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レインボーライン
通算成績22戦5勝
獲得賞金4億5,046万円
生年月日 2013.04.01(平成25年)毛色 鹿毛性 牡
全成績
主要戦績(抜粋)・新しい順| 年月日 | 着順 | レース | コース | 人気 | 騎手 | タイム | 上り3F | 映像 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 1 | GI天皇賞(春) | 京都 芝3200 | 2人気 | 岩田康誠 | 3:16.2 | 上り35.2 | 映像 | |
| 1 | GII阪神大賞典 | 阪神 芝3000 | 3人気 | 岩田康誠 | 3:03.6 | 上り35.8 | 映像 | |
| 8 | GI有馬記念 | 中山 芝2500 | 9人気 | 岩田康誠 | 2:34.3 | 上り34.9 | 映像 | |
| 6 | GIジャパンカップ | 東京 芝2400 | 8人気 | 岩田康誠 | 2:24.7 | 上り34.6 | 映像 | |
| 3 | GI天皇賞(秋) | 東京 芝2000 | 13人気 | 岩田康誠 | 2:08.7 | 上り38.7 | 映像 | |
| 5 | GI宝塚記念 | 阪神 芝2200 | 7人気 | 岩田康誠 | 2:12.3 | 上り36.3 | 映像 | |
| 12 | GI天皇賞(春) | 京都 芝3200 | 7人気 | M.デムーロ | 3:14.3 | 上り35.7 | 映像 | |
| 4 | GII日経賞 | 中山 芝2500 | 2人気 | M.デムーロ | 2:33.1 | 上り35.4 | 映像 | |
| 6 | GIジャパンカップ | 東京 芝2400 | 8人気 | C.ルメール | 2:26.4 | 上り34.3 | 映像 | |
| 2 | GI菊花賞 | 京都 芝3000 | 9人気 | 福永祐一 | 3:03.7 | 上り34.2 | 映像 | |
| 3 | GII札幌記念 | 札幌 芝2000 | 4人気 | 福永祐一 | 2:02.1 | 上り36.3 | 映像 | |
| 8 | GI東京優駿 | 東京 芝2400 | 12人気 | 福永祐一 | 2:24.7 | 上り33.7 | 映像 | |
| 3 | GINHKマイルカップ | 東京 芝1600 | 12人気 | 福永祐一 | 1:32.9 | 上り34.4 | 映像 | |
| 5 | GIIニュージーランドトロフィー | 中山 芝1600 | 4人気 | 内田博幸 | 1:34.0 | 上り34.6 | 映像 | |
| 1 | GIIIアーリントンC | 阪神 芝1600 | 4人気 | M.デムーロ | 1:34.1 | 上り34.6 | — | |
| 6 | GIII日刊スポシンザン記念 | 京都 芝1600 | 7人気 | 幸英明 | 1:34.5 | 上り35.3 | 映像 | |
| 1 | 千両賞 | 阪神 芝1600 | 4人気 | 幸英明 | 1:35.8 | 上り34.7 | — | |
| 9 | GIII東京スポーツ杯2歳S | 東京 芝1800 | 8人気 | 蛯名正義 | 1:50.1 | 上り33.7 | — | |
| 3 | OP萩S | 京都 芝1800 | 4人気 | 岩田康誠 | 1:47.8 | 上り33.3 | — | |
| 1 | 2歳未勝利 | 札幌 芝1800 | 1人気 | 四位洋文 | 1:49.5 | 上り35.6 | — | |
| 2 | 2歳未勝利 | 札幌 芝1800 | 2人気 | 四位洋文 | 1:50.5 | 上り35.7 | — | |
| 2 | 2歳新馬 | 札幌 芝1800 | 2人気 | 四位洋文 | 1:52.6 | 上り34.3 | — |
血統
金色の名は 名馬ジャーニー に掲載 — その馬のページへ| 父ステイゴールドStay Gold | サンデーサイレンスSunday Silence | Halo |
| Wishing Well | ||
| ゴールデンサッシュ | ディクタスDictus | |
| ダイナサッシュ | ||
| 母レーゲンボーゲン | フレンチデピュティFrench Deputy | Deputy Minister |
| Mitterand | ||
| レインボーファスト | レインボーアンバー | |
| レインボーローズ |
引退後・牧場での映像
ゴール板の先の時間旅程 — この馬の物語
2013年生まれの鹿毛の牡馬。父ステイゴールド、母レーゲンボーゲン。主な勝ち鞍は天皇賞・アーリントンC・阪神大賞典。
虹の名を継ぐ ― 安平に生まれた鹿毛
2013年4月1日、北海道安平町のノーザンファーム。父ステイゴールド、母レーゲンボーゲンのあいだに、鹿毛の牡馬が生まれた。 レーゲンボーゲンとは、ドイツ語で虹のことである。Regen(雨)とBogen(弓)を継いだ言葉で、雨のあとに架かる弓を指す。虹は母だけのものではなかった。その母はレインボーファスト、さらにその母はレインボーローズ。この牝系は代々、虹の名を受け渡してきた。生まれた鹿毛に与えられた名は、レインボーライン。虹の、系統。 半姉に、2010年のローズステークスを勝ったアニメイトバイオがいる。2歳の阪神ジュベナイルフィリーズでも、3歳の秋華賞でも、アパパネに屈して2着。GIにあと半歩届かなかった姉である。その姉はやがて母となり、送り出したエキサイトバイオが2025年のラジオNIKKEI賞を勝つことになる。 2014年、1歳でセレクトセールに上場され、5400万円の値がついた。馬主は三田昌宏。預けられたのは、栗東の浅見秀一厩舎だった。 その厩舎には、二十年前の春の記憶があった。1997年2月、父・浅見国一が定年を迎えて厩舎が解散し、その管理馬メジロブライトを息子の秀一が引き継いだ。翌1998年5月3日、京都の芝3200m。メジロブライトはその盾を勝つ。0.3秒差の2着に敗れていたのは、ステイゴールドという名の一頭だった。
札幌の三度目 ― デビューと、岩田康誠の一日
2015年8月2日、札幌の芝1800m、2歳新馬。鞍上は四位洋文。2番人気に推されたが、プロフェットの2着に終わる。半月後の未勝利戦もまた2着。三度目の8月30日、1番人気に応えてようやく勝ち上がった。デビュー時に454キロあった馬体は、夏のあいだに444キロまで削れていた。 10月31日、京都の萩ステークス。わずか5頭立てのオープン特別で、この馬に初めて跨ったのが岩田康誠だった。結果は3着。勝ったブラックスピネルに0.2秒届かない。岩田がこの背に乗ったのは、その一日きりだった。次に戻ってくるまで、一年半あまりかかることになる。 11月の東京スポーツ杯2歳ステークスは9着。年の瀬、阪神の千両賞を幸英明とともにアタマ差で拾って、2勝目を挙げた。馬体重は434キロまで細くなっていた。
四百三十キロ ― 三歳、重賞初制覇とGIの淵
2016年1月のシンザン記念は6着。年明けの2戦目、2月27日の阪神・アーリントンカップで、鞍上にミルコ・デムーロを迎えた。4番人気。直線は5着までが同タイムという密度のなかで、ダンツプリウスをハナ差だけ抑え込む。重賞初制覇だった。 4月のニュージーランドトロフィーは5着。今度は逆に、ダンツプリウスに先着を許した。 5月8日、NHKマイルカップ。福永祐一に乗り替わって臨んだGI初挑戦は、単勝40倍を超える12番人気。馬体重430キロは、この馬のキャリアで最も軽い数字だった。それでも上がり34秒4で追い込み、勝ったメジャーエンブレムから0.1秒差の3着に食い込む。 三週間後の東京優駿。12番人気、単勝155.4倍。中団やや後ろから直線で伸びたが、マカヒキの8着までだった。小さな体は、二千四百の府中ではまだ足りなかった。
淀の三千 ― ハナ差の二着
夏を休養に充て、8月の札幌記念で初めて古馬とぶつかった。稍重の洋芝を中団から運び、直線でGI馬ヌーヴォレコルトを交わして3着。勝ったのはネオリアリズム、2着には前年の年度代表馬モーリスがいた。世代のなかで測られていた物差しが、この日から変わった。 10月23日、菊花賞。9番人気。京都の3000mを、いつものように後方で待つ。直線、上がり34秒2の脚が点火すると、前を行く馬を一頭ずつ飲み込んでいった。先に抜け出したサトノダイヤモンドには届かない。それでも粘るエアスピネルをゴール前でハナだけ差し切り、2着。GIで、初めて連対の位置に立った。 11月のジャパンカップはルメールが手綱を取った。キタサンブラックが逃げて前半1000mは61秒7。差し馬に厳しい流れを後方4番手から追い込んで6着。 デビューしてから、この馬にはまとまった休みがほとんどなかった。担当の若松敏和厩務員は、父ステイゴールドの産駒にありがちな激しさを、この馬には見ていない。「オルフェーヴルやゴールドシップの激しさに比べたら『ネコ』でしょ」[^1]。うるさくなるのは、レースで人を乗せたときだけだった。
出典:競馬ラボ「泥んこ馬場でも一生懸命走る”頑張り屋” アッと言わせる準備は整った レインボーライン」2017年12月17日配信、https://www.keibalab.jp/column/interview/1710/、閲覧日:2026年7月26日。
勝てない一年 ― 泥の府中の三着
2017年、レインボーラインは六度走って、一度も勝てなかった。 3月の日経賞は2番人気で4着。4月30日の天皇賞(春)は、17頭立ての16番枠――有力馬でいちばん外を引いたのが響き、12着に沈んだ。6月の宝塚記念は外を回らされる形で5着。 10月29日、東京。台風22号が近づき、馬場は26年ぶりという不良になった。単勝59.6倍の13番人気。それでも泥のなかを伸び、勝ったキタサンブラック、2着サトノクラウンに続く3着に入った。 11月のジャパンカップは6着。勝ったのはシュヴァルグランだった。12月の有馬記念は8着。キタサンブラックが引退の花道を飾った、その後方にいた。 若松は、この馬が下見所から地下馬道を抜けるまではひどく落ち着かないのに、レースを終えて戻るときは驚くほど大人しいことを知っていた。それだけ全部を出して走っているのだろう、と厩務員は言う。「それを見たら、もう負けても何も言えないですよね」[^1]。悔しさよりも、ありがたさが先に来る、と。 鞍上にも同じ渇きがあった。6月の宝塚記念からこの馬の手綱に戻っていた岩田康誠が最後にGIを勝ったのは、2015年の桜花賞、レッツゴードンキだった。
出典:競馬ラボ「泥んこ馬場でも一生懸命走る”頑張り屋” アッと言わせる準備は整った レインボーライン」2017年12月17日配信、https://www.keibalab.jp/column/interview/1710/、閲覧日:2026年7月26日。
二年ぶりの一着 ― 阪神大賞典
2018年3月18日、阪神の芝3000m。京都記念を勝ったクリンチャー、長距離重賞を四つ勝っているアルバートが顔を揃えるなかで3番人気に推された。 この日のレインボーラインは、いつもの待機策から一変する。後方から最終コーナーで進出すると、直線を向く前に先頭へ。そのまま押し切り、サトノクロニクルを退けた。 勝利は、3歳春のアーリントンカップ以来、およそ2年ぶりだった。馬体重は454キロ。430キロまで細くなっていた三歳の春から、二十キロ以上を身につけている。五歳の春に、ようやく体と気が揃った。長丁場でこそ、この馬の脚は最後まで伸び切る――そのことが、ここではっきりした。
四月二十九日、京都 ― クビ差と、その代償
2018年4月29日、第157回天皇賞(春)。17頭立て、2番人気、斤量58キロ。GIに挑むのは、これで十度目だった。 ヤマカツライデンが飛び出し、押して押してトミケンスラーヴァがハナへ立つ。前半1000mの通過は60秒1。シュヴァルグランは4番手、レインボーラインは後方に置かれた。二周目の向正面でヤマカツライデンがリードを広げても、岩田は動かない。 直線、先頭ではガンコとシュヴァルグランが叩き合っていた。その二列目からクリンチャーが襲いかかる。レインボーラインは馬群を捌き、内へ切れ込んで進路を作った。残り200m、シュヴァルグランが単独の先頭。外からクリンチャー、内からレインボーライン。押し切ろうとするシュヴァルグランを、ゴール寸前で内から差し切った。クビ差。3分16秒2。 十度目の挑戦で、GI。岩田は2008年のアドマイヤジュピタに続いてこの盾を二度勝ち、三年遠ざかっていた大レースの勝ち星をようやく取り戻した。浅見秀一にとっては、1998年のメジロブライト以来、二十年ぶりの春の盾である。あの日、メジロブライトの0.3秒後ろで2着に敗れていたのがステイゴールド――この馬の父だった。父の負けた盾を、二十年後に仔が獲り返したことになる。 だが、ゴール板を過ぎた直後、岩田は馬を止めて下馬した。右前脚だった。「すぐに歩様が乱れていると分かって下馬したんです」[^1]。ウイニングランは行われず、馬を入れた口取り式もなかった。 5月2日の精密検査で腱と靱帯の損傷が疑われ、陣営はおよそ一か月、経過を見守った。そして6月6日、右前繋部浅屈腱不全断裂により競走馬登録が抹消される。22戦5勝。最後の一走が、最初のGIだった。
出典:スポーツナビ「レインボーライン春盾制覇も右脚故障……岩田「涙も出ない」3年ぶりG1勝利」2018年4月29日配信、https://sports.yahoo.co.jp/column/detail/201804290003-spnavi、閲覧日:2026年7月26日。
安平から、苫小牧へ ― 虹はまだ
引退後は、北海道新冠町の優駿スタリオンステーションで種牡馬になった。 2023年、ワイズゴールドが岩手の留守杯日高賞を、ダイヤモンドラインが金沢のサラブレッド大賞典を勝った。だがその報せが届いたとき、レインボーラインはもう種牡馬ではない。初年度産駒がデビューした2022年9月10日付で用途変更となり、種牡馬を退いていた。移った先はノーザンホースパーク。生まれたノーザンファームのある安平町の隣、苫小牧の観光牧場である。走る仕事を離れ、乗馬になった。 それでも仔は走り続けた。2024年2月18日、小倉の障害戦でクリノクオンが産駒のJRA初勝利を挙げる。2025年にはケンシレインボーが東京湾カップを、ニジコがフローラルカップを勝った。虹の名は、まだ続いている。 あの春、京都の芝には、勝った馬を囲む一枚の写真が残らなかった。口取りの列に、主役はいなかった。代わりにこの馬が行き着いたのは、誰でも門をくぐれる牧場だった。四百三十キロまで細くなりながら十度GIに挑み、十度目に春の盾を掴んだ鹿毛は、生まれた土地の隣で、人を乗せる馬になった。
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