超えた仔が、その血の出どころである父を、まっすぐ「伝説」へと押し上げたのだ。 考えてみれば、誇張の中には芯があった。リアルスティールは、無敗の三冠馬ディープインパクトでさえ現役で届かなかった海外GIを、その手で掴んだ馬である。怪物たちの影で「惜しい」と言われ続けながら、叩かれても立ち上がり、砂漠で運命を掴んでみせた。本物の鋼は、折れなかった。 砂漠が贈ったいささか大仰な称号は、だから、まんざら的外れでもない。いや――もう、誇張でも世辞でもない。リアルスティールは、まぎれもない、伝説の名馬である。

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産駒 — 旅を継ぐ馬

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