名馬の記憶を、
再生する。

年表ICHINEN-ISSO — 2400m

BOKUJŌ-CHŌ — HOKKAIDO

牧場帖

一年ずつ、顔ぶれをたどる。引退した名馬たちの繋養・在籍と映像を綴る帳面。
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名馬録

この世代(生まれ年)

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ミステリーウェイのイメージビジュアル
ミステリーウェイMystery Way
Mystery Way

ミステリーウェイ

通算成績40戦6勝

獲得賞金19,066万円

生年月日 2018.03.12(平成30年)毛色 黒鹿毛セン

全成績

主要戦績(抜粋)・新しい順
ミステリーウェイの成績一覧
年月日着順レースコース人気騎手タイム上り3F映像
16 GI宝塚記念 阪神 芝2200 16人気 松本大輝 2:15.2 上り37.6映像
8 GI天皇賞(春) 京都 芝3200 8人気 松本大輝 3:14.8 上り36.5映像
14 GII日経賞 中山 芝2500 7人気 松本大輝 2:33.1 上り37.4映像
16 GI有馬記念 中山 芝2500 10人気 松本大輝 2:32.8 上り36.8映像
1 GIIアルゼンチン共和国杯 東京 芝2500 9人気 松本大輝 2:30.2 上り34.6映像
1 OP丹頂S 札幌 芝2600 9人気 松本大輝 2:44.8 上り36.4
4 L札幌日経賞 札幌 芝2600 4人気 池添謙一 2:42.2 上り36.1
1 御堂筋S 阪神 芝2400 5人気 団野大成 2:25.1 上り35.9
2 阪神リニューアル記念 阪神 芝3000 5人気 団野大成 3:03.8 上り35.9
3 八坂S 京都 芝2200 4人気 団野大成 2:16.1 上り34.8
4 ムーンライトH 中京 芝2200 11人気 浜中俊 2:11.4 上り34.8
6 保津峡S 京都 芝2200 12人気 藤懸貴志 2:11.6 上り35.1
5 御堂筋S 阪神 芝2400 6人気 角田大河 2:29.5 上り35.4
10 松籟S 阪神 芝3000 5人気 池添謙一 3:10.0 上り39.9
8 比叡S 京都 芝2400 9人気 池添謙一 2:28.5 上り34.8
15 古都S 京都 芝3000 5人気 池添謙一 3:05.4 上り37.1
1 札幌日刊スポーツ杯 札幌 芝2600 3人気 池添謙一 2:46.0 上り34.9
3 阿寒湖特別 札幌 芝2600 4人気 吉田隼人 2:39.8 上り35.7
6 奥の細道特別 福島 芝2600 1人気 富田暁 2:44.9 上り38.5
3 箱根特別 東京 芝2400 6人気 吉田隼人 2:26.8 上り34.1
2 海の中道特別 小倉 芝2600 3人気 吉田隼人 2:41.9 上り35.1
2 3歳以上2勝クラス 中山 芝2500 1人気 戸崎圭太 2:34.3 上り35.2
1 3歳以上1勝クラス 福島 芝2600 1人気 永島まなみ 2:39.8 上り36.7
2 3歳以上1勝クラス 中山 芝2500 2人気 戸崎圭太 2:35.5 上り34.6
5 3歳以上1勝クラス 小倉 芝2600 3人気 和田竜二 2:39.1 上り36.8
2 タイランドカップ 小倉 芝2600 4人気 和田竜二 2:38.0 上り34.8
5 3歳以上1勝クラス 中京 ダ1900 5人気 小沢大仁 2:01.2 上り38.7
2 4歳以上1勝クラス 中京 ダ1900 3人気 和田竜二 2:00.6 上り38.2
6 4歳以上1勝クラス 中京 ダ1900 3人気 藤岡佑介 2:02.1 上り38.6
5 4歳以上1勝クラス 小倉 ダ2400 2人気 斎藤新 2:35.7 上り40.4
2 4歳以上1勝クラス 小倉 ダ2400 4人気 斎藤新 2:37.0 上り39.2
8 3歳以上1勝クラス 阪神 ダ2000 5人気 岩田康誠 2:09.2 上り40.3
6 磐梯山特別 福島 芝2600 4人気 斎藤新 2:41.9 上り37.0
11 3歳以上1勝クラス 新潟 芝2200 4人気 斎藤新 2:14.2 上り35.5
2 タイランドカップ 小倉 芝2600 7人気 斎藤新 2:38.2 上り34.8
6 3歳以上1勝クラス 中京 ダ1900 3人気 斎藤新 2:01.0 上り39.3
9 フローラルウォーク賞 中京 芝1600 9人気 中井裕二 1:39.9 上り39.1
1 3歳未勝利 阪神 ダ2000 3人気 中井裕二 2:07.8 上り39.2
5 3歳未勝利 中京 芝2200 4人気 北村友一 2:18.9 上り36.9
5 3歳新馬 中京 芝2000 10人気 北村友一 2:04.7 上り34.4

血統

金色の名は 名馬ジャーニー に掲載 — その馬のページへ
ミステリーウェイの血統表(左から親・祖父母・曽祖父母)
ジャスタウェイJust a WayハーツクライHeart's CryサンデーサイレンスSunday Silence
アイリッシュダンス
シビルWild Again
シャロンCharon
ジプシーハイウェイGypsy HighwayHigh ChaparralSadler's Wells
Kasora
ローズジプシーRose GypsyGreen Desert
Krisalya
STORY

旅程 — この馬の物語

2018年生まれの黒鹿毛のせん馬。父ジャスタウェイ、母ジプシーハイウェイ。主な勝ち鞍はアルゼンチン共和国杯。

ウェイの血 ― せん馬という選択

ジャスタウェイ、母ジプシーハイウェイ。名にも血にも「道(ウェイ)」を負った2018年生まれの黒鹿毛は、やがて去勢を受けてせん馬となった。気性か体質か、勝ち上がるための一手だったのだろう。種牡馬としての未来を捨て、ただ走る馬として生きる――その選択が、この馬の長い旅の前提になる。"競馬"において残せるものは血ではなく、走った記録だけ。せん馬とは、そういう覚悟を背負った馬の呼び名だ。 2021年1月、中京の新馬戦に北村友一で出走して5着。三戦目の阪神ダート2000mでようやく初勝利を挙げると、そこからが長かった。ダート1900m、ダート2400m、芝1600m――距離も馬場も定まらぬまま一勝クラスを彷徨い、勝ち切れない競馬が続く。父ジャスタウェイは安田記念と天皇賞(秋)を制し、レーティング世界一に輝いたマイル~中距離の名馬だが、その仔は父の土俵ではまるで伸びなかった。自分の走る道がどこにあるのか――それを探すだけで、デビューから一年半が過ぎていった。

長い道のり ― 芝の長距離に活路を求めて

転機は距離だった。2022年11月、福島の芝2600mを勝って二勝目。翌2023年には札幌の芝2600mを制して三勝目を挙げ、ミステリーウェイは芝の長丁場に自分の居場所を見つけていく。海の中道特別2着、阿寒湖特別3着、箱根特別3着――北海道と長距離を主戦場に、地道に賞金を積む日々が続いた。鞍上も池添謙一、吉田隼人、団野大成と移り変わり、そのたびにこの馬は黙々と長距離を走った。 だが、重賞の舞台は遠かった。古都S15着、比叡S8着、松籟S10着と、距離が延びても突き抜けられない壁がある。2025年に入ると阪神の芝3000mで2着、御堂筋S(芝2400m)を勝つなど安定感は増したが、肩書はなおオープン特別止まり。新馬から数えて三十戦を超えてなお、重賞の勝ち鞍はゼロ。四十戦近くを要した遅咲きの長距離砲は、勝ち負けと着外を行き来しながら、誰に急かされるでもなく、ただ一頭、自分のペースで自分の道を測り直していた。

大逃げの府中 ― 重賞初制覇

2025年、ミステリーウェイは七歳にして遂に羽化する。9月の丹頂S(札幌・芝2600m)でオープン初勝利を掴むと、その勢いのまま11月9日、東京の芝2500m・アルゼンチン共和国杯に駒を進めた。9番人気。鞍上はキャリア5年目の若手・松本大輝。重賞を勝ったことのない馬と、重賞を勝ったことのない騎手の組み合わせだった。 ハナを切って、大逃げ。マイペースで後続を引き付け、勝負どころで再び加速して粘り込む。半馬身差で振り切った2着は、ルメール騎乗の1番人気スティンガーグラス。勝ちタイム2分30秒2、上がりは34秒6。馬と騎手、二人にとっての重賞初制覇だった。「正直そこまで自信はなく」と松本は明かす。「ただ、自信のあるなしに関係なく、この馬の気持ちを最大限に走る方向へ向かせることだけが僕の仕事」「プランというより『この馬と一緒に走れたらいいな』ということしか考えていませんでした」。さらに、「僕自身も5年目で成績を残せていない中で乗せていただいた」感謝を口にした。馬が地道に力をつけ、若い騎手が結果を残せずにいた五年目。二つの遅咲きが、府中の長い直線で同時に花を開かせた。

頂への挑戦 ― 届かなかった四つの大舞台

重賞を勝った馬は、当然のようにGⅠへ向かう。だがそこからのミステリーウェイは、頂の険しさを正直に映す戦績を刻んだ。2025年暮れの有馬記念は16着。明けて2026年、日経賞14着、天皇賞(春)は京都の3200mで8着、そして6月の宝塚記念は16番人気で16着。アルゼンチン共和国杯で見せた大逃げの魔法は、最高峰の馬群の中ではもう通用しなかった。 それでも、この負けの連なりを失敗とは呼びたくない。新馬戦5着から始まった長い道を、去勢された一頭の馬が四十戦かけて辿り、重賞というひとつの頂にだけは確かに立った。GⅠには届かない。けれど、届かない舞台に立てるところまで来たこと自体が、デビュー当時には想像もつかなかった距離である。せん馬に種牡馬の未来はない。だからこの馬のブラッドスポーツとしての物語は、走った分だけがすべてだ。アルゼンチン共和国杯の府中、大逃げで粘り込んだあの数分間に、四十戦の道のりのすべてが詰まっている。記録にしか残せない馬が、確かに記録を残した。それで十分だ。

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