名馬の記憶を、
再生する。

年表ICHINEN-ISSO — 2400m

BOKUJŌ-CHŌ — HOKKAIDO

牧場帖

一年ずつ、顔ぶれをたどる。引退した名馬たちの繋養・在籍と映像を綴る帳面。
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名馬録

この世代(生まれ年)

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マイネルグロンのイメージビジュアル
マイネルグロンMeiner Grand
Meiner Grand

マイネルグロン

通算成績26戦6勝

獲得賞金21,642万円

生年月日 2018.06.07(平成30年)毛色 青鹿毛

全成績

主要戦績(抜粋)・新しい順
マイネルグロンの成績一覧
年月日着順レースコース人気騎手タイム上り3F映像
5 JGⅠ中山グランドジャンプ 中山 障4260 1人気 石神深一 4:54.0 上り13.8映像
JGⅠ中山大障害 中山 障4100 2人気 石神深一 映像
12 3歳以上1勝クラス 福島 芝2600 1人気 石神深一 2:46.6 上り37.7
6 JGⅠ中山グランドジャンプ 中山 障4250 1人気 石神深一 4:49.3 上り13.6映像
1 阪神スプリングJ 阪神 障3900 1人気 石神深一 4:23.9 上り13.5
1 JGⅠ中山大障害 中山 障4100 1人気 石神深一 4:37.9 上り13.6映像
1 JGⅡ東京ハイジャンプ 東京 障3110 8人気 石神深一 3:32.0 上り13.6
1 障害4歳以上OP 福島 障3380 1人気 五十嵐雄祐 3:45.9 上り13.4
1 障害4歳以上OP 阪神 障3110 3人気 五十嵐雄祐 3:31.3 上り13.6
2 OP清秋ジャンプS 中山 障3210 4人気 小野寺祐太 3:46.3 上り14.1
3 障害3歳以上OP 新潟 障3250 5人気 伴啓太 3:34.6 上り13.2
9 新潟ジャンプS 新潟 障3250 11人気 草野太郎 3:31.7 上り13.0
1 障害4歳以上未勝利 中山 障2880 1人気 五十嵐雄祐 3:12.6 上り13.4
2 障害4歳以上未勝利 中山 障2880 3人気 熊沢重文 3:14.0 上り13.5
4 障害3歳以上未勝利 中山 障2880 6人気 大庭和弥 3:18.3 上り13.8
7 3歳以上1勝クラス 中山 芝2200 4人気 M.デムーロ 2:14.3 上り35.3
2 3歳未勝利 新潟 芝2200 9人気 柴田大知 2:14.6 上り36.0
4 3歳未勝利 新潟 芝2000 4人気 柴田大知 2:03.1 上り35.6
4 3歳未勝利 新潟 芝2000 3人気 柴田大知 2:00.2 上り36.3
2 3歳未勝利 福島 芝2000 3人気 柴田大知 2:01.6 上り36.2
2 3歳未勝利 福島 芝2000 3人気 柴田大知 2:03.2 上り36.0
7 3歳未勝利 東京 芝2000 2人気 柴田大知 1:59.6 上り35.3
2 3歳未勝利 東京 芝2000 6人気 柴田大知 2:00.7 上り34.7
6 2歳未勝利 東京 芝2000 4人気 柴田大知 2:05.3 上り35.2
3 2歳未勝利 中山 芝2000 13人気 丹内祐次 2:03.2 上り35.8
12 2歳新馬 中山 芝2000 7人気 丹内祐次 2:08.1 上り37.8

血統

金色の名は 名馬ジャーニー に掲載 — その馬のページへ
マイネルグロンの血統表(左から親・祖父母・曽祖父母)
ゴールドシップGold ShipステイゴールドStay GoldサンデーサイレンスSunday Silence
ゴールデンサッシュ
ポイントフラッグメジロマックイーンMejiro McQueen
パストラリズム
マイネヌーヴェルブライアンズタイムBrian's TimeRoberto
Kelley's Day
マイネプリテンダーZabeel
Giladah
STORY

旅程 — この馬の物語

2018年生まれの青鹿毛の牡馬。父ゴールドシップ、母マイネヌーヴェル。

マイネルの血 ― 障害に呼ばれて

二〇一八年六月七日、ビッグレッドファーム生まれ。父は気性難ごと愛されたゴールドシップ、母はフラワーカップを勝ったマイネヌーヴェル。名は、ラフィアンの牡馬に受け継がれる冠名マイネルに、フランス語で「気高い」「雄大な」を意味する響きを重ねたものだという。 この母系は、障害と重賞の血だった。母の兄弟には、中山グランドジャンプを制したマイネルネオス、シリウスステークスのマイネルアワグラス、京成杯・弥生賞のマイネルチャールズが並ぶ。半姉マイネテレジアの娘には、二〇二一年の優駿牝馬を勝つユーバーレーベンがいる。名牝と障害巧者を代わる代わる送り出してきた一族が、また一頭、大障害へ向かう仔を産んだ。 ちょうどそのころ、障害界では一人の名手が、生涯の相棒に別れを告げようとしていた。その男の名を、この馬はまだ知らない。

平地の空手形 ― 障害へ転じる

二〇二〇年九月、中山の芝二〇〇〇メートルでデビュー。だが平地に、この馬の居場所はなかった。二歳から三歳にかけて中距離を使われ続けても、二着まではあっても勝ち切れない。掲示板の常連でありながら、勝利だけが遠かった。平地では十一戦して、ついに一勝もできなかった。 二〇二一年十月、陣営は障害に活路を求める。飛越を仕込まれた馬は、翌二二年三月、中山の障害未勝利を四馬身差で抜け出し、ようやく初めての一着を手にした。芝で勝てなかった馬が、竹柵と生垣の待つ世界で、静かに水を得ていく。二三年の春には福島と阪神のオープンを連勝し、障害の一線級へ首をもたげ始めた。

八番人気の秋 ― 名手が背に還る

二〇二三年十月十五日、東京ハイジャンプ。ここで初めて、石神深一がこの馬の背に跨った。 生涯にJ・GIを十一勝する、障害の名手である。デビュー十六年目の二〇一六年、オジュウチョウサンで中山グランドジャンプを制してJ・GIに初めて手が届き、以来その一頭とともに障害の頂を歩いてきた。だが前年、無二の相棒はターフを去っていた。名手は、次の一頭を探していた。 単勝八番人気。人気を集める馬ではなかった。重馬場の三コーナーを三番手で回り、直線で逃げるホッコーメヴィウスを二馬身半捉えて抜け出す。マイネルグロンの重賞初制覇であり、管理する青木孝文調教師にとっても、初めての重賞だった。オジュウを見送った男は、思いがけないところで新しい相棒に出会っていた。

十馬身 ― 中山大障害二〇二三

その年の暮れ、十二月二十三日。中山大障害、四一〇〇メートル。単勝二・〇倍の一番人気に推された。 道中は三番手。抜群の手応えのまま三コーナー手前で早くも先頭に立つと、あとは後ろを引き離すだけだった。二着ニシノデイジーにつけた差は、十馬身。障害の大一番を、危なげなく圧勝した。 この一年、四戦四勝。石神にとっては、オジュウチョウサン以来となる大障害の栄冠だった。年末のJRA賞では、二百九十七票のうち二百七十五票を集めて最優秀障害馬に選ばれる。平地で一勝もできなかった馬が、障害の日本一に立った。名手の背が、もう一度いちばん高いところへ還ってきた。

脚を傷めて ― 二〇二四年の試練

二〇二四年三月、阪神スプリングジャンプを二着エコロデュエルに七馬身差で快勝。強さは本物に見えた。 だが四月十三日、中山グランドジャンプ。単勝一・一倍の圧倒的な支持を背に、大竹柵を飛び越えたあたりから行きっぷりが鈍る。直線の最終障害を跳んだ瞬間、右前脚を傷めて後退し、六着。ゴールに入線したのち、石神は静かに下馬し、馬は馬運車で運ばれた。診断は右前脚の深屈腱炎。九か月に及ぶ長い休みが待っていた。 十一月、平地で復帰する。そして十二月二十一日、ふたたび中山大障害へ。しかし最終障害の生垣で前脚を躓かせ、石神は落馬した。競走中止。かつて十馬身の差をつけた同じ舞台で、今度は最後の障害が越えられなかった。障害は脚と運の上にしか成り立たない競技であることを、この一年が突きつけた。

熱を出した春に ― 相棒の背中

二〇二五年四月十九日、中山グランドジャンプ。ふたたび一番人気に推された。最後の障害を飛び越えたところまでは前を狙える位置にいたが、そこから急に脚色が鈍り、五着。レース後、石神はまた下馬した。熱中症、との診断だった。脚元に異常は見つからず、馬は自らの脚で厩舎まで歩いて帰ったという。だが七月の末、右前脚の裏に浅屈腱炎が見つかり、この馬はふたたび長い休養に入る。 そして二〇二六年の春、石神深一が鞍を置いた。二十五年の騎手生活だった。最後のJ・GIとなった中山グランドジャンプを別の馬で終えたあと、引退を前に、名手は北海道のけい養先を訪ね、かつての生涯の相棒オジュウチョウサンに別れを報告したという。 マイネルグロンは、まだ現役でいる。相棒はもう鞍上にいない。それでも、平地で一勝もできなかった馬を障害の日本一へ押し上げたあの二年は、消えはしない。脚を癒し、この一族の血がまた大障害の生垣へ向かう日を、静かに待っている。

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