名馬の記憶を、
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年表ICHINEN-ISSO — 2400m

BOKUJŌ-CHŌ — HOKKAIDO

牧場帖

一年ずつ、顔ぶれをたどる。引退した名馬たちの繋養・在籍と映像を綴る帳面。
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名馬録

この世代(生まれ年)

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ミトノオーのイメージビジュアル
ミトノオーMitono O
Mitono O

ミトノオー

通算成績18戦5勝

獲得賞金15,558万円

生年月日 2020.04.24(令和2年)毛色 栗毛

全成績

主要戦績(抜粋)・新しい順
ミトノオーの成績一覧
年月日着順レースコース人気騎手タイム上り3F映像
2 ABアカウミガメ特別 高知 ダ1300 1人気 赤岡修次 1:23.1 上り38.7
10 準重賞御畳瀬特別 高知 ダ1800 1人気 赤岡修次 2:02.9 上り43.2
15 GIフェブラリーS 東京 ダ1600 15人気 田辺裕信 1:38.3 上り38.9映像
14 LベテルギウスS 京都 ダ1800 8人気 幸英明 1:52.6 上り39.9
10 GIチャンピオンズカップ 中京 ダ1800 15人気 松山弘平 1:51.4 上り38.1映像
14 GIIIみやこS 京都 ダ1800 4人気 松山弘平 1:53.6 上り41.4映像
5 GIIIエルムS 札幌 ダ1700 3人気 松山弘平 1:44.8 上り37.7映像
1 GIII平安S 京都 ダ1900 5人気 松山弘平 1:57.4 上り37.0映像
2 GIIIマーチS 中山 ダ1800 4人気 木幡巧也 1:50.8 上り37.8映像
9 JpnⅡ名古屋GP 名古屋 ダ2100 3人気 武豊 2:17.0 上り43.6
2 JpnⅡ浦和記念 浦和 ダ2000 3人気 松山弘平 2:07.1 上り37.8
6 JpnⅡ日本テレビ盃 船橋 ダ1800 2人気 武豊 1:53.6 上り39.5
3 JpnⅠJDダービー 大井 ダ2000 3人気 武豊 2:05.2 上り40.0
1 JpnⅡ兵庫CS 園田 ダ1870 1人気 武豊 2:00.7 上り38.9
1 OP伏竜S 中山 ダ1800 1人気 木幡巧也 1:51.9 上り38.8
1 黒竹賞 中山 ダ1800 1人気 木幡巧也 1:53.3 上り39.5
11 オキザリス賞 東京 ダ1400 5人気 木幡巧也 1:26.6 上り38.3
1 2歳新馬 新潟 ダ1800 4人気 木幡巧也 1:54.9 上り38.6

血統

金色の名は 名馬ジャーニー に掲載 — その馬のページへ
ミトノオーの血統表(左から親・祖父母・曽祖父母)
ロゴタイプLogotypeローエングリンSingspiel
カーリング
ステレオタイプサンデーサイレンス
スターバレリーナ
シダクティヴリーSeductivelyサンダーガルチThunder GulchGulch
Line of Thunder
Torrid AffairAlydeed
Lover's Talk
STORY

旅程 — この馬の物語

2020年生まれの栗毛の牡馬。父ロゴタイプ、母シダクティヴリー。主な勝ち鞍は兵庫CS・平安S。

「王」の名 ― 芝の父と、砂の母系

馬名は、馬主ロイヤルパークの冠名「ミトノ」に、王を意味する「オー」を継いだもの。この馬は、生まれたときから王の名を負っていた。 父ロゴタイプは、朝日杯フューチュリティステークス、皐月賞、安田記念を制した芝のGI馬である。とりわけ2016年の安田記念は、8番人気の低評価をマイペースの逃げでくつがえした一日だった。だが、その血が芝で花開くとは限らない。母シダクティヴリーは、1995年のケンタッキーダービーとベルモントステークスを勝ったアメリカ二冠馬サンダーガルチを父に持つ、カナダ産の輸入牝馬。北米でグレード競走を勝った、まぎれもない砂の血だった。2020年4月24日、生産者・築紫洋のもとに生まれた栗毛の牡馬は、芝の父とダートの母系の、ちょうど境目に立っていた。答えは、砂の上にあった。

木幡巧也 ― 逃げて、三連勝

デビューは2022年8月、新潟のダート1800メートル。美浦・牧光二厩舎の栗毛は、木幡巧也を背に4番人気で勝ち上がる。抜け出してから遊ぶ余裕さえ見せての、2馬身半差だった。 続くオキザリス賞は11着と足踏みする。だが年が明けると、この馬は本当の姿を現した。1月の黒竹賞、3月の伏竜ステークス――いずれも自らハナを切り、後続を離す逃げ切り。不良馬場の伏竜Sでは、ほかの先行馬が総崩れになるなかで脚色が鈍らず、1分51秒9の好時計で押し切った。直線で背後の脚音が消えていく。楽勝だ、と木幡は思ったという。若い騎手と、前へ前へと走る牡馬。二人三脚は、三連勝でひとつの季節を駆け抜けた。

武豊 ― 園田、六馬身

重賞の扉を前に、鞍上が替わった。馬主の希望で、過去に三度この鞍を制していた武豊が呼ばれたのだ。2023年5月、園田の兵庫チャンピオンシップ。三連勝で臨んだ1番人気は、楽に先手を奪うと、持ったまま馬なりに後続を突き放した。着差、六馬身。2着キリンジを問題にしない大楽勝だった。パドックで跨ったのがこの日が初めてだったという名手は、レース後、もっと大きな舞台を狙える手応えだと語った。三連勝を四連勝に伸ばし、重賞初制覇。王の名にふさわしい、圧巻の逃走劇だった。

交流ダートの頂 ― あと半歩

夏、大井のジャパンダートダービー。地方と中央の三歳ダート王を決めるJpnIで、ミトノオーは好スタートからハナを主張し、軽快に逃げた。だが最後の直線、後ろからミックファイアとキリンジにかわされて3着。園田で六馬身ちぎったはずのキリンジに、今度は差し返された。頂は、逃げるだけでは届かない場所にあった。 秋も、王は前に立ち続けた。船橋の日本テレビ盃は6着。浦和記念では松山弘平を背に積極的に運び、ディクテオンの2着。だが名古屋グランプリは9着に沈み、三歳のシーズンを終える。交流重賞のダートを幾度も先頭で刻みながら、JpnIの一冠には、あと半歩が足りなかった。

平安ステークス ― 中央の戴冠

四歳初戦のマーチステークスで、手綱は木幡巧也に戻った。原点の相棒を背にヴァルツァーシャルの2着に逃げ粘ると、次走、舞台は京都の平安ステークス。鞍上は再び松山弘平だった。 2024年5月、5番人気。スタートからハナを奪い、マイペースの逃げに持ち込む。最後は追いすがるハピを、クビ差だけ抑え込んだ。JRAの重賞では、初めての戴冠だった。「しぶとかったです」[^1]。松山のひと言が、この馬の芯を言い当てていた。派手さより、前に立って粘り抜く強さ。それが、砂に活路を見いだした王の勝ち方だった。

出典:東スポ競馬「【平安ステークス結果&コメント】ミトノオーが逃げ切りで重賞2勝目 クビ差しのいだ松山「しぶとかったです」」2024年5月18日配信、https://tospo-keiba.jp/breaking_news/45295、閲覧日:2026年7月17日。

高知へ ― 旅はまだ

戴冠は、頂ではなく折り返しだった。夏のエルムステークスは5着、秋のみやこステークスは14着。師走のチャンピオンズカップは15番人気で10着、暮れのベテルギウスステークスも14着。明けて2025年2月のフェブラリーステークスは、15番人気の15着に終わった。奇縁というべきか、この最後の中央戦で手綱を取った田辺裕信は、かつて父ロゴタイプに安田記念のゴールを切らせた男でもあった。その4日後、JRAの登録は抹消される。 ミトノオーは馬主を金澤賢一に替え、高知・田中守厩舎に移った。2026年6月20日、御畳瀬特別。南国の不良馬場で1番人気に推されたが、結果は10着だった。ひと月後の7月19日、アカウミガメ特別。距離を1300メートルまで詰め、また不良の砂で、鞍上は前走と同じ赤岡修次。今度は勝ったサンダーゼウスに0秒2差まで詰め寄り、2着に入った。園田を六馬身ちぎり、京都で中央の重賞を戴いた逃げ馬は、いま高知のダートで、自分に合う距離とリズムを探し直している。王の名を負って生まれた馬の旅は、まだ終わっていない。再び先頭に立つ日を、この馬はきっと探している。

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