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メイショウゲキリン
通算成績33戦5勝
獲得賞金1億7,862万円
生年月日 2019.03.27(令和元年)毛色 黒鹿毛性 牡
全成績
主要戦績(抜粋)・新しい順| 年月日 | 着順 | レース | コース | 人気 | 騎手 | タイム | 上り3F | 映像 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 1 | GIIオールカマー | 中山 芝2200 | 9人気 | 田辺裕信 | 2:16.9 | 上り37.1 | ![]() | |
| 6 | 障害3歳上未勝利 | 中京 障3000 | 2人気 | 小牧加矢太 | 3:25.4 | 上り13.7 | ||
| 8 | 障害4歳上未勝利 | 中山 障2880 | 1人気 | 小牧加矢太 | 3:21.9 | 上り14.0 | ||
| 1 | 八坂S | 京都 芝2200 | 7人気 | 池添謙一 | 2:13.5 | 上り34.3 | ||
| 5 | 寿S | 京都 芝2000 | 7人気 | 西塚洸二 | 2:01.4 | 上り33.9 | ||
| 9 | オリオンS | 阪神 芝2200 | 11人気 | 西塚洸二 | 2:12.9 | 上り36.5 | ||
| 10 | 烏丸S | 京都 芝2400 | 8人気 | 西塚洸二 | 2:26.4 | 上り37.2 | ||
| 14 | 京橋S | 阪神 芝2000 | 4人気 | 浜中俊 | 1:59.9 | 上り35.3 | ||
| 4 | 寿S | 中京 芝2000 | 11人気 | 松山弘平 | 2:02.7 | 上り36.8 | ||
| 3 | オリオンS | 京都 芝2200 | 4人気 | 池添謙一 | 2:14.2 | 上り34.1 | ||
| 15 | 比叡S | 京都 芝2400 | 8人気 | 池添謙一 | 2:27.2 | 上り37.9 | ||
| 3 | 保津峡S | 京都 芝2200 | 4人気 | 松山弘平 | 2:11.0 | 上り34.2 | ||
| 1 | 白川特別 | 京都 芝2400 | 1人気 | 浜中俊 | 2:27.7 | 上り33.5 | ||
| 2 | 比良山特別 | 京都 芝2200 | 2人気 | 池添謙一 | 2:14.2 | 上り35.3 | ||
| 2 | 尾張特別 | 中京 芝2200 | 2人気 | 西村淳也 | 2:15.1 | 上り34.4 | ||
| 2 | 3歳以上2勝クラス | 京都 芝2200 | 4人気 | 松山弘平 | 2:14.1 | 上り35.1 | ||
| 3 | 鳴滝特別 | 京都 芝2400 | 3人気 | 松山弘平 | 2:25.6 | 上り35.8 | ||
| 11 | 3歳以上2勝クラス | 京都 ダ1800 | 10人気 | 池添謙一 | 1:54.4 | 上り39.2 | ||
| 16 | 九州スポーツ杯 | 小倉 ダ1700 | 2人気 | 荻野極 | 1:49.2 | 上り43.1 | ||
| 9 | 川西特別 | 阪神 ダ1800 | 1人気 | 池添謙一 | 1:55.0 | 上り40.4 | ||
| 3 | 4歳以上2勝クラス | 中京 ダ1900 | 3人気 | 松山弘平 | 2:00.9 | 上り39.0 | ||
| 8 | 濃尾特別 | 中京 ダ1800 | 2人気 | 幸英明 | 1:55.0 | 上り39.8 | ||
| 1 | 大須特別 | 中京 ダ1800 | 1人気 | 幸英明 | 1:53.9 | 上り38.7 | ||
| 2 | 3歳以上1勝クラス | 阪神 ダ1800 | 2人気 | 小沢大仁 | 1:52.6 | 上り36.8 | ||
| 4 | 北斗特別 | 函館 芝2000 | 1人気 | 池添謙一 | 2:02.3 | 上り37.3 | ||
| 6 | 大寒桜賞 | 中京 芝2200 | 1人気 | 池添謙一 | 2:17.2 | 上り39.6 | ||
| 9 | GII弥生賞ディープ記念 | 中山 芝2000 | 8人気 | 横山武史 | 2:01.1 | 上り35.3 | ![]() | |
| 3 | GIIIきさらぎ賞 | 中京 芝2000 | 8人気 | 幸英明 | 2:00.7 | 上り36.1 | ![]() | |
| 3 | 梅花賞 | 中京 芝2200 | 3人気 | 池添謙一 | 2:16.0 | 上り34.6 | ||
| 2 | 黄菊賞 | 阪神 芝2000 | 5人気 | 池添謙一 | 2:03.4 | 上り34.8 | ||
| 1 | 2歳未勝利 | 阪神 ダ1800 | 3人気 | 池添謙一 | 1:54.4 | 上り37.9 | ||
| 4 | 2歳未勝利 | 阪神 ダ1800 | 7人気 | 池添謙一 | 1:55.8 | 上り40.5 | ||
| 6 | 2歳新馬 | 札幌 ダ1700 | 2人気 | 小沢大仁 | 1:54.1 | 上り42.3 |
血統
金色の名は掲載馬 — その馬のページへ/点線の名は押すと一言解説| 父キズナKizuna | ディープインパクトDeep Impact | |
| キングカメハメハKing Kamehameha | ||
| クィーンズダガー | ||
旅程 — この馬の物語
2019年生まれの黒鹿毛の牡馬。父キズナ、母メイショウスズラン。主な勝ち鞍はオールカマー。
逆鱗の名 ― 浦河の黒鹿毛
メイショウゲキリン。冠名の「メイショウ」に、「逆鱗」を重ねた名前だ。竜のあごの下に一枚だけ逆さに生えた鱗のことで、触れれば竜が怒り狂うという。そこから、ひどい怒りを指す言葉になった。 2019年3月27日、北海道浦河町の三嶋牧場に生まれた黒鹿毛の牡馬。父は2013年のダービー馬キズナ。母メイショウスズランの父はキングカメハメハである。 母系をさかのぼると、名の知れた馬が並ぶ。祖母クィーンズダガーの半妹マイケイティーズは、2007年の年度代表馬アドマイヤムーンを産んだ。もう一頭の半妹ケイティーズハートの仔が、2021年の年度代表馬エフフォーリアである。3代母ケイティーズファーストには、半妹にヒシアマゾンがいる。牡馬を相手に大レースを争った、1990年代の女傑だ。 預けられたのは栗東の池添兼雄厩舎だった。ヤマカツスズランやヤマカツエースを育てた調教師で、騎手の時代には障害で130勝を挙げている。長男は騎手の池添謙一。 2021年8月28日、札幌のダート1700メートルでデビューして6着。2戦目から池添謙一が手綱を取り、3戦目の阪神で初勝利を挙げた。続く黄菊賞は初めての芝で、6頭立ての2着。0秒1だけ前にいたのはジャスティンパレス、のちに天皇賞・春を勝つ馬だった。
重賞の春、砂の冬 ― 父の厩舎の最後の一戦
2022年、三歳。1月の梅花賞で3着に入り、2月のきさらぎ賞で初めて重賞に挑む。8番人気で3着。勝ったマテンロウレオとの差は0秒2だった。続く弥生賞ディープインパクト記念は9着。このレースは、池添厩舎が3年前にメイショウテンゲンで勝っている。 春が過ぎると、歩みは重くなる。1番人気の大寒桜賞が6着、夏の函館の北斗特別も1番人気で4着。秋にダートへ戻ると、12月の大須特別で2勝目を挙げた。それでも2勝クラスの壁は越えられない。 2023年2月19日、阪神の川西特別。池添謙一が乗り、1番人気で9着に終わる。この馬にとっては、父の厩舎で息子を背に走った最後の一戦になった。 池添兼雄は同じ月の28日、70歳の定年で調教師を引退する。引退に際しては、子どもたちはまだこの世界で仕事をしているので、これからは一人のファンとして競馬を応援していく、と語った。
受け継ぐ人 ― 笹田和秀厩舎へ
新しい預け先は、同じ栗東の笹田和秀厩舎だった。 定年で去る調教師から何かを受け継ぐのは、笹田にとって初めてではない。調教師になる前は伊藤雄二厩舎で調教に乗る役を担い、ウイニングチケットやエアグルーヴの稽古をつけた。2007年に伊藤が定年で引退すると、別の厩舎へ移り、翌年に調教師免許を取る。初めての重賞は2011年の中山牝馬ステークス。勝ったレディアルバローザは、定年を迎えた池江泰郎から引き継いだ馬だった。同じ年の春には、デビューから育てたエリンコートでオークスも勝っている。 転厩してからの2戦は、ダートで大きく負けた。10月の鳴滝特別で芝に戻ると3着。そこから2着が三度続く。12月の尾張特別は、勝ったマイネルエンペラーと同じタイムだった。 2024年5月12日、京都の白川特別。鞍上は浜中俊。1番人気に応えて、3勝目を挙げた。
七歳の冬 ― 八坂ステークス
3勝クラスは長かった。2024年6月の保津峡ステークスで3着、暮れのオリオンステークスでも3着。2025年は4戦して、5着以内は一度だけだった。5月の烏丸ステークスのあとは、12月まで七か月、レースから離れている。 2026年2月1日、京都の芝2200メートル。八坂ステークスは8頭立てで、メイショウゲキリンは7番人気だった。手綱は池添謙一。 2番手で1コーナーを回った。向こう正面で流れが落ち着くと、3コーナーではもう先頭に立っている。終盤の加速を先頭のまま受け止め、2着のレクスノヴァスに2馬身をつけた。上がりは2着馬のほうが速い。先に動いてつくった差を、最後まで守り切った勝ち方だった。 七歳で、オープン入り。父の厩舎を離れて3年がたっていた。父のもとで最初の勝利をもたらした騎手が、今度はオープンへの扉を開けた。
跳べなかった二戦
オープン馬になったメイショウゲキリンが次に向かったのは、障害だった。 4月4日、中山の障害2880メートル。雨で馬場は稍重。14頭立ての1番人気に推されたが、道中は10番手前後にとどまり、8着に終わった。鞍上の小牧加矢太は、馬術の障害飛越で全日本王者になった経歴を持つ障害騎手である。 8月23日、中京の障害3000メートル。8頭立ての2番人気で6着。勝ち馬からは6秒6離されていた。 笹田は、のちにこう明かしている。「練習ではうまいけど実戦で跳びが下手で。けがしたらかわいそうだし、平地に戻した」[^1] 結果は出なかった。ただ、障害の練習を重ねるうちに背中と腰がしっかりしてきた、とも笹田は言う。跳べなかった二戦は、無駄にはなっていなかった。
出典:中日スポーツ「【オールカマー】「もう少し頑張ってくれ」粘りに粘ったメイショウゲキリン 雨の重馬場に田辺騎手の読み的中「スピード勝負にならない方が向きそう」」2026年9月20日配信、https://www.chunichi.co.jp/article/1314051、閲覧日:2026年9月23日。
雨の中山 ― 逃げの二千二百メートル
2026年9月20日、中山。台風が近づき、雨が降り続いていた。馬場は重。オールカマーの1番人気は、前の年にこのレースを勝ったレガレイラだった。平地は八坂ステークス以来のメイショウゲキリンは、9番人気にすぎない。 初めて手綱を取る田辺裕信は、スピード勝負にならないほうが向きそうだと考えていた。 ゲートが開く。前へ行くつもりではいたが、逃げると決めていたわけではない、と田辺はのちに語っている。楽に前へ出られたので、そのまま先頭に立った。外からエセルフリーダが並びかけてくる。1コーナーでも、2コーナーでも、2頭の並びは変わらない。 田辺は流れを落とした。最初の1000メートルは62秒4。そこから先も、200メートルごとの時計はほとんど揺れない。水を含んだ芝の上を、先頭の2頭がそのまま3コーナーへ入り、4コーナーを回っていく。 手応えは、まだ残っていた。もう少し頑張ってくれ。そんな気持ちで、田辺は追い出した。 直線に入ると、並んでいたエセルフリーダが下がっていく。代わりに後ろから、キャントウェイトが迫ってきた。3コーナーの7番手から4コーナーで5番手へ上がり、このレースでいちばん速い上がりで差を詰めてくる。 最後の200メートルは12秒7。重い馬場で、先頭の時計も落ちていた。それでも、先頭は替わらない。 ゴール板の上で、2頭の差はハナだった。
バトン ― 七十歳の秋
前走が障害レースだった馬が平地の重賞を勝つのは、1998年の日経賞のテンジンショウグン以来、28年ぶりだった。 レースのあと、笹田は武豊から、来年は凱旋門賞だ、と冗談めかして声をかけられたという。父キズナの背で凱旋門賞を走った騎手である。笹田は九日後に70歳を迎え、翌年の春には定年で厩舎を閉じる身だった。だから、こう言って笑った。「俺はいないから誰かにバトンタッチ」[^1] 渡す、と笑った男は、受け取り続けてきた人でもある。伊藤雄二が定年で去り、池江泰郎が定年で去った。そして池添兼雄の定年とともに、この黒鹿毛が厩舎にやってきた。その馬に障害を経験させ、跳べないと見て平地へ戻し、七歳の秋に初めての重賞を勝たせた。 血もまた、受け渡されてきたものだ。31年前、同じ中山の2200メートルでオールカマーを勝ったのは、3代母の半妹ヒシアマゾンだった。 受け取ったものを、落とさずに次へ運ぶ。人も馬も泥にまみれたその日の中山で、メイショウゲキリンと田辺は、走る前とほとんど変わらない姿で引き揚げてきた。最初の一歩からゴール板まで、一度も誰の後ろも走らなかった。
出典:日刊スポーツ「「障害帰りで重賞V」メイショウゲキリンがテンジンショウグン以来28年ぶり激走/オールカマー」2026年9月21日配信、閲覧日:2026年9月23日。
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