名馬の記憶を、
再生する。

年表ICHINEN-ISSO — 2400m

BOKUJŌ-CHŌ — HOKKAIDO

牧場帖

一年ずつ、顔ぶれをたどる。引退した名馬たちの繋養・在籍と映像を綴る帳面。
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ポタジェのイメージビジュアル
ポタジェPotager
Potager

ポタジェ

通算成績24戦6勝

獲得賞金36,282万円

生年月日 2017.02.04(平成29年)毛色 鹿毛

全成績

主要戦績(抜粋)・新しい順
ポタジェの成績一覧
年月日着順レースコース人気騎手タイム上り3F映像
かしわ記念 船橋 ダ1600 6人気 岩田望来 映像
10 JpnⅠ川崎記念 川崎 ダ2100 7人気 岩田望来 2:20.8 上り40.6映像
15 GIIアメリカジョッキークラブカップ 中山 芝2200 14人気 岩田望来 2:13.7 上り37.7映像
10 GI大阪杯 阪神 芝2000 12人気 坂井瑠星 1:58.1 上り35.5映像
6 GII金鯱賞 中京 芝2000 7人気 岩田望来 2:00.4 上り34.7映像
12 GI有馬記念 中山 芝2500 12人気 吉田隼人 2:34.5 上り37.3映像
13 GI天皇賞(秋) 東京 芝2000 8人気 吉田隼人 1:58.4 上り33.4映像
6 GII毎日王冠 東京 芝1800 7人気 吉田隼人 1:44.6 上り34.5映像
11 GI宝塚記念 阪神 芝2200 8人気 吉田隼人 2:11.5 上り36.9映像
1 GI大阪杯 阪神 芝2000 8人気 吉田隼人 1:58.4 上り35.3映像
4 GII金鯱賞 中京 芝2000 4人気 吉田隼人 1:58.0 上り34.2映像
5 GIIアメリカジョッキークラブカップ 中山 芝2200 2人気 川田将雅 2:13.1 上り35.4映像
6 GI天皇賞(秋) 東京 芝2000 5人気 川田将雅 1:58.7 上り34.1映像
3 GII毎日王冠 東京 芝1800 4人気 吉田隼人 1:45.0 上り34.0映像
2 GIII新潟大賞典 新潟 芝2000 1人気 西村淳也 1:59.3 上り36.9映像
3 GII金鯱賞 中京 芝2000 6人気 北村友一 2:01.9 上り36.4映像
1 L白富士S 東京 芝2000 1人気 川田将雅 1:59.0 上り34.0
1 岸和田S 阪神 芝2000 1人気 川田将雅 1:58.4 上り35.1
1 西部日刊スポーツ杯 小倉 芝2000 1人気 川田将雅 1:57.8 上り35.1
1 生田特別 阪神 芝2000 1人気 川田将雅 2:03.2 上り37.1
2 3歳以上1勝クラス 阪神 芝2000 1人気 武豊 2:00.6 上り34.4
2 LプリンシパルS 東京 芝2000 3人気 武豊 1:59.8 上り33.3
2 黄菊賞 京都 芝2000 1人気 C.スミヨン 2:02.1 上り34.5
1 2歳新馬 中山 芝1800 1人気 川田将雅 1:50.1 上り34.6

血統

金色の名は 名馬ジャーニー に掲載 — その馬のページへ
ポタジェの血統表(左から親・祖父母・曽祖父母)
ディープインパクトDeep ImpactサンデーサイレンスSunday SilenceHalo
Wishing Well
ウインドインハーヘアWind in Her HairAlzao
Burghclere
ジンジャーパンチGinger PunchAwesome AgainDeputy Minister
Primal Force
NappelonBold Revenue
Sally Go Gray

引退後・牧場での映像

ゴール板の先の時間
STORY

旅程 — この馬の物語

2017年生まれの鹿毛の牡馬。父ディープインパクト、母ジンジャーパンチ。主な勝ち鞍は大阪杯。

畑の名を負って ― 名前と血

2017年2月4日、鹿毛の牡馬が生まれた。父は日本近代競馬の結晶ディープインパクト、母はアメリカ生まれの女王ジンジャーパンチ。名は、ポタジェ。フランス語で、家庭菜園を指す言葉である。 母ジンジャーパンチは、海の向こうでG1を六つ勝った名牝だった。2007年にはブリーダーズカップ・ディスタフを泥まみれの叩き合いで制し、その年のエクリプス賞最優秀古牝馬に選ばれている。アメリカで頂点を極めたその牝馬は、やがて海を渡り、日本の生産界で母となった。畑の名を負った仔の半姉には、きさらぎ賞・エプソムカップ・毎日王冠・オールカマーと四つの重賞を勝ったルージュバックがいる。姉は重賞を勝ち重ね、オークスでは2着まで駆けながら、ただ一つ、GIの冠にだけは手が届かなかった。 馬主は金子真人ホールディングス。まとうのは黒に青袖、黄の鋸歯形――父ディープインパクトが背負ったのと同じ勝負服だ。管理するのは栗東の友道康夫。2019年9月、中山の芝1800mの新馬戦で、鞍上には川田将雅がいた。1番人気に推された素質馬はゲートで一歩遅れたが、直線で馬群を割って抜け出し、危なげなく勝ち上がる。畑を耕す旅が、ここから始まった。

一段ずつ ― 川田と積み上げた土台

デビュー戦こそ勝ったが、そこからは足踏みが続いた。2019年秋の黄菊賞は前を捉えきれず2着。明けて2020年、武豊を背にしたプリンシパルステークスも、一つ上のクラスも、いずれも2着に泣く。勝ち切れない春だった。 それでも、この馬は着実だった。夏、鞍上に川田将雅が戻ると歯車が噛み合う。7月の生田特別、8月の西部日刊スポーツ杯、11月の岸和田ステークス――阪神と小倉で芝2000mを、いずれも1番人気で危なげなく勝ち上がった。年が明けた2021年1月の白富士ステークスも川田とともに完勝し、オープンの扉を押し開ける。派手さはない。だが一段ずつ、確かに階段を登っていた。

重賞の壁 ― 届かない冠

オープンに上がってからのポタジェは、重賞の入口で何度も足を止められた。2021年3月の金鯱賞は3着。5月の新潟大賞典では単勝1番人気に支持されながら、前を捉えきれず2着に敗れる。秋、初めて吉田隼人が跨った毎日王冠は、鋭い末脚を繰り出してなお3着まで。続く天皇賞・秋は6着だった。 走るたびに掲示板には載る。だが、重賞のタイトルだけが、どうしても遠かった。母は海の向こうでG1を六つ勝ち、姉は四つの重賞を勝った血である。それでも当のポタジェは、重賞のひとつも手にできぬまま、5歳の春を迎えようとしていた。下馬評が、この馬に大きな期待を寄せることはなくなっていた。

一発 ― 二〇二二年の大阪杯

2022年4月3日、阪神。ポタジェの単勝は8番人気だった。まだ重賞を一つも勝っていない5歳馬に、人気が集まる道理はない。上位の評価は、前年の年度代表馬エフフォーリアと、快速で鳴らすジャックドールに向けられていた。 ゲートが開くと、ジャックドールが1000mを58秒8で引っ張り、連覇のかかるレイパパレが好位の3番手につける。ポタジェは吉田隼人の手綱に導かれ、先行勢を見ながら5番手を進んだ。淀みなく、むしろ激しさを増して流れは直線へ。粘るジャックドールを交わして先頭に立ったのはレイパパレ――その前年の覇者を、ポタジェは外から懸命に差し切った。アリーヴォもヒシイグアスも脚を伸ばす、死力を尽くした追い比べを、2着レイパパレとの0.1秒差で制する。2強と目されたエフフォーリアは9着、ジャックドールは5着に沈んだ。 ポタジェにとって、これが重賞初制覇だった。生まれて初めて勝った重賞が、いきなりGI。母が海の向こうで六つ勝ち、姉が四つの重賞を勝ってなお届かなかった冠に、末の弟が最初のひと勝ちで手をかけた。「強い馬が相手でしたけど、一発狙ってやるぞと思っていたので嬉しいです」[^1]。鞍上の吉田隼人は、大金星をそう言って笑った。

出典:スポーツ報知「【大阪杯】8番人気ポタジェ大金星のG1初V 吉田隼人騎手「一発狙ってやるぞと思っていた」」2022年4月3日配信、https://news.goo.ne.jp/article/hochi/sports/hochi-20220403-OHT1T51154.html 、閲覧日:2026年7月22日。

頂の先へ ― 畑を耕し続けて

GIの頂は、一度きりの晴れ間だった。大阪杯のあと、ポタジェは吉田隼人を背に走り続けたが、宝塚記念11着、毎日王冠6着、天皇賞・秋13着、有馬記念12着と、勝ち星は戻ってこなかった。明けて2023年、連覇を狙った大阪杯は10着。あの4月の一日を境に、時計の針は静かに逆回りを始めていた。 そこから、長い休養が続いた。ターフに戻ってきたのは、二年近くが過ぎた2025年の一月。アメリカンジョッキークラブカップ、川崎記念と歩を進め、5月、船橋のかしわ記念を岩田望来とともに迎える。だが道中で右前肢を痛め、レースは途中で取りやめられた。これが、24戦を走り抜いた馬の最後の一戦になった。同月、競走馬登録は抹消される。 浦河のイーストスタッドで、ポタジェはいま種牡馬として次の生を歩んでいる。四つの重賞を勝ってなお冠に届かなかった姉ルージュバック、アメリカで六つのG1を勝った母ジンジャーパンチ――その血に連なる末の弟が、一族の日本での物語に、たった一つ、しかし確かなGIの冠を書き加えた。畑の名を負った馬が耕した土は、これから別の走りとなって芽を出していく。

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