名馬の記憶を、
再生する。

年表ICHINEN-ISSO — 2400m

BOKUJŌ-CHŌ — HOKKAIDO

牧場帖

一年ずつ、顔ぶれをたどる。引退した名馬たちの繋養・在籍と映像を綴る帳面。
HORSES

名馬録

この世代(生まれ年) —

スライダーを動かすと、その世代に生まれた馬を獲得賞金の多い順で表示します。

名馬録
◀ 名馬録へ
NO IMAGE
ナチュラルライズNatural Rise
Natural Rise

ナチュラルライズ

通算成績12戦5勝

獲得賞金2億3,794万円

生年月日 2022.02.02(令和4年)毛色 鹿毛性 牡

全成績

主要戦績(抜粋)・新しい順
ナチュラルライズの成績一覧
年月日着順レースコース人気騎手タイム上り3F映像
4 GIIIエルムS 札幌 ダ1700 5人気 横山武史 1:44.8 上り37.6
8 JpnⅠ帝王賞 大井 ダ2000 8人気 横山武史 2:04.5 上り38.3
8 JpnⅠかしわ記念 船橋 ダ1600 4人気 横山武史 1:41.1 上り40.5
7 GIフェブラリーS 東京 ダ1600 7人気 横山武史 1:36.2 上り35.7
11 GI東京大賞典 大井 ダ2000 3人気 横山武史 2:07.2 上り41.7
2 JpnⅠジャパンダートクラシック 大井 ダ2000 1人気 横山武史 2:04.3 上り39.4
1 JpnⅠ東京ダービー 大井 ダ2000 1人気 横山武史 2:03.8 上り37.1
1 JpnⅠ羽田盃 大井 ダ1800 1人気 横山武史 1:52.1 上り36.8
1 JpnⅡ京浜盃 大井 ダ1700 1人気 横山武史 1:45.5 上り37.3
4 JpnⅠ全日本2歳優駿 川崎 ダ1600 1人気 横山武史 1:42.9 上り40.3
1 OPカトレアS 東京 ダ1600 2人気 横山武史 1:36.4 上り36.4
1 2歳新馬 札幌 ダ1700 1人気 横山武史 1:45.7 上り36.9

血統

金色の名は掲載馬 — その馬のページへ/点線の名は押すと一言解説
ナチュラルライズの血統表(左から親・祖父母・曽祖父母)
父キズナKizunaディープインパクトDeep Impact
ドリームライター
Rebridled Dreams
STORY

旅程 — この馬の物語

2022年生まれの鹿毛の牡馬。父キズナ、母レディマドンナ。主な勝ち鞍は羽田盃・東京ダービー・京浜盃。

静内の牧場から、二十七年目の厩舎へ

2022年2月2日、北海道新ひだか町静内のグランド牧場に、鹿毛の牡馬が生まれた。父はダービー馬キズナ。母レディマドンナはグランド牧場の名義で走り、角居勝彦厩舎で2勝を挙げて生まれ故郷に戻った牝馬で、この仔がその初仔だった。 その年のセレクトセール当歳市場で、吉岡寛行が3630万円(税込)で落札する。所有馬のすべてに「ライズ」の冠名を付ける馬主で、この馬に与えられた固有の部分は「ナチュラル」。自然に、冠名を添えただけの名だった。飾らない名が、のちに文字どおりの意味を持つことになる。 預けられた先は美浦の伊藤圭三厩舎だった。伊藤は静内の生まれで、実家がそのグランド牧場である。牧場は兄が継ぎ、自身は大学の馬術部を経て調教師の道を選んだ。厩務員課程から調教助手を経て1998年に開業し、管理馬の多くは実家の生産馬。ダート、とくに地方のダートグレード競走で実績を積み上げてきた厩舎だが、GI級のタイトルだけが無かった。2002年のJBCクラシックではプリエミネンスが2着、同じ年の秋華賞ではサクラヴィクトリアが2着。全日本2歳優駿でも2021年、2022年と続けて2着に泣いている。 開業から二十七年。実家の牧場で生まれた一頭が、その扉を叩くことになる。

札幌の六馬身 ― 二歳の秋まで

2024年7月20日、札幌のダート1700メートル、新馬戦。鞍上は横山武史。横山典弘の三男で、このとき25歳。以後、この馬の手綱はすべて彼が取ることになる。 道中は4番手。4コーナーで2番手に上がり、直線で逃げていたベルベルコンパスをかわすと、そのまま6馬身離した。3着はさらに大差の後方。1分45秒7。横山はデビュー戦の直後から、いずれ大きいところを狙っていける馬だと語っていた。 10月のプラタナス賞は右前肢のフレグモーネで出走を取り消した。仕切り直しは11月23日、東京ダート1600メートルのカトレアステークス。稍重の馬場を8番手から進み、直線でクレーキングを4分の3馬身抑えて2連勝とした。馬体は14キロ増えて490キロ。まだ体ができていく途中だった。 12月11日、川崎の全日本2歳優駿。単勝1.4倍の1番人気に推されたが、中団5番手から伸びきれず4着に終わる。3着とはハナ差、勝ったミリアッドラヴからは0秒5。初めての敗戦だった。速さは足りていた。足りないのは、その速さを溜めておく時間だった。抑えの利きにくい前進気勢は、このあと長く、陣営の課題として語られていく。

大井の春 ― 京浜盃、そして羽田盃

年が明けて、舞台は大井へ移る。2025年3月26日、3か月半ぶりの実戦となった京浜盃(JpnII、ダート1700メートル)。4番手から3番手、4コーナーで2番手。直線で逃げるリコースパローを捕らえ、6馬身離して重賞初制覇を果たした。 4月29日、羽田盃(JpnI、ダート1800メートル)。馬場は重く、強い向かい風の吹くナイターだった。単勝1.3倍。横山は、スタートが速い馬ではないのでスピードのある馬を先に行かせて壁をつくりたかった、折り合いは難しかったがよく我慢してくれた、と振り返っている。実際の隊列がその言葉どおりだった。逃げるスマイルマンボ、2番手にジャナドリア。ナチュラルライズはその外の3番手で、ずっと同じ位置にいた。直線で先頭に立つと、あとは離す一方。2着ナイトオブファイアに5馬身、1分52秒1。 伊藤圭三、開業から27年で初めてのGI級勝利だった。「勝ててホッとしています。(G1には)幾度か挑戦して、なかなか勝てませんでしたが気張らずに平常心で臨めたのが良かった」[^1]。そして同じ口で、勝つには勝ったが直線は内ラチを頼っていて正しい走りではなかった、と課題を挙げた。勝った日に勝ち方を悔やむ人が、この馬を管理していた。横山も、うれしいけれど凄く疲れたと漏らしている。強い馬を強いまま走らせることの難しさが、勝ち方の陰に隠れていた。

出典:スポニチアネックス「【大井競馬11R・羽田盃】ナチュラルライズ 圧勝でダート3冠初戦制す 伊藤圭師はビッグレース初勝利」2025年4月29日配信、https://www.sponichi.co.jp/gamble/news/2025/04/29/kiji/20250429s00004049365000c.html、閲覧日:2026年9月5日。

リズムを崩さない ― 東京ダービー

2025年6月11日、大井。馬場は不良。第71回東京ダービー、ダート2000メートル。 ゲートは五分に出た。ここまでの四つの勝利は、いずれも前に馬を置いてきた。壁があれば、この馬は我慢できる。だがこの日は、壁になる馬を前に置く間もなかった。引っかかって、ひと息にハナへ。最初のコーナーに入るときには、もう先頭にいた。 それは、想定の内だった。「先生(伊藤圭三調教師)と話して、あくまで馬のリズムを崩さないで、ハナになってもいいという話をしていた」[^1]と横山武史は言う。抑え込まないこと。それが、レースの前に二人で決めていたことだった。 向正面に入って、馬が落ち着いてくる。後ろではクレーキングが4、5番手、地元大井のシーソーゲームが3番手で追っている。3コーナー、4コーナー。シーソーゲームが2番手に上がってきても、先頭は変わらない。直線を向く。内ラチに寄りたがる癖は変わらない。それでも脚色は衰えず、残り少しのところで、もうひと伸びした。クレーキングとの差は2馬身半。 勝ち時計は2分3秒8。不良馬場で、2023年にミックファイアが刻んだレースレコードを1秒縮めていた。伊藤は、前走から距離が延びて助走も長くなり、馬が走りたくて仕方がない様子だったと振り返り、鞍上の臨機応変な騎乗を称えた。前の年に生まれ変わった3歳ダート三冠は、初年度の三つの冠を三頭が分け合っている。制度の2年目にして、初めて二つ目の冠まで辿り着いた馬だった。

出典:サンケイスポーツ「【東京ダービー】ナチュラルライズが単騎逃げで押し切り2冠制覇!2分3秒8のレースレコード」2025年6月11日配信、https://www.sanspo.com/race/article/general/20250611-PXZMIP5IEZDNJCY3CLLGDYPG7E/、閲覧日:2026年9月5日。

三馬身の向こう ― ジャパンダートクラシック

夏を休養に充て、秋はステップを挟まずに三冠目へ直行した。2025年10月8日、大井のダート2000メートル、ジャパンダートクラシック。単勝1.9倍の1番人気。枠は8枠15番。新しい三冠制度で初めての三冠馬になれるかどうかが、この一戦にかかっていた。 ハナを切ったのはナルカミだった。戸崎圭太を背に5番ゲートから自然に先頭へ行き、前半1000メートルを60秒2で通過する。過去10年のこのレースで最も速い入りだった。ナチュラルライズは4番手から3番手、そして2番手へ。横山は、いつもと比べれば折り合いは格段についていたと語っている。 4コーナーを2番手で回り、直線で追いすがる。だが逃げた馬の脚色は鈍らなかった。上がり3ハロン(最後の600メートル)はナルカミが39秒0、ナチュラルライズが39秒4。差は3馬身のまま、ゴールが来た。3着のルクソールカフェは、さらに9馬身後ろにいた。横山は、最後にモタれはあったがよく頑張ってくれた、後ろも離している、今日は勝った馬が強すぎた、と言った。ふたつ目の冠まで運んできた鞍上の、それが精一杯の言葉だった。 12月29日、東京大賞典。初めての古馬相手。1枠1番から先手を取ったが、重馬場の直線で余力がなく、勝ったディクテオンから2秒9遅れの11着。デビュー以来、いちばん後ろの着順だった。3歳の一年は、二つの冠と、二つの敗北で終わった。

控えることを覚える ― 四歳

2026年2月22日、フェブラリーステークス。初めての中央GIで7番人気。16頭の13番手、後方からの競馬になった。直線で使った上がり35秒7はメンバー3位タイの数字だったが、前を行く馬たちには届かず7着。勝ったのは連覇のコスタノヴァで、差は0秒8だった。 5月5日、船橋のかしわ記念。馬体重は12キロ減って494キロ。2番手を追走し、4コーナーで先頭に立ったところまでが精一杯で8着。7月1日の帝王賞は、東京大賞典と同じ1枠1番だった。今度は行かなかった。指示を受けて控える競馬を選び、5番手から6番手で進んだが、直線で伸びず8着。勝ったミッキーファイトが連覇を決めた日、ナチュラルライズは掲示板の外にいた。 8月8日、札幌のエルムステークス。生まれて初めて59キロを背負う。11頭立ての最後方から、3コーナーで9番手、4コーナーで7番手。前半が速く、終いの3ハロンが12秒3、12秒7、12秒9と落ちていく消耗戦のなかで、後ろから上がってきた脚が4着まで届いた。勝ったのは、ジャパンダートクラシックで9馬身後ろにいたルクソールカフェ。デビューから二年を過ぎて、行きたがる馬が後ろで待つことを覚えた、そういう一戦だった。 12日後の8月20日、JRAが発表する。右前浅屈腱炎。9か月以上の休養を要する見込み。

上がってくる、ということ

帝王賞で8着に終わったあと、横山武史はこう言っていた。「控える競馬で、という指示だった。今後につながれば」[^1]。ひと月あまり後の札幌で、それは本当につながった。最後方から上がってくる形で掲示板に戻り、新しい走り方が見えた矢先の屈腱炎だった。つながった糸は、いちばん長い休みの向こうへ持ち越された。 静内のグランド牧場で生まれた仔が、実家を出て調教師になった伊藤圭三に、開業から二十七年で初めてのGI級勝利を運んだ。勝った日に勝ち方を悔やんだ人の厩舎で、この馬はその後、抑えること、控えること、待つことを覚えていく。12戦すべての手綱を取った横山武史にとっても、勝った夜に疲れたと漏らすほどの相手だった。 「ライズ」は冠名にすぎない。けれどこの馬に限っては、名がそのまま走り方になった。抑えきれないほど前へ行きたがった馬が、後ろで待って、上がってくることを覚えた。今度はその馬が、走ることそのものを待つ番になった。急ぐ必要はない。自然に、上がってくればいい。

出典:サンケイスポーツ「【帝王賞】レースを終えて…関係者談話」2026年7月1日配信、https://www.sanspo.com/race/article/general/20260701-QP2LKKBSCRLFLOPK3VLISHGF2I/、閲覧日:2026年9月5日。

ABOUT

このサイトについて

名馬ジャーニーとは

名馬ジャーニーは、競馬の名レースと、引退した馬たちのその後を記録する、個人運営のアーカイブサイトです。数分のレースだけでなく、馬がターフを去ってからの時間まで辿れることを大切にしています。JRAなどの競馬主催者・関連団体とは関係のない、一人の競馬好きが続けている場所です。

情報について

本サイトの競走馬プロフィールやレース記録は、報道記事やWikipediaなど、一般に公開されている情報をもとに、当サイトの言葉で整理・編集しています。各馬の歩みをたどる読み物には、参考にした記事の出典を末尾に記載し、引用は必要な範囲にとどめています。

競走成績などのデータは、Wikipediaを主として一般に公開されている情報を参考に、当サイトが独自に整理・編集したものです。JRAの公式サイトやJRA-VAN、netkeibaといった競馬情報サービスのデータベースを転載・複製したものではありません。個人が公開情報をもとにまとめたものであり、内容の正確性を保証するものではありません。

文章の制作には生成AIを活用し、運営者が確認のうえ公開しています。ただし個人による運営で、一部は自動的に更新されるため、誤りや古くなった情報が含まれている場合があります。誤りにお気づきの際は、お知らせいただけると幸いです。馬券の購入その他の判断は、JRA・各主催者の公式発表にもとづき、ご自身の責任で行ってください。

画像について

本サイトに掲載している競走馬のイラストなどの画像は、AIで生成したオリジナルのものです。実在する写真を複製・加工したものではありません。競走馬の毛色や特徴を完全に再現できるものではない点は、あらかじめご了承ください。なお、映像のサムネイルは、YouTube上の各動画のサムネイル画像を表示しています。

映像について

本サイトのレース映像は、競馬主催者などの公式チャンネルが公開し、埋め込みを許可している動画だけを、YouTubeの標準的な埋め込み機能でご紹介しています。権利者に無断で転載された映像は扱いません。牧場の映像も同じ仕組みで、牧場や、牧場を訪ねた方々が自身のチャンネルで公開している動画をご紹介しています。

動画は埋め込み先でもYouTube上で再生され、再生数・広告収益はすべて各チャンネルに帰属します。あわせて各チャンネルの登録ボタンを設け、ご覧になった方が配信元のチャンネルへ辿り着けるようにしています。本サイトが動画ファイルを保存・配信することはありません。

名レースの記憶を残し、馬たちの引退後まで辿るこのサイトが、その映像を遺してくださった各チャンネルと、新しい競馬ファンとの出会いに少しでも役立てば幸いです。

広告について

本サイトは、運営を続けるための費用にあてるため、競走馬プロフィールや成績表など、当サイトが制作したコンテンツが主体のページに広告を掲載することがあります。動画の視聴が主となる場面には広告を置きません。アフィリエイトリンクなどを掲載する場合は、広告であることがわかる表示を行います。

アクセス解析について

本サイトは、閲覧状況の把握と改善のため、Googleアナリティクス(Google LLC)とMicrosoft Clarity(Microsoft Corporation)を利用しています。いずれもCookieなどを用いてアクセス情報を収集し、収集した情報は各社へ送信されますが、個人を特定する情報は含まれません。仕組みの詳細はGoogleのポリシーと規約およびMicrosoftのプライバシーステートメントをご確認ください。Cookieは、お使いのブラウザの設定で無効にすることもできます。

Microsoft Clarityでは、ページのどこがよく読まれ、どこが押されているか(ヒートマップ)と、スクロールやクリックといった画面操作の記録を収集しています。対象は本サイト上の操作にかぎられ、検索窓などに入力された文字は伏せた状態で扱う設定にしています。成績表や物語がどこまで読まれているかを確かめ、紙面と導線を直すための材料として利用します。

免責事項

掲載内容には正確を期していますが、その正確性・完全性を保証するものではありません。本サイトの利用、およびリンク先の外部サイトの利用によって生じた損害について、運営者は責任を負いかねますので、あらかじめご了承ください。

お問い合わせ・権利者の方へ

掲載内容についてのお問い合わせ、誤りのご指摘、掲載をご希望されない場合の削除・修正のご依頼を、下記のメールアドレスで承ります。権利者やご関係者の方からのお申し出には、内容を確認のうえ、速やかに対応いたします。映像については、各チャンネル側の設定でも表示を停止いただけます。

📧 [email protected]

個人で運営しているため、お返事までにお時間をいただくことがあります。あらかじめご了承ください。

DREAM

ドリームレース