名馬の記憶を、
再生する。

年表ICHINEN-ISSO — 2400m

BOKUJŌ-CHŌ — HOKKAIDO

牧場帖

一年ずつ、顔ぶれをたどる。引退した名馬たちの繋養・在籍と映像を綴る帳面。
HORSES

名馬録

この世代(生まれ年)

スライダーを動かすと、その世代に生まれた馬を獲得賞金の多い順で表示します。

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ノースブリッジのイメージビジュアル
ノースブリッジNorth Bridge
North Bridge

ノースブリッジ

通算成績21戦7勝

獲得賞金(海外含む・概算)約28,684万円

生年月日 2018.01.24(平成30年)毛色 鹿毛

全成績

主要戦績(抜粋)・新しい順
ノースブリッジの成績一覧
年月日着順レースコース人気騎手タイム上り3F映像
8 GIIアメリカジョッキークラブカップ 中山 芝2200 9人気 岩田康誠 2:11.6 上り36.2映像
12 GIIIみやこS 京都 ダ1800 12人気 岩田康誠 1:50.5 上り38.4映像
11 GI天皇賞(秋) 東京 芝2000 10人気 岩田康誠 1:58.0 上り33.3映像
1 GII札幌記念 札幌 芝2000 5人気 岩田康誠 1:59.6 上り35.0映像
3 GIクイーンエリザベス2世カップ シャティン 芝2000 6人気 岩田康誠 映像
4 GIIIアミールT カタール 芝2400 岩田康誠 映像
10 GI天皇賞(秋) 東京 芝2000 10人気 岩田康誠 1:58.0 上り36.7映像
7 GII産経賞オールカマー 中山 芝2200 6人気 岩田康誠 2:12.5 上り35.8映像
8 GI大阪杯 阪神 芝2000 7人気 岩田康誠 1:58.1 上り35.5映像
1 GIIアメリカジョッキークラブカップ 中山 芝2200 4人気 岩田康誠 2:13.5 上り34.8映像
11 GI天皇賞(秋) 東京 芝2000 11人気 岩田康誠 1:58.4 上り34.0映像
5 GII毎日王冠 東京 芝1800 5人気 岩田康誠 1:44.5 上り34.0映像
1 GIIIエプソムカップ 東京 芝1800 4人気 岩田康誠 1:46.7 上り34.6映像
1 アメジストS 東京 芝2000 3人気 岩田康誠 2:00.1 上り34.8
12 ウェルカムS 東京 芝2000 2人気 岩田康誠 2:00.0 上り34.4
1 tvk賞 東京 芝2000 2人気 岩田康誠 1:59.0 上り35.4
10 GII朝日セントライト記念 中山 芝2200 8人気 岩田康誠 2:13.4 上り36.2映像
3 GIIIラジオNIKKEI賞 福島 芝1800 7人気 岩田康誠 1:48.6 上り35.8映像
13 GIIテレビ東京杯青葉賞 東京 芝2400 4人気 横山和生 2:26.9 上り36.5映像
1 葉牡丹賞 中山 芝2000 5人気 岩田康誠 2:02.2 上り35.1
1 2歳新馬 中京 芝2000 3人気 武豊 2:02.6 上り35.6

血統

金色の名は 名馬ジャーニー に掲載 — その馬のページへ
ノースブリッジの血統表(左から親・祖父母・曽祖父母)
モーリスMauriceスクリーンヒーローScreen HeroグラスワンダーGrass Wonder
ランニングヒロイン
メジロフランシスカーネギーCarnegie
メジロモントレー
アメージングムーンアドマイヤムーンAdmire MoonエンドスウィープEnd Sweep
マイケイティーズ
ビッグテンビーテンビーTenby
モガミヒメ
STORY

旅程 — この馬の物語

2018年生まれの鹿毛の牡馬。父モーリス、母アメージングムーン。主な勝ち鞍はエプソムC・アメリカジョッキーC・札幌記念。

北と橋 ― 華やかならざる血から

2018年1月24日、日高・村田牧場に生まれた鹿毛。父はモーリス――マイルから中距離まで国内外のGIを制し、香港でも頂点に立った名馬である。だが母アメージングムーンは父アドマイヤムーン、その母ビッグテンビーへと続く地味な牝系で、きらびやかな一族ではなかった。馬主は井山登、預けられたのは美浦・奥村武厩舎。「北」と「橋」を重ねた素朴な名を負って、この馬はターフに立つことになる。血の格でも評判でもなく、走り続けることそのもので名を残す馬の、静かな始まりだった。

無傷の二連勝、そして美浦の番人

2020年9月27日、中京の新馬戦(芝2000)を武豊の手綱で逃げ切り、上がり最速で2着に1馬身半差をつけた。続く葉牡丹賞も勝ち、無傷の二連勝でクラシックの候補に名を連ねる。ところが年が明けると、左前、右前と続けざまに挫跖に見舞われた。青葉賞は13着に沈み、ダービーへの道は閉ざされる。以後、陣営はこの馬を放牧に出さなかった。脚元と相談しながら、美浦トレーニングセンターに在厩したまま鍛え続けたのだ。四季を厩舎の庭で過ごし続けるその姿は、やがて「美浦の番人」「美浦の主」と呼ばれるようになる。ラジオNIKKEI賞から、鞍上は岩田康誠に定まった。ここから先、この馬の背にはほぼ常に岩田がいた。

四歳の戴冠 ― エプソムカップ

tvk賞、アメジストSと東京コースの条件戦を勝ち上がり、2022年6月、エプソムカップ(東京・芝1800)に駒を進める。好位につけると、直線は馬場の良いインを選んで抜け出した。ガロアクリーク以下の追撃を接戦のなかで振り切り、重賞初制覇。四歳での戴冠だった。派手な素質で先を急いだ馬ではない。脚元をかばい、美浦に留まり、勝てる条件を一つずつ積み上げて掴んだ最初のタイトルを、岩田とのコンビでもぎ取った。

GIの壁と、中山の抜け出し

重賞馬となっても、GIの舞台は遠かった。秋の毎日王冠は5着、天皇賞(秋)は11番人気で11着。それでも年が明けた2023年1月、アメリカジョッキークラブカップ(中山・芝2200)で真価を示す。好位の内で折り合い、直線で手ごたえよく馬群を割ると、外から迫るエヒト、ユーバーレーベンらを振り切って重賞2勝目。中山の長丁場で、岩田の攻めが冴えた一戦だった。だが春の大阪杯は8着、秋のオールカマーは7着、天皇賞(秋)は再び二桁着順。頂点の一枚手前で、GIの壁はやはり厚かった。

海を渡り、頂へ ― 香港と札幌の夏

六歳、この馬は初めて海を渡った。2月、カタールのアミールトロフィー(芝2400)で4着。4月には香港へ飛び、クイーンエリザベス2世カップ(シャティン・芝2000)で果敢にハナを切り、粘り込んで3着に食い下がる。GIで最も高いところに手が届いた瞬間だった。そして夏、札幌記念(芝2000)。5番人気の下馬評を覆し、逃げるアウスヴァールを2番手から捉えて突き抜け、重賞3勝目。北の洋芝で、番人はキャリアの頂点に立った。放牧地を知らぬまま鍛え上げられた馬体は、六歳の夏に最も充実していた。

先導する馬へ

頂を極めた秋、天皇賞(秋)はまた11着に終わる。翌2025年秋にはダートのみやこSに挑んで12着、2026年初めにはアメリカジョッキークラブカップの連覇を狙って8着。函館記念を目標に美浦で調整を続けていた矢先、追い切りのあとに持病の肺出血が再発した。2026年6月、八歳での引退が決まる。「寂しくなりますね」――奥村は言葉少なに、長く手元に置いた馬を送り出した[^1]。放牧地を知らないまま美浦で走り続けた番人は、東京競馬場の誘導馬という新しい役目を目指すことになった。かつて岩田を背に逃げ、粘り、番をした馬は、これからはレースの先頭で、本馬場入場の他馬を静かに導いていく。血の格でも派手な記録でもなく、走り切った歩みそのものを胸に。

出典:東京スポーツ「〝美浦の主〟ノースブリッジが引退 追い切り後に肺出血を発症 奥村武調教師「寂しくなりますね」」2026年6月10日配信、https://tospo-keiba.jp/breaking_news/72551、閲覧日:2026年7月21日。

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