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年表ICHINEN-ISSO — 2400m

BOKUJŌ-CHŌ — HOKKAIDO

牧場帖

一年ずつ、顔ぶれをたどる。引退した名馬たちの繋養・在籍と映像を綴る帳面。
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ペアポルックスのイメージビジュアル
ペアポルックスPair Pollux
Pair Pollux

ペアポルックス

通算成績19戦4勝

獲得賞金16,913万円

生年月日 2021.04.11(令和3年)毛色 黒鹿毛

全成績

主要戦績(抜粋)・新しい順
ペアポルックスの成績一覧
年月日着順レースコース人気騎手タイム上り3F映像
10 GI高松宮記念 中京 芝1200 11人気 岩田康誠 1:07.4 上り33.2映像
1 GIIIオーシャンS 中山 芝1200 7人気 岩田康誠 1:07.0 上り33.4映像
12 GIII京阪杯 京都 芝1200 8人気 松若風馬 1:08.3 上り34.8映像
13 GIスプリンターズS 中山 芝1200 12人気 松若風馬 1:07.7 上り32.8映像
2 GIIIキーンランドカップ 札幌 芝1200 4人気 松若風馬 1:08.3 上り34.4映像
3 OP青函S 函館 芝1200 1人気 松若風馬 1:08.2 上り34.9
5 GIII函館スプリントS 函館 芝1200 5人気 松若風馬 1:07.0 上り34.0映像
18 GI高松宮記念 中京 芝1200 10人気 岩田康誠 1:10.3 上り36.3映像
2 GIIIオーシャンS 中山 芝1200 3人気 岩田康誠 1:07.2 上り33.4映像
14 GIIIシルクロードS 京都 芝1200 3人気 岩田康誠 1:09.9 上り36.3映像
1 LラピスラズリS 中山 芝1200 1人気 岩田康誠 1:07.2 上り33.5
4 OPみちのくS 福島 芝1200 1人気 岩田康誠 1:11.0 上り34.8
3 L夕刊フジ杯オパールS 京都 芝1200 3人気 岩田康誠 1:07.5 上り33.6
17 GIIITV西日本北九州記念 小倉 芝1200 4人気 松若風馬 1:09.7 上り37.2映像
2 GIII葵S 京都 芝1200 7人気 松若風馬 1:07.3 上り33.9映像
2 L橘S 京都 芝1400 2人気 松若風馬 1:20.5 上り34.1
1 かささぎ賞 小倉 芝1200 1人気 松若風馬 1:08.7 上り35.1
1 3歳未勝利 小倉 芝1200 1人気 松若風馬 1:07.8 上り34.6
2 2歳新馬 阪神 芝1400 4人気 松若風馬 1:21.2 上り34.9

血統

金色の名は 名馬ジャーニー に掲載 — その馬のページへ
ペアポルックスの血統表(左から親・祖父母・曽祖父母)
キンシャサノキセキKinshasa no KisekiフジキセキFuji KisekiサンデーサイレンスSunday Silence
ミルレーサーMillracer
ケルトシャーンKeltshaanPleasant Colony
Featherhill
ミラクルアスクディープインパクトDeep ImpactサンデーサイレンスSunday Silence
ウインドインハーヘアWind in Her Hair
イルバチオロイヤルアカデミーII Royal Academy
サーファーガール
STORY

旅程 — この馬の物語

2021年生まれの黒鹿毛の牡馬。父キンシャサノキセキ、母ミラクルアスク。主な勝ち鞍はオーシャンS。

双子座の明るい星 ― 名前の由来

名は、夜空から借りてきた。 ペアポルックス。ポルックスは双子座でもっとも明るい恒星で、寄り添う双星の片割れである。馬主の願いは「ペア=双子座でいちばん輝く星」を背負わせること。父キンシャサノキセキ、母ミラクルアスク。母の父はディープインパクト。母を繋いだのは生産者ASK STUDで、母ミラクルアスクはヤッホーペペ、ギャルソンアスク、ペアピーターソンと毎年のように産駒を送り出してきた繁殖牝馬だが、重賞を勝った全きょうだい・半きょうだいはまだいない。良血の看板を掲げて生まれた一頭ではなかった。 2021年4月11日、黒鹿毛の牡馬として生を受ける。父キンシャサノキセキは現役時代、高松宮記念を連覇した短距離界の王者。その血を継いだこの馬もまた、芝1200mという最短の舞台で生きていくことになる。けれど双子座の明るい星が、自分の光を見つけるまでには、ずいぶん長い旅が必要だった。

松若風馬と上り続けた階段

2023年12月23日、阪神芝1400mの新馬戦。鞍上は松若風馬。4番人気で2着に敗れ、勝ち上がりは年を越した小倉の未勝利戦まで持ち越された。だがそこから1月の未勝利、2月のかささぎ賞と小倉で連勝し、オープンの坂をひとつずつ上っていく。 クラシックの裏で、この馬の戦いはあくまで短距離だった。3歳春、京都の葵ステークスで7番人気ながら2着に粘り、重賞の舞台でも見劣りしないことを示す。続く北九州記念は17着と崩れたが、暮れにはラピスラズリステークスを1番人気で制し、リステッド勝ち馬となった。早熟の天才肌ではない。新馬で取りこぼし、敗れては立ち上がり直す、辛抱の積み重ねだった。松若が背に乗り続けたこの時期、ペアポルックスは派手さこそないが、どんな展開でも崩れにくい確かな脚を手にしていった。

父が立った舞台 ― 重賞の壁

4歳になり、相手は一段と強くなった。2025年2月のシルクロードステークスは3番人気で14着、3月の高松宮記念は18着と、GIの壁の前で大敗が続く。父キンシャサノキセキが連覇した高松宮記念の舞台で、息子は最後方に沈んだ。 それでも夏の北の短距離路線で、片鱗は見えていた。8月、札幌のキーンランドカップ。4番人気で松若を背に好位から粘り込み、勝ち馬パンジャタワーに3/4馬身届かずの2着。重賞初制覇には手が掛かりかけていた。松若は「枠が内め(⑥番)でしたし、展開も理想的。内容は良かったです。結果的に2着で勝たせることができずに残念でしたが、どんな競馬でもできる馬ですね」[^1]と、惜しみつつもこの馬の自在さを評した。秋のスプリンターズSは12番人気13着、京阪杯も12着。GIの大舞台では、まだ光は遠かった。

出典:ウマニティ「【キーンランドC】4番人気ペアポルックスがしぶとく粘って2着 松若風馬騎手『どんな競馬でもできる馬ですね』」2025年8月24日配信、https://umanity.jp/racedata/race_newsdet.php?nid=11853288、閲覧日:2026年6月29日。

岩田康誠の宝刀 ― 父子のオーシャンS

鞍上は岩田康誠に替わっていた。前年2025年のオーシャンステークスで、岩田はこの馬で3番人気2着まで導いている。あと一歩の悔しさを、二人は知っていた。 2026年2月28日、中山芝1200m。7番人気と評価は高くない。だが岩田はスタートから内に潜むと、最後の直線で前が壁になりかけたその一瞬、すっと空いた最内の隙間に馬体をねじ込む。鋭く伸びて先頭に立ち、追いすがるレイピアをクビ差しのいだ。勝ち時計1分7秒0はレースレコード。重賞初制覇だった。岩田はレース後、会心のイン突きをこともなげに「(進路が)あいていましたね」[^1]と振り返った。 この勝利には、もう一つの意味があった。父キンシャサノキセキは2010年、同じオーシャンステークスを勝っている。父と子で同一重賞を制したのは、このレースの歴史で初めてのことだった。短距離王の血が、十六年の時を越えて同じ舞台に名を刻んだ。

出典:東スポ競馬「【オーシャンS結果&コメント】ペアポルックスが内を突いて重賞初V 岩田康誠『空いていましたね(笑い)』」2026年2月28日配信、https://tospo-keiba.jp/breaking_news/68988、閲覧日:2026年6月29日。

まだ続く双星の旅

オーシャンSの勝利は、その先の大舞台への切符でもあった。2026年3月29日の高松宮記念、中京芝1200m。父が連覇した檜舞台に、息子は重賞ウィナーとして再び立つ。11番人気10着。前年の18着からは前進したが、GIの頂はやはり遠かった。上がり3ハロン33秒2はメンバー屈指の脚で、力を出し切れなかったわけではない。ただ、ひとつ足りない何かが、王者の父と息子を隔てていた。 通算19戦4勝。GIのタイトルには届いていないが、新馬で取りこぼした馬が、辛抱を重ねてレースレコードで重賞を勝ち、父と並んでオーシャンステークスの記録に名を残した。双子座の明るい星は、派手な一等星ではないかもしれない。それでも寄り添う父の星の隣で、確かに自分の光で輝いてみせた。旅は、まだ終わっていない。

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