名馬の記憶を、
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年表ICHINEN-ISSO — 2400m

BOKUJŌ-CHŌ — HOKKAIDO

牧場帖

一年ずつ、顔ぶれをたどる。引退した名馬たちの繋養・在籍と映像を綴る帳面。
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ミュージアムマイルのイメージビジュアル
ミュージアムマイルMuseum Mile
Museum Mile

ミュージアムマイル

通算成績11戦5勝

獲得賞金96,179万円

生年月日 2022.01.10(令和4年)毛色 黒鹿毛

全成績

主要戦績(抜粋)・新しい順
ミュージアムマイルの成績一覧
年月日着順レースコース人気騎手タイム上り3F映像
9 GI宝塚記念 阪神 芝2200 4人気 D.レーン 2:13.7 上り36.5映像
1 GI有馬記念 中山 芝2500 3人気 C.デムーロ 2:31.5 上り34.6映像
2 GI天皇賞(秋) 東京 芝2000 3人気 C.デムーロ 1:58.7 上り32.3映像
1 GII朝日セントライト記念 中山 芝2200 1人気 戸崎圭太 2:10.8 上り34.4映像
6 GI東京優駿 東京 芝2400 2人気 D.レーン 2:24.4 上り34.1映像
1 GI皐月賞 中山 芝2000 3人気 J.モレイラ 1:57.0 上り34.1映像
4 GII報知弥生ディープ記念 中山 芝2000 1人気 幸英明 2:01.5 上り36.5映像
2 GI朝日杯フューチュリティステークス 京都 芝1600 2人気 C.デムーロ 1:34.5 上り33.8映像
1 黄菊賞 京都 芝2000 1人気 C.デムーロ 2:00.0 上り33.7
1 2歳未勝利 京都 芝1800 1人気 幸英明 1:46.8 上り34.2
3 2歳新馬 中京 芝1600 4人気 幸英明 1:35.5 上り34.1

血統

金色の名は 名馬ジャーニー に掲載 — その馬のページへ
ミュージアムマイルの血統表(左から親・祖父母・曽祖父母)
リオンディーズLeontesキングカメハメハKing KamehamehaKingmambo
マンファスManfath
シーザリオCesarioスペシャルウィークSpecial Week
キロフプリミエールKirov Premiere
ミュージアムヒルハーツクライHeart's CryサンデーサイレンスSunday Silence
アイリッシュダンス
ロレットチャペルフレンチデピュティFrench Deputy
サンタフェトレイル
STORY

旅程 — この馬の物語

2022年生まれの黒鹿毛の牡馬。父リオンディーズ、母ミュージアムヒル。主な勝ち鞍は皐月賞・有馬記念・朝日セントライト記念。

美術館通りの名 ― 出自

ミュージアムマイルとは、ニューヨーク・マンハッタンの五番街、美術館が軒を連ねる一画を指す呼び名である。母ミュージアムヒルから受け継いだ「美術館」の主題を、その名はそのまま街路へと広げた。2022年1月10日、安平町のノーザンファームに生まれた黒鹿毛の牡馬。父はリオンディーズ。栗東・高柳大輔厩舎に預けられ、サンデーレーシングの勝負服を背負う。父リオンディーズは、名牝シーザリオを母に持ち、兄エピファネイア、弟サートゥルナーリアがGIの冠を重ねる一族にあって、自らはついにクラシックに手が届かなかった馬だった。その血が、ひとつの宿題を抱えて受け継がれていく。

デムーロと、二歳の秋

デビューは2024年8月、3着。だが未勝利を勝ち上がり、続く黄菊賞でクリスチャン・デムーロと初めてコンビを組むと、危なげなく連勝した。手綱に確かな感触を得て向かった年末の朝日杯フューチュリティステークス――それは、9年前に父リオンディーズが制し、二歳王者の称号を得たレースでもあった。だが息子は、アドマイヤズームに0秒4届かず2着。父が立った頂に、あと半馬身ほどが足りない。デムーロが最初に味わった、この馬での悔しさだった。

皐月賞 ― 父に捧げる冠

明けて2025年、弥生賞は4着。評価を落としたまま、3番人気で皐月賞のゲートに入る。鞍上はジョアン・モレイラ。直線で3番手に取りつくと、無敗の評判を背負ったクロワデュノールを力強く差し切り、1分57秒0でゴールへ抜け出した。重賞もGIも、これが初めての戴冠。リオンディーズ産駒として、初めてのクラシック制覇だった。かつて父が4位入線から5着へ降着し、悔し涙をのんだ中山の2000m。同じ舞台で、息子が一族に欠けていた最初の冠を掲げた。

ダービーの敗北、立て直しの秋

二冠目は、届かなかった。ダミアン・レーンを背に2番人気で臨んだ日本ダービーは6着。府中の長い直線で、皐月賞の脚は影をひそめた。だが陣営は慌てなかった。秋、戸崎圭太に手綱を託したセントライト記念を完勝し、態勢を立て直す。奇しくもこのレースは、祖母ロレットチャペルの半兄キングストレイルが勝った一戦でもあった。一族にゆかりの深い秋の中山で、ミュージアムマイルは古馬への扉を開けにかかる。

天皇賞・秋 ― 0秒1

古馬の壁は、薄氷のように薄く、そして硬かった。デムーロが戻った天皇賞・秋。府中の直線で前をうかがい、勝ち馬マスカレードボールに馬体を併せにいく。だが、0秒1。クビほどの差が、最後まで縮まらなかった。朝日杯の0秒4、そしてこの0秒1。大舞台で、この馬とデムーロは、わずかな差の手前で立ち止まり続けていた。あと一歩が、これほど遠い。

有馬記念 ― 暮れの中山で

2025年12月28日、有馬記念。2番人気。デムーロは後方で脚を溜め、最も警戒する相手ダノンデサイルの背後をひたすら離さなかった。「ダノンデサイルが一番の強敵だと思っていたので、道中はずっとその後ろで競馬をしました」[^1]。4コーナーから直線大外へ持ち出すと、先に抜け出していた12番人気コスモキュランダを鋭く捉えて半馬身、追ってきたダノンデサイルもクビだけ凌ぐ。3歳馬による、暮れのグランプリ制覇。高柳大輔は有馬記念初出走での初制覇となり、デムーロは前年シャフリヤールで味わった2着の雪辱を、ちょうど一年後に晴らした。積み重ねた0秒4と0秒1の先に、ようやく届いた頂だった。

出典:Number Web「『一番の強敵の後ろで…』ミュージアムマイル有馬記念制覇のウラにC・デムーロの“巧みな戦略”」2025年12月29日配信、https://number.bunshun.jp/articles/-/868783、閲覧日:2026年6月27日。

四歳、旅の途中

4歳初戦に選んだ2026年の宝塚記念は、9着。雨の中山ならぬ阪神で、メイショウタバルの逃げ切りを前に、暮れの切れ味は影をひそめた。栄光のあとには、また登り直しの坂が待っている。それでも、この馬がたどり着いた場所は消えない。父リオンディーズが、名門の血を継ぎながら一度も立てなかったクラシックとグランプリの頂。息子はそのどちらにも、3歳のうちに立ってみせた。美術館通りの名を持つ黒鹿毛の旅は、まだ途中にある。

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