名馬の記憶を、
再生する。

年表ICHINEN-ISSO — 2400m

BOKUJŌ-CHŌ — HOKKAIDO

牧場帖

一年ずつ、顔ぶれをたどる。引退した名馬たちの繋養・在籍と映像を綴る帳面。
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名馬録

この世代(生まれ年)

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レインボーダリアのイメージビジュアル
レインボーダリアRainbow Dahlia
Rainbow Dahlia

レインボーダリア

通算成績34戦6勝

獲得賞金23,207万円

生年月日 2007.04.27(平成19年)毛色 栗毛

全成績

主要戦績(抜粋)・新しい順
レインボーダリアの成績一覧
年月日着順レースコース人気騎手タイム上り3F映像
13 GIエリザベス女王杯 京都 芝2200 11人気 和田竜二 2:17.4 上り34.5映像
13 GII府中牝馬S 東京 芝1800 9人気 柴田善臣 1:49.4 上り32.5
7 GII札幌記念 函館 芝2000 5人気 柴田善臣 2:10.0 上り41.5映像
6 GIII函館記念 函館 芝2000 5人気 柴田善臣 1:59.4 上り35.7
12 GIヴィクトリアマイル 東京 芝1600 10人気 柴田善臣 1:33.0 上り33.5映像
7 GII読売マイラーズカップ 京都 芝1600 11人気 柴田善臣 1:32.9 上り34.5
1 GIエリザベス女王杯 京都 芝2200 7人気 柴田善臣 2:16.3 上り35.8映像
4 GII府中牝馬S 東京 芝1800 9人気 柴田善臣 1:45.9 上り32.9
4 GIIIクイーンS 札幌 芝1800 3人気 木幡初広 1:47.4 上り34.7
1 五稜郭S 函館 芝2000 1人気 木幡初広 2:00.6 上り35.7
3 むらさき賞 東京 芝1800 1人気 石橋脩 1:46.1 上り33.3
12 GIヴィクトリアマイル 東京 芝1600 17人気 石橋脩 1:33.3 上り34.4映像
5 府中S 東京 芝2000 3人気 三浦皇成 2:01.4 上り34.0
3 常総S 中山 芝2000 2人気 後藤浩輝 2:03.7 上り35.1
5 GIエリザベス女王杯 京都 芝2200 17人気 川田将雅 2:12.2 上り34.6映像
4 甲斐路S 東京 芝1800 3人気 三浦皇成 1:50.3 上り33.5
1 大倉山特別 札幌 芝1800 2人気 安藤勝己 1:46.4 上り34.2
3 かもめ島特別 函館 芝1800 3人気 三浦皇成 1:51.1 上り35.2
3 洞爺湖特別 函館 芝1800 1人気 藤田伸二 1:49.4 上り35.1
4 HTB杯 函館 芝2000 1人気 藤田伸二 2:02.0 上り34.7
2 被災地支援きぼう賞 東京 芝1800 4人気 武豊 1:46.5 上り34.6
6 GIII福島牝馬S 新潟 芝1800 6人気 木幡初広 1:46.3 上り34.3
8 GI秋華賞 京都 芝2000 12人気 秋山真一郎 1:59.1 上り34.9映像
1 摩周湖特別 札幌 芝1800 1人気 丸山元気 1:50.3 上り35.5
2 おおぞら特別 札幌 芝1800 2人気 藤田伸二 1:50.4 上り34.2
3 フィリピンT 札幌 芝1800 3人気 藤田伸二 1:47.8 上り35.4
1 湯浜特別 函館 芝1800 1人気 藤田伸二 1:49.5 上り35.9
2 遊楽部特別 函館 芝1800 1人気 丸山元気 1:48.9 上り35.2
2 カーネーションC 東京 芝1800 2人気 内田博幸 1:49.6 上り36.4
4 OPスイートピーS 東京 芝1800 10人気 北村宏司 1:48.8 上り34.2
1 3歳未勝利 中山 芝1600 2人気 蛯名正義 1:36.7 上り35.4
3 3歳未勝利 中山 芝1600 3人気 菊沢隆徳 1:39.0 上り37.3
3 3歳未勝利 東京 芝1400 2人気 蛯名正義 1:24.2 上り34.9
5 3歳新馬 中山 ダ1800 1人気 藤田伸二 1:59.5 上り40.3

血統

金色の名は 名馬ジャーニー に掲載 — その馬のページへ
レインボーダリアの血統表(左から親・祖父母・曽祖父母)
ブライアンズタイムBrian's TimeRobertoHail to Reason
Bramalea
Kelley's DayGraustark
Golden Trail
アロームノーザンテーストNorthern TasteNorthern Dancer
Lady Victoria
ストロークトStrokedRiverman
Her B.
STORY

旅程 — この馬の物語

2007年生まれの栗毛の牝馬。父ブライアンズタイム、母アローム。主な勝ち鞍はエリザベス女王杯。

虹の名 ― 新冠に生まれた栗毛

2007年4月27日、北海道新冠町の大栄牧場で栗毛の牝馬が生まれた。父ブライアンズタイム、母アローム、母の父ノーザンテースト。 馬名の意味は「虹」に冠名。レインボーがこの馬に授けられた固有の名で、ダリアの方はこのオーナーの所有馬に繰り返し現れる花の名である。先には、2007年のプリンシパルステークスを勝ったゴールデンダリアがいた。 馬主は田中由子。メガネスーパーを創業した田中八郎の妻であり、自らも同社の代表取締役社長を務めた人だ。馬主資格は夫より先に、1990年に取っている。1994年のきさらぎ賞をサムソンビッグが勝って、初めての重賞を手にした。そして2010年12月17日、八郎が世を去る。 母アロームも走った馬である。1993年2月、京都の芝1600m・エルフィンステークスを勝った。だが重賞では二度とも二桁着順に終わり、7戦2勝で牧場へ帰っている。母が届いた一番高い場所は、京都のオープン特別だった。 管理したのは美浦の二ノ宮敬宇。エルコンドルパサーでNHKマイルカップとジャパンカップを勝ち、フランスに渡ってサンクルー大賞を制し、凱旋門賞で2着に迫った男である。 デビューは2010年1月17日、中山のダート1800m。1番人気に推されて5着だった。芝に替えた二戦はいずれも3着。四戦目、3月27日の中山・芝1600mを蛯名正義の手で勝ち上がる。馬場は重だった。

北の洋芝 ― 三歳の夏

5月のスイートピーステークスは10番人気で4着。オークスには手が届かず、カーネーションカップは2着。そこから北海道へ渡った。 函館の遊楽部特別は1番人気で2着、8月7日の湯浜特別は藤田伸二を背に1番人気に応えて2勝目。札幌へ移ってフィリピントロフィー3着、おおぞら特別2着、そして10月3日の摩周湖特別を丸山元気で勝った。夏を追いかけて函館と札幌を回り、洋芝で勝ち星を積む――それがこの馬の型になっていく。 初めてのGIは10月17日の秋華賞。12番人気で8着だった。同じ日、同じ京都の2000mで、アパパネがアニメイトバイオを4分の3馬身退け、史上3頭目の牝馬三冠を達成している。三冠が決まった歓声の外側に、レインボーダリアはいた。

四歳の春 ― 新潟で行われた福島牝馬ステークス

2011年4月23日、福島牝馬ステークス。だが舞台は福島ではなく新潟だった。東日本大震災の影響で、開催が振り替えられていた。6着。 5月15日、東京。競走名は「被災地支援きぼう賞」。鞍上は武豊で、タイム差なしの2着だった。 夏はまた北へ向かう。函館でHTB杯4着、洞爺湖特別3着、かもめ島特別3着と足踏みし、8月13日、札幌の大倉山特別を安藤勝己で勝って4勝目を挙げた。 そして11月13日、エリザベス女王杯。単勝238.8倍、18頭中17番人気。勝ったのは英愛オークスを制したスノーフェアリーで、この年が連覇だった。レインボーダリアはその0.6秒後方、5着でゴールした。単勝の桁と、掲示板に載った着順は、まるで噛み合っていなかった。

五稜郭 ― 遅れてきたオープン馬

明けて2012年。4か月の休養から戻った牝馬は、勝ちきれない春を過ごす。常総ステークス3着、府中ステークス5着。5月には、条件クラスに身を置きながらレーティングによる優先出走権でヴィクトリアマイルの18頭に潜り込み、17番人気12着。続くむらさき賞は1番人気で3着だった。 7月7日、函館の五稜郭ステークス。1番人気に応えて5勝目を挙げ、五歳の夏にようやくオープン入りを果たす。三年続けて北海道へ渡り、三年続けてそこで勝った。 7月29日のクイーンステークスは3番人気4着。そして10月13日、東京の府中牝馬ステークスで、初めて柴田善臣が鞍上に座った。46歳。1993年にヤマニンゼファーでGIを勝ってから19年が経ち、中央のGIは2010年の宝塚記念以来遠ざかっていた。結果は9番人気の4着。柴田は、道中の手応えの良さと、追ってからよく伸びたことを振り返っている。次は京都の2200mだった。

雨の京都 ― 二〇一二年十一月十一日

第37回エリザベス女王杯には、「エリザベス女王即位60年記念」の副題が添えられていた。天候は雨、芝は重。16頭立ての8枠15番、単勝23.0倍の7番人気。 逃げたのはレジェンドブルー。レインボーダリアは1コーナーで16頭の11番手あたり、中団のやや後ろにいた。道中で少しずつ位置を押し上げ、4コーナーでは外めの9番手を回っている。直線、そのすぐ内にいたのが1番人気のヴィルシーナだった。外から栗毛が並びかけ、猛烈な叩き合いをクビ差で制してゴール板を過ぎる。2分16秒3。最後方から追い込んだピクシープリンセスがアタマ差の3着だった。 重賞を一つも勝っていない5歳牝馬の、初めての重賞制覇がGIだった。柴田善臣にとっては牝馬限定GIも京都のGIも初めて。二ノ宮敬宇にとってもエリザベス女王杯は初勝利。田中由子にとっては、1990年に馬主資格を取ってから22年目の、GI級初制覇だった。夫の八郎が逝って、二度目の秋である。 二ノ宮は、勝った騎手をこう評した。「熟練と言いますか、柴田騎手は馬の感情をくみ取りながら乗ってくれる騎手ですから」[^1] クビ差で敗れたヴィルシーナは、この年、桜花賞・オークス・秋華賞をすべて2着で終えていた。秋華賞ではジェンティルドンナにハナ差、約7センチ。牝馬三冠のすべてで2着は史上初で、この日の2着によって、同一年のGI4連続2着になった。虹の名を持つ牝馬が掴んだ一つは、あの3歳馬が掴み損ねた四つ目でもあった。

出典:スポーツナビ「レインボーダリア満開V、雨中に咲かせたGIの花=エリザベス女王杯」2012年11月11日配信、https://sports.yahoo.co.jp/column/detail/201211110002-spnavi 、閲覧日:2026年7月30日。

二十年の糸 ― 父ブライアンズタイム

父ブライアンズタイムは1985年アメリカ生まれ。日本へ渡り、初年度産駒からいきなり三冠馬ナリタブライアンとオークス馬チョウカイキャロルを出した種牡馬である。マヤノトップガン、サニーブライアン、ファレノプシス、タニノギムレット――日本の大レースを勝ち続けてきた血だった。 この日の勝利で、ブライアンズタイム産駒は20年連続の重賞制覇を果たしている。GIを勝った産駒のなかで、2007年生まれのレインボーダリアがいちばん若い。 そして5か月後の2013年4月4日、ブライアンズタイムは放牧地で転倒して右後肢を骨折し、この世を去った。その年もすでに10頭に種付けを終えていた矢先だった。京都の雨の中で出たあのクビ差が、父の二十年目の重賞である。

勝てなかった一年

2013年は6戦して、勝ち星がなかった。 4月の読売マイラーズカップ7着。5月のヴィクトリアマイル12着――勝ったのは、半年前の京都でクビ差退けたヴィルシーナだった。三冠のすべてで2着に終わった馬にとって、それが初めてのGI勝利になった。 夏、また北へ渡る。函館記念6着。8月の札幌記念は函館競馬場で施行され、重馬場のなか勝ち馬トウケイヘイローから3秒5離された7着。10月の府中牝馬ステークスでは上がり3ハロン32秒5の脚を使いながら、着順は13着だった。 11月10日、三度目にして最後のエリザベス女王杯。鞍上は和田竜二。天候は雨、芝は重。一年前とまったく同じ条件の京都で、13着に終わった。勝ったのは3歳のメイショウマンボである。 11月15日、競走馬登録抹消。34戦6勝。四年間の全部が、そこで閉じた。

新冠へ帰る ― 虹は雨のあとに

生まれた大栄牧場に、繁殖牝馬として戻った。2015年の初仔コスモダリアは父ディープインパクト、馬主は母と同じ田中由子である。以後、ハーツクライキングカメハメハサトノダイヤモンドドゥラメンテ、ドレフォン、キズナクリソベリル――名だたる種牡馬の仔を、ほぼ毎年送り出してきた。十頭を超える産駒のなかで、2022年生まれのシヴァールバーニは2勝を挙げて現役、2024年生まれのレインボースター(父キズナ)も競走馬として登録されている。レインボーダリア自身は、2026年で19歳になった。 血の周りにも走る馬がいる。母アロームの全妹ロングスターダムの仔トゥインクルは、2016年のダイヤモンドステークスを勝った。レインボーダリアにとっては、いとこにあたる。 柴田善臣は2年後の安田記念をジャスタウェイで勝ち、2022年からはJRAの最年長勝利記録を自ら更新し続けてきた。二ノ宮敬宇は2018年2月に調教師を勇退している。 34回ゲートに入り、6度、先頭でゴール板を過ぎた。そのうちの一度が、雨の京都だった。虹は、雨が降らなければ出ない。

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