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ニシノティアモ
通算成績15戦5勝
獲得賞金1億1,773万円
生年月日 2021.03.12(令和3年)毛色 鹿毛性 牝
全成績
主要戦績(抜粋)・新しい順| 年月日 | 着順 | レース | コース | 人気 | 騎手 | タイム | 上り3F | 映像 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 10 | GIII府中牝馬S | 東京 芝1800 | 2人気 | 津村明秀 | 1:47.0 | 上り35.4 | 映像 | |
| 6 | GIヴィクトリアマイル | 東京 芝1600 | 4人気 | 津村明秀 | 1:31.5 | 上り34.1 | 映像 | |
| 5 | GIII中山牝馬S | 中山 芝1800 | 2人気 | 津村明秀 | 1:47.3 | 上り35.1 | 映像 | |
| 1 | GIII福島記念 | 福島 芝2000 | 2人気 | 津村明秀 | 1:59.9 | 上り34.0 | 映像 | |
| 1 | 甲斐路S | 東京 芝1800 | 6人気 | 津村明秀 | 1:45.4 | 上り33.1 | — | |
| 1 | 白河特別 | 福島 芝1800 | 1人気 | 津村明秀 | 1:48.2 | 上り35.4 | — | |
| 1 | 4歳以上1勝クラス | 東京 芝1800 | 1人気 | 津村明秀 | 1:45.8 | 上り34.0 | — | |
| 5 | 3歳以上1勝クラス | 東京 芝1800 | 3人気 | 横山和生 | 1:47.1 | 上り34.2 | — | |
| 4 | 3歳以上1勝クラス | 東京 芝1800 | 2人気 | 戸崎圭太 | 1:47.1 | 上り34.5 | — | |
| 2 | LスイートピーS | 東京 芝1800 | 3人気 | 田辺裕信 | 1:45.6 | 上り34.4 | — | |
| 2 | ミモザ賞 | 中山 芝2000 | 1人気 | 田辺裕信 | 2:00.6 | 上り35.5 | — | |
| 5 | フリージア賞 | 東京 芝2000 | 5人気 | 田辺裕信 | 2:00.4 | 上り33.9 | — | |
| 5 | GIIIフェアリーS | 中山 芝1600 | 10人気 | 田辺裕信 | 1:34.3 | 上り34.6 | 映像 | |
| 1 | 2歳未勝利 | 東京 芝1600 | 2人気 | 田辺裕信 | 1:35.0 | 上り34.2 | — | |
| 2 | 2歳新馬 | 新潟 芝1600 | 2人気 | 丹内祐次 | 1:35.9 | 上り34.9 | — |
血統
金色の名は 名馬ジャーニー に掲載 — その馬のページへ| 父ドゥラメンテDuramente | キングカメハメハKing Kamehameha | Kingmambo |
| マンファスManfath | ||
| アドマイヤグルーヴAdmire Groove | サンデーサイレンスSunday Silence | |
| エアグルーヴAir Groove | ||
| 母ニシノアモーレ | コンデュイットConduit | Dalakhani |
| Well Head | ||
| ニシノマナムスメ | アグネスタキオンAgnes Tachyon | |
| ニシノフラワーNishino Flower |
旅程 — この馬の物語
2021年生まれの鹿毛の牝馬。父ドゥラメンテ、母ニシノアモーレ。主な勝ち鞍は福島記念。
血に流れる「愛」 ― 名と牝系
馬の名は、母から娘へと手渡された一つの言葉の、その先にある。母の名はニシノアモーレ――イタリア語で「愛」。その娘に贈られた名がニシノティアモ、「愛してる」だった。冠名ニシノを預かるのは馬主・西山茂行。その血をさかのぼれば、一頭の名牝に行き着く。ニシノフラワー。西山牧場が生み、先代オーナー西山正行が所有した名牝は、1991年の阪神3歳牝馬S、翌1992年の桜花賞とスプリンターズステークスと、GIを三つ勝った。小柄で細身、競走馬になれるのかと危ぶまれた牝馬が、桜の女王にもスプリント女王にもなった。その曾孫として生まれたのが、ニシノティアモである。 父は二冠馬ドゥラメンテ。皐月賞とダービーを鮮やかに駆け抜けた快速馬は、2021年の夏、九歳の若さで急逝した。ティアモが北の牧場に生まれ落ちて、まだ半年も経たぬうちのことだった。父の血を継ぐ最終盤の世代の一頭が、母系に流れる「愛」を名に背負って、2023年秋の新潟でデビューする。丹内祐次を背にした新馬戦は二着。続く東京の未勝利戦を田辺裕信とともに勝ち上がって、旅は静かに始まった。
一勝の壁 ― 好走を重ねた三歳
素質は、早くから見えていた。明けて三歳、中山のフェアリーステークスは十番人気で五着に走ると、続くミモザ賞は一番人気で二着、オークスの前哨戦スイートピーステークスも三番人気で二着。走れば見せ場を作り、掲示板を外さない。けれど、勝ち切れない。 二歳の秋に未勝利を抜けてから、勝ち星はぴたりと止まっていた。三歳の秋には東京の一勝クラスを二度叩いて四着、五着。戸崎圭太、横山和生と手綱が替わっても、一勝クラスの壁は思いのほか高かった。能力を測る物差しはいくつも好走を指し示すのに、勝利という一点だけが、なかなか手のひらに収まらない。焦れるような時間が、一年半も続いた。
遅咲きの手 ― 津村明秀
転機は、一人の騎手だった。津村明秀。2004年に免許を得てから、この馬に出会うまでの二十年余りを、決して順風とは呼べない道で歩いてきた男である。2010年には落馬で頸椎を折り、五か月近くターフを離れた。重賞はいくつも勝ちながら、大きな舞台の頂だけは遠く、GIを初めて手にしたのはデビューから二十年を数えた2024年――四十八度目のGI挑戦での、ずいぶんと遅い戴冠だった。 華やかな成績で鳴らすタイプではない。だが乗せれば折り合い、我慢が利き、勝負どころを外さない。2025年の初夏、その津村がニシノティアモの手綱を取った。未勝利以来、一年半も勝利から遠ざかっていた牝馬と、遅咲きの職人と。二つの「勝てない時間」が、ここで一つに重なった。
四連勝 ― 福島記念、初のタイトル
噛み合うのに、時間はいらなかった。2025年6月、東京の一勝クラスをあっさり抜けると、七月の福島・白河特別、十月の東京・甲斐路ステークスと、クラスを一つずつ駆け上がって三連勝。甲斐路ステークスでは六番人気の低い評価をものともせず、馬群の外から鮮やかに突き抜けてオープンの扉を開けた。 迎えた十一月二十二日、福島記念。二番人気に推されたティアモに、津村は迷いなく前をうかがわせた。スローと読み切っての二番手、折り合いは完璧だった。直線で危なげなく先頭に立つと、一番人気エコロヴァルツの追撃を一馬身四分の一だけ突き放し、上がり三ハロン三十四秒〇で押し切る。津村と組んで四戦目、四連勝での重賞初制覇。鞍上にとっては十年ぶりの福島記念だった。デビュー以来ずっと二着と好走で終わっていた牝馬が、勝利という一点を、いちばん大きな器で掴んだ。ニシノフラワーが桜とスプリントの頂に立った日から三十年余り――西山の血が、また一つ重賞のタイトルを刻んだ。
大きな舞台へ ― 愛を継ぐ血
重賞馬となった牝馬の前に、次はGIの舞台が開けた。2026年、中山牝馬ステークスは二番人気で五着。五月のヴィクトリアマイルは、初めて挑むGIで四番人気に支持され、東京のマイルを六着に走った。六月の府中牝馬ステークスは二番人気で十着と、四連勝の勢いそのままとはいかない。頂はやはり、たやすく手の届く場所にはない。 それでも、この牝系は待つことを知っている。桜とスプリントの女王ニシノフラワーの血は、障害の頂・中山大障害を制したニシノデイジーにも枝を伸ばし、いまニシノティアモの中で、もう一度大きな舞台を目指している。母から娘へ、「愛」から「愛してる」へ。名に託した言葉のとおりに、西山の一族はこの鹿毛を手放さない。遅咲きの手綱を背に、ティアモがまた前へ出る日を、静かに待っている。
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