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オメガパフューム
通算成績26戦11勝
獲得賞金7億5,207万円
生年月日 2015.04.06(平成27年)毛色 芦毛性 牡
全成績
主要戦績(抜粋)・新しい順| 年月日 | 着順 | レース | コース | 人気 | 騎手 | タイム | 上り3F | 映像 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 3 | GIIIみやこS | 阪神 ダ1800 | 1人気 | 横山和生 | 1:51.7 | 上り36.0 | 映像 | |
| 3 | JpnⅠ帝王賞 | 大井 ダ2000 | 2人気 | M.デムーロ | 2:03.6 | 上り36.9 | 映像 | |
| 1 | GIIIアンタレスS | 阪神 ダ1800 | 2人気 | 横山和生 | 1:50.5 | 上り36.3 | 映像 | |
| 1 | GI東京大賞典 | 大井 ダ2000 | 1人気 | M.デムーロ | 2:04.1 | 上り37.2 | 映像 | |
| 2 | JpnⅠJBCクラシック | 金沢 ダ2100 | 2人気 | M.デムーロ | 2:13.2 | 上り35.4 | 映像 | |
| 5 | JpnⅠ帝王賞 | 大井 ダ2000 | 1人気 | M.デムーロ | 2:03.8 | 上り37.7 | 映像 | |
| 2 | JpnⅠ川崎記念 | 川崎 ダ2100 | 1人気 | M.デムーロ | 2:15.5 | 上り37.4 | — | |
| 1 | GI東京大賞典 | 大井 ダ2000 | 1人気 | M.デムーロ | 2:06.9 | 上り36.2 | — | |
| 2 | JpnⅠJBCクラシック | 大井 ダ2000 | 2人気 | M.デムーロ | 2:03.0 | 上り37.1 | 映像 | |
| 2 | JpnⅠ帝王賞 | 大井 ダ2000 | 1人気 | M.デムーロ | 2:05.7 | 上り36.5 | — | |
| 1 | GIII平安S | 京都 ダ1900 | 3人気 | 北村友一 | 1:56.0 | 上り35.5 | 映像 | |
| 1 | GI東京大賞典 | 大井 ダ2000 | 2人気 | M.デムーロ | 2:04.9 | 上り38.1 | — | |
| 6 | GIチャンピオンズカップ | 中京 ダ1800 | 4人気 | L.デットーリ | 1:49.2 | 上り35.9 | 映像 | |
| 2 | JpnⅠJBCクラシック | 浦和 ダ2000 | 2人気 | M.デムーロ | 2:06.1 | 上り36.7 | 映像 | |
| 1 | JpnⅠ帝王賞 | 大井 ダ2000 | 3人気 | D.レーン | 2:04.4 | 上り36.7 | — | |
| 3 | GIII平安S | 京都 ダ1900 | 3人気 | M.デムーロ | 1:58.3 | 上り36.9 | 映像 | |
| 10 | GIフェブラリーS | 東京 ダ1600 | 3人気 | M.デムーロ | 1:37.3 | 上り36.4 | 映像 | |
| 1 | GI東京大賞典 | 大井 ダ2000 | 3人気 | M.デムーロ | 2:05.9 | 上り38.5 | — | |
| 5 | GIチャンピオンズカップ | 中京 ダ1800 | 4人気 | C.デムーロ | 1:51.1 | 上り36.0 | 映像 | |
| 2 | GIJBCクラシック | 京都 ダ1900 | 2人気 | 和田竜二 | 1:56.8 | 上り36.7 | — | |
| 1 | GIIIシリウスS | 阪神 ダ2000 | 2人気 | 和田竜二 | 2:01.5 | 上り35.9 | 映像 | |
| 2 | JpnⅠジャパンダートダービー | 大井 ダ2000 | 4人気 | 川田将雅 | 2:06.1 | 上り37.3 | — | |
| 1 | 加古川特別 | 阪神 ダ1800 | 1人気 | M.デムーロ | 1:52.3 | 上り36.3 | — | |
| 3 | OP青竜S | 東京 ダ1600 | 2人気 | M.デムーロ | 1:37.1 | 上り35.7 | — | |
| 1 | 3歳500万下 | 阪神 ダ1800 | 1人気 | M.デムーロ | 1:52.7 | 上り37.8 | — | |
| 1 | 3歳新馬 | 京都 ダ1800 | 3人気 | M.デムーロ | 1:54.3 | 上り35.8 | — |
血統
金色の名は 名馬ジャーニー に掲載 — その馬のページへ| 父スウェプトオーヴァーボードSwept Overboard | エンドスウィープEnd Sweep | フォーティナイナーForty Niner |
| Broom Dance | ||
| Sheer Ice | Cutlass | |
| Hey Dolly A. | ||
| 母オメガフレグランス | ゴールドアリュールGold Allure | サンデーサイレンスSunday Silence |
| ニキーヤNikiya | ||
| ビューティーメイク | リアルシャダイReal Shadai | |
| セイリングビューティSailing Beauty |
引退後・牧場での映像
ゴール板の先の時間旅程 — この馬の物語
2015年生まれの芦毛の牡馬。父スウェプトオーヴァーボード、母オメガフレグランス。主な勝ち鞍は東京大賞典競走・シリウスS・平安S。
香りの名 ― 母がくれたもの
2015年4月6日、北海道千歳市の社台ファームで生まれた芦毛の牡馬。父スウェプトオーヴァーボードはフォーティナイナー系の米国産で、母オメガフレグランスの父はダート界の名種牡馬ゴールドアリュール。砂の血が、父方からも母方からも流れ込んでいた。 名の由来は「冠名+香水」。馬主・原禮子の冠名「オメガ」に、母の名にある「フレグランス」=芳香から連想した「パフューム」を重ねた。母オメガフレグランスもまた、原の持ち馬だった。名も血も、母から受け継いだ一頭だった。牝系をたどれば14号族の一枝で、母の半姉の仔には2018年の愛知杯を勝ったエテルナミノルがいる。 2017年の千葉サラブレッドセールで、この馬は1500万円(税別)で原の手に渡る。落札を後押ししたのは、ひとつの縁だった。技術調教師として社台ファームで研修していた安田翔伍が、この馬に調教をつけていたのである。まだ自分の厩舎を持たない男と、まだ何者でもない一頭。ふたつの出発点が、そこで重なった。
父の厩舎から、息子の厩舎へ
2018年1月14日、京都のダート1800m。3番人気に推された新馬戦で、ミルコ・デムーロを背に好位を進み、直線で鮮やかに抜け出して勝ち上がった。このときの管理調教師は安田隆行――翔伍の父である。息子の厩舎が開業するまでの、預かりの形だった。 3月、安田翔伍厩舎が開業する。オメガパフュームは父の厩舎から息子の厩舎へ移り、3月4日、阪神の3歳500万下に出走した。中団で待機し、直線で鋭く伸びて2着に6馬身。開業からわずか3日で、新人調教師は最初の勝ち星を手にした。厩舎の扉を開けたのは、この馬だった。 5月の青竜ステークスは内から脚を伸ばしたが3着。6月の加古川特別を勝って3勝目とし、7月11日、初めて大井の砂を踏む。ジャパンダートダービーである。4番人気のオメガパフュームは、この年の暮れにチャンピオンズカップを制することになるルヴァンスレーヴの2着に敗れた。 のちにこの馬の庭になる大井の2000m。その最初の一戦は、敗北だった。
不良の砂を、クビ差で ― 重賞初制覇
秋。9月29日、阪神のシリウスステークス。不良まで渋った馬場を、3歳のオメガパフュームは53kgの軽い斤量で走った。鞍上は和田竜二。中団から進み、直線で先行勢を一頭ずつ捉えて先頭に立つと、追ってきたウェスタールンドをクビ差で振り切る。古馬を相手にした重賞初制覇だった。 11月4日、京都のJBCクラシック。同じ和田竜二を背に中団から追い上げたが、ケイティブレイブに0秒1届かず2着。12月2日、中京のチャンピオンズカップでは、ミルコの弟であるクリスチャン・デムーロが手綱を取って5着に終わり、デビュー以来初めて三着以内を外した。 中央のダート王決定戦には、まだ手が届かない。だがその27日後に、暮れの大井が待っていた。
三歳の暮れ ― 十二月二十九日という舞台
2018年12月29日、大井競馬場、東京大賞典。デムーロが戻り、3番人気。古馬の一線級が揃う年末のGIは、3歳馬にとって重い舞台だった。 後方から徐々にポジションを上げ、4コーナーを回って直線へ。そこから繰り出した末脚は豪快だった。ゴールドドリームを3/4馬身差し切って、先頭でゴールを駆け抜ける。GI初制覇。3歳の暮れに、この馬はダートの頂へ立った。 開業一年目の調教師が、年末の大井でGIを獲った。それだけでも十分な物語のはずだった。だが十二月二十九日という日付は、このあと三度、同じ馬の名を呼ぶことになる。
浦和のハナ差 ― 二〇一九年
2月、東京のフェブラリーステークス。3番人気に推されながら伸びを欠いて10着。勝ったのはインティで、この馬にとっては初めての大敗だった。5月の平安ステークスは、大きくない馬体に59kgを背負っての一戦。直線でいったん先頭に立つ場面をつくりながら、チュウワウィザードの前に3着に終わる。 6月26日、大井の帝王賞。デムーロが乗れず、その週に短期免許で南関東・船橋の所属となったダミアン・レーンに手綱が託された。この年初めて来日し、ノームコアでヴィクトリアマイル、リスグラシューで宝塚記念を勝ったばかりの新星である。3番人気のオメガパフュームは道中を後方で進め、メンバー中最速の上がりで先頭のチュウワウィザードを捉えると、1馬身1/4差をつけて突き抜けた。GI・JpnI2勝目。 11月4日、初めて浦和で行われたJBCクラシック。左回りかつ地方の小回りという条件から2番人気にとどまったが、走りは互角だった。後方から最終コーナーで押し上げ、先に抜け出したチュウワウィザードに直線半ばで並びかける。2頭は並んだまま入線した。写真判定――ハナ差の敗戦。ゴール後に両手を広げていたのはデムーロの方で、勝った川田将雅でさえ、負けたかと思ったと振り返ったほどの接戦だった。12月1日のチャンピオンズカップには、社台ファーム代表の吉田照哉と契約して8年ぶりに来日したランフランコ・デットーリが騎乗したが、遅い流れが合わず6着に終わる。 そして12月29日。デムーロを背に2番人気で臨んだ東京大賞典で、この馬は7番手を追走し、直線で外から伸びて残り200mで先頭に立った。内からノンコノユメが襲いかかると、脚がもう一段入る。1馬身差。アジュディミツオー、スマートファルコン、ホッコータルマエに続く、史上4頭目の東京大賞典連覇だった。デムーロにとってこの年は、通年免許を取得して以降もっともJRAのGIを勝てなかった一年で、この勝利は5月のオークス以来7か月ぶりのGI制覇でもある。ゴール後、手綱を放して両腕を広げる「飛行機ポーズ」。「浦和のリベンジができた」[^1]。写真判定で失った半歩を、同じ相棒と、同じ年のうちに取り返した。
出典:スポーツニッポン「【大井・東京大賞典】パフューム連覇!ミルコ 7カ月ぶりG1勝利にうれしすぎて“飛行機ポーズ”」2019年12月30日配信、https://www.sponichi.co.jp/gamble/news/2019/12/30/kiji/20191229s00004049372000c.html 、閲覧日:2026年7月25日。
史上初の三連覇 ― 二〇二〇年
2020年、世界が止まった。新型コロナウイルスの感染拡大で騎手の東西移動が制限され、5月の平安ステークスにデムーロは乗れない。代わりに手綱を取ったのは北村友一だった。59kgを背負いながら4コーナーで余裕の手応え、そのまま抜け出して快勝する。重賞5勝目。 夏と秋は、一頭の若い王者に阻まれた。6月の帝王賞、11月のJBCクラシック――いずれもクリソベリルの2着。砂を制圧していく4歳馬の前に、二度続けて先着を許した。 そして12月29日。単勝1.3倍という支持を背負って大井へ戻ると、先団の後ろで脚を溜め、直線でカジノフォンテンとの叩き合いに持ち込む。クビ差。東京大賞典3連覇は、史上初の出来事だった。 この時点で、大井2000mでの戦績は7戦4勝、2着3回。一度も連対を外していない。人はこの馬を「大井の帝王」と呼ぶようになっていた。
前人未到 ― 四度目の十二月二十九日
2021年は川崎記念から始まった。単勝1.9倍の1番人気。直線で2番手に上がったが、逃げるカジノフォンテンを捉えられず3馬身差の2着。招待を受けていたサウジカップは、その翌日に出走辞退が伝えられた。 5か月の休みを挟み、例年ステップに使ってきた平安ステークスを使わずに向かった6月の帝王賞は、1番人気に応えられず5着。大井の2000mで初めて連対を外した。6歳。衰えという言葉が、そっと近くに立った。 11月3日、金沢のJBCクラシック。スタートで大きく出遅れ、後方から3コーナー過ぎに先団へ取り付き、直線で抜け出しを図ったがミューチャリーに1/2馬身届かない。JBCクラシックは、これで4年連続の2着である。同一重賞で4年続けて2着に入った馬はナックビーナスに次いで2頭目、GI・JpnIでは初めてのことだった。どうしても勝てない舞台が、この馬にはあった。 12月29日。引退レースと決めて臨んだ東京大賞典で、1番人気のオメガパフュームは中団から向正面で動き出す。最終コーナーで外に膨れ、直線では内へ進路を切り替えた。内から伸びてきたクリンチャーと、残り100mまで互角の追い比べ。そこから脚色が衰えなかった。1/2馬身。 勝ち時計2分4秒1は、自身が勝った過去3年のどの東京大賞典よりも速い。6歳の暮れに、いちばん速く走ったのである。障害では中山グランドジャンプを5連覇したオジュウチョウサンがいたが、平地の同一国際GIを4年続けて勝った馬は、日本競馬にそれまでいなかった。
もう一度走った七歳
種牡馬入りが決まり、2022年1月4日、オメガパフュームは栗東の安田翔伍厩舎を退厩した。ところが1月11日、引退は撤回される。現役続行。もう一年、走ることになった。 4月17日、阪神のアンタレスステークス。デムーロが同日の皐月賞に騎乗するため、鞍上は横山和生に替わった。メンバー最重量の59kg。後方から直線で外を伸び、先に抜け出した1番人気グロリアムンディを半馬身差し切る。7歳での重賞勝ちだった。 6月の帝王賞はメイショウハリオの3着、11月のみやこステークスはサンライズホープの3着。着順は落ちても、崩れない。5連覇のかかる東京大賞典へ向けて、調整は続いていた。 12月7日、引退が発表される。年齢とともにレース後の疲労が抜けにくくなり、自信を持って送り出せない――安田翔伍は、それは「これまで頑張ってくれた馬にも失礼な事でレースにも失礼な事」[^1]だと語った。前人未到の5連覇より先に、馬とレースへの敬意を置いた判断だった。五度目の十二月二十九日、この馬は大井にいなかった。 通算26戦11勝。総獲得賞金7億5207万円のうち、5億円あまりを地方の競馬場で稼いだ。その年のNARグランプリで、特別表彰馬に選ばれている。
出典:中日スポーツ「日本競馬史上初同一G1を4連覇したオメガパフュームが引退、種牡馬入りへ 5連覇目指すも態勢整わず」2022年12月7日配信、https://www.chunichi.co.jp/article/596529 、閲覧日:2026年7月25日。
香りは残る
2023年、北海道新ひだか町のレックススタッドで種牡馬となる。2024年に生まれた初年度産駒は、今年、デビューの時を迎えている。 母オメガフレグランスは、2019年にもう一頭の牡馬を産んでいた。ホウオウルーレット。2025年9月、8番人気で阪神のシリウスステークスを勝つ――半兄が7年前に重賞初制覇を飾ったのと、同じレースだった。続く浦和記念も制し、12月29日には大井の東京大賞典に立つ。兄が四度勝った舞台での結果は5着。血は、同じ場所へ帰ってくる。 そして安田翔伍。2024年5月26日、ダノンデサイルで東京優駿を制し、JRAのGIを初めて手にした。41歳10か月でのダービー制覇は、グレード制が導入されて以降の調教師最年少記録である。父・安田隆行は1991年、トウカイテイオーの鞍上として同じレースを勝っている。翔伍が8歳の年のことだった。父と子が、騎手と調教師として、同じ栄冠に触れた。 その厩舎の最初の一勝は、開業3日目に阪神のダートで挙がった。勝ったのは、母から香りの名を受け継いだ一頭である。大井の十二月二十九日は、いまも一年の終わりに巡ってくる。四度、その日を自分のものにした馬がいたことを、あの砂は覚えている。
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