名馬の記憶を、
再生する。

年表ICHINEN-ISSO — 2400m

BOKUJŌ-CHŌ — HOKKAIDO

牧場帖

一年ずつ、顔ぶれをたどる。引退した名馬たちの繋養・在籍と映像を綴る帳面。
HORSES

名馬録

この世代(生まれ年)

スライダーを動かすと、その世代に生まれた馬を獲得賞金の多い順で表示します。

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リアルインパクトのイメージビジュアル
リアルインパクトReal Impact
Real Impact

リアルインパクト

通算成績30戦5勝

獲得賞金5578万円

生年月日 2008.05.14(平成20年)毛色 鹿毛

全成績

主要戦績(抜粋)・新しい順
リアルインパクトの成績一覧
年月日着順レースコース人気騎手タイム上り3F映像
8 GIマイルチャンピオンS 京都 芝1600 17人気 H.ボウマン 1:33.3 上り33.2映像
12 GII毎日王冠 東京 芝1800 12人気 C.ルメール 1:46.6 上り34.7映像
12 GI安田記念 東京 芝1600 6人気 内田博幸 1:32.9 上り35.6映像
2 GIドンカスターマイル オーストラリア 芝1600 5人気 J.マクドナルド
1 GIジョージライダーS オーストラリア 芝1500 6人気 J.マクドナルド 1:28.2
1 GII阪神カップ 阪神 芝1400 8人気 W.ビュイック 1:20.7 上り34.7
6 OPキャピタルS 東京 芝1600 4人気 R.ムーア 1:33.8 上り35.0
13 GI安田記念 東京 芝1600 14人気 戸崎圭太 1:38.4 上り39.2映像
9 GI高松宮記念 中京 芝1200 7人気 戸崎圭太 1:13.3 上り37.6映像
8 GIII夕刊フジオーシャンS 中山 芝1200 2人気 戸崎圭太 1:09.6 上り34.5
1 GII阪神カップ 阪神 芝1400 8人気 R.ムーア 1:21.4 上り34.8
10 GIマイルチャンピオンS 京都 芝1600 13人気 戸崎圭太 1:33.2 上り34.7映像
2 GIII富士S 東京 芝1600 9人気 戸崎圭太 1:33.6 上り33.8
12 GIIIダービー卿チャレンジトロフィー 中山 芝1600 7人気 和田竜二 1:33.3 上り35.6
8 GII中山記念 中山 芝1800 7人気 内田博幸 1:47.8 上り35.5
11 GIII東京新聞杯 東京 芝1600 6人気 D.マクドノー 1:34.1 上り34.5
5 GIマイルチャンピオンS 京都 芝1600 9人気 R.ムーア 1:33.2 上り34.6映像
4 GII毎日王冠 東京 芝1800 7人気 岩田康誠 1:45.3 上り34.2
6 GI安田記念 東京 芝1600 12人気 岩田康誠 1:31.9 上り35.4映像
18 GII読売マイラーズカップ 京都 芝1600 1人気 岩田康誠 1:34.8 上り36.3
3 GII中山記念 中山 芝1800 4人気 岩田康誠 1:48.1 上り35.3
10 GII阪神カップ 阪神 芝1400 1人気 福永祐一 1:21.4 上り35.8
5 GIマイルチャンピオンS 京都 芝1600 1人気 福永祐一 1:34.3 上り35.1映像
2 GII毎日王冠 東京 芝1800 2人気 岩田康誠 1:46.7 上り33.2
1 GI安田記念 東京 芝1600 9人気 戸崎圭太 1:32.0 上り34.5映像
3 GINHKマイルカップ 東京 芝1600 4人気 内田博幸 1:32.5 上り34.2映像
11 GIIニュージーランドトロフィー 阪神 芝1600 4人気 内田博幸 1:35.0 上り33.9
2 GI朝日杯フューチュリティステークス 中山 芝1600 4人気 F.ベリー 1:34.0 上り34.8映像
2 GII京王杯2歳S 東京 芝1400 2人気 後藤浩輝 1:21.9 上り33.5
1 2歳新馬 東京 芝1400 1人気 後藤浩輝 1:24.8 上り33.4

血統

金色の名は 名馬ジャーニー に掲載 — その馬のページへ
リアルインパクトの血統表(左から親・祖父母・曽祖父母)
ディープインパクトDeep ImpactサンデーサイレンスSunday SilenceHalo
Wishing Well
ウインドインハーヘアWind in Her HairAlzao
Burghclere
トキオリアリティーMeadowlakeHold Your Peace
Suspicious Native
What a RealityIn Reality
What Will Be
STORY

旅程 — この馬の物語

2008年生まれの鹿毛の牡馬。父ディープインパクト、母トキオリアリティー。主な勝ち鞍は安田記念・ジョージライダーS・阪神C。

売れ残った初年度産駒 ― 名と血

2008年5月14日、北海道安平町のノーザンファームに鹿毛の牡馬が生まれた。父は2006年の有馬記念を最後にターフを去り、翌年から種牡馬になったディープインパクト。その初年度産駒の一頭である。 母トキオリアリティーは1994年のアメリカ生まれの栗毛で、1996年2月、フロリダの2歳トレーニングセールでノーザンファーム代表の吉田勝己が15万ドルで落札し、日本へ輸入した牝馬だった。「トキオ」の冠名を使う坂田時雄の所有馬となり、美浦の古賀史生厩舎で16戦3勝、準オープンまで上がっている。よく走る仔を出す母だった。三番仔の半兄アイルラヴァゲイン(父エルコンドルパサー)はオーシャンステークスを勝って7勝を挙げ、一つ上の半姉ウィルパワー(父キングカメハメハ)は中央で4勝している。この鹿毛は、その九番仔だった。 名は「本物の衝撃」。両親の名から連想して付けられた。 2009年のセレクトセールに、この当歳馬は上場された。だが買い手はつかず、3000万円で主取りになる。そこで声をかけられたのが、会場にいた美浦の調教師・堀宣行だった。馬はキャロットクラブで4000万円、400口で募集され、(有)キャロットファームの所有馬として堀の厩舎に入った。以後30戦、この馬を預かったのは最後まで堀ひとりである。

三度、同じ背中 ― グランプリボスという壁

2010年6月に函館競馬場へ入厩したが、ゲート試験に合格したところで疲れが出て放牧に戻された。9月に再び厩舎へ入り、10月24日、東京の芝1400メートルの2歳新馬。鞍上は後藤浩輝。単勝1.3倍の圧倒的1番人気に応え、3番手から抜け出して3馬身差をつけた。1分24秒8。 11月13日の京王杯2歳ステークスは同じ鞍上で2番人気。中団から馬群を割って追い込んだが、外から伸びてきたグランプリボスに3/4馬身届かない。12月19日、中山の朝日杯フューチュリティステークス。フランシス・ベリーに乗り替わり、直線は最内から伸びた。ゴール前で、また同じ馬にかわされる。2着。 明けて3歳、滞在していたのは宮城県の山元トレーニングセンターだった。3月11日、東北地方太平洋沖地震。そこでの調整が不可能になり、三日後に美浦近郊の牧場へ運ばれ、18日に厩舎へ帰った。仕上げは遅れた。4月9日、例年の中山ではなく阪神で行われたニュージーランドトロフィーは、内田博幸を背に11着。 5月8日、NHKマイルカップ。出負けし、直線では前が壁になった。それでも内から伸びて3着まで来る。勝ったのは、三度目のグランプリボスだった。 このとき、東京優駿に出走できる収得賞金は持っていた。だが厩舎は距離適性を考えて登録を見送り、古馬の混じるマイルのGIを選ぶ。

落鉄した右前 ― 二〇一一年六月五日

第61回安田記念。18頭立て、単勝29.3倍の9番人気。出走した3歳馬はこの一頭だけで、それは2004年のメイショウボーラー以来7年ぶりのことだった。負担重量は54キロ、古馬の牡馬より4キロ軽い。 手綱を取ったのは戸崎圭太。1998年に大井でデビューし、南関東のリーディングを走っていた地方所属の騎手である。この馬に跨るのはこの日が初めてで、パドックで背中に乗った瞬間から雰囲気の良さを感じ取っていた。堀からの指示は、スタートだけ注意してくれということだった。前走の出負けという弱点には、中間のゲート練習で手を入れてきた。 ゲートを決めて3、4番手。直線の坂で先頭に顔を出す。残り200メートルで抜け出したところへ、外から同じ堀厩舎の先輩ストロングリターンが襲ってきた。「ゴール前で他馬の足音が聞こえてきたけど、手応えはあったし、辛抱してくれと思った」[^1]。クビ差。1分32秒0。三週間前のヴィクトリアマイルを勝ったばかりの牝馬三冠馬アパパネは、6着に終わっている。 右前脚の蹄鉄は、走っている途中で外れていた。 父ディープインパクトの産駒によるGI制覇は、4月の桜花賞を勝ったマルセリーナに続く二つ目である。3歳馬による安田記念の制覇は、前身の安田賞を含めて第2回のスウヰイスー以来59年ぶり。1984年にこの競走がGIになってから3歳馬が勝ったのは初めてで、グレード制の施行以降、1勝馬が古馬混合のGIを勝ったのも史上初だった。同一厩舎のワンツーは2004年のジャパンカップダート以来7年ぶり。戸崎は中央のGI挑戦9回目で初めての優勝、地方所属の騎手としては4人目の中央GI制覇である。 正直まだ古馬との差はあると思っていた、勝てる能力が備わっていたのだ――堀はそう振り返っている。3戦目でフレッシュだったこと、斤量差が大きかったことも理由に挙げている。

出典:スポーツニッポン「【安田記念】府中に衝撃!9番人気リアル歴史的V」2011年6月6日配信、https://www.sponichi.co.jp/gamble/news/2011/06/06/kiji/K20110606000966310.html 、閲覧日:2026年7月30日。

二年半 ― 勝てない日々

夏を休んで、10月9日の毎日王冠。岩田康誠を背に3番手から進み、直線で一旦先頭に立って、外から追い込んできたダークシャドウにかわされた。クビ差の2着。これも堀厩舎の馬である。福永祐一に乗り替わったマイルチャンピオンシップは1番人気で5着、暮れの阪神カップも1番人気で、3番手から運んで直線の内で詰まり10着。 2012年は中山記念の3着から始まった。1番人気で臨んだマイラーズカップは直線で失速して18着、最下位に沈む。連覇のかかる安田記念は2番手から一旦先頭に立って6着。勝ったのは、前年に自分がクビ差で凌いだストロングリターンだった。毎日王冠4着、マイルチャンピオンシップ5着。 2013年は東京新聞杯11着、中山記念8着、ダービー卿チャレンジトロフィー12着。二桁着順を三つ並べて、6か月半の休みに入った。 10月19日の富士ステークス。9番人気で、勝ったダノンシャークに0秒1差の2着に入る。鞍上に戻ってきたのは戸崎圭太だった。この年の3月1日、三度目の受験で中央の騎手免許を取り、大井からJRAへ移っていた。続くマイルチャンピオンシップは10着。

初めての逃げ ― 阪神カップ連覇

2013年12月23日、阪神の1400メートル。ライアン・ムーアを背に8番人気。この馬が初めて打った手は、逃げだった。1分21秒4で押し切り、2着ガルボにタイム差なしの勝利。安田記念から2年6か月ぶりの白星である。堀厩舎はこの競走をキンシャサノキセキで2009年と2010年に連覇していて、1400メートルは勝ち慣れた距離だった。 逃げが決まったなら、もっと短くてもいい。翌春は初めての1200メートルへ向かう。3月8日のオーシャンステークスは2番人気で8着。3月30日の高松宮記念は不良馬場の中京で9着。6月8日の安田記念も不良で、17頭立ての13着に終わった。この日の勝ち馬ジャスタウェイは、荒れた内をこじ開けて9センチ差でゴール前をねじ伏せている。 夏を休み、11月のキャピタルステークス6着を叩いて、12月27日、また阪神カップへ。ウィリアム・ビュイックが乗って8番人気。コパノリチャードとの叩き合いを制し、1分20秒7で連覇を決めた。六歳の暮れである。

ローズヒルの千五百 ― 七歳の三月

2015年、陣営はオーストラリアのGI、ドンカスターマイルへの参戦を決める。日本の春に当たるシドニーの秋開催は、当時まだ日本の馬が本格的に踏み込んでいない季節だった。現地初戦として選ばれたのが、3月21日、ローズヒルガーデンズの芝1500メートル、ジョージライダーステークスである。 14頭立て。負担重量は59キロ。鞍上はジェームズ・マクドナルド。ゲートから先手を取り、そのまま直線を向いて、迫ってくる馬たちとの叩き合いを凌ぎ切った。1分28秒29、2着はCriterion。同じレースを池江泰寿厩舎のワールドエースも走り、11着だった。 2011年6月5日の府中から、3年9か月ぶりのGIだった。デビューの二戦で手綱を取った後藤浩輝は、この年の2月に世を去っている。最初にこの馬に跨った騎手は、ローズヒルの一日を見ていない。 4月6日、ランドウィックのドンカスターマイル。20頭立て、55キロ。勝ったKermadecの前に2着。豪州で二戦して、112万豪ドルを持ち帰った。 この一勝から、堀厩舎は海を渡り続けることになる。同じ年の暮れにモーリスが香港マイル、翌年にサトノクラウンが香港ヴァーズ、2017年には半弟ネオリアリズムが香港のクイーンエリザベス2世カップを勝った。

同じ厩舎の若い馬 ― 最後の三戦

帰国初戦は6月7日の安田記念。鞍上は内田博幸、6番人気で12着。勝ったのは、前年の秋に栗東の吉田厩舎から堀の厩舎へ移ってきた4歳馬モーリスだった。1000万下の条件戦から四つ続けて勝ち、GIの初挑戦でマイル王になっている。堀にとっては前週の東京優駿(ドゥラメンテ)に続く二週連続のGIで、安田記念は調教師として歴代最多の3勝目。その最初の一勝が、四年前の三歳馬だった。いまの成績はどうかと問われた指揮官は、会見でこう答えている。「最大瞬間風速が吹いている感じです」[^1] 10月11日の毎日王冠はクリストフ・ルメールで12着。11月22日、京都のマイルチャンピオンシップ。ヒュー・ボウマンを背に18頭中17番人気、上がり3ハロン33秒2で8着。勝ったのは、またモーリスだった。 11月28日付で競走馬登録を抹消。30戦5勝、獲得賞金5億578万4300円。国際的なレーティングは3歳の2011年がM116、7歳の2015年がM118。いちばん高く評価されたのは、最後の年である。

出典:スポーツニッポン「【安田記念】モーリス4連勝でマイル王!堀厩舎2週連続G1制覇」2015年6月8日配信、https://www.sponichi.co.jp/gamble/news/2015/06/08/kiji/K20150608010500150.html 、閲覧日:2026年7月30日。

新冠の朝日 ― 継ぐ者たち

2016年から社台スタリオンステーションで種牡馬になり、同年のシーズンオフから2018年まで、オーストラリアのアローフィールドスタッドへシャトルで送られた。2019年のファーストシーズンサイアーランキングは3位。 2020年5月10日、東京の芝1600メートル。18頭立ての9番人気に、ラウダシオンという鹿毛の3歳馬がいた。母アンティフォナ、栗東の斉藤崇史厩舎、鞍上はミルコ・デムーロ。逃げるレシステンシアに競りかけて2番手を進み、残り150メートルで前をかわして押し切る。NHKマイルカップ。父が9年前、三度目のグランプリボスの後ろで3着に終わった舞台である。産駒に初めての重賞とGIをもたらしたこの仔は、父が安田記念を勝ったときと同じ、9番人気だった。ラウダシオンは翌年の京王杯スプリングカップも勝ち、のちにオーストラリアへ渡って種牡馬になっている。 牝馬のモズメイメイは2023年にチューリップ賞と葵ステークス、2024年にアイビスサマーダッシュを勝った。豪州ではルナーインパクトが2021年のウェストオーストラリアンオークス、カウントドルピーが2022年のヴィクトリーステークスを制している。 母の一族も伸び続けた。半弟ネオリアリズムは2016年の札幌記念と2017年の中山記念を勝ち、同じ堀厩舎から香港のクイーンエリザベス2世カップを取った。半姉ウィルパワーの仔インディチャンプは2019年の安田記念とマイルチャンピオンシップを勝ち、同じ年の春と秋にマイルのGIを制した史上七頭目になった。その一つ前が、2015年のモーリスである。トキオリアリティーの血からは、安田記念の勝ち馬が二頭出たことになる。母自身は2015年に新冠町の牧場へ移ってゼンノロブロイの牝馬を産み、翌年、繁殖の役目を終えた。 2021年から、その新冠町朝日の優駿スタリオンステーションで供用されている。2026年も種牡馬として登録され、十八歳になった。 名は「本物の衝撃」。セールで買い手のつかなかった初年度産駒は、三十戦して五勝した。東京の新馬戦、その同じ府中の安田記念、暮れの阪神カップが二つ、そしてローズヒルのジョージライダーステークス。三歳の六月と七歳の三月、二つの国のGIを勝った馬である。

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